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2009年01月05日:生協流通新聞

水産で新たな協組間提携─雄武漁協と長崎の五島地区

生活クラブ連合会<br />福岡良行・専務理事

 ──年度決算の見通し。
 「連合会の決算では、昨年10月までの供給高で前年比109.2%、経常剰余も112.6%と伸びています。 12月まで受注が入っており、1月からの伸長度合に心配はありますが、年度決算では予算を上回るとみています。
 上半期の主要品目の状況でいうと、卵が伸び、牛乳も下げ止まるなど全般的に好調で、これまで主要品目を中心とした共同購入活動の展開を重視して取り組んできた成果がでています」
 ──食の安全・安心への取り組み。
 「今年から表示制度の問題に取り組みたいと思います。安全・安心という観点から、原料・原産国表示などを消費者が選べる権利として確立していくことが必要です。
 そのなかに遺伝子組み換えの問題、分別した遺伝子組み換え原料が使われているのかどうかという内容まで踏み込んだEU並みの表示制度を消費者が選ぶ権利として確立していかないと、本当の意味での食の安全性は確保できないと思います。
 また、加工食品の場合、新聞報道では原料が中国産だったなど食品偽装が相次いでいますが、生活クラブは原料のそのまた原料までをたどって素性を確かめることが基本ですので、さらに提携生産者間で原料をやり取りするなど、指定原料の仕組みを広げていきたいと考えています。
 新年度は、原材料の自給力向上に向けて産地の集中化を図り、JA庄内みどり、北海道のJA小清水とJAたきかわ、JA加美よつば(宮城県)との提携で大豆や小麦、馬鈴薯でんぷん、そばを取り組みます」
 ──水産での新たな協同組合間提携。
 「日本の漁業の自給率を高めるという観点から、水産政策に基づいた新たな産地づくりをすすめます。 まずは、サケやカニ、ホタテの産地である北海道の雄武漁協です。周辺地域では、JA雄武が北海道チクレンのアンガス牛を肥育しています。漁協と農協、北海道チクレン、雄武町などとで協議会をつくり、地域活性化に向けた活動を組み立てていきます。漁協を越えた地域全体との取り組みになりますが、そうした視点を大事にしたいと考えています。
 もう一つは、長崎県漁連を通じた五島地区です。島が点々とし、主な産業は漁業ですが、単位漁協ではなく、例えば漁協が五つあれば、この漁協はウニの加工品をつくり、この漁協ではイカの加工品をつくる、という具合に全漁協が連なるかたちでの商品開発ができるような提携関係をつくろうと思っています」
 ──他の生協にも広がった飼料米の取り組み。
 「山形県の庄内地方と千葉県以外に、栃木県開拓農協、埼玉県のJAほくさい、宮城県のJA加実よつばなどに地域が拡大され、群馬県や山口県にも広がっています。また、庄内地方では320ヘクタールから400ヘクタールへ栽培面積が拡大します。
 栃木県では100ヘクタールの計画で進めていますが、牛(WCS中心)と豚に飼料米を給餌します。採卵鶏のエサとしては、鹿川グリーンファーム(埼玉県)も2年目になりましたので、鶏・豚・牛(WCS含む)の全畜産に飼料米の給餌を拡大させたいと考えています。
 自給飼料の増産については、北海道チクレンでデントコーンや燕麦の生産も手がけています」
 ──NON-GMトウモロコシへの取り組み。
 「NON-GMトウモロコシ自体の量が少なくなっているという事実はありますが、逆に心配なのは、価格上昇のため、これまでの取り組みを止める生協が出てきていることです。
 長期的に考えれば、GMの安全性に対する疑義というのは否定できません。生活クラブは、この仕組みを継続させていくために意志を明確にし、消費者が選べる状態を確保しなければならないと考えています。
 世界的に産地を多元化するため、全農と協力し,中国の黒龍江省と遼寧省でNON-GMのコーン産地づくりを進めています。黒龍江省は平田牧場が長年にわたって関係性をつくってきた産地です。話し合いで一緒につくった規格のトウモロコシですが、08年度は輸出ライセンスが下りず輸入できていません。
 中国でのGM化は心配な部分もありますが、相互点検しながら産地との関係性を築き、NON-GMO路線を堅持していく考えです」
 ──今後の「政策提案運動」の展開。
 「食料自給率向上のため各政党に農業政策提案と質問を行ないました。各政党から回答が寄せられ、それに基づいた生活クラブとしてのさらなる政策提案を行っていきます。
 われわれの実践をアピールしたことで、自民党から共産党までが政策として自給率を上げる飼料米の生産拡大を掲げ、国の政策になっていったという流れは明らかです。この飼料米への取り組みをさらに加速させ、自給力を高めていく運動を広げていくつもりです。
 次は、懸案の『地域再生のための協同組合・非営利セクター育成』に関する提案運動の取り組みに向け、連合理事会での検討を開始します」
 ──新年の抱負。
 「生産への労働参画という視点から、組合員による農作業支援を進めたいと考えています。『夢都里路(ゆとりろ)くらぶ』を活動母体として、遊佐(山形県)と上伊那(長野県)などで始まりましたが、こうした支援を酪農やミカン収穫などにも広げていく考えです。
 農家の高齢化が進んでいますので、産地が持続的に生産を続けられるような関係を粘り強く続けていく上でも、『夢都里路くらぶ』の活動を強化していきます。
 また、来年度は第5次中計の策定年度となります。『レイドロー報告』を一つの問題提起としながら、生活クラブが協同組合としてどのような役割を果たすべきか、どう運動を構築していくべきかなど、会員29単協の総意でつくりあげる中期計画を策定したいと思っています。
 10年先を見すえた持続的な農業や生産、環境の問題、南との連帯など十分な議論を必要とする多くの課題があります。ほかに、グローバリゼーションによる格差や地域疲弊などの問題に対しても、協同組合による助け合いの仕組みを広げていかなければなりません。
 また、連合のあり方についても、『自立と連帯』を基本としながら、何の部分を統一してやるのか、運営はどうするのかといったことも、しっかりと議論していきたいと考えています」