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2011年07月20日:生協流通新聞

「被災地支援」事業連合に聞く ─生活クラブ

共通仕様商品で復興支援を─GCと被災者支援の共同事業

渡部孝之常務理事

 ─被災地支援の取り組みと今後の対応。
 「生活クラブでは今回の震災の被災により、取引がゼロになったメーカー・産地が3つあります。生ワカメや昆布などの重茂漁協(岩手県宮古市)、練りものなどを製造する高橋徳治商店(宮城県石巻市)、生カキの殼をむいてリパックする丸壽阿部商店(同県南三陸町)の3社・団体です。
 南三陸の丸壽阿部商店はカキのみの取引でしたので、地元の養殖カキの生産が始まらない限りは、復興支援の取り組みも少し無理だろうということで、高橋徳治商店と重茂漁協を中心に支援しています。
 重茂漁協には被災を免れた冷凍庫に昨年度のワカメと焼きウニが残っていました。ワカメは約12万袋くらいありますが、それを共同購入で50円の支援金付きで供給し、利用することで支援する取りみを始めます。漁協の大半の人々は瓦礫の撤去などに回っていることから袋詰めの作業をする人が足りず、その支援ということで、会員単協が1週間単位で袋詰め作業を応援しています。
 焼きウニは、これまで正月用品くらいしか取り組んできませんでしたが、これも在庫が数万くらいありますので支援金付きで取り組みます。

高橋徳治商店、東松島に新工場

 高橋徳治商店については、工場内の泥出しが片づき、電気も水道も通い始めました。その工場内に仮設の工場をつくり、復興に向けて数アイテムの製造から始めようとしています。
 組合員から寄せられたカンパ金を、新工場を建設するための操業再開資金として5000万円くらい提供することを考えています。東松島町に2000坪ほどの土地を購入し、建物なども含めると費用は総額20億円近くになりますが、それが完成するまで仮設工場で製造した数アイテムの取り組みで支援していく考えです。同社は生協関係に多くの取引先がありますので、その数アイテムについては、生活クラブと他の生協などと連名で、原材料から仕上げまで同じスペックで取り組めないかを他の取引先にも呼びかけていこうと考えています」

 ─『全国ネットワーク・グリーンコープ・生活クラブ東日本大震災被災者支援共同事業体』(以下、被災者支援共同事業体)への参加。
 「グリーンコープからの呼びかけに応えるかたちで参加を決めました。グリーンコープ共同体にホームレス支援全国ネットワークがあり、仙台駅周辺での夜回り活動など震災後の被災者支援を続けています。なかには、就職斡旋の資格を持つ人もいますので、震災で職をなくした人たちに対し、ボランティアグループに入れることで賃金を払い、支援をするなかで収入を生み出そうというような活動をしています。
 その活動に対し、心のケア的な一定の専門知識が必要なものもありますので被災者(支援者)を研修する施設をつくる考えです。
 被災者支援共同事業体は仙台市に緊急支援物資用の倉庫を借りていますが、生産者の加美よつば農協(宮城県加美郡)が広域合併で遊休施設がいくつかあるため、そこに今は必要としない冬物の洋服や毛布などの物資を移し、空いたスペースに研修センターをつくって支援する人を養成することも考えています。
 被災者支援共同事業体には生活クラブとグリーンコープ以外にボランティアやNPO団体など10前後の支援グループがあり、それぞれの分野で支援活動を行っていますが、被災した生産者同士を結び付けるなどソーシャルビジネスとして共同購入の枠のなかで何かできないかも含めた幅広い支援の方法について協議を進めています。
 グリーンコープとNPO法人・ホームレス支援全国ネツトワーク、生活クラブの3者が連携し、3年間で約1億7000万円くらいの予算を持ちあいながら計画を進めていきます」

放射能の全品検査ヘ

 ─放射能による風評被害への対応。
 「独自に放射能測定器を2台購入して、8月末くらいに戸田農産センターと飯能DCに1台ずつ設置し、放射能の全品検査をめざします。
 検査時間は1品目で5分かかりますが、5分では100ベクレルが限界値になります。ただ、2時間検査をすれば詳しいデータが出ますので、5分検査で一定以下のものは問題なしと判断し、その下でいくつの数値が出たら2時間検査をするのかということについて専門家の人も含めて協議しているところです。現在は『放射能汚染食品測定室』に依頼していますが、1日8検体しか測定できません。
 いずれにしても、組合員にきちんと情報を開示していくことが基本です。組合員が風評としてとらえるか、きちんと分って食べるかという判断をして購入してもらうため、供給する前にすべてを調べる、もしくは検査が遅れて供給してしまった場合は電話連絡して破棄してもらう。配送センターにある時点でしたら、センターで配達前にすべて取り除くということで対応します」

 ─今回の大震災の教訓と対応強化。
 「やはり教訓としてあるのは、これまで野菜などは首都圏の単協でそれぞれが地場野菜などを中心に取り扱ってきましたので、どうしても関東から以北のほうに産地が広がっています。そういう意味では、これを機に西日本(現行でも九州や島根に産地はある)で産地を開拓することも安定供給という意味で検討しなければならないと考えています。
 今回の震災ではグリーンコープがいち早く生活クラブに声をかけてくれましたので、様々な緊急物資が集まりました。それを被災他のどこに運ぶかということについて、この間、グリーンコープとの関係を築いてきた経緯もありますので、常にそうしたネットワーク的なものはつくっておくことで被災者への素早い対応ができると思います。
 あと、生活クラブとしての対応強化では飲料水の取り組みがあります。これまで震災用品とか非常用に少し取り組んできましたが、ある程度の量を確保できる産地ではありませんでした。特に放射能の問題を考えたとき、今後は飲料水についての取り組みも考えなければならないと感じています。
 現在、リスク分散の観点から東日本と西日本と中央の3産地を候補にあげて検討しています」