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2011年09月23日:朝日新聞

尽きぬ放射能不安 食材宅配続く模索

 「食の安心安全」を旗印に一般より厳しい基準で食品を供給してきた生協や食材宅配会社が、放射能汚染への対応に苦慮している。自主検査の強化を図ったり、基準を再考したり。消費者の買い方にも変化が見られる。

国より厳しい自主基準へ

■組合員の要望に応え

 九州、中国、関西など西日本にある14の生協でつくる「グリーンコープ共同体」 (本部・福岡市)には、首都圏の消費者から「食材を届けてほしい」という問い合わせが相次ぐ。国の暫定基準値は1キロあたり肉や野菜類などで500ベクレルだが、同コープは、チェルノブイリ原発事故の時に設けた「1キロあたり放射性セシウム10ベクレル」という自主基準を福島第一原発の事故後も変えていない。
 だが、事業区域の外になるため、東日本に商品を送ることはできない。担当者は「放射線の基準が違うので、他の生協を紹介するのも難しい」と話す。
 自主検査態勢の強化も目立つ。北海道から兵庫県まで33生協でつくる「生活クラブ連合会」(本部・東京都)は、9月に放射線量測定器を2台導入し、取り扱う食品全品目の検査を姶めた。1週間に約600品目の放射線量を測定しホームページなどで公表している。
 大震災前までは、1キロあたり放射性セシウム37ベクレルを自主基準にしてきた。しかし原発事故後は「非常事態」として、国の暫定基準値で対応している。組合員からは「国より厳しい自主基準で管理して」という要望がある。石井明・事業部副部長は「全品目を検査して情報を蓄積すると同時に、チェルノブイリ事故の後に周辺国が基準をどのように変えていったのかという事例も参考に検討する」と話す。
 首都圏を中心に組合員が130万人いる「パルシステム連合会」(本部・東京都)にも、組合員から「乳幼児が口にする分だけでも検査を」などの声が寄せられる。国の暫定基準よりも厳しい自主基準を設けようと検討中だ。自主検査は外部に委託してきたが、年末か年明けには独自検査に切り替えるという。

「応援セット」求める声も

■分かれる購買傾向

 食材宅配企業「らでぃっしゅぼーや」(東京都)は9月、国の暫定基準値の10分の1を自主基準とした。青果物は50ベクレル、牛乳は20ベクレル。自主基準以上、暫定基準以下の農産物は生産者から買い取るが、販売しない。「会員から自主基準を定めてほしいという要望が多かった」と説明する。
 木船信義・マーケティング課長は「お客様の購買パターンが二つに分かれた」と言う。一つが東北・関東以外の産地の品を求める傾向で、20代から40代半ばの子育て世代が中心。7月に北海道、甲信越、西日本に産地を限った野菜セットを3千セット限定で販売開始したところ、初回で5千セットの注文があった。
 また復興支援を意識して東日本の野菜を買う動きもある。同社は福島県など9県産の野菜を「北関東・東北応援セット」として販売。こちらの購入者は50代以上が主だ。
 「大地を守る会」(千葉市)のウェブストアでは、今月から自主検査で不検出たった青果物、コメ、肉、卵、魚などを集めたコーナーを作った。不検出でかつ北海道・西日本などに産地を限った青果物のセットも販売。ウェブストアの新規利用者は震災以降毎月、昨年対比400%前後を推移している。
 福島県、茨城県、群馬県産の青果物を中心にした「福島・北関東の農家がんばろうセット」も4月から販売している。百瀬武彦・経営政策チーム長は「検査結果などの情報を正確に公開しつつ、消費者の選択に応えられるように様々な商品を用意していく」と話している。
(見市紀世子、編集委員・大村美香)

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