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2009年01月01日:コープソリューション

飼料用米を全頭給与─当面の目標4千トンに

開発部畜産課課長<br />赤堀和彦

 

 日本の食料・穀物自給率が低い大きな原因は、家畜飼料の大半を輸入に依存していることにある。2004年、生活クラブ連合会はその現状に風穴を開けるべく生協陣営の先頭を切って「飼料用米プロジェクト」を立ち上げた。いまやそれは大きな流れをつくろうとしている。開発部畜産課の赤堀和彦課長にプロジェクトの展望を中心に聞いた。

─プロジェクトの開始は、新しい米づくりの始まりでしたね。
赤堀◆1996年から平田牧場では飼料用米の取り組みが始まっていたが、米の生産調整の変更や輸入飼料との価格差などから作付けは減少し、いったんは継続が困難になっていた。
 しかし、輸入穀物に依存すべきではないという決意のもと、2004年に遊佐町、JA庄内みどり遊佐、平田牧場と共同して安定した飼料用米の生産を目指し、食料自給率向上モデル「飼料用米プロジェクト」をスタートさせた。
 そして2005年に平田牧場での給与を始め、当面3年間のプロジェクトを推進した(2006年「こめ育ち豚」冷凍規格での取り組み開始)。プロジェクトにはこのほかに、JA全農山形、JA庄内みどり、北日本くみあい飼料などの各団体・企業、そして山形大学農学部の小沢瓦助教授をはじめ多くの方々に参加して頂いた。
─平田牧場での全頭給与が始まりましたね。
赤堀◆2007年に最初の3カ年のプロジェクトについて総括し、その成果に基づいてプロジェクトのさらなる推進を決定し、今年産飼料用米の給与計画と「こめ育ち豚」の取り組み計画を立てた。 平田牧場では、それまで飼料用米を10%混ぜた餌で育てた「こめ育ち豚」を生産してきたが、全頭ではなく、限られた範囲での取り組みにとどまっており、いかに全頭に行き渡らせるかが課題だった。
 計画の取り組み方針では、単なる豚肉の差別化ではなく、自給飼料の到達度を明確にするため、限定10%給与から飼料用米の生産量に合わせて全頭給与(5%給与)に転換し、全体化していくことにした。それに合わせて飼料用米の作付けを2007年(976トン)に比べて倍以上に拡大。それまでの遊佐以外のJA庄内みどりの地域に作付けを広げるとともに、JA加美よつば、栃木県開拓農協にも参加頂き、330ヘクタール・1974トンの生産計画を立てた。昨年12月現在では2000トンを超えている。そして同月から全頭給与を開始した。
 供給面では、今年3月中旬の出荷から切り替わっていく。加工肉、惣菜用も含め、全て「こめ育ち豚」での取り組みが可能になる。
─3カ年の総括では、課題も出たのでしょうか。
赤堀◆まず食用米を作っている生産者と飼料用米を作っている生産者の手取りにはかなりの格差がある。国の補助金や遊佐町・山形県による産地づくり交付金を加算しても厳しい。
 また、栽培技術、種子の確保、収穫した物の保管場所などの課題もある。種子に関しては、今年からJA庄内みどりで種子専用の圃場を設けて、「ふくひびき」という品種の作付けを始めた。保管場所については、今年は各支所ごとのライスセンターに保管することで乗り切れるが、2009年産については拡大を予定しており、キャパオーバーになることが課題となっている。
─2009年の計画について。
赤堀◆さらに作付けを倍増し 4000トンを目指す。JA庄内みどりでは作付け面積を314ヘクタールから約400ヘクタールに拡大する。また、JA加美よつばでは昨年に比べ10倍の100ヘクタールに、栃木県開拓農協でも20倍の100ヘクタールに、それぞれ大幅拡大したい。そして、全頭5%給与を10%給与に引き上げることが、ひとつの到達点だと考えている。
─新しい挑戦もしていますが。
赤堀◆今年から肉牛での飼料用米の給与を実験的に始めた。ただ牛の場合は生育への影響が豚や鶏に比べ大きいと言われ、どのくらいの量を与えるかなど見極めなければならないことが多い。実際に供給が可能になるのは少し先になりそう。そのほか、鶏に対する飼料用米の給与も始めている。また、麦や食品工場から出 る単体の副産物などを活用した自給飼料の可能性も探っていきたい。