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アメリカで遺伝子組み換え表示を任意にする法案が廃案に

2015年11月に生活クラブが共催した国際シンポジウムで、アメリカの市民団体「食品安全センター」のジョージ・キンブレルさんは、遺伝子組み換え食品表示を義務とする州法が3州で可決された一方で、全米統一のルールとして表示を「義務」でなく「任意」とする法案、いわゆる「DARK法案」(*)が連邦議会に提案され、すでに下院を通過、上院でも近々審議の見込み、と話されました。

(*) Denying Americans the Right to Know Act:アメリカ人の知る権利を否定する法案。

このDARK法案について、12月にうれしい続報が届きました。上院がこれを取り上げなかったというニュースです。これを受けて連邦議会では、いかなる表示義務化も禁止するような付帯条項を連邦予算法案につけようとする動きが起こりましたが、これも阻止されました。

以下、食品安全センターからのプレスリリースです。

 


市民の圧力と議員の有志たちが、遺伝子組み換え表示の州法を無効にする予算案の「付帯条項」を阻止

2015年12月16日

ワシントンDC発  米国の食品安全センターは今日、議会に対して賞賛の意を表した。議会は、ある「付帯条項」を連邦予算法案(*1)に含めないと決定したのだ。この条項が含まれていれば、遺伝子組み換え表示の義務化を定めた州法の施行が妨げられていただろう。コネチカット州、メイン州、バーモント州の3州でこうした州法が可決されており、バーモント州ではもっとも早い2016年7月に発効される予定だ。付帯条項が含まれていれば、民主的な手段で可決された3州の法案がすべて無効となり、遺伝子組み換え食品表示に関する州の規制は今後、専占(*2)の対象となっていた。この数年間で、30州以上が遺伝子組み換え食品表示法案を提出している。

(*1) 分野ごとの歳出法案のパッケージで、一括で審議される。予算執行のために必ず可決しなければならない。
(*2) 州法に対する連邦法の優先

「アメリカの人々から、自分たちが購入し、家族に食べさせるものについて知る権利を奪わないと、議会がはっきり決断したことを大変うれしく思う」と食品安全センターのアンドリュー・キンブレル代表は語った。「予算案に付帯条項を入れる行為は、表示を定めた州法を無効にするだけでなく、連邦機関による表示の義務化を禁止することにもなり、極めて非民主的で、不法行為とすらいえる。私たちの知る権利を守るため、今後もそして次の会期もしっかりと監視していくつもりだ」。

2015年7月、下院は「アメリカ人の知る権利を奪う法―DARK法」と反対派が呼ぶH.R.1599法案を可決した。この法案は、州および地方自治体による遺伝子組み換え食品の表示や規制よりも優先される。同法案の目的は、任意の表示制度を成文化することであり、またFDA(食品医薬品局)による遺伝子組み換え表示の義務化を阻止すること、そして遺伝子組み換え原料を含む食品に「ナチュラル」というまぎらわしい表現を食品製造業者が使えるようにすることだった。しかし上院は、食品業界やバイオテクノロジー業界からの相当な圧力にも屈せず、この法案を取り上げなかった。

表示に反対する利害関係者はその後、必ず可決する予算案のなかに、専占付帯条項を入れようと圧力をかけ始めた。しかし数々の上院議員がこの付帯条項の追加に反対の声をあげ、同条項を退けた。ブルメンタル(民主/コネチカット)、マーキー(民主/マサチューセッツ)、サンダース(民主/バーモント)、リーヒ(民主/バーモント)、リード(民主/ロードアイランド)、ハインリッヒ(民主/ニューメキシコ)、ウォーレン(民主/マサチューセッツ)、テスター(民主/モンタナ)、マークリー(民主/オレゴン)、ボクサー(民主/カリフォルニア)、ブッカー(民主/ニュージャージー)は、この付帯条項に反対する書簡を他の議員に送った議員である。また、上院の予算委員会副委員長ミクルスキー(民主/メリーランド)議員もこの付帯条項の削除に尽力した一人だ。

「連邦政府の率先した取り組みが見られないなか、州が立ち上がり消費者を欺く行為を防止し、知る権利を保障するために法案を可決してきた」とキンブレルは言う。「あまりにもひどい非倫理的な付帯条項が日の目を見ることのないようにした議員たちと、議員に働きかけた何千人ものアメリカ国民に感謝している」。

さらにこの一括審議の予算案には、食品医薬品局が遺伝子組み換えサケの表示を義務化するガイドラインを策定すること、そして表示制度が発効するまで販売しないことを求める文言が含まれている。

「今のままでは、新たに承認された遺伝子組み換えサケが『大西洋サケ』という誤解を招く名称で消費者に売られてしまう可能性がある。重要な情報が消費者に届かないことのないよう、上院がこの状態を正す文言を入れたことは賢明であり、うれしく思う」と食品安全センターの政策分析員、ジェイディー・ハンソンは話した。

アメリカの圧倒的多数の有権者は、消費者に遺伝子組み換え食品か否かを知る権利があると考えており、最近の世論調査でも89%が遺伝子組み換え表示の義務化に賛成している。また、ほぼ同数の割合の人々が、表記は簡単にわかる方法にすることを望んでいる。

食品安全センターは、ボクサー上院議員とデファチオ下院議員が提案した「遺伝子組み換え食品を知る権利法」という超党派の法案を支持している。この法案は、食品製造業者に対し、遺伝子組み換え原料が含まれる食品の表示を要求するものだ。この常識的な法案が可決されれば、企業にとって統一した連邦政府基準が必要であることを尊重しつつ、食品に何が入っているかを知る権利がすべてのアメリカ人に保障されることになるだろう。

(訳:廣内かおり)

【参考】
遺伝子組み換え食品表示の充実をめざして 米国・韓国の市民団体を招いて国際シンポジウムを開催

(生活クラブ活動情報 2015年12月掲載)

遺伝子組み換えサケの承認と流通に強く反対します 生活クラブ生協連合会とアメリカの市民団体が共同声明を発表
(生活クラブ連合会 プレスリリース 2015年12月9日掲載)

アメリカ「食品安全センター」 プレスリリース(英語)
http://www.centerforfoodsafety.org/press-releases/4171/public-pressure-and-allies-in-congress-keep-rider-blocking-state-labeling-of-gmos-out-of-spending-bill
 

(2016年1月27日掲載)

 
 

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