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生活クラブ連合会は、厚生労働省「生協制度見直し検討会とりまとめ(案)」に対する見解を表明しました。

 厚生労働省では、2006年7月より「生協制度見直し検討会」を開催し、11月29日「生協制度見直し検討会とりまとめ(案)」を発表し、意見募集(パブリックコメント)を行いました。生活クラブ生協連合会では、2006年12月12日の連合理事会にて、「生協制度見直し検討会とりまとめ(案)」について検討し、以下の見解をとりまとめ、厚生労働省に意見提出をしました。
  「生協制度見直し検討会とりまとめ(案)」では、共済と本体事業の兼業規制、県域規制の緩和、連合会会員の1会員の出資口数限度の撤廃などが実務的に提案されています。しかし、今後、生協も含め、協同組合の社会的価値や役割についての本質的な議論が充分に行われずに、今回のような実務的な改定だけが先行されていくならば、社会からは、生協側が営利企業と同一の条件の下で競争を行うことを求めているのだ、と見られかねず、生協・協同組合の公共性や非営利性に対する社会の認知や理解を損ないかねません。したがって、共済と本体事業の兼業規制、連合会会員の1会員の出資口数限度の撤廃について、いずれも反対を表明します。

 

厚生労働省「生協制度見直し検討会とりまとめ(案)」に対する見解

2006年12月12日
生活クラブ事業連合生活協同組合連合会 理事会

1.全般的評価

 1948年7月の生協法制定以来約60年近くが経ち、社会状況も立法時とは大きく異なる今日、生協法の抜本的な改正の必要性があります。しかし、今回の具体的な生協制度見直し案は、協同組合の社会的価値や役割についての本質的な議論が充分に行われたとは思えません。このままでは、生協を営利企業と同一視する風潮に拍車をかける結果になり、大変に憂慮します。生協・協同組合の非営利性や公共性に対する社会の認知を広げ社会的存在価値を高めることが先決であり、国連ほかの国際機関の決議・勧告にそった慎重な検討を望みます。
  特に、この間、ICAを初め、国連、ILOと立て続けに、協同組合が世界的な課題である貧困・失業や社会的な排除に対して、社会開発の重要な役割を果たすことを位置づけ、各国政府に協同組合の促進・支援が求められているのはご承知のことです。
  まず、ICA(国際協同組合同盟)は、1995年マンチェスター大会において採択した「協同組合のアイデンティティに関する声明」の中で、有名な「コミュニティへの関与:協同組合は、組合員が承認した政策を通じて、自分たちのコミュニティの持続可能な発展のために活動する」を宣言しています。次に、国際連合は2001年12月19日、国連第56回総会において「社会開発における協同組合」決議を行いました。その中で、「(総会は)さまざまな形の協同組合が、女性や若年者、高齢者、障害者等あらゆる人々による経済・社会開発への最大可能な参加を促進し、また経済・社会開発における主要な要素になりつつあることを認識し」ているとして、多様な協同組合の促進を決議しています。さらに、ILO(国際労働機関)は、2002年6月20日第90回総会において「協同組合の振興に関する勧告」を採択しています。その中で、ILOは、「発展水準に関わりなく、あらゆる国において、協同組合の潜在力を促進するための措置を採用」すべきであること。また、「均衡のとれた社会は、強力な公共セクターや民間セクターと同様に、強力な協同組合、共済組合、その他の社会的セクターおよび非政府セクターを必要とする」、そして「協同組合は、国内法と慣行に則り、他の形態の企業および社会団体に認められているよりも不利ではない条件において処遇されるべきである。政府は、適切な場合、雇用促進や、不利な立場にある集団ないし地域の利益となる活動の発展といった、特別の社会政策および公共政策の結果をもたらす協同組合の活動のための支援措置を導入すべきである。かかる措置には、とりわけ、また可能な限り、税制上の優遇や貸付金、補助金、公共事業計画へのアクセス、ならびに特別の政府調達の規定を含むことができる。」と勧告していることは周知の通りです。
  今回の生協制度見直し検討会の論議が、我が国においても、これらの国際機関が各国政府に求めてきた協同組合促進に関する「統一的な政策」づくりと、生協法をはじめとした協同組合法制全体の抜本的見直しの検討や法制度の整備作業を促し、それに基づく多様な協同組合の創出による市民へのエンパワーメントや地域再生につながることを強く期待します。
  なお、今回、共済と本体事業の兼業規制、県域規制の緩和、連合会会員の1会員の出資口数限度の撤廃などが実務的に提案されています。今後、もし、生協も含め、協同組合の社会的価値や役割についての本質的な議論が充分に行われずに、今回のような実務的な改定だけが先行されていくならば、社会からは、生協側が営利企業と同一の条件の下で競争を行うことを求めているのだ、と見られかねません。このことへの注意を怠れば、生協・協同組合の公共性や非営利性に対する社会の認知や理解を損ない、生協・協同組合の社会的存在価値の否定や税率の優遇措置の撤廃等にもつながりかねず、慎重な検討が必要です。

2.共済事業と生協本体の購買事業の兼業禁止について

 共済事業と生協本体の購買事業の兼業禁止については反対です。  そもそも「共済」とは生協や協同組合等の特定の集団の構成員が掛け金を出し合い、病気や事故の際には共済金を出し、相互に扶助しあう非営利の仕組みです。不特定多数を対象とした営利目的の「保険」とは根本的に異なるものです。そして、生活協同組合は、地域に暮らす人々が、より安全で安心できる豊かなくらしづくりのためにお互いに労力やお金を出し合い、相互にたすけあい、協力し合い、食品などの生活材を共同で購入する購買事業と、掛け金を出し合い不慮に備える共済事業を二つの主要な柱とする相互扶助を目的とした非営利組織として発展してきました。この意味で「共済」はまさに生活協同組合の本旨である相互扶助の活動・事業の根本をなす活動・事業です。しかるに、この共済事業と購買事業の兼業を生協に対して禁止するということは、生活協同組合の本質ならびに存立の基盤そのものを損なわせ、生協それ自体の活動・事業を著しく後退、衰退させることにつながりかねないものであり、反対します。
  なお、この生協本体の事業と共済事業の兼業禁止に関連して、地域やサークルといった小規模な「自主共済」(いわゆる「無認可共済」)は、2006年9月30日までに「特定保険業者」としての届け出を出すことが求められ、また小額短期保険業者になるためには千万円単位の出資金や供託金などが必要だとも言われており、このような「規制強化」によって小規模で自主的な共済の多くが今日存続できなくなっています。それは、認可されていると否とに関わらず、相互のたすけあいという共済、協同組合という人々の考え方や活動そのものを規制していく動きです。これは他人事ではない由々しい事態であるといわざるを得ず、ここに付記します。

3.「連合会会員の1会員の出資口数の限度を2分の1とする規制を撤廃」することに ついて

この提案は、「経済事業を行う連合会の経営安定」を目的とするものとし、「組合員一人一票制という原則は変わりない」として提案されています。
  しかし、この改定が成されれば、連合会を形成し、その出資金総額の2分の1以上を1単位生協として拠出できる資金力を持つ生協があれば、当該連合会のすべての決定をたった一つの単位生協が左右できることになります。そうなれば、連合会における単位生協主権の原則が崩れることになります。それだけでなく、その大きな単位生協以外の中小規模の単位生協団体およびその構成組合員には事実上民主的コントロールの権利が保証されず、「連合団体における少数意見の無視や軽視」につながります。これは、まさに、協同組合の一人一票の民主制原則の形骸化であり、大幅な後退であるといわなければなりません。このような協同組合の本質を自己否定していくことは、ひいては協同組合の「信頼の危機」「思想の危機」につながるものと言わなければならず、深く憂慮されます。また、この提案は、突然に提案されたものであり、充分な議論がなされていません。さらに、なぜこの提案が「連合会の経営安定」を担保するのか理由が不明です。より慎重な討議が必要です。したがって、あまりにも問題が多く、反対です。

4.組織・運営規定に関して

 行政庁による解散命令の強化は、まさしく生協への「規制強化」に他なりません。それは、非営利・営利を問わず民間の自由且つ自発的な活動を促進することによって社会の活性化を促すという時代や世界の流れに逆行するものといわざるを得ません。「行政が措置命令をだしたにもかかわらず、これに従わないときは」すべて解散命令が出せるとすることはあまりにも行過ぎた規制強化であり、なぜ今回そのような規制強化の提案が生協に対して出される必要があるのか、その理由も不明であり、大変に理解に苦しむところです。再検討が必要であり、反対します。

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