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日本のなたね畑を守り、なたね油を使い続けよう!北の美しい産地で消費者と生産者が決意!「生活クラブ国産なたね協議会」がスタート!

いちめんのなのはな いちめんのなのはな

なたね畑

・・・と詩に謳われた懐かしい日本の農村風景が今も残る町があります。
希少な国産なたね産地となった青森県横浜町で、5月29日、生活クラブなたね協議会を立ち上げました。協議会に集ったのは、「国産ブレンドなたね油」に取り組む生活クラブ、生産者であるJA横浜町とJAたきかわ町(北海道)、米澤製油、全農の各関係者です。満開の菜の花畑を訪れて町のなたね栽培事情を聞いた後、風力発電施設と菜の花畑が見える公民館で設立集会を行いました。

協議会の様子

現在、全国のなたね栽培面積は約800ヘクタールのみ、国産自給率は0.05%と、自給率の低い国産農産物のうちでも消滅寸前の作物です。この国産なたね栽培を何とか支えているのが国の産地助成金ですが、今年3月終了予定だったものを生活クラブの申し入れにより、かろうじて3年間延長となりました。しかし、2009年産からは完全になくなるため、今後3年間が国産なたね栽培・消費ともに生き残れるかどうかの分岐点となります。

生活クラブ国産なたね協議会は、このような状況に対して、種子選びから私たちの口に入るまでにできるあらゆる可能性を話し合い実践していきます。家庭の基礎食品としての信頼性・安全性のメリット、景観作物・輪作作物としての栽培上のメリット、バイオマス資源としての将来性といった面からも、国産なたねの可能性を引き出していきたいと考えています。

これまでの生活クラブの国産なたね取り組み

  1. 北海道JAたきかわ(滝川市)および青森県JA横浜町と提携し、食用に搾油するなたねの契約栽培により、家庭用のなたね油「国産ブレンドなたね油」に取り組んでいます。
  2. 生活クラブの「国産ブレンドなたね油」は、26万人の生協組合員の基礎的な家庭調味料食品と位置づけています。
  3. 取り扱っている国産なたね種は、国内で開発された無エルシン酸キザキノナタネ(注1)です。1990年にこの種が開発されたことから、国内自給率向上のため、それまでの100%輸入なたね原料から国産ブレンドなたね油への取り組みを始めました。
  4. 2001年度に始まった国の「なたね契約栽培推進対策事業」(注2)による生産確保対策を生かし、輸入なたねに国産なたねを10%ブレンドすることで、高価格を回避しつつ計画的な消費および契約栽培を図ってきました。生産量が増大してきたため「国産なたね油100%」の製品も開発し一般販売も開始しました。
  5. 現在、「国産ブレンドなたね油」に使用している輸入なたねは、遺伝子組み換えをしていない数少ない生産地である西オーストラリア産なたねを使用しています
  6. 生活クラブの「国産ブレンドなたね油」(1650g角缶・793円、800g丸缶・488円)の製品価格は、現在、生産者価格60kgあたり1万3000円をベースとしていますが、そのうちの約7000円が「なたね契約栽培推進対策事業費」より補填されることで成り立ってきました。今年産からは3年間限定の助成事業を活用します

生活クラブなたね協議会設立の経過

  1. 国産なたねに対する国の助成事業「なたね契約栽培推進対策事業」が2005年度分をもって終了したことから、生活クラブでは、国産なたね生産衰退の懸念、また、13年間にわたり国産なたねを食べ支えてきた成果を踏まえ、2005年8月、農林水産省に対し国産なたね助成の継続要望書を提出しました。
  2. その結果、2006年産分から3年間限定で、国産なたね生産地に対し「高品質なたね産地確立対策事業(新規)」として新たに助成が行なわれることになりました。
  3. この事業は、従来の定額助成の3/4を国が負担し、1/4を産地が負担する内容で、産地において栽培面積が20ヘクタール以上のまとまりがあること、2009年以降なたねの産地として自立化(生産・流通ともに)できることが、助成を受ける必要条件となっています。
  4. 同時に、「国産なたね産地確立全国検討委員会」が設置され、自立化に向けた進捗が確認されています。
  5. 生活クラブ連合会としては、上記委員会に意見反映もできるよう、提携産地、米澤製油㈱、関係団体(全農)に呼びかけて生活クラブの国産なたね協議会を設けることを2006年度の活動として確認しました。
  6. 2006年3月2日、協議会設置に向け、関係団体間で生活クラブ国産なたね協議会の設置を確認しました。

生活クラブなたね協議会――設立集会での決定内容から

  1. その目的は?
    生活クラブと生産者(産地、製油メーカー、全農)が連携し取り組んでいる国産なたね栽培およびなたね油生産・消費事業をより強化し発展させることを目標にしています。そのために、産地助成が今後3年間継続される間に助成金なしでも中長期的にこの事業を継続できるよう策を講じていくことが目的です。
  2. 協議会の組織と運営は?
    事務局: 生活クラブ事業連合生活協同組合連合会開発部
    会員:生活クラブ連合会、会員単協、JA横浜町、JAたきかわ、米澤製油㈱、全農食品㈱、全国農業協同組合連合会
    役員:委員長 生活クラブ事業連合生活協同組合連合会・加藤会長
    副委員長 JAたきかわ・工藤組合長、JA横浜町・秋田組合長、米澤製油㈱・森田社長
    運営は、委員会とワーキングチーム部会の会議により進める。
  3. 具体的にどのような活動を行なうのか?
    • 提携事業の進捗管理
    • 生産、製造、販売の各製造工程ならびに品質管理状況の点検
    • 利用促進にかかる諸対策の検討・確認。

国産なたねの状況と生活クラブの将来に向けた問題意識

協議会の様子

なたね油は昔から日本の家庭で調理に使われてきた基礎的食品のひとつです。なたね畑は昭和30年代に26万ヘクタールのピークを迎えた後、その後は急激に減り今や809ヘクタール、生産量1,015トン(2003年度)にすぎません。一方、なたね輸入量は208万トンで、自給率はわずか0.05%と、ほぼ全量を海外に依存しているといえます。

生活クラブとしては、日本総体として低い食料自給率(カロリーベースで40%)の中でも極端に低い家庭用基礎食品の現状に危機感を持ち、少しでも国内自給を増やそうとの方針で国産なたねに取り組んでいます。13年余りにわたる取り組みを通じ、国産なたねに関し以下のようなメリットを認識するようになりました。

  1. なたねは、油脂含有量が多い特徴から化学溶剤を使用せず物理的に圧搾する方法で搾油でき、食の安全を確保できる特性があります。生活クラブのなたね油は、カネミ油症事件(注3)をきっかけに「湯洗い洗浄(油をお湯で何回も洗う)」を世界で初めて開発した米澤製油㈱が手がけています。
  2. 産地であるJA横浜町、JAたきかわでは、生活クラブとの提携を通じてなたね栽培面積を増やし、産地が形成されてきています。そのさいに横浜町においては馬鈴薯、たきかわにおいては大豆・そば・ビートと組み合わせる輪作体系作物として不可欠な作物となり、無農薬で栽培の手間もあまりかかりません。また、JAたきかわでは、なたね油かすの畑への肥料化還元サイクルができるなど、循環型農業に有効な作物としてもメリットが浸透しつつあります。
  3. 1、2の実績から、一般の加工食品メーカーでの国産なたね油の取り扱いも出てきています。
  4. 現在、海外におけるなたねは遺伝子組み換え種が増加し、区分管理ができる生産国は限られてきています。さらには食用油製品については、遺伝子組み換え作物由来の食品かどうかを見分ける技術がないことから表示義務がなく、製品での選択・情報開示がないのが実情です。そのような中で、遺伝子組み換えでない国産なたね油製品は消費者による選択ができ、トレーサビリティも確立できている安心な食品です。
  5. また、なたねは日本の農村の原風景を想わせる景観作物として、あるいは菜の花の華やかさが人々を引きつける観光作物としても(横浜町)、その地位を確立しています。
  6. さらに、二酸化炭素排出削減、排ガス削減、原油価格高騰などの観点から、バイオマスエネルギーが注目されており、なたね油も一原料としての可能性を秘めています。

以上のように、国産自給、食の安全性、生産者と消費者の顔の見える関係、環境保全などの諸点から、生活クラブは食用国産なたね油を使い続け、国産なたね栽培を継続できるよう努力を続けていきます。

(注1) 無エルシン酸キザキノナタネ 従来の国産なたねはエルシン産含有量が高く、多量摂取によって心臓機能に異常をきたすと指摘された。東北農業試験場が開発したキザキノナタネは、エルシン酸をほとんど含まず、食用として高品質の国産品種である。

(注2) なたね契約栽培推進対策事業 2000年の「大豆なたね交付金暫定措置法の改正」により国産なたねに対する交付金が廃止され、01年から05年まで予算措置によって実施された産地助成事業。

(注3) カネミ油症事件 1968年、米ぬか油「カネミライスオイル」にPCBが混入して起こった中毒事件。当時はあらゆる食物油脂の脱臭工程に熱媒体としてPCBが使われていた。現在も2000人近い患者がおり、有効な治療法は見出されていない。

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