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2010年11月29日:日本農業新聞

産直提携 生産支え─飼料米プロジェクト着々─山形・JA庄内みどり

 山形県JA庄内みどり管内の産直提携を柱とする全国最大規模の「飼料用米プロジェクト」が着実に進んでいる。作る人(生産農家)、使う人((株)平田牧場)、食べる人(生活クラブ生協連合会)の輪が水田農業を活性化した。飼料米を給餌した「こめ育ち豚」はブランド豚として全国販売され、脂肪があっさりして甘味がある、と人気を呼ぶ。(竹村晃)

「こめ育ち豚」全国販売

今年の成果を話し合う飼料米生産者<br />(山形県遊佐町のJA庄内みどり遊佐中央カントリーエレベーターで)

 庄内地方の最北部、遊佐町と生活クラブ生協(東京)との産地提携米の生消交流は30年以上に及ぶ。
 「飼料用米プロジェクト」は2004年、遊佐町でスタートした。遊佐町、JA庄内みどり、平田牧場、生活クラブ生協、JA全農山形などが構成メンバーだ。
  飼料米は酒田市の養豚会社・平田牧場が全量買い上げ、同社の「平牧三元豚」「平牧金華豚」に給餌し、生協会員に供給するシステムだ。生活クラブ生協の守屋馨畜産課長は「消費者の理解を得ながら水田機能を維持し、自給力を高める交流活動で産地を支えたい」と強調する。
  JA庄内みどりによると、今年の飼料米生産は883戸で506ヘクタール、2960トンを見込んでいる (佐藤誠一営農企画課長)。08年からは酒田市の 生産者も加わり、今年から水田利活用自給力向上事業の対象となったこともあり、前年に比べ60ヘクタール増えた。「長年、消費者と一体となったわれわれの 取り組みがモデルとなり、飼料米政策で国を動かした」と、遊佐町共同開発米部会の生産者らは自信を深める。
  栽培品種は「ふくひびき」。飼料米の作付けは、転作大豆の連作障害回避対策になる。今年、5ヘクタールの飼料米をすべて直まき栽培したJA理事の三浦澄雄 さん(61)は「直まきは作業の分散にもなり、大豆後作の圃場(ほじょう)は豊かで収量もいい」と、地域輪作体系の確立に期待を寄せる。  

全量買い上げ 1頭30キロ給餌

 収穫した飼料米は、全量がJAの共同乾燥調製施設に集荷し、平田牧場が輸入トウモロコシ価格よりも高いトン3万600円で全量買い上げる。
  平田牧場は年間約17万頭の豚を出荷するが、全頭がブランドの「こめ育ち豚」だ。粉砕した玄米を、トウモロコシの代替飼料として給餌する。今年の9月から飼料米を、豚1頭につき、従来の19キロ(肥育後期)から11キロ (肥育前期)増やし、計30キロを給餌している。これは配合比率で15%に相当する。
  同社の新田嘉七社長は 「今後は50キロ、25%給餌を目指す。消費者との交流を通して、飼料に米を使うことの意義を説明し、食料自給率向上に貢献したい」と熱く語る。
  飼料米を3ヘクタール栽培する共同開発米部会長の川俣義昭さん(53)は国に対し、「寒冷地に向いた多収品種の育成と、生産者への助成措置も、面積払いで なく収量に対して行ってほしい」と要望する。同部会の小野寺一博総務副部長は「今後も飼料米の生産を通して耕畜連携、循環型農業を地域でさらに広げていき たい」と話す。

多収品種普及 低コスト化を

直まき栽培した飼料米のモデル圃場<br />(8月、遊佐町共同開発米部会提供)

 飼料米の定着に向けた今後の課題は少なくない。飼料米に詳しい東京農業大学農学部畜産学科の信岡誠治准教授は「飼料米を本格的に振興するには食用米とは 全く異なる、多収栽培技術、価格体系への転換をどう図るか、関係者の意識改革が必要だ。それには10アール1000キロ(もみ重)以上の超多収専用品種の 普及、堆肥(たいひ)投入による水田と畜産の結合、直まき栽培の導入、もみ米流通・給餌の推進などで、食用米の6分の1以下の低コスト生産を目指したい」と説く。

【メモ】 農水省が10月末に公表したた戸別所得補償モデル対策の加入申請状況によると、今年産の飼料用米の加入申請面積は1万4914ヘクタールに上り、昨年(4123ヘクタール)より大幅に増えた。1000ヘクタール以上の作付けは、宮城、栃木、山形の3県。