食をつむぐ人たち《牛乳篇②》 親から子へ、引き継がれる酪農家の思い

栃木県・那須塩原市

藤田与一さん(66歳)、藤田宗隆さん(35歳)

<<《牛乳篇①》に掲載している動画もあわせてごらんください。

 

ミルクが牛乳びんに詰められるまで

藤田さんの牧場が所属する箒根ほうきね酪農業協同組合では、毎日、集乳車(タンクローリー)が酪農家を回って、搾りたてのミルク(生乳)を集めます。


集乳車が新生酪農株式会社栃木工場に到着したら、今度は工場側の受け入れ準備がスタート。まずは集乳車のタンクの口からサンプルを取り出し、実際に人が口に含んで風味の確認をします。人間の味覚こそが微妙な違いを検知できるのだそうで、「いつもと違う」と感じたら、すぐに周囲の人たち数人で確認をします。その次に、今度はすぐ横の部屋で培養や熱を与えたりするなどして、さまざまな乳質検査を行ないます。


牛乳びんはリターナブル。組合員から返却されたびんは、ていねいに洗浄・消毒され、機械はもちろん、目視での検査も。


なぜそこまで、生活クラブでは厳しい自主基準を設けているのでしょうか? 生活クラブの牛乳は、牛乳本来の風味やおいしさを損なわれないように配慮された「パスチャライズド牛乳」。「パスチャライズド」とは、少し聞きなれない言葉かもしれませんが、牛乳を安全に飲むための必要最小限の加熱殺菌を行なう方法=「パスチャライゼーション」(国際基準)由来の言葉です。


厳しい検査を経た牛乳びんに、牛乳がみるみるうちに充填されていく。


「パスチャライズド牛乳」は、熱によるダメージが少ないため、栄養価も風味もそこなわれにくいという利点があります。一般に流通している牛乳のほとんどは、120~150度まで加熱する殺菌法によるものです。生活クラブの「パスチャライズド牛乳」は、72度15秒間の加熱で人体に有害な菌だけを殺菌します。加熱による成分の変性が少なく、「さらっとして飲みやすい」「ほんのり甘みがある」といわれるおいしさで、長年にわたって組合員から高く評価されています。


親から子へ、子から孫へ。引き継がれる仕事への思い。


与一さんがお父さんから教わったのは、「今日やる仕事は今日こなせ」「外周(角)をきちんとつくる」ということ。


本蕃もとしげさんがはじめた酪農の仕事は、長男である与一さんと妻の恵子さんが一緒に支えることで大きな発展を遂げました。与一さんがお父さんから教わった仕事に関するモットーを聞いてみました。それは「今日やる仕事は今日こなせ」、そして、「外周(角)をきちんとつくる」ということだったそうです。「外周(角)をきちんとつくる」というのは、畑でもなんでも「端から端まできちんとする」ということ。これらのアドバイスは、どんな仕事にも当てはまることかもしれません。「なんでも自分でつくれる、器用で几帳面な父親でした」と、与一さんは教えてくれました。


「日々の仕事を丁寧に行なうことが、チャンスを活かすことにつながる」と宗隆さん。


今度は宗隆さんに、いつも仕事をする上で心がけていることを聞いてみました。すると、「日々の仕事を丁寧に行なう」ということを真っ先に挙げてくれました。「そうすることで、来たチャンスを上手く活かせることができると思うんです」とも。現在はミルクの生産がメインですが、酪農と別に取り組んでいるアスパラガスやブルーベリーの栽培と合わせて「いつかは観光農園を開いて、牛乳の加工品を販売してみたい」と、宗隆さんは将来の夢を話してくれました。


親から子へ、そして孫へ。新鮮で安全な牛乳は、一つひとつの作業を丁寧に行なう誠実な気持ちから生まれてくる――自然とそう実感できる一日でした。


藤田さんご一家と牧場のスタッフのみなさん。


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パスチャライズド牛乳

栄養バランスに優れカルシウム豊富な牛乳は、毎日摂りたい食材のひとつ。 自前の牛乳工場で、独自の衛生管理基準により搾乳される、国内トップクラスの品質の「パスチャライズド牛乳」です。

おいしさの理由のひとつはその製法にあります。 市販の牛乳の9割が、120~150度の超高温殺菌をしているので、熱に弱いたんぱく質が変性し、牛乳の持つ栄養や風味が変わってしまいます。生活クラブの「パスチャライズド牛乳」は、72度15秒間殺菌。熱による成分の変性が少なく、さらっとしてほんのり甘みのある牛乳になるのです。


 

 

【2018年9月3日掲載】