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飼料自給への挑戦 [1] 生活クラブ連合会発行/自給市場vol.8より

飼料用米の作付面積

 テレビ番組にもしばしば登場するようになった「飼料用米」。食料自給率向上の秘策と称賛されるとともに、国の交付金(補助金)のしくみが変わったことで生産は全国に拡がりました。飼料用米の価格は主食用米価より大幅に安くなければならず、こうした公的支援がなければ実際に生産農家は作りたがらないのです。
  2008 年度の飼料用米の生産は、遊佐町に隣接する酒田市の生産農家の積極的な参加もあり、庄内平野の生産面積は前年比で一挙に2倍以上にまで増えました。さらに宮城県のJA加美よつば、栃木県開拓農協もこれに加わり、全体では2,055.7トンの生産量(前年比297%)を実現。「飼料用米生産利用拡大推進協議会」を設立、交付金の受け皿としての体制を整えました。いずれも(株)平田牧場のための飼料用米を生産する産地。こうした生産拡大によって、全頭「こめ育ち豚」化は可能になりました。
  飼料用米の生産が全国に拡がったとはいっても、全体の21%を庄内地方が占めているのはやはり、作られた米を引き受ける畜産生産者(飼料メーカーも)と、生産された肉を《生産原価保障方式》の考え方による価格で共同購入する私たち消費者組織の強固な連携があってのこと。どの一つが欠けても食料自給力の向上に向かっての歩みに壁として立ちはだかってしまいます。
  生活クラブの「こめ育ち豚」の取組みはそういう意味で、この国の自給率を高めていく上で、貴重な示唆を含んでいるといえないでしょうか。

コメ給餌率10%→ 5%が“後退”ではないワケ

配合飼料の内容

 穀物自給率25%―低い食料自給率(40%)のなかでも畜産飼料を海外に依存しきった我が国の食の脆弱な体質を象徴する数字です。
  飼料の輸入依存という点では生活クラブとて例外ではありません。「こめ育ち豚」とは、そのような輸入配合飼料のなかでも使用量が最も多く、さらに圧倒的に米国からの輸入であるトウモロコシに注目し、その一部でも私たちが自給できる米に置き換えようと始めた地道な努力の成果です。生活クラブ=(株)平田牧場のこれまでの取組みでは、豚の飼育サイクルの最終段階(肥育後期・120~200日齢)の約80日間に、配合飼料全体の10%(トウモロコシの約2割)米を与えて来ました。「こめ育ち豚」の生産頭数は26,000頭―(株)平田牧場が生産する豚全体の15%程度(2008年1~12月実績)に止まっていました。この割合は確保できる飼料用米の生産量に制約されます。
  08年度庄内地方を中心に飛躍的に増えた飼料用米の生産量は、「こめ育ち豚」の大幅な生産拡大を可能にしました。しかし同社が生産する年間頭数16万頭全体が、いままでと同じ10%の給餌率で食べるには足りない量です。
  「こめ育ち豚と米を与えない豚を半々にして、こめ育ちは冷凍規格のまま続ける」という選択肢もありましたが、生産者と私たちが協議した末の結論は、「給餌率を一時的に半分に下げても全頭をこめ育ちにする」というものでした。
  もし、不特定多数の消費者を相手に、こめ育ち豚を“ フツーの豚肉” と差別化するための「売り文句」にするならば、「給餌率が5%」という数字はイメージとしては寂しい。しかし私たちが「こめ育ち」に込める意味とは、消費者と生産者が手を取り合って“ 自給力” を高めていくという、共通の「運動目標」でなかったか?それならば早く「生活クラブの豚肉はすべて“ こめ育ち”」という状態を作って組合員全員に成果として報告したい。そう考えました。
  全国的な注目のなか運動として飼料用米の増産を実現したという、「前進」の証しとしての全頭化。米産地ではそろそろ今年の田植えの準備が始まる季節です。秋の収穫では飼料用米がさらにたくさん獲れ「全頭10%給餌」が実現することを期待し、おおぜいでこの豚肉を利用しましょう。

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