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2008年05月18日:日本農業新聞

一気に拡大「米で転作」 ─山形県酒田市─

飼料用150ヘクタールに

 

山形県酒田市で今年、飼料米の生産が急拡大する。地元の養豚業者、平田牧場の求めに応じたもので、昨年の4ヘクタールから150ヘクタールに伸び、全国最大規模になった。2008年産米の生産調整の動向が注目される中、「米で転作」の取り組みが動きだした。

転作の要にと期待がかかる飼料米の田植え。本多さんは主食米より早く植えた

地元牧場「こめ育ち豚」特産化

 5月上旬。市内で水稲「ふくひびき」の田植えがあった。今年初めて2.3ヘクタールで栽培する本多茂さん(57)は「新たな機械や設備投資がいらず、手間も掛からないのは魅力だ」と話す。主食用米は自前で乾燥調製するが、飼料米はJA庄内みどりの共同乾燥調製施設に持ち込む。 
 「希望者が多くて作付けを断らざるを得ない状況だった」と、市農林水産部農政課の柿崎弘志主査は関心の高さを話す。
平田牧場から、市やJAに米買い入れの打珍があったのは昨年8月。種もみは地元で自家採種し、ようやく150ヘクタール分を確保したが、「まだ足りない状況」と柿崎さん。平田牧場では、将来、洒田市を含めた庄内地域全体で600ヘクタールを確保し、年間に出荷する20万頭すべてに必要な量の米を与えることを目指している。 
 生産拡大の背景には、手厚い助成と高めに設定した販売価格がある。市の水田面積約1万ヘクタールの3割を占める生産調整で、大豆と並ぶ転作作物の要と位置付けるのが飼料米だ。 
 助成額は、産地づくり交付金や県の助成などで10アール4万4000円。飼料米は平田牧場が1キロ46円で引き取る。10アール当たりの目標収量は540キロなので、販売額と助成金を合わせて10アールで6万8840円以上の収入になる計算だ。生産調整面積を拡大した部分には、今年限りだが、国の緊急一時金として10アール5万円も加わる。 
  JAは管内の遊佐町で5年前から飼料米に取り組み、平田牧場や生協と一体で「こめ育ち豚」の産地化を目指してきた。洒田市は、遊佐町をモデルに仕組みをつくった。市生産組合長協議会の後藤悟会長は「手取り確保にはまだ足りないが、主食用米の収益に近づいたことと、地元に受け皿があることが拡大につながった」と話す。 
 ブロックローテーションが定着した同地域。大豆と主食用米の間に飼料米を組み入れることで土壌中の窒素が減り、「主食用米の品質が上がる」(JA)と分析。大豆の連作障害の回避にも有効だ。 
 課題もある。今年、生産が見込まれる810トンにも及ぶ数量を通年で保管する場所がない。流通経費の負担を軽減するため、国が1キロ25円を上限に助成する飼料用米導入定着化緊急対策事業も、今年産限りだ。後藤会長は「せっかく動きだした産地の火を消さないためには、長期的な視野に立った対策が必要だ」と強調する。