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原発事故による住民の健康管理のあり方に関する環境省の「当面の施策」に対して生活クラブ連合会が意見提出

生活クラブ連合会は、「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議の中間取りまとめを踏まえた環境省における当面の施策の方向性(案)」についての意見募集(パブリックコメント)に対し、1月20日に意見書を提出しました。

この専門家会議は、「原発事故による健康影響を放射線被ばくによる生物学的影響と考えられるもの」として、福島近隣県を含め事故後の現状や課題を把握し、今後の健康支援のあり方を検討するものです。

生活クラブ連合会意見

【はじめに】
意見:環境省の施策の方向性は、専門家会議からの最終取りまとめを持って再度の意見募集をお願いします。また、施策は、被災当事者との公開での意見交換の場を持ち施策に反映させるべきだと考えます。

理由:「中間とりまとめ」の段階で施策を出すのはなぜでしょうか。専門家会議は、被爆による健康管理、医療に関する施策の在り方を検討するために設置された重要な会議です。その会議の中間とりまとめの段階で環境省が施策を発表するとすれば、専門家会議では行われなかった被災当事者の意見や今回の意見集約で出された意見も反映させていくべきです。専門家会議の設置に至った、「子ども被災者の支援法」の趣旨に沿って、最終的なとりまとめが行われた上で、施策は出すべきではないでしょうか。

【2(1)】
意見:被ばく線量の把握・評価は、外部被ばく内部被ばくに係る科学的なデータの収集のため、福島県だけでなく、少なくとも東北、関東エリアを基本に、日本全体を対象に進め公表してください。

理由:放射性物質が県境を越えて各地に飛散していることは事実です。また、現状では甲状腺の初期被ばく量については、ほとんど評価されていません。初期のヨウ素131およびヨウ素132による被ばくの吸入摂取、経口摂取も不明です。2011年3月に食品の汚染測定の指示が出されたのと放射能の汚染の広がりとは日にちの差がありましたから、当時の汚染食品がどのように流通し摂取されたのか正確にはわかっていません。

【2(2)】
意見:疾病罹患率動向は、チェルノブイリ事故後の健康検診のデータ蓄積も参考にがんの情報に特化せず、個人の健康や将来の健康管理に活かすものにして下さい。

理由:既存のデータベースの活用は大事ですが、福島原発事故による広域の被曝は、日本では今までに経験のない大きな問題です。チェルノブイリ事故との比較では、自治体や地域ごとにみれば福島の事故の被ばく量がチェルノブイリ事故より低いとは言いきれません。中間とりまとめの根拠はWHOとUNSCEAR報告書の評価に依拠したに過ぎず、会議の中の検討は十分とは言えないのではないでしょうか。広島・長崎の原爆による被ばく者への検診、医療については長い蓄積があります。がんに特化せず、遺伝性影響や、心血疾患白内障なども含めた、健康管理の構築に向けての把握をすすめて下さい。

【2(3)】
意見:福島県の県民健康調査の充実として、甲状腺以外のがんやがん以外の疾患についての検診もすすめるべきだと考えます。また、検診の目的は、個々人の健康管理を優先させ、疫学調査については線量評価とともに体制や方法などを詳細に検討して下さい。

理由:福島県民健康調査の2回目で、1回目で見つからなかった4人の子どもたちにがんが見つかりました。県民健康調査は、「県民の健康状態を把握し、疫病の予防、早期発見、早期治療につなげ、もって、将来にわたる県民の健康の維持、増進を図ることを目的」としています。「疫学目的で充実させる」ことばかりが強調され、個々人の健康管理について現在の福島健康調査の方法や内容が妥当かどうかについて十分な検討がされませんでした。低線量被ばくによる健康への影響がまだはっきりしない中では、甲状腺がん以外の疾患についても検診は必要です。

検診の不利益が強調されながら、個人の健康被害の未然防止の利益がふれられず、疫学調査の利益が結論づけられるというのは、住民軽視であり、倫理的な問題があると考えます。

【2(4)】
意見:放射性物質が県境を越えて環境を汚染したことは事実です。福島近隣県においても放射線被ばくに係る健康検査をすすめていくことを求めます。

理由:2(1)2011年3月以降、福島県以外でも放射性ヨウ素やセシウムに汚染された野菜などが見つかっています。2013年5月国連人権理事会の特別報告者アナンド・グローバー氏は日本政府にたいし、「外部被ばく線量1mSv以上の地域に居住する人々に対し、健康管理調査を実施すること。子どもの健康調査は甲状腺に限らず実施し、血液・尿検査を含むすべての健康影響に関する調査に拡大すること」をはじめとする勧告を行ないました。県境で対象を区切るのではなく、グローバー勧告にあるように、科学的に被ばく量で検診の必要性を決定すべきです。

【2(3)(4)】
意見:今回の事故は、国の原子力発電推進の政策のもとに発生しました。福島県か近隣県に関わらず、国の責任で健康検査をすすめること、医療補助のしくみを確立することを求めます。
理由:(3)(4)に同じ。

以上

 

参考 環境省HP 東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議

「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」中間取りまとめ(平成26年12月22日公表)


 

 

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