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2009年01月12日:循環経済新聞

リターナブルびん復活目指す

中村秀次氏

”Rドロップス”で実験

 生活クラブ生協連合会など全国の6生協で組織される「びん再使用ネットワーク」は昨年、大学生やNPOとともに、リターナブルびん普及プロジェクトに乗り出した。新しいリターナブルびん「Rドロップス」を開発し、大学生協などでのテスト販売を通じてその普及を進めており、第2号のRドロッフスも計画中だ。同プロジェクトを担当する中村秀次氏に話を聞いた。

きっかけは大学の授業

――リターナブルびん普及プロジェクトに取り組んだ経緯をお聞かせください。
中村 そもそもこのプロジェクトは、ある大学での講義がきっかけになったのです。私が客員講師として環境によい容器、悪い容器について講義をした際に学生に質問をしたところ、どうも学生はリサイクルをしているからPETボトルは環境によいと思っているらしい。
 リターナブルびんがもっとも環境によいと説明すると、なるほどと納得はしてくれますが、学生がびん詰めの飲み物を買って、いざリターナブルに回そうと思っても、身近にないからできない。
 それならば、せめて大学内だけでも、びんを持ち運びして、帰りにデポジットとしてお金を返してもらうという、循環を作ってみようということから始まったのです。大学生に入ってもらってRドロップスの開発を始めて、生協にも協力していただいて、このプロジェクトが発足しました。
 びん再生ネットワークが発足したのは1994年ですが、80年代の後半というと、びんを埋め立てていた時代で、ごみ戦争が始まり大変な時期でした。その頃に生協はびん、缶の自主的な回収を始め、生協の中でリサイクル活動が盛んに行われるようになったのです。
 回収量もどんどん増えていきましたが、徐々にこういったリサイクル活動で本当によいのだろうかという反省が出てきました。つまり、リサイクルではなく、繰り返し使おうではないかという動きが出てきたのです。
 今、リデユース、リユース、リサイクルといった3Rが世の中に浸透してきて、状況が変わってきたのです。
私たちは10年早かったのかもしれませんが(笑)、新たな時代が到来ということで改めて推進したいと思っています。
――この先、リターナブルびんはどうなるだろうかと危機感はあったと思いますが…。
中村 リターナブルびんは数字的にもどんどん減っていますし、製造設備が日本から消えてしまう危機感は今もずっと持っています。
洗びんができるびん商も、京都ではまだたくさん残っていますが、関東でも2社しかないのが実情で、確かにこの先どうなってしまうのかということは常に思っています。
 なかなか現実は難しいと実感していますが、リターナブルびんは単なるブームではなく、これからずっと普及していかなければいけない容器なのだということを、早くわかってもらいたいと思います。この活動が起爆剤になってくれればいいと思っています。
 Rドロップスは現在、テスト販売用に製造していて、声がかかっても、全ての注文にお応えできないのが現状ですが、今後一斉に、市場に出せる仕組みを作っていければいいですね。あるメーカーが100万本注文してくれれば、時代が変わってくるはずなのですが。

Rドロップス2号も計画

――ガラスびんの役割が今と昔でどう変化したと思いますか。
中村 ボトラーにとっては、びんというのはハードルが高く、とっても難しい容器になっていますから、扱いたくないのだと思います。びんを使いたくても、設備投資が膨大になるため、実際に製品化することが困難な状況です。
  われわれとしては、びんの普及を目指してボトラー、飲料メーカーと協力して取り組んでいきたいと考えています。そこで1月からは、全国清涼飲料工業会にもご協力をいただきながら、もう少し設備投資の負荷がかからない、Rドロップスの第2号を製造しようと計画しています。
  従来のRドロップスはラベルがとても小さいので、消費者に分かりやすいようにもっと大きなラベルを貼れるように工夫をしたりという開発に取り組んでいます。また、Rびんの下部を、少しまっすぐにするなど、びん自体の形を変えることも考えています。
  びんを製造するときに、通常は型に入れてガラスを膨らませますが、それだけで数百万円の設備費がかかってしまいます。小さなロットでは元が取れませんから、コストを考えていくと難しいのが現状なのです。そこで複数のボトラーに集っていただいて、ある程度のボリュームを確保したうえで、第2号の容器をスタートしようかと考えています。
――Rドロップスの特徴についてお聞かせください。
中村 リターナブルびんの新しいタイプの容器ができたと思います。製造元の東洋ガラスからは、数種類のオーソドックスな形のびんをつくってもらい、最初は軽くてスタイリッシュなびんで、かつ割れにくく、持ち運びができるということも考えて、スクリューキャップで、軽量化のためのコーティングもしました。
  ですから割れにくく、従来のリターナブルびんとはまったく異なる新しい容器ができたなという感じですね。くびれの形とか、昔ながらの形とか、学生も巻き込んでさまざまなアイデアを出し合った結果、学生の発想で生まれた現在のRびんのこの形が一番人気がありました。
  従来のりターナブルびんを利用していた団塊世代は従釆のオーソドックスなびんの形を薦めましたが、学生たちと討論をしていった結果、今のRドロップスが誕生したのです。
  従来のりターナブルびんを知っている人にとっては、設備投資のことを考えて、昔から製造している形の方が現実的でしたが、学生の視点からは面白くない、つまらないということで現在の形に決定したのです。案の定、ラインがないという問題にぶちあたってしまいましたが(笑)。
――Rドロップスは当初、一昨年秋頃の発売を目指しておられたようですが、近況をお聞かせください。
中村 Rドロップスは話題性が大きいので、飲料メーカーにも興味を持って使っていただければよいと思います。現在は全国飲料工業会の応援もいただけるようになりましたから、今が普及をさせる大事な時期だと思っています。
  私は、りターナブルびんが当たり前のように色々なところで並んでくれば、本当に楽しいと思います。 びんには高級感があります。千葉大学の大学祭(2008年10日30日~11月2日※インタビユーは10月29日に収録)では、学生が主体になってりんごジュースをつめて130円で販売し、30円のデポジットとして返却してもらう実験を行います。びんの形がかわいいので逆にびんを返したくないという人も多いかも知れませんね(笑)。

普及は限られた空間から

――これから、Rドロップスをどう普及させていきますか?
中村 大学やイベント会場、公共施設といった環境に理解を示してくれている、ある程度限られた空間や、地場産業のジュースなど、地域でリユースできるところから、普及していければよいと思っています。リターナブルびんは戻ってこなければいけませんから、いきなり最初から、コンビニエンスストアなどで全国に販売するのではなく、徐々に広げていければと考えています。
――力-ボンフットプリントと飲料容器の関係についてはどう思いますか。
中村 あるメーカーが公表したカーボンフットプリントによると、633mlのリターナフルびんの場合は188グラムで15%が容器由来のCO2ですが、缶にすると161グラムで60%が容器、つまり缶にすると半分以上が容器からのCO2ということになります。このようなことがきちんと消費者に理解されるようになれば、低炭素社会にしていくために、びんを選べばCO2が減らせるのだということが分かってきます。
  どの容器がいいのか、意識の賢さが時代を変えていくことになるのです。低炭素社会にしたいのであれば、まず一般の消費者に理解してもらうことが大切だと思っています。
  今の若い人は、リタ-ナブルびんを知りませんが、Rドロップスを見て、これは新しいエコ商品だととらえてくれますから、環境にやさしい容器として浸透してくれればよいと思います。容器は身近なもので、教育的なインパクトも強いですから、私たちのライフスタイルを変えていく象徴的なものとして、Rドロップスがこれから広がっていければいいと思っています。

アルプスの雫

りんごジュースが好評
Rドロップス入りで販売
千葉大学祭

 千葉大学(千葉県)で昨年10月30日~11月2日の4日間行われた「第46回千葉大学祭」でRドロップス入りりんごジュース378本のテスト販売が行われ、完売した。Rドロップスの名付け親で、今回のテスト販売に現場で携わった同大2年生で環境ISO学生委員会ごみ班班長の菊池翔太さんは次のようにコメントしている。

テスト販売のようす。

 「Rドロップス入りのりんごジュースは大変好評で、3日目の昼には完売しました。回収率は11月7日時点で約89%に達していて、前回の71.4%を大幅に上回っています。期待と不安を感じながらもRドロップスに開発段階から係わることができて、とても勉強になりました」

戸部商事・戸部昇社長に聞く
今は生協の地盤が重要

 東京都内でびん商として明治26年から創業している戸部商事(東京・北)の戸部昇社長に、リターナブルびんが今後普及していくためのポイントについて語ってもらった(以下、戸部社長談)

 りターナフルびんの割合は、1979年から下がってきました。1982年にはびんが厳しい状況になって、このころから、びんの使い捨てが始まって、代わりに缶、紙パック、しょうゆなどのPET容器が普及してきました。
 リユースびんを一般の市場に復活させるには、メーカーの生産設備の変更が必要なため、難しいのが現状です。生協以外に、飲食店の大手チェーンなどが、CO2削減などの観点から先頭に立ってリターナブルびんを導入するようになれば、かなり変わってくるのではないかと思います。
 例えば、飲食店販売の40%はリユースできるびんを使用していくことをお互いに考えていく。本来は大手酒造メーカーなどが、こういう活動を推進していけば広がるはずですが、企業にとっては、リユースされたびんに中身を詰めて、物流の面で採算が取れるかどうかという課題はあります。
 とにかく、いまは生協で行っているリユースの地盤をしっかり固めていくことが重要だと思います。