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韓国の生協全国連合会との交流報告

『地方自治と地域社会における生協の役割』をテーマにフォーラム開催

 生活クラブ連合会は韓国の生協全国連合会と、2008年に交わした交流協力に関する合意事項に基づいて、定期的に交流を行っています。 今年は、10月21日から25日にかけて、日本から15名が韓国を訪問し第2回目の交流会を実施しました。訪問団メンバーは、生活クラブ連合会メンバーだけでなく、関係団体の「全国市民政治ネットワーク」、「ワーカーズ・コレクティブ ネットワーク ジャパン」、そして提携生産者の団体である「生活クラブ親生会」と多彩な顔ぶれ。
  訪問団は10月21・22日に、韓国生協全国連合会の会員単協である春川(チュンチョン)生協とバルン生協を訪問して交流、続いて23日には、今回の交流のメイン企画であるフォーラムと、ワーカーズ・コレクティブ交流会に参加。
  24日には、同じく韓国生協全国連合会の会員単協である八堂(パルタン)生命生協などを訪問し、最終日の25日は、日本による植民地支配時代の弾圧を保存・記録した施設「西大門刑務所歴史館」、李氏朝鮮時代の高級官吏の伝統家屋群「北村(プクチョン)韓屋保存地域」を見学しました。

韓国の生協全国連合会との交流

「地方は中央の下請け」という韓国の現状

 ソウル市中区の満海NGO教育センターで開催した「地方自治と地域社会における生協の役割フォーラム」には、韓国の生協全国連合会の会員単協から、約60名の組合員が参加。まず、「韓国の地方自治の現実と生協運動」について、漢陽大学第3セクター研究所、ハスンウ教授のお話がありました。
  ハスンウさんは、「韓国では中央政府が政策を構想し、地方がそれを実現するという下請け構造になっていて、地方では、日本帝国主義による植民地支配の時代などにつくられた様々な団体が、「官辺団体」(利権団体)として政府の支援を独占しているために、住民の利益を代弁したり、地域の権力を監視したりする役割を担う社会団体を探すのが難しい状態である」ことを指摘。そのため、「地方自治=民主主義の深化」「分権=市民社会の強化」という単純な等式は成り立たず、地方自治の実現は、この権力構造を変え、市民主権の理念を実現しようという試みにならざるを得ないと提起しました。

生協組合員や市民活動に、地方自治の“芽”

 その試みの芽として挙げられたのが、2008年に米国産牛肉の輸入に反対するロウソク集会を全国で開いた、多数の生協組合員を含む市民の動きでした。食品の問題ばかりでなく住宅や教育といった生活上の問題を、政治の主題とするよう、政党に要求したり、既成政党に任せきりにせず、直接声をあげようと立ちあがりました。そうした活動が、「生活政治」という言葉で表現され、マスコミを賑わせました。
  「生活政治」を根付かせるために、生協には、組合員が感じている生活上の具体的な問題を運動として組み立て、市民による地域社会づくりを進めていく役割が求められているとハスンウさんは強調し、実例として、原州(ウォンジュ)の協同組合運動協議会が取り組んだ、協同社会経済ネットワークの実践を挙げました。

日本からは、各地で広がる“生活政治”の実践を報告

生活クラブ神奈川<br />鈴木優子理事長

 続いて、日本からの報告を行いました。まず、東京生活者ネットワークのメンバーで、小平市議の日向美砂子さんから、『ネットの地方自治参加と代理人運動』と題して発表。「空き缶の中にも、味噌汁の中にも政治がある」という気づきから始まった生活クラブの“生活政治”である代理人運動を紹介し、市民ネットの役割は、自分たちのまちに合った政策提言を行うことであると話しました。
  続いて生活クラブ神奈川の鈴木優子理事長から、『生活クラブ神奈川の地域社会づくりと代理人運動』と題して発表。合成洗剤追放運動を契機に、1983年に代理人の第1号が誕生し、その後、他の生活クラブ運動グループと、それぞれ自律・連携して協同組合地域社会づくりを実践してきた事例として、「参加型福祉」と「遺伝子組み換え作物反対運動」を挙げ、説明を行いました。 次に、さがみ生活クラブの藤田ほのみ理事長が報告。北さがみはらコモンズを中心に行った、子育てをテーマにした相模原市への政策提案づくりの活動や、参加型福祉を根付かせるために、福祉ニーズを発見し市民自らが「地域福祉市民行動計画」をつくった経験を発表しました。

生活クラブ生協・神奈川、生活クラブ生協・長野

 生活クラブ長野からは、『生活クラブ長野の地域社会づくりと代理人運動』と題して、石川京子理事長、小林テル子副理事長が、食品安全条例制定を求める請願活動や直接請求活動を通して岡谷市で初の代理人が誕生した1991年から、2007年の長野市議選(代理人2期目の挑戦)に至るこれまでの歴史について発表しました。
  午後に入って、埼玉県市民ネットの藤本敦子さんが『地方議会への参加過程、生協と市民社会の意思疎通及び課題』を発表。日本で9都道県に広がるネットワーク運動団体の設立と現況を紹介しました。市民の政治参加の道具として議員を持ち、議員の持つ調査権や提案権を市民が使うことで、自治する市民を増やしてきたネットワーク運動が、現在、9都道県に142のネットワーク、137名の議員を生み出したことを報告しました。また、今後の課題として、議員の交代制、参加型の活動、ネットワーク運動の拡大、ローカルパーティの確立が課題であることを報告しました。
  最後に、城南市議で元住民生協理事長のキムヘスクさんが『地方議会進出の成果及び課題、方向』を報告。住民生協理事会が、2006年の城南市議選に候補を立てるかどうか議論し、候補者は立てないが個人的なレベルで積極的な支援をすることを決めた経過や、キムヘスクさんが学校給食改善の政策立案をめざして既成政党から立候補を決め、ボランティアや家族の支援を受けて市議会進出を果たしたことを話しました。成果として学校給食に使用する「親環境農産物」の差額援助と小学校での無償給食を実現したことを報告。さらに、多くの生協組合員や市民が地方自治体選挙に関わり、地方自治を広げていくを、課題として挙げました。
  今回のフォーラムでは、韓国側から地方自治実現のための生協の役割を「生活政治」という言葉で整理し、日本側から「生活政治」を地域に根づかせ、協同組合の地域社会づくりの実践を報告しました。政治はもちろん、生活も文化も異にする両国の生協が、図らずも同じ視点から議論できたフォーラムとなりました。韓国生協全国連合会と生活クラブ連合会の次回の第3回交流会は、2010年度に日本で開催する予定。両国の生協活動とそこから広がった地域活動の実践的な交流をめざします。

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