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2011年01月10日:コープニュース

インタビュー・事業連合トップに聞く─生活クラブ連合会会長 加藤好一

月額利用額低下で基盤動揺の事態も─野菜と水産物の取り組みを強化

生活クラブ連合会会長<br />加藤好一

 ──10年度事業の進捗状況は。
[加藤] 今年度は中期5ヵ年計画の初年度に当たりますが、より厳しさを実感する結果となっています。私が生活クラブで仕事を始めて30年間たちますが、こんなに苦しんだ年はなかったほどです。
  昨年09年度の実績として、生活クラブグループ全体の組合員数で35万人、供給高は、組合員一人当たり月額で平均2万4千円台から、2万3千円台にまで落ち込みました。
  我々生活クラブの中心は首都圏で、たとえば東京でいえば2万6千円~2万7千円ですが、北海道から関西までのグループの平均となるとこのような数字になります。今年度はまだ数字が出ませんが、このままでいくと昨年度より落ち込みは大きいと予測できます。
  あくまでも単純計算ですが、5年後には2万円を切る可能性もある、といわざるを得ない状況です。もし仮にそういった状況になれば、共同購入の基盤が揺らぐ事態になりかねません。
  主要品目である牛乳、米、精肉(鶏肉、豚肉、牛肉)、青果物の供給高を地道に底上げしていくことが大切であると考えています。供給高シェアを意識して主要品目に注力していきます。  

 ──具体的な品目としては。
[加藤] 私が意識しているのは3年前にコープネツトさんが実施した利用動向調査で、週3千円を5千円に引き上げるキーワードは野菜でした。
  3千円というのは主にすぐ食べられるもの。昨年の生協連の組合員意識調査でも、生協に求める第一位の商品は冷凍食品、第2位に菓子類でした。
  どちらも袋を開けたらすぐに食べられる商品です。それが3千円の中心商品でそこにプラスして数字を底上げをするのは野菜です。
  野菜についてはこれまでの取り組みと同様に、生産者とともに作ることが肝心で、提携生産者とともにできるだけ集約化していきます。

 ──今後注カしたい商品政策は。
[加藤] まず第一に野菜と水産物を意識的に拡充していきます。組合員の高齢化(3人に1人60歳以上)もふまえて、加工食品も含めた野菜と水産物に力を入れていきます。
  組合員の高齢化に合わせて、商品の容量を少量化するといった改革も必要なのかもしれません。 今までの経験からすると、過去に容量を大から少に変えて成功したことがないのですが、それも含めて慎重に対処して、過去にこだわらず、改革を考える時期だと認識しています。
  生活クラブらしい共同購入を意識するとやはり野菜、水産物が重要です。また、ここ10年で最も落ち幅が著しい牛乳、乳製品をなんとか強化していかなければいけないと考えています。
  これは政策というより大きな課題です。我々のグループには牛乳加工工場が3ヵ所あり、牛乳とその加工品の需要を伸ばさなければ経営的にも厳しい状況です。来年度はまさに正念場となるでしょう。

 ──媒体戦略などの新たな取り組みは。
[加藤] これは来年度に持ち越す課題として、インターネット受注などのシステムを改良していかなければ、と思っています。
  すぐに取り組めれぱよいのですが、この事業計画にも予算の都合があり、なかなか思い通りにいかないのですが、現状のシステムは組合員の評判がすこぶるよろしくないので、タイミングを見て改良します。
  また、IT化をすすめることで、組合員拡大につながる可能性もあるわけですから、時代の流れとともに新しい試みは積極的に取り組むべきだと考えています。
  同時に、広報と媒体戦略も生活クラブグループが関西まで広がったこの時期に、統一したロゴでイメージ戦略に取り組み、広報・宣伝につなげて新たな組合員の増大につなげることなども、今まさに議論しているところです。

 ──自給率向上の取り組みについて。
[加藤] 生活クラブとしての基本方針はこれまでどおりです。いままで『自給』『循環』の取り組みを行なってきて組合員の理解を深めてきました。それをさらにすすめています。
  一例をあげると、豚の飼料用米ですが、これまでは200日間の肥育期間中121日目から10%の飼料用米を与えていたのを前倒しで70目を過ぎたら飼料用米を与えるようにしました。
  これによって一頭あたりの豚は出荷までに30キロの米を食べることになります。
  人間の米の消費量が年々落ち込むなか、この取り組みで自給率が上がります。
  人間が年間食べる米の量が約一俵(約60キロ)だとすると、我々生活クラブのグループが年間に消費している8万頭の豚は、人間の半分の量の米を消費していることになります。もちろんコストの問題はありますが、今後も手堅く推進していきます。

 ──来年度の展望について。
[加藤] 今までやってきた生活クラブの事業全般にわたって手を抜かず進めながら、課題として先に述べたイメージ戦略を核に、より一層の仲間作りと事業の構造改革を進めることです。これは来年度から12年度にかけて段階的に取り組んでいきます。
  また、12年に国連が決めた国際協同組合年をふまえて、国内だけではなく、世界の協同組合の連携と新しい次世代の協同組合のあり方について実行できることを進めていきます。
  社会貢献とクロスさせながら助け合いの世界を広げる、新しい公共を具現化できる生活協同組合を目指し、私も国際協同組合年の全国実行委員会の一員としての役割を遂行する考えです。
  今の社会情勢を考えると協同組合の存在意義は一段と大きくなっています。
  課題は多いなか、より一層の生協の発展に寄与していきます。