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2011年10月23日:朝日新聞社
電力自給「地産都消」で 4生協など秋田に風車
再生可能エネルギー導入の機運が高まる中、都市部の団体や企業が地方に風車を造り、自前で電気を生産する「地産都消」の動きが広がりつつある。ただ、電力会社は風力で発電した電気の送電線への受け入れを制限し、壁になっている。
都市部少ない適地
秋田県南部のにかほ市。鳥海山を見上げる日本海沿岸の高台で、2基の風車の建設が間もなく始まる。
首都圏4都県の生活クラブ生協(会員数約20万人)と居酒屋チェーンのワタミ(本社・東京)がそれぞれ出資したもので、来年2月には完成予定だ。ともに高さ80メートルで出力2千キロワット。総事業費は6億円で半分が国の補助。年間460万キロワット時程度の発電を見込み、4生協は事業所などの消費電力の3分の1を、ワタミの場合は有料老人ホームの電力をはじめグループ全体の3%を賄う計画だ。
10月初めに同市で開かれたシンポジウムには、地元の市民と4都県の生協の役員らが参加した。
生活クラブ生協・神奈川の鈴木伸予副理事長は「おコメの産地からの共同購入と同じ発想で、電力でもご協力をお願いしたい。将来はエネルギーの自給を目指したい」。4生協は温暖化防止対策を進めてきたが、再生可能エネルギーの取り組みに乗り出すべきだとの意見が増え、東日本大震災後の6月の総代会で風車建設を決めた。
同席した東京都環境局の自然エネルギー推進担当者は「首都圈には風力発電の適地は少ない。地方で生産した電力を都市で消費する 『地産都消』の考え方で、地域間の連携を拡大できないか」と話した。
これに対し、地元からは 「騒音や周波数被害は大丈夫か。福島の原発のように都会に電気を送る地方に公害を持ち込むことにならないか」と疑問が出された。風車の建設・運営を請け負う会社「市民風力発電」(札幌市)の担当者は「十分に影響を調査して立地を決めた」と回答した。
にかほ市の環境NPO法人理事の工藤兼勝さんは「原発に代わるエネルギーを自分たちで考えなければならない。風力発電推進に参画したい」と話した。
ワタミも将来は、グループが使うすべての電力を自然エネル午ーで賄うことを目指す。 (菅沼栄一郎)
電力会社「風の強弱で変動」─受け入れ制限 送電が壁
「市民風力発電」には生協などに続き、市民や大手企業から風車建設への投資の申し入れが相次いでいる。しかし、その後の計画は具体化していない。
風の強弱で変動する電気が送電網に大量に入ると安定した送電に支障が出るとして、電力会社は風力発電の受け入れを一定量までに制限してきた。このため、北海道や東北地方の風力発電事業者は、抽選に当たらなければ電力会社が所有する送電線を使うことができなかった。にかほ市に建設される2基の風車も過去の抽選に当たった枠で、かろうじて東北電力の送電線を使うことができる。
自然エネルギーの全量買い取りを電力会社に義務付けた再生エネルギー特別措置法は来年7月に施行されるが、「電力の円滑な供給に支障が生ずる恐れがあるとき」は、送電線への接続を拒否できるとの例外規定がある。
東京、東北、北海道の電力3社は9月末、共同で実証実験をするとして、新たな風力発電の受け入れの募集を発表したが、北海道は20万キロワット、東北は40万キロワットの枠がはめられた。市民風力発電の鈴木亨社長は「3社間で電力を融通し合えば、不安定とされる風力発電を補うことができ、より大規模な風力発電の受け入れは可能なはずだ」と批判する。
風力発電が盛んなスペインでは、送電会社が運営する制御センターが天候を予測し、電力の安定供給システムを築いている。鈴木社長は「風力発電の受け入れに、どれだけ支障があるのか。電力会社がデータを公開して、第三者が検証をする必要がある」と話す。


