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2011年01月05日:生協流通新聞

【新春インタビュー】関西独自の消費材開発

連合企画で基礎調味料など

生活クラブ専務理事<br />福岡良行

 ──昨年を振り返って。
 「デフレ経済の中で低価格商品が氾濫するという大きな流れに抗しきれていない側面があり、供給高の伸び悩みが起きていると捉えています。全般的に利用が低下しており、共同購入の運動性というものが問われています。
 事業の数値で言いますと、供給高は前年比95%程度で推移しています。経営的には厳しい状況ですが、連合会は赤字予算を組んでおり、最終的に繰り越し剰余を入れてトントンという状態にもっていきたいと考えています」

 ──関西圏への対応。
「昨年1年間プロジェクトを組んで、お米や牛乳、牛肉、鶏卵など主要品目をどう取り組むかという政策を討議し、12月の理事会で関西圏における主要品目、産地政策として提案しました。
今年は、物流や電算システムなど事業インフラをどうするかという第2次プロジェクトをスタートし、ゆっくりと丁寧に議論しながら関西圏での将来的な事業基 盤を整えていきたいと考えています。関西圏の物流システムは、共に加入した4生協と昨年加入した旧生協連きらりの2生協とがそれぞれ独自のシステムで運営 し、現在はバラバラな態勢で併存している状態です。
基礎調味料など関西圏に合った消費材開発については、2011年度の秋をめどに関西エリアの単協参加の下で取り組みます。
全体で関西風の消費材として取り組むこともありますが、合わせて総菜や加工食品の分野で対応の消費材が必要かどうかを検討し、それらの開発については組合員代表による調整会議をつくり、組合員参加で実現していくことも考えています」

 ──基礎品目での取り組み。
「水産品で取り組みが大きく進んだのは、魚種を限定せずに浜であがったものを消費する『長崎パック』です。野母崎漁協など、産地と連携して漁価対策と同時に、いわゆる未利用魚を活用する取り組みとして今後も力を入れて取り組んでいきます。
また、シーフードミックスにイカの下足を入れたり、市場流通で評価が低い鮭のハラスの活用など、生産現場をしっかりと見て生産者と話し合いながら、国内で 自給できるタンパク源としての水産品の価値や日本型食生活を見直し、漁協との協同組合間提携で取り組みを強めていきたいと考えています。
牛乳については第7次牛乳政策プロジェクトを立ち上げ、中間まとめを出しました。より幅を広げた乳製品の開発や飲み方の拡大、3つある牛乳工場の機能再編 などいくつかの重要な基本方針が出され、今年度からその方針に沿った取り組みを一部でスタートしながら食料としての“牛乳”の復権を図っていきたいと考え ています。また、若い世代など幅広い層で利用に参加できるよう、牛乳のアイテム多様化・容量などの見直しも柔軟に考えていきたいと思っています」

 ──畜産などで進める“種の国産化”。
「豚肉では、平田牧場と提携して三元豚を取り組んでいますが、新たな系統交配の調査を始めました。また、北海道で放牧用の飼料作物を活用したブラウンスイ ス種(乳肉兼用種)の開発、純国産鶏『岡崎おうはん』による卵肉兼用種の飼養実験などにも取り組んでいます。国産鶏種『はりま』、同じく『さくら』『もみ じ』を含め、これからも食べることを通じ、畜産では“種”までを自己管理していくことを追求していきます」

 ──NON-GMトウモロコシでの新たな展開。
「昨年の大きな動きとして、アメリカの種子メーカーと全農とでNON-GMトウモロコシの種子の開発で基本合意しました。
日本の消費者・農協、アメリカの集荷会社と種子会社、アメリカの農家という一貫したラインを確保し、NON-GMトウモロコシの飼料についても、分別管理 しながら種から消費するまで連携した取り組みができるように検討中です。NON-GMO路線を堅持しながら、素性の確かな畜産物を生産者とともにつくって いきます」 
──海外産品でのSマーク消費材づくり。
「今年度中に海外産品のSマーク認定基準を決めたいと考えています。これまで、国内産地と同様に海外産地の点検も行い、まず現状を把握し、点検体制を強化 するということを進めてきました。これをベースに海外産品の自主基準をつくる方向で、その案をまとめつつあります。
例えば、コーヒー産地のバプアニューギニアの生産者が来日して組合員の家に宿泊し、単協の活動を見学したりするなど交流を深めていますが、きちんと海外に おける提携生産者という位置づけで基準を設け、海外産品のSマーク化を時間をかけて丁寧に整えていきたいと考えています」

◆協同組合基本法などトータルに政策提案

 ──国際協同組合年に向けた取り組み。
 「昨年、国内で実行委員会ができましたので、基本的にはそこを中心に進めていきますが、独自に非営利・協同セクターの拡充という観点から、2012年の 『国際協同組合年』と絡めて他団体と協力しながら社会にアピールする活動なども強めていきたいと思います。国連が提起している協同組合による社会開発とい う視点での取り組みを考えています。
 昨年10月、内閣府の下に『新しい公共』推進会議ができましたが、当連合会の加藤会長もメンバーとして加わりました。協同組合の持っている社会的な意味合いや公共の担い手としての役割などを積極的にアピールしていきたいと考えています。
 現在、日本には理念法としての協同組合基本法はありません。農協法、漁協法、生協法とすべてが縦割りです。今後の高齢化社会を迎えるなかで、生協が非営 利セクターの一員として人と人のつながりを大事にしながら地域コミュニティを活性化し、再生させることが重要性を増すなか、やはり生協法も協同組合基本法 を念頭に入れたかたちで考えられるべきではないかと思います。
 そうしたことを、国際協同組合年や『新しい公共』の問題などを絡めながら、トータルに政策提案していきたいと考えています」