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だれもが不安なく口にできる用途も豊富なミックス粉 日東富士製粉(株) ■提携先  ■提携品目 

文/伊澤小枝子  撮影/丸橋ユキ  生活と自治2017年4月号掲載

日本でホットケーキが食べられるようになったのは大正時代末期。1950年代にはホットケーキミックスが販売され、家庭で手軽に焼いて楽しめるようになった。いまも数多くの商品が販売されるホットケーキミックス粉だが、国産小麦100%で「アルミフリー」は希少品だ。

 
 

市販品は外国産小麦が主流

市販のホットケーキミックスには、ふんわりと厚くきれいな色に焼きあがるよう、ビタミンB2、クチナシ粉などの着色料をはじめ香料など多くの添加物が使われている。一方、生活クラブのホットケーキミックスの原料は、国産小麦粉、「素精糖」、脱脂粉乳、カボチャ粉末、食塩、ベーキングパウダーと、とてもシンプルだ。その生産を手がける日東富士製粉営業部リテイルチームの小谷野瑠理子さんは「なにより国産小麦粉を100%使用している点が1番の特徴です」と言い切る。

 

日本の小麦の自給率は14%で、米国やカナダ、オーストラリアなどからの輸入品が圧倒的な割合を占める。それらの国々で栽培中に使われる農薬の種類や量は容易に確認できない。生活クラブがホットケーキミックスを開発したのは1992年。当時は輸送中に虫が発生するのを防ぐために収穫後に散布される「ポストハーベスト農薬」や、陸揚げする際に使用される薫蒸薬の残留も懸念された。


写真:小谷野瑠理子さん
 

そこで生活クラブは薄力小麦粉の共同購入を通して提携関係にあった富士製粉(当時)と、国産小麦100%のホットケーキミックスの開発を目指して動き始めた。小谷野さんは言う。

 

「小麦の生育は気候と地形に影響されます。日本のように比較的雨が多くて湿度も高く、じめじめした土地ではあまりよく育ちません。現在では品種改良が進み、日本でもよく育つ小麦ができていますが、開発に着手した当時は国産100%の小麦粉でホットケーキミックスを作るのは実にハードルの高い大きな挑戦だったと思います」

 

いまでも市販のホットケーキミックスの原料は外国産小麦粉が主流で、国産小麦100%の製品をほとんど見かけないことを考えれば、その困難さがうかがい知れる。

 

小麦粉は、原料の小麦に含まれるタンパク質の割合によって用途が異なる。タンパク質を多く含む強力粉は、水分と合わせてこねればグルテンができやすく、ふっくらと焼き上げるパン作りなどに適している。薄力粉はタンパク質が少なくグルテンができにくいため、ケーキやホワイトソースの材料として使うのに向く。中力粉は強力粉と薄力粉の中間で、モチモチとした食感を楽しむうどんなどの材料になる。日本ではお菓子作りに適したタンパク質が少ない小麦はあまり栽培されておらず、多くが中力粉に近い性質の小麦だ。

 

また、国産小麦は外国産の小麦に比べて小さく、皮が厚い。製粉の際に、皮をまったく混入させず、胚乳部分だけを粉にするのは、外国産小麦と比べて難しい。

 

日東富士製粉営業部パン用小麦粉チームリーダーの大野幸生さんは「国産小麦だけで、外国産小麦の薄力粉を使ったようなホットケーキミックスを作るのはとても難しいテーマでした。幸い、製粉時にどうしてもわずかに残ってしまう国産小麦の胚芽や皮がうまみや風味のもとになりました。このミックス粉を使うと、国産小麦の本来のよさが生き、もっちりとした食感や風味のあるホットケーキに焼きあがります」と訴える。

 

現在、日東富士製粉では北海道産「きたほなみ」という品種の小麦を中心に、同社の製粉工場がある東京、静岡、名古屋周辺や九州で生産された小麦を使用している。

 

写真:大野幸生さん
 

アルミフリー化とGM対策

ふっくらとした厚みのあるホットケーキを作るには膨張剤が欠かせない。一般的に使用されるのは重曹(炭酸水素ナトリウム)に酸性剤などの数種類の助剤を配合した「ベーキングパウダー」だ。酸性剤は、重曹の分解を助けるものだが、その一つに焼きミョウバン(硫酸アルミニウムカリウム)がある。べーキングパウダーのほかにもナスの漬物に色を付けたり、食材のあく取りなどに昔から使われている食品添加物だが、アルミニウムを含む。

 

2010年、日本の子どものアルミニウム摂取量は他国と比べて多いのではないかと全国紙が報道。13年には菓子やパンなどの製造に使われるアルミニウムの使用基準を厚生労働省が定めた。これを受けた生活クラブはベーキングパウダーに含まれる酸性剤からアルミニウムを追放する「アルミフリー」を日東富士製粉に提案。

 

「焼きミョウバンは安価で使い勝手が良く、多くのミックス粉に使われています。とりわけホットケーキは小さい子どもが食べる機会が多い食品です。そこで当社にベーキングパウダーを納品しているメーカーと協議し、焼きミョウバンを使わないオリジナルの膨張剤を新たに開発しました」と、同社営業部リテイルチームの小谷野さんは言う。

 

また、ベーキングパウダーには、ほかにも製品を常にサラサラの状態に保つためにコーンスターチが含まれる。その原料は遺伝子組み換え(GM)トウモロコシである可能性がある。それも技術開発で不用になった。

 

焼き色をきれいにするためのブドウ糖や香料にも、その製造工程でGMトウモロコシやGMトウモロコシ由来の原材料は使われる可能性がある。そこで北海道産のカボチャ粉末を使用し、ほんのり甘い風味がするよう工夫もした。同社ミックス粉チームの石丸友美さんは「着色料を使わず自然のもので風味の良いホットケーキミックスを作っているところはどこにもなかったので本当に驚きました」と当時を振り返る。

 

*写真:石丸友美さん「原材料はもちろん、原材料の成分や配合を変えるごとに何回も試食を繰りかえします」

マフィンやスコーンにも

このホットケーキミックスを使えば、ホットケーキはもちろん、野菜をたっぷり混ぜ込んだマフィンやケークサレ、かぼちゃのスコーン、アメリカンドッグなどもおいしく作れる。

 

バニラ香料無添加なのはもちろん、甘さをストレートに感じさせるグラニュー糖ではなく、生活クラブの提携生産者「青い海」が生産する「素精糖」を使っているからだ。ミネラル分が豊富な素精糖のやさしい甘さが素材の風味を引き立てる。生活クラブのホットケーキミックスをよく見ると、素精糖の茶色い粒が見える。「それもおいしさの秘密かもしれません」とほほえむ小谷野さん。

 

「現在のホットケーキミックスは、原材料を選択するに当たって、それぞれの素材が直面した問題を一つ一つ丁寧に解決しながら、どなたにも不安なく使いこなしていただけるよう試行錯誤を重ねてできた逸品だと自負しています。何より子どもさんといっしょに調理する楽しさを味わってほしいですね」

 

味や出来栄えはもちろん、焼いている間に部屋中に広がるいい匂いも、生活クラブのホットケーキミックスにしかない大きな魅力の一つといっていい。

写真:若さ生産者のみなさん,左から石丸友美さん、小谷野瑠理子さん、遠藤恒平さん

野菜マフィン

ミニどら焼きと蒸しケーキ


◆消費材の活用

あら不思議。これなら「うまく」焼けました!

イラスト/堀込和佳 文・本紙/伊澤小枝子


 これまでホットケーキは数え切れないほど焼いてきた。けれど、うよく膨らまなかったり途中で焦げたりと、満足のいくものはあまり焼けていない。今回、日東富士製粉の小谷野瑠理子さんに焼き方のこつをじっくり聞いてみた。
 まずは分量を正確に。基本の分量はホットケーキミックス1袋(200g)、卵1個、牛乳150mlで約4枚分焼ける。材料を混ぜるときは卵、牛乳、粉の順番に入れてさっくり混ぜる。「だま」は残っていても焼いているうちになくなってしまう。こねるように混ぜてしまうとグルテンができ、さっくりふっくらと焼けない。
 次は焼くときのこつ。ホットプレートを使うときは160度に温度を設定。フライパンで焼くときは一度熱してから、ぬれ布巾の上に置いてジュッと冷ます。それから弱火にかけ、できるだけ薄く油を引く。油が多いと焼きむらができてしまう。
 そうしたら、お玉1杯分のたねをすくい、肩の高さぐらいまで上げてからフライパンに落とす。その衝撃で生地は目然に丸くなる。そのまま弱火で3分待ち、表面がフツフツしてきたら、思い切りよくひっくり返す。すぐにフライ返しなどでふちを押さえながら1周し、2分焼く。そうすると、全体が同じ厚さに焼ける。
 あら不思議。家にある同じ粉と材料で作ったものとは思えない焼き上がりだった。包材に書かれたレシピの材料の分量は、だれもがおいしく焼けるように開発担当者が数え切れないほどの枚数を焼いて試食し決めたものだという。分量を守りちょっとしたこつをつかみ、子どもたちに自慢できるホットケ一キを焼いてみてほしい。

 

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