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2008年05月01日:日本農業新聞

「国産の灯」を守ろう

岐路のナタネ栽培 

  ナタネ栽培が危機にさらされている。農家の経営を支えてきた国の助成事業が、2008年産を最後に打ち切られる。その油を消費することで支援してきた消費者への供給ができなくなるばかりか、産地の輪作体系の崩壊にもつながる。大豆や小麦と同じように、バイオ燃料のあおりを受けてナタネの国際相場は高騰している。「国産の灯」を消していいはずがない。
  ナタネの作付面積は、1957年の25万8000haをピークに減り続け、2006年には800haにまで落ち込んだ。水田作では裏作の減少、畑作では野菜への転換が減少した大きな要因である。
  農水省が播種(はしゅ)前契約に基づき、助成を姶めた01年産以降は、700~800haの横ばいで推移しており、政策の効果は上がっているといえる。06年産から制度が変更され、それまでの単価助成から定額助成に切り替わった。それも3年間の期限付きになったが、作付面積は800ha前後を維持している。維持するためには、予算措置が欠かせない。
  菜種油の原料は、ほとんどがカナダなどからの輸入。自給率は0.04%で、わずかに国産の灯がともっているにすぎない。
  国産の菜種油を販売する生活クラブ生協連合会は、「自給と循環といった食のあり方に、われわれはこだわってきた。産地を維持しようと、北海道や青森県では多くの農家が努力を続けている。われわれも国産ナタネ協議会を作って提携を強めている。助成がなくなれば販売価格は倍近く跳ね上がってしまうだけに、制度の継続は必要だ」と訴える。
  産地と消費者が連携して、自給率を守ってきた。しかし、国は今以上に、「自給」を強く意識しなければならない国際情勢の変化が出てきた。バイオ燃料のあおりを受けて、ナタネの国際相場も高騰している。
  農水省の調べによると、07年産輸入価格は前年に比ベ4割以上上昇し、60kg当たり3200円になった。それでも国産の半額だ。バイオ熱が一層高まればその差は今後さらに縮まる公算が大きい。需給バランスが崩れつつあるのだから、食料自給率を引き上げるためにも助成を続けるべきだ。
  主産地である北海道や青森県では長い間、ナタネを輪作体系に組み入れてきた。北海道では小麦、大豆(またはソバ)を挟んで5年に1作、青森県ではジャガイモと組み合わせ2年に1作、それぞれナタネを栽培している。連作障害によって発生する根こぶ病を出さないよう、産地は苦心を重ねてナタネを作ってきた。消費者は食べ続けることで農家を支えてきた。国がいま助成から手を引けば、わが国からナタネがなくなる日も遠くない。一つの作物が消える、それを「仕方がない」と見過ごすことはできない。