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2008年07月01日:月刊消費者(7月号)

生活クラブに聞く─「なぜ消費者に支持されたのか?」

消費者の「生協離れ」と「生協人気」 

丸エビ倶楽部平澤さんのニンジン畑にて監査

 ギョーザ事件発生時は冷凍食品や中国産食品に対する不安から、これらを買い控える消費者が続出。
「冷凍食品の2~3月の売上高が、大手五社で前年同期比2~9割減少した」(08年3月31日読売新聞)という報道もありました。当該商品が生協の取り扱い商品だったために、不信感から生協離れも起こりました。  
  ところが一方で、急激に組合員数を伸ばした生協もあります。そのひとつが「生活クラブ事業連合生活協同組合連合会(以下、生活クラブ)」です。
──生活クラブでは今年、会員数が伸びたそうですが? 
  「ギョーザ事件の報道直後から資料請求が急増しました。テレビ番組で紹介されたこともあって、2月は昨年同月に比べると資料請求件数は2.7倍に上りました。生活クラブの食へのこだわりを知ったうえでの問い合わせだと思います」(生活クラブ企画部・中村秀次さん)
  昨年のミートホープ社による食肉偽装事件をきっかけに行われた生協満足度調査(朝日新聞社発行「AERA」№32「生協『安全神話』満足度調査」)では、生活クラブの満足度は「満足」「どちらかといえば満足」を合わせると97%に達しています。前出の中村さんによると、この結果は組合員が納得して利用しているから」だとか。生産から流通までのすべてを情報公開し、商品開発にも組合員がかかわって、という活動が組合員の帰属意識を高めることにつながっているようです。

消費者と生産者の距離を短くするには 

秋川牧園の鶏肉製造現場にて監査

 生活クラブには、生産者と直接提携し、必要な食材を作ってもらい購入する「産地提携」という考え方があります。豚肉、米、牛乳は100%が該当しています。
──組合員が生産者のところに行って「監査」することもあると聞きましたが?
  「私たちは自主基準を持っていて、そこに生産者が〇×をつけます。これは達している、これは達していない、と。この自主基準を現場で照らし合わせるのが監査の内容です。あれはどうなっている? これはどうなっている? といった組合員からの質問が有効に機能しているんですよ」(同品質管理部・森泰見さん)
  「もっともっと良くしてほしい」と望む組合員に生産者がどのように応えるか。監査でのこういったコミュニケーションが非常に重要で、この取り組みは生産者との距離を短くすることに役立っているのです。
  「農薬の使用についても完全無農薬ではないけれど、組合員は納得しています。限界が分かっているのです。買い続けられる価格、そして作り続けられる価格(=適正価格)を生産者と考えていくのです」 (森さん)

 検査をすれば不安はなくなるのか

──食の安全のために検査を強化してほしいという声もありますが、生活クラブではどのように考えていますか?
  「本来は価格面も含め、消費者と生産者がどれだけ信頼関係を構築できるかが勝負。入り口、つまり生産者サイドのところで常に接点を持っていれば、出口での検査はほとんど必要なくなるわけですよ。でもよく分からないからと出口で検査するとなると全品検査ですよね。そうなると管理コストがどんどん上がる。生産物よりも管理のためのコストが大きくなってしまう事態も考えられます。そんなふうに管理コストが増大していっても、消費者の不安は変わらないと思いますよ。生産者との関係ができていないため、何だか一般消費者は土台のないなかで消費生活を営んでいる気がしますね」(森さん)
  食の安全について、森さんは次のような疑問も投げかけています。
  「情報がどこまで正確に伝えられているのかと思いますね。残留農薬を例にとると、残留基準が設定されていない農薬の基準を一律0.01ppmと定めるポジティブリスト制度のもとでは、例えば0.5ppmの残留農薬が検出されると“基準値の50倍を検出″と報道されてしまうこともあります。間違ってはいませんが、同一農薬でほかの農作物には数ppmレベルまで許容されている場合があります。何だか数字だけが一人歩きをして、いたずらに消費者の不安をあおってしまうのではないかと…」

生活クラブからのメッセージ

 ギョーザ事件以降、消費者の視線は国産のものに移ってきましたが、こういう流れを一過性で終わらせないでほしいですね。日本国内の農業が育っていけるような消費生活を営んでください。国産品を使うということは環境を守るという意味合いもあります。私たちの食のあり方が、日本の環境や食の安全性を担保しているのです」

●生活クラブが実践する“サステイナブル(持続可能な)・パワー”例
牛乳を飲んで支えた近郊酪農家=77戸
お米を食べて守り、維持した田んぼ=1882ha
農薬を減らしたことで汚れを減らした水や田んぼ=1031ha
お米を食べて守った水=4235万t
農作物を利用して支えている都会の農地=497ha
※2005年度1年間のデータをもとに計算したもの。

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