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NON-GMなたね継続のために、西オーストラリア州政府に意見書を提出

  西オーストラリア州は、生活クラブの消費材「なたね油」の原料産地です。2008年まで、州全体でGM(遺伝子組み換え)ナタネの栽培が禁止されてきました。この政策は、「GM作物栽培禁止区域法2003」という州の法律に基づくものでした。
  ところが、2008年秋の選挙で政権交代がおこり、GM推進を掲げる新政府が発足しました。就任した新しい農業大臣は、同法の例外規定を使って、GMナタネの実験栽培を実施する指令を出し、2009年春からGMナタネの実験栽培が始まりました。
  これから州議会で、同法の見直し審議が始まります。見直しに先立って、意見が公募されました。生活クラブ連合会は、NON-GMナタネの継続(州法の継続と、その例外規定をより厳しく制限すること)を求める立場から、州政府に対して8月7日に意見書(下記)を提出しました。

 

「遺伝子組み換え作物栽培禁止地域法2003」の見直しについて

2009年8月7日
生活クラブ連合会 会長 加藤好一

 「遺伝子組み換え作物栽培禁止地域法2003」の見直しについて意見を提出する機会をいただき、感謝いたします。
  生活クラブ連合会は、1998年以来、西豪州のNON-GMカノーラ(なたね)をCBHならびグレインプールとの提携で購入してきました。これまで7回にわたり西豪州を訪問し、NON-GMカノーラの生産の継続をお願いしてきました。私たちは、西オーストラリア州からNON-GMカノーラを買い続けたいと思います。2009年度は、私たちと事業を共にする製油メーカー(2社)で合計13000tのナタネを西豪州から購入する予定です。

■日本におけるNON-GMカノーラの重要性
  私たちは、西オーストラリア州政府がGMカノーラの商業栽培解禁に向けた実験栽培を実施していることについてたいへん残念に思います。私たちはGM作物を取り扱わない方針をとっているため、NON-GMカノーラを西豪州から購入できなくなるのではないかと懸念しています。
  2007年10月、日本の消費者団体が、遺伝子組み換え作物のモラトリアム継続をもとめる155団体(構成員およそ290万人)から集まった署名を当時のキム・チャンス農業大臣に手渡しました。日本の消費者たちの西オーストラリア州のクリーンな農産物を求める声を今一度思い起こしていただきたいと思います。

■日本における遺伝子組換え食品表示改正の動き
  日本の消費者団体は、7月11日、食品表示の抜本改正を日本政府に求める署名活動を開始し、秋までに50万筆を集めることを目標としています。この中で、遺伝子組み換え食品のEU並の表示制度を政府に求めています。日本がカナダのGMカノーラの最大の消費国であることから、「日本のマーケットはGM食品を受け入れている」と言う人たちがいますが、それは間違いです。多くの消費者がカナダ産のGMカノーラから作られた食用油を、表示義務がないため、気づかないまま食べ続けているのが現状です。北海道庁が2008年10月に行った調査によると、80%の日本の消費者が遺伝子組換え食品に不安を覚えると答えており、EU並みの表示制度が実現すれば、日本におけるGMカノーラへの拒否感は一気に高まると予想されます。
 来る8月30日に日本で衆議院議員選挙が行われますが、参議院で多数党である民主党が優勢とみられています。その民主党の政策マニフェストには、食品トレーサビリティシステムの確立が明記されており、政策集INDEX2009では全食品へGM義務表示化について掲げられています。選挙後にこれらの政策が実行されれば、遺伝子組み換えナタネから作られた食用油にも表示義務が生じることになります。それによって消費者の反発が高まります。西オーストラリア州にGMカノーラが導入されれば、西オーストラリア州からのナタネの輸出は大きな影響を受けるかもしれません。

■遺伝子組み換え作物の栽培禁止政策の継続を求めます
 生活クラブ連合会は、西オーストラリア州における「遺伝子組み換え作物栽培禁止地域法2003」の継続を強く求め、それによって西オーストラリア州における遺伝子組み換え作物の栽培禁止政策が継続されることを求めます。その理由として、以下を掲げます。

<1>交雑の懸念

  カノーラは、カナダのいくつかの例に見られるように、大変交雑しやすい作物です。研究によると、NON-GMカノーラの種子の90%にGMカノーラが混入しており、場合によってそのレベルは2%に達することがわかっています。
 また、日本ではGMカノーラは栽培されていませんが、カナダから輸入されたGMカノーラが港周辺と製油所までの幹線道路沿いを中心に自生しています。環境省の調査によって、これらGMカノーラと在来なたねとの交雑が確認されました。なたねには近縁の野菜が多数存在するため、それらの野菜との交雑も心配されます。
  GMカノーラを栽培するとすれば、交雑防止のため、確実に分別管理した生産・流通システムを講じなければなりません。輸送にあたっては、種子のこぼれおち防止、ボランタリーカノーラの駆除についても対応が必要です。これらは除草剤では枯れません。
  GMカノーラ導入の結果として生じるNON-GMカノーラの分別管理にかかるコストが上昇すれば、NON-GMカノーラのコスト上昇は避けられないでしょう。コストの上昇は、食品産業や消費者に価格上昇としてはねかえるでしょう。これは不公平であり、GMカノーラ導入によるコストは、その受益者が負担すべきです。
 現状では、NON-GM農家や食品産業が汚染の被害を受けても、何の救済措置もありません。当法律は、厳しい責任規定を持つよう改定すべきです。それによって、NON-GMの農家や食品業者は、自分の農作物や自社の製品がGMで汚染した場合に責任を問われることはないし、コストをカバーできるでしょう。

<2>適切な栽培基準の不在

  GM作物が西オーストラリア州で栽培される場合は、農家段階での生産管理についての州政府による法規制が必須です。NON-GMカノーラは、交雑防止のためにGMカノーラ栽培圃場から充分に隔離距離を確保しなければなりません。GM業界がプロトコールとして示したとされる5メートルという隔離距離について報じられていますが、これでは全く対策にはなりません。ちなみに、北海道の条例が定めたGMカノーラの栽培隔離距離は1200メートルです。
  また、一つの生産者の中でGMとNON-GMカノーラを同時にかつ同一の機械や施設を使用して生産することで交雑することは確実ですので、種子がNON-GMでもNON-GMとしては流通させることはできません。
 西オーストラリア州でGM作物が栽培された場合、その作物は国際市場に出回ることになるのですから、栽培プロトコールについては、国際社会に公開した上で納得を得る必要があります。このような生産段階の管理について国際的な合意が得られない限り、GM作物を西オーストラリア州で栽培させるべきではありません。

■結論
  以上の理由から、「遺伝子組み換え作物栽培禁止地域法2003」による遺伝子組み換え作物の栽培禁止政策を継続することを求めます。もしモラトリアムが解除されれば、私たちはNON-GMカノーラの別の購入先を探さなくてはならないかもしれません。
  第6項による除外を認める場合の条件をより厳しくし、除外についても国際社会を含めた利害関係者の意見を反映できるよう改正することを求めます。

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