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2010年01月05日:生協流通新聞

【新春インタビュー】海外産品に「Sマーク」認定

持続的な生産・消費ヘファンド

生活クラブ専務理事<br />福岡良行

 ──関西の“生協連きらり2生協”の加入。
 「生協連きらりの2生協と加入協議を3年間続けてきましたが、1月に加入申請が出てくると思います。
 加入が実現した場合、関西における供給ボリュームは一定の規模になりますので、関西における連合事業の中期的な計画づくりが必要となります。その将来構想のなかで、物流での広域対応と連合会機能の整備などが課題となります。 
 また、関西では味の好みや文化も違いますから、それに適した組合員参加型の消費材づくりもめざします。トータルな視点で産地形成を含めた中期的な事業構想を考えていくつもりです」
 ──基準を改定したSマーク消費材の普及。
 「生活クラブのオリジナル品をSマーク消費材と言いますが、この認定基準を一昨年に改定しました。生活クラブの運動と信頼と品質を体現している代表的な材として94品目を認定し、昨年からキャンペーンをスタートしました。
 今後、生活クラブとしての独自性を強めるためにも、このSマーク消費材を増やし、海外産品や青果物などにも拡大する考えです。
 海外産品については、今年度中に基準をつくる予定です。昨年はコーヒーの産地であるパプアニューギニアなどに出向いて、産地の状況を調査し交流をして来ました。また、青果物は89産地があり、この分野でもSマークブランドを作っていくつもりです。
 現在のSマーク消費材は加工品と主要品目(米・牛乳・鶏卵・鶏肉・豚肉・牛肉)が中心ですが、青果物は今後2年間かけて産地形成を強めながら、農薬の削減や農法の統一化、環境保全型農業などを進め、その結果としてコアとなる産地づくりを進めていきます。さらに青果物のSマーク基準を整備するとともに、地域循環型や耕・畜連携型の複合的な産地形成を推進していきます」
  ──新年度から始まる第5次中期計画(中計)の骨子。
 「基本方針として、6つの柱をテーマに進めていきます。1つは食の自給力を高めて持続可能な生産と消費を実現すること、もう1つは環境を保全し、持続可能な循環型社会づくりを進めることで、そのほか非営利・協同セクターの発展による社会経済の拡大、共済と福祉が連携した運動と事業の推進、自治と連帯の民主的な連合会運営、安定した連合事業の経営基盤づくりが大きな柱となります。
 安定した経営基盤づくりでは、中計期間中に事業構造の強化、再設計をしたいと考えています。単協の事業がより安定していくような事業構造を確立するため、今年中に検討委員会を設けて決定していくつもりです」 
 ──食料の自給力強化への取り組み。 
 「これまで『生産する消費者』運動として加工用トマトの定植や収穫で組合員とその家族を対象とした自主的な労働の参加をしてきました。しかし、第一次産業の衰退は進行し、生活クラブの提携産地でも少なからずその影響が出てきています。 
 今後、さらに生産参画の取り組みを広げ、中・長期的な食料生産の安定的な基盤づくりにチャレンジしていきたいと考えています。具体的には、意志ある農協や農事組合法人などの生産者とともに、自給力向上や環境保全型社会モデルに向けた新たな生産組織づくりなどを検討していきます。 
 また、第一次産業の労働力不足を手助けする『夢都里路くらぶ』の活動では、農林水産業や食品加工業にまで範囲を広げて、都市と農村の人材交流、第一次産業での人材育成と雇用確保に寄与していきたいと思います」 
 ──持続的な生産と消費への仕組みづくり。
 「世界的規模で見ると食料情勢はますます厳しくなっており、長期的にみれば食料が不足していくとも言えますので、今後は、国内の第一次産業に対する労働力支援や新規就労者の確保、関係団体との先駆的な実験による食を自主的にコントロールする領域を拡大することが、いよいよ重要になります。 
 こうした問題意識に立って、組合員や単協の意志による参加という考え方をもとに、持続的な生産・消費のための活動や実験的事業を支援する『ファンド』づくりを検討します。 
 このファンドは、第一次産業に対する労働力支援や生産参画、産地における自給力向上のほか、種の自主コントロールなども大きな核になると思います。さらに、生産設備における水力利用や太陽光発電、バイオマス活用など、環境負荷の少ない再生可能エネルギーの活用に向けた取り組みもめざします。 
 また、林業でも生産者と提携して産地形成を強め、地域循環型の自給力向上をめざします。水産業でも日本型食生活をもう一度見直して、農協や漁協などと地域内での相互連携と協同を強化し、地方の活性化につなげる複合的な提携を推進していきたいと考えています。新たに創設するファンドを使って、そうしたことを進めていく考えです」 
 ──水産品での漁協との提携。 
 「北海道の雄武漁協と農協とともに協議会をつくりましたが、定期的な交流をしながら植林活動も検討していきます。この地域では肉用牛のアンガス種も放牧しており、水産業と畜産業とが連携した地域活性化を進めます。 
 また、六ヶ所再処理工場(青森県)の問題で反対運動に取り組んでいる岩手県・重茂漁協との提携関係も強化していくつもりです。 
 漁協で言えば、北海道、千葉、三重、長崎の道県で協同組合間協同を強め、主産地を形成していきます。 
 日本の漁獲高が減少しているなかで、魚を獲りすぎないように資源管理型漁業を推進し、日本近海で量的に獲れる魚を基本魚種としながら、未利用魚種の活用や規格幅を広げた資源の有効活用にも取り組んでいきたいと考えています」 
 ──社会をリードした飼料用米の展開。
 「飼料用米の取り組みは大きく広がり、生活クラブでは全栽培面積が970ha(6100トン)となりました。 飼料用米に適した品種の開発は確かに遅れており、それぞれの地域によって違いますので、国の責任で後押ししていく必要があります。どういう品種が良いのかについては、自ら実験を進めるなかで検証を強めていきたいと考えています。 
 あとは、食用米と区分して管理や保管を行う乾燥施設の整備など社会システムを求めて、国に積極的な働きかけを行っていきます」