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2008年07月25日:鶏鳴新聞

東京で国産採卵鶏を守る緊急集会

5年後にシェア10%へ─ 生産者と消費者が連携 

記者会見で緊急集会の意義などを訴える中島学会田共同養鶏組合長

 生産者と消費者がお互いを理解し合う中で、国産鶏の種の保存の重要性や育種技術の継承などを広く訴えようと、「国産採卵鶏を守る緊急集会」が七月四日、東京・大手町のJAホールで開かれた。
 緊急集会は、生活クラブ事業連合生活協同組合連合会などの消費者団体と、(株)後藤孵卵場や全国養鶏経営者会議などの生産者団体、総計15団体が連携し、農林水産省生産局の後援と、 (独)家畜改良センターと全農の協賛を得て開いたもので、一般消費者や養鶏関係者ら約三百人が参加した。
  集会に先立ち記者会見した実行委員会委員長の中島学(農)会田共同養鶏組合組合長(長野県松本市)は、「採卵養鶏業界は、国内流通量の約95%に当たる250万トン前後の鶏卵を生産しているが、飼料原料穀物のほとんどを外国、特にアメリカに依存している。原油高や、バイオ燃料の原料としてトウモロコシが利用されたことなどによって穀物価格が急騰しており、養鶏農家は生産原価が上がっても、卵価はそれには見合っていないため、大変苦しんでいる。そのうえ養鶏業界は寡占化の道をたどっていて、中小規模の農家は廃業の危機に直面している。さらに鶏の種(親鶏)は94%も外国に依存しており、国産鶏のシェアはわずか6%しかない。
 このような緊急集会は従来、農家サイドが行なってきたが、飼料穀物だけでなく、鶏の種も外国に依存したままで日本の食を守れるのかどうか、との危機感が消費者サイドから盛り上がってきた。
 現状を見過ごしたままにしていると、国と民間が協力して育種改良を行なってきた日本固有の国産鶏の種がある日突然、ゼロになってしまう可能性もある。国民生活を安定させ、食の安全を確保するためには、日本の持つ固有の種を守り育て、生産履歴をきちんと証明できる畜産物の生産が大切である。
 本日の緊急集会では、日本固有の種を守り育てることがいかに大事であるかということを、消費者と生産者、育種関係者が一体となって再確認し、広く社会に訴える第一歩にしたい」などと緊急集会の意義を説明した。
 (株)後藤孵卵場(岐阜市)の日比野義人社長は、「現在は約6%である採卵用の国産鶏のシェアを、五年後には10%にまで拡大できるように努力していきたい」などと強調した。
 集会では、中島実行委員長が緊急集会の意義を参加者に訴えた後、(独)家畜改良センター岡崎牧場(愛知県岡崎市)の米田勝紀場長が「国産鶏はわが国の気候風土や食習慣に合うように、幾世代にもわたって育種改良された鶏であるが、わが国の鶏卵生産は現在、外国鶏に大きく依存しており、国産鶏のシェアは約6%しかない」などと国産鶏を取り巻く厳しい現状を説明し、1.種まで含めた採卵鶏生産の自給率の向上、2.わが国の気候風土に適応した種鶏の開発・普及、3.わが国の消責者ニーズ(おいしさ、安心)への対応、4.海外における悪性伝染病の発生など不測の事態へのリスクヘッジ、5.種まで履歴をたどれるトレーサビリティ─などの国産鶏の特長を紹介した。
 「MADE IN ジャパンの底力」─養鶏業界が元気になれば日本も元気になる!!─と題して基調講演した(株)のだ初(岡山県倉敷市)の野田裕一朗専務取締役が、卵に関する正しい情報やすばらしさを伝えて消費量の拡大を目指すために、昨年7月から12月までの約半年間、北海道から沖縄までの約4,700kmを自転車で走破した「たまごニコニコ大作戦!!日本縦断チャリの旅」での人との出会いや、走り終えての感想などを紹介し、「各地で行なったイベントで感じたことは、『たまごは一日一個まで』と誤解されている消費者が非常に多かったことである。現在も誤解されている方が周りにいたら、それは誤った情報であることを教えてあげてほしい」と参加者に呼びかけた。
 そのうえで、「卵価が下がると減羽しようという話をよく聞くが、確かに減羽すると相場は上がるものの、ヒヨコやエサなどは減ってしまうため、誰もが幸せになるわけではない。しかし、卵の消費量が増えるとヒヨコやエサも増えて、養鶏に関係するすべての人が幸せになると思う。
 我々生産者は、良い卵を生産することはもちろん、卵に関する情報を声を大にして消費者に発信する必要があるのではないか。消費者の誤解を解くことができれば、消費は伸びると思う。
 鶏の育種は世界的に二社に集約されているため、万が一輸入がストップした時に種が入ってこなくなるリスクがあるが、国産鶏の普及が拡大すると、そのリスクは少なくなる。私は後藤孵卵場の創業者が、戦時中に空爆を受けた際に、国産鶏の種を守るために原種鶏を持って逃げたというエピソードを聞いて、とても感動した。養鶏だけでなく、飼料原料や食料、畜産全般など、一次産業が元気になれば、日本が元気になると思う」などとアピール。
 国産鶏の飼育について、西垣養鶏場(兵庫県豊岡市)の西垣源正代表が「美味しさへのこだわりと循環型農業経営」、(農)黒富士農場(山梨県甲斐市)の向山茂徳社長が「発酵飼料の技術と実践活用」と題して報告。西垣代表は、有機農法で作った地元米と国産鶏の卵を使った卵かけご飯の専門店「但熊」や、農産物の直売所「百笑館」への取り組みを紹介し、「おいしいものを安く提供するために、今後も努力していきたい」とした。向山社長は、総合学習の場として地元の小学生の見学を受け入れていることや、未利用資源を活用した発酵飼料への取り組みを紹介し、「発酵飼料はアミノ酸バランスが重要」だとした。
 このほか、 旭愛農生産組合(赤座農場)の赤座繁樹氏が、「一つの指標として、再生産可能な国産鶏の鶏卵の生産価格を、実行委員会の構成団体や、国産鶏を飼養している生産者のホームページに掲載してはどうか」などと提案した。

生産者と消費者ら約300人が参加して<br />国産採卵鶏を守る緊急集会

 生産者代表の (有)鹿川グリーンファーム(埼玉県深谷市)の丸尾敏晴代表取締役専務と、消費者代表の生活クラブ生協・東京の若林裕子氏が、「生産者と消費者がお互いの現状を共有・理解し、広く社会に伝えて『純国産鶏』を維持拡大し、日本の畜産・農業の復活に向けて取り組む」などとする集会宣言を読み上げ、生活クラブ事業連合生活協同組合連合会(東京都新宿区)の福岡良行専務理事が「事業の枠を越えて国産鶏を守ることと、食料自給率を高めることの二点で集会を開催できたことは、現在の食料情勢の中で大変意義があると思う。我々はこの一致した意思を社会的にアピールし、本日の趣旨を現実的に発展させていきたい」などと閉会あいさつし集会を終えた。
 実行委員会の構成団体は次の通り。
 (有)会田共同養鶏組合、 (株)秋川牧園、(有)旭愛農生産組合、(有)幾見養鶏、(有)鹿川グリーンファーム、(有)黒富士農場、常盤村養鶏農業協同組合、(有)野地養鶏場、美濃愛農産直、(株)後藤孵卵場、全国養鶏経営者会議、BM技術協会、大地を守る会、パルシステム生活協同組合連合会、生活クラブ事業連合生活協同組合連合会