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シンポジウム「(たすけあい・支えあい社会)と協同組合の実践」の記録がまとまりました。

「からだが不自由になった」「障がい児を抱えている」「親の介護が必要になった」、こんな時、こんな不安に協同組合はどう応えられるのか? 8月25日、生活クラブ連合会・福祉事業連絡会が「《たすけあい・支えあい社会》」と協同組合の実践」と題したシンポジウムを開催。この度、このシンポジウムの記録がまとまりました。その内容をご紹介します。(文責:事務局)

記録集の全文は、PDFファイルから閲覧いただけます。

  • 第1部のダウンロードはコチラから(PDFファイル、278KB)
  • 第2部のダウンロードはコチラから(PDFファイル、427KB)
  • 第3部のダウンロードはコチラから(PDFファイル、317KB)

■ 第1部 基調講演

坂本一三郎さん

 上智大学教授の栃本一三郎さんを講師に、「地域福祉と協同組合の役割」と題した基調講演をいただきました。講演の中で栃本さんは、
 「65歳以上が総人口の4割を超える社会がいずれ到来し、日本は世界に類をみない規模とスピードで高齢社会が進んでいる。労働生産年齢人口の減少率は総人口の減少率よりも激しく、生産性が落ちる社会となる」。
 「経済の規模が縮小し、財政の規模も伸びない。福祉事業の市場化のなかで何ができるのか?地域の包括経済に役立つことができるのは<働く>と<はたらき>の両立ができるような地域社会につくりあげていくこと、また地域の生産にむすびついたもの、つまりある種の雇用にむすびついていることが肝心」。
 「<働く>と<はたらき>の場をつくるというのは、きわめて重要な市民事業の社会的貢献となる」、「生活クラブ関連の事業は、非常に重要な役割を果たしていると思う」と、熱いエールをいただきました。


■ 第2部 シンポジウム

石毛鍈子さん

 

第2部のシンポジウムは「<たすけあい・支えあい社会>と協同組合の実践」をテーマに、福祉事業にかかわる生活クラブ生協組合員やワーカーズ・コレクティブのメンバーが、福祉の現場から駆けつけ、先進的な神奈川の実践報告を中心に、熱心な討議が展開されました。市民福祉サポートセンター代表の石毛鍈子さんにシンポジウムのコーディネーターを担当いただきました。 

 

●大和市に生活支援ネットワークと働く場をつくる

田丸直子さん

ワーカーズ・コレクティブ「想(そう)」理事長の田丸直子さんは、大和市と「想」の福祉事業の概要と19年間の活動の歴史を紹介。
  「提供する側の都合にあわせないこと、出来るかぎり利用者さんの生活にあわせ柔軟に対処してきた」。「毎回メンバーが替わりますと、受け手としてはきついものがありますので、限られたメンバーでお世話をする」。
  「介護保険を担う事業所として超えなければならなかった労務管理、常勤勤務体制について、人手不足も口コミで解消できている」。「市の<ふくしの手>の参加は、若い市の職員との交流の場となり、地域に思いがけない社会資源を見つける場となった」。

●福祉クラブ生協、18年間の実践

大島周子さん

福祉クラブ生協副理事長・大島周子さんは、設立から18年たった福祉クラブ生協の実績を報告。「たすけあいによる在宅福祉支援サービスをつくろう」と18年前に設立し、現在、16業種76団体のワーカーズ・コレクティブ(約2,500人)、組合員数15,000人、36億7000万円の事業にまで成長。
  「お互い様であるとか組合員同士であるとかいうことを大事にし、それを豊かな福祉につないでいくということめざして活動してきました。組合員の60%が毎月100円の福祉事業賛同登録に協力し、かなりの資金となり、今年度は横浜市栄区に複合施設を計画しています。地域にふさわしいコミュニティ・オプティマム福祉、この可能性におおいなる可能性をみいだしています」と語りました。

●特別養護老人ホーム・ラポールから見た地域福祉の課題

小川泰子さん

  社会福祉法人いきいき福祉会専務理事の小川泰子さんは、「ラポールの13年、こだわってきたことは、住むことよりも施設の運営が先になってしまいがちな、脱施設の視点を忘れないこと」と語ります。
  「福祉サービスの質をつくる、<ケアの質>に取り組み始めました。特養に1回入ったら、本人は出ていくといわないし、家族もここから出したいとも思わない。本音は誰一人として特養に入りたい人はいない。ここに入れていいと思っている家族もいない。でもそこが<終の棲家>という美しい言葉で最後までとなるならば、ターミナルケアというものを<いき方・死に方>としてしっかりとらえなければならない」。
  「特養には住まいという感覚がつくりにくい。特養で培った技術・経験から住まい方事業として、アパート事業をはじめました。また、特養ホームの分散化としてラポール藤沢のサテライトを作りました」。
  「こういう活動をしていくうちに、あえて高齢者だけでなく、障がい者、いきどころのない人たちにも、地域の溜まり場、地域の縁側となっています。昔、当たり前にあった人間関係の交流の場になっています。24時間365日の在宅支援システムをどうつくるかのヒントと実践の場となりました」。

●シルバービジネスの現状と課題

今瀬俊彦さん

  今瀬ヘルスケアコンサルティング所長の今瀬俊彦さんは、厚生省医務局、国立病院などを経て、平成元年から民間病院でケースワーカーをしながら、訪問介護やグループホームを横浜市の青葉区で開設しました。
  「介有料老人ホームを立ち上げ、電力会社で介護事業を開始。売上高は20億円だが、本社の管理コストが4億円。全体の2割以上の管理コストがかかってくる中で、規模が拡大すればするほどマネージメントの重要性が増して、一歩間違うと管理コストだけがどんどん増えてしまう」。
  「医療法人経営の転換で、居住系施設有料老人ホームや高齢者住宅を展開する中で、介護サービスを医療法人が自前で持つのはなかなか難しい。であれば地域の介護事業所とどうやって提携するかがこれからのテーマかなと考えます」。
  「団塊世代の地域貢献の活用で、介護の人材としてどのように地域に参画していただけるか。健康づくり・街づくり・人材づくりを、住宅政策、福祉政策の中核にしてほしい」。

●参加型福祉の社会化をめざす中間組織「福祉事業連合」の役割と課題

黒河内道子さん

生活クラブ運動グループ福祉事業連代表の黒河内道子さんは、「生活クラブ運動グループ・神奈川で介護保険事業をやっているのは、ワーカーズ・コレクティブだけでなく、社会福祉法人のいきいき福祉会、藤雪会、MOMO も活躍しています。2006年度合計で45億円くらいの事業高。これは前年の伸張率からみれば103.8%。2005年の制度改正で06年度の実績のカーブが若干平らになっている」と報告。
  「参加型福祉の社会化に向けた福祉事業連合の特徴は、組合員はサービスを利用するだけの役割ではなく、地域の課題ニーズを発見して発信すること。地域福祉をゆたかにして<ローカル・ユニット>の活動を活性化し、地域にたすけあいのネットワークを広げ、行政区施策はそこに住む人たちがそれぞれのユニットの中で議論して政策提案していきたい。今後、さらに介護保険制度改定がされ、参加型福祉の基盤造成や持続可能な福祉社会モデルをつくるのが基本テーマです」。

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