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遺伝子組み換えトウモロコシ、相次ぐ「毒性」「環境への悪影響」の報告---フランスでは遺伝子組み換え作物の商業栽培を当面、凍結の方向へ

 穀物がバイオ燃料の原料に使われはじめてから、世界の食料事情が一変しています。食料や飼料の価格を高騰させ、途上国では食料不足を引き起こしています。同時に、深刻の度合いを増しているのが、遺伝子組み換え(GM)作物の栽培面積の拡大です。そうした中、フランス政府がGM作物の商業栽培の凍結を準備していること、また、日本でも認可されているGMトウモロコシの毒性と、環境への悪影響を指摘する研究結果が明らかにされました。

フランス政府 事実上、GM作物の栽培を凍結

 GM作物の商業栽培はアメリカ、ブラジルなど22カ国に及んでいます。EUでも栽培面積は少ないものの、加盟25カ国中、フランスをはじめ6カ国でGMトウモロコシが商業栽培されています。とはいえ、EUレベルで栽培が承認されているのは、モンサント社が開発した「MОN810」という1品種のみ。これについてフランス政府が「栽培凍結」の準備を進めていることがわかりました。
  9月17日に、ジャン・ルイ・ボルロー環境・持続可能開発整備大臣が、国民議会多数派の議員に打ち明けたとされています。実際、フランスの『ル・モンド紙』に対してボルロー大臣は「遺伝子組み換え作物(GMО)についてはすべての人々が一致している。その拡散はコントロールできない。したがって、危険は冒さない」とコメントし、栽培凍結に前向きの姿勢を示しています。
  この立場は、環境グルネルのGMОグループ内では確認されているといいます。グルネルとは、政府、職能団体、非政府組織の代表が立法や規制に向けて特定のテーマについて議論する集会で、GMОグループではすでに、GM作物の栽培条件を厳しくし、より一層厳格な許可制度にする新規立法の原則を定めています。
  この法律は、GM汚染の責任制度などの他、様々な分野の科学者や団体で構成されるバイテクに関する「高等機関」の設置を盛り込んでいます。これまでフランスでもGM作物の科学的評価はバイテク技術者だけで行ってきましたが、高等機関が設置されると、毒性学分析が強化され、社会的・経済的利益の研究結果と合わせて認可についての意見を政府に提出することになります。
  法律の採択に向けた議論が進んでいますが、新法により設置される「高等機関」による評価の結果が出るまでは、フランスでのGM作物の商業栽培は凍結されると見通されています。この点に関して、環境グルネルのGMОグループを主宰するジャン・フランソワ・ル・グラン元老院議員の「ボルロー大臣が『現実にはすべての認可が凍結され、この状況は法律の採択まで続くだろう』と明言した」との発言がフランスでは報じられています。

GMトウモロコシに安全性の問題が

 モンサント社が開発したGMトウモロコシに、動物の腎臓や肝臓に悪影響があるとするフランスの専門家らの論文が公表されました。問題のトウモロコシは、根を食い荒らす昆虫の幼虫を殺す遺伝子を組み込んだ「MОN863」という品種で、2005年、健康への悪影響を示すモンサント社の秘密研究が暴露されたにもかかわらず、欧州委員会は飼料に限って販売を認めたという経緯があります。日本では2002年に食品としての利用が認可されています。
  論文を発表したフランスのG・E・セラリーニら3名の専門家は、モンサント社の安全審査申請書の生データを、徹底的な統計的手法で再検討しました。その結果、MОN863を添加した餌を与えた雄ラットの体重増加率は、非組み換えトウモロコシを与えた対照群と比べて明らかに小さく、雌ラットでは逆に大きいこと。また、MОN863が雄ラットには腎臓機能に、雌ラットには肝臓機能に障害を与えた疑いがあると指摘しています。
  そのうえでセラリーニらは、「いくつかの国で認可されているこの種の食品または飼料には、人間も他の哺乳動物と同じレベルで暴露されることを考慮する」ことの重要性を強調したうえで、「もっと注意深い臨床的観察を行うことが、MОN863が食品として安全であると結論する前に必要であると、我々は強く勧告する」と論文を締めくくっています。

GMトウモロコシが水生生態系に悪影響の恐れ

 アメリカの4つの大学の研究者からなるチームが、GMトウモロコシが水生昆虫の健康に悪影響を及ぼす可能性を発見しました。この水棲昆虫はGMトウモロコシの標的害虫と同類のトビゲラ類。トウモロコシは殺虫遺伝子を組み込んだもので、1996年にアメリカで商業栽培が認可された後、急速に栽培面積を増やしました。研究チームはまず、このGMトウモロコシが出す毒を含む花や葉などが近くの川に流れ込むことを確認。さらに実験室の試験で、GMトウモロコシの葉を食べたトビゲラの成長速度が、非GMトウモロコシのくずを食べた対照群の半分以下であることが分かりました。
  これと関連してか、フランスで、欧州委員会のディマス環境担当委員が二つの殺虫性GMトウモロコシを認可しないように望んでいる、と報道されました。理由は、「標的害虫以外の昆虫への悪影響があり得る」(ル・モンド紙)というものです。

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