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2008年04月30日:日本農業新聞

ナタネ栽培 岐路に

 「菜の花プロジェクト」として、各地で取り組まれるナタネ栽培。食用油を搾ったり、バイオディーゼル燃料(BDF)としてトラクターを走らせたりと、いまや循環型農業の代名詞だ。しかし、油糧用の営利作物で輪作の柱でもあるナタネには、大きな壁が立ちはだかる。収益の4割を支える「高品質なたね産地確立対策事業」が今年産で終わり、ナタネ栽培は岐路に差しかかった。

飼料用米プロジェクト参画支援

■助成金打ち切り

広大な平地が続く北海道滝川市の大規模畑作農家、江崎徹男さん(66)は頭を抱える。輪作体系の要として定着させたナタネの助成金が今年産で打ち切りとなるからだ。
  農家が受け取る1俵(50kg)1万円のうち、国の助成金は4166円を占める。助成金を外すと手取りは5834円。生産費(約6500円)を下回り、採算割れだ。80haの経営のうち、25haでナタネを作る江崎さんの手取りは約400万円減ることになる。 江崎さんは、45戸の農家でつくるJAたきかわナタネ生産組合副会長として、率先して普及に取り組んできた。「地域の畑作経営への打撃は大きい」と不安視する。

■輪作を直撃、離農の危機も

 ナタネは、麦や大豆、ソバと並ぶ地域の重要な輪作品目。麦を連作すると立ち枯れ症状が出るが、「ナタネを挟むと障害が出ない」(JAたきかわ)ため、輪作に欠かせない品目になった。
  産地では昨年夏、生産組合などがナタネの新規栽培農家に、増収や品質向上のポイントを指導。種子は隔離農地で採取するなど、栽培に力を入れた。今年は昨年の2倍の230haに増え、日本一の産地となった。コンバイン収穫に工夫し、10a収量も240kgから340kgに大幅アップした。
  JAの工藤正光組合長は「遺伝子組み換えでない国産ナタネは、希少価値がある。需要は伸びるはずだ」と見通す。JAはこの夏、2億5000万円をかけてナタネ用の大型乾燥施設も造る計画だが、「助成金がなくなれば増産への意欲がそがれる」と憤る。
  農家の離農を恐れる産地もある。長い間、ジャガイモとの輪作を続けている青森県のJA横浜町は「国からの助成がなくなれば離農者が出る」と、危機感を募らせる。

飼料用米プロジェクト参画支援

 農水省は「2000年に大豆・なたね暫定措置法が切れてから8年間、助成を続けた。最後の3年間は自立の期間。これ以上の予算化はできない」(特産振興課)と強調し、他作物への転換や地方自治体の独自助成を求める。
  生活クラブ生協連合会の田辺樹実開発部長は「ナタネ産地の灯を消そうとする国の責任は重い。事業継続を求める署名活動を展開したい」と訴える。

 ■国産ナタネの現状
1957年をピークに2000年は476haまで減ったが、循環型社会への関心の高まりや需要増加で800haに回復。北海道と青森、鹿児島県に集中する。高品質なたね産地確立対策事業の対象は、北海道から滋賀県の8産地。水田転作では助成金のほか、産地づくり交付金が支払われる。