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2008年02月29日:日本農業新聞

生協、商品戦略 岐路に

ギョーザ事件から1ヶ月 

  中国製の冷凍ギョーザ中毒事件発覚から1ヶ月近くが経過しました。原因究明は依然として進まず、消費者の不安は根強く残っている。健康被害を起こしたギョーザは「安全・安心」を旗印にする生協の独自開発商品(プライベートブランド=PB)。日本生協連は組織の重大危機と認識しつつも、低価格を軸とするPB商品全般の洗い直しについては言及を避けている。岐路に立つ生協の商品政策を探った。(編集委員・小暮宣文)

●安さを追求 中国に傾斜 
  健康被害が出て3週間が過ぎた今月22日、日本生協連の山下俊史会長が初めて記者会見に臨んだ。中毒事件で食の安全・安心を脅かしたことを謝罪したが、低価格を売り物にするPB・コープ商品の抜本的な見直しについては再三の質問にも最後まで明言を避けた。
  なぜ、そこまで「安さ」にこだわるのか。日本生協連の商品づくりは「新・コープ商品政策」の下で進められている。商品開発の基本は「安全性の確保」「品質の確かさ」「低価格の実現」の3つだが、中でも「低価格の実現」は「長引く消費の低迷下で欠かせない商品作りの大きな要素」(生協関係者)になっている。

●競争が激化 
  商品政策の背景には、大手の総合スーパーや食品スーパーとの戦いがある。生協店舗の売り上げは1998年度以降年々低下、経常損益の赤字はここ数年200億円を超えている。原因はチェーン展開する大規模店との競合で、これに打ち勝つために価格訴求できる中国製を柱とするコープ商品が投入された。
  今回、中毒事件を起こしたギョーザは40個入りで398円。1個10円を切る小売価格帯。国産原料100%で作ったギョーザを販売する別の生協に聞くと、1個の単価は20円程度になり、「価格面からみれば国産ではとても太刀打ちできない」という。
  「安さ」を組合員に効果的にアピールして利用を拡大する─。これがPB・コープ商品の最大の狙いであり、「スーパーと戦う価格の実現」(日本生協連)にもなる。昨年のひき肉偽装問題の該当商品となった牛肉コロッケ(8個198円)も同様で、厳しさを増す競争環境に対応するための核商品になっている。

●使命念頭に
  スーパーとの価格競争の渦に巻き込まれた日本生協連を、仲間はどう見ているか。30万人の組合員を擁し、国産の農畜産物で商品作りを続ける生活クラブ生協連合会の加藤好一会長は、「価格は商品設計の重要な要素だが、自給と循環、奪い奪われない食の在り方にこだわることがわれわれには大切」と語る。
  今回の事件は、生協の使命・役割とは何かを、あらためて問いかけている。