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2010年01月10日:コープニュース

インタビュー・事業連合トップに聞く─生活クラブ連合会会長 加藤好一

既存の取り組みを一つ一つ形に─生産者のメッセージを強く伝える

──09年事業の進捗状況は。
 「09年度の第3四半期までの供給高は、前年比98~97%で推移し、計画比も割れています。08年の事業実績が久しぶりによかったこともあり、厳しくなることの予測はありました。ただ、全体としては、この厳しい状況下にあって、健闘しているのかなと見ています。
 08年は冷凍ギョーザ事件など、食品事故が相次いだことで、私たちの姿勢が評価され、組合員数も供給高も増えましたが、今期はそのいずれも伸びが止まり、特に供給高は前年割れです。07年対比ではまあまあなのですが。
  一般にはデフレ・スパイラルが懸念されるような低価格志向が強まっていますが、生活クラブではそんなことはできないので、やはり利用高に影響がでることは避けられません。
  そんな状況の中で、利用を維持するには、うまい手は一つもありません。こつこつと地道に、生産現場のメッセージを組合員に強く伝え、そこに理解を広げながら、消費につなげていくだけです。一つでも注文数を増やす努力をすることが、組合員の務めであることを、アピールすることが重要だと思っています」

──自給率向上の取り組みについて
「これまでと同様に、大変なことですが、『自給』『循環』の取り組みをさらに強化します。それこそが生活クラブの役割だと思っています。
この間、飼料用米に力を入れてきましたが、これはコストとの闘いになります。どんなに国際的な穀物価格が高騰しても、まだアメリカのトウモロコシの方が安い。だから、飼料用米の意義を組合員が理解してくれなければ、これは続けられません。
ただこのところ、この取り組みが一般化しつつあります。他生協にも広がりつつありますし、民主党政権になって、この飼料用米が農業政策の根幹を成すようにもなってきています。がんばってやってきただけの成果が出つつあります。
この流れをもっと確固たるものにしていかなくてはなりません。まだまだ飼料用米の一般化には、課題は多く、現政権における農政にも課題は山積しています。そういう意味では自給への挑戦はまだ緒についたばかりであり、これからが本番です」

──安全・安心の取り組みは。
「特に新しいことを考えるよりも、今後はこれまでやってきたことを一つ一つ、きちんとモノにしていかなくてはなりません。安全・安心は「調達」ではなく、生産者とともに『作る』ことです。しかし、ただ戦線を拡大すればいいわけではなく、到達点と課題を検証しながら、確実な成果に結びつけていかなければなりません。 提携生産者を増やす予定はありません。増やすよりも、できるだけ集約化し、複合的な提携関係を築いていくことが重要だと思います。これは農畜産物のみならず、非食品を含めて共同購入する全品目に言えることだと思います。
いま重要な課題は、飼料自給率の向上と、加工原料の国産化の追求です。たとえば飼料用米はいま言ったとおりですが、国産のナタネや加工用トマト、麦やソバ、馬鈴薯でんぷんなど、まだまだなんとかしていく必要があるものが多く、それを持続可能な国産原料として、今後も追求していきます」

──独自の共済連を設立したことについて。
「生活クラブらしさを出して、これを充実させていくことが重要な課題であると考えています。
パルシステムさんとグリーンコープさんも、独自の共済事業連を立ち上げますが、その中でも私たちの共済の事業規模は一番小さい。事業として成り立つロットとして保有件数10万件をめざしてきましたが、まだそれに届いていません。
まずは事業・経営が安定する基盤づくりが、言うまでもなく最大の課題です。そのうえで、独自の共済事業と運動をどのように進めていくか、そのプランと枠組みについて、考えていきたいと思います」

──行政への政策提案運動は。
「この間は、先に述べた飼料用米の一般化を中核にした食料・農業政策を中心に、政策提案に取り組んできました。今後はさらに、原料原産地表示や遺伝子組み換え表示などの、食品表示制度の充実を求めていきます。
さらに、今年は『レイドロー報告』が公になって30周年という記念すべき年にもあたります。ですから、協同組合セクターに、より元気が出るような、そういう政策提案にも取り組んでいきたいと思います。
これに並行して、協同組合がこの30年、世の中でどのように役に立ってきたか自問自答し、改めて協同組合の社会的役割を整理して、国民に広く認知されるようになるべきだと考えています」

──その他、2010年の展望など。
「今年の総会で、次の中期5ヵ年計画を決定します。
したがって今年はその初年度で、節目の年になります。厳しい、大変だと弱気になっていては、次代の生活クラブをつくれません。
自分たちが何者であるべきか、これをしっかりと考えて、行勤していかなければと思います。とにかく31万6000人の生活クラブ組合員が、元気と自信がもてる事業と運動にしていきたいですね。
現在、組合員の3分の1以上が60歳以上になってきた現状があります。これまで組合活動を主体的に引っ張ってきた団塊の世代も、2015年には65歳を超えます。生協の組織構造の方が世の中よりも高齢化率の進行が速いわけです。
そういう事態をふまえた、事業と運動のあり方を真剣に考える必要があります。
これまでの基本路線を堅持しつつ、変化にも対応できなければなりません。そういう長期のビジョンづくりが、いま重要な課題になっています」