生産者リレーエッセイ

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vol.51

後川 弘之さん提携先重茂漁業協同組合

提携品目 肉厚わかめ、重茂天然わかめ 他

三陸の海の恵みを育み、守り続けています

後川 弘之さん


 
 

生活クラブとの出会い

1975年に当時の社会党本部の石田漁民部長より、岩手県宮古市議会議員で社会党員の木村政雄氏へ、「東京の生活クラブ生協がしっかりとした確かな品質の海産物の提携先を探しているので、どこか紹介してほしい」との要請があり、木村さんは、近隣の漁協の中から躊躇することなく重茂(おもえ)漁協を紹介。地理的にも本州の最東端に位置し、外洋の荒波の中で育つ良質な海産物の宝庫で、しかも、代々受け継がれた豊かな自然と環境を守る運動にも積極的に取り組んでいることをその理由に掲げました。

その年に、石田漁民部長と生活クラブの初代理事長の岩根邦雄氏が重茂漁協を訪問され、提携が始まり、今日まで相互の信頼関係のもとに38年もの長いお付き合いとなりました。

2011年3月11日の東日本大震災の折には、道路事情が悪く、電気や通信網が回復していないなか、生活クラブの職員や組合員の皆さんがいち早く重茂半島まで駆けつけてくださり、長期にわたって支援物資を供給していただいた他、瓦礫の撤去や重茂川の清掃活動にまで取り組んでいただきました。

また、漁業生産活動に欠かすことのできない大型定置船を3隻もご寄附いただき、大変ありがたく、復興に弾みがつくとともに勇気と感動を与えていただきました。生活クラブと出会えたことを心から感謝いたしております。

養殖わかめの施設は震災前の7割まで復旧

わかめの収穫重茂漁協は、岩手県沿岸中央部の宮古市に位置し、北は宮古湾、南は山田湾を形成する形で太平洋に突出した、本州最東端の地・重茂半島にあります。半島の先端にある魹ヶ崎(とどがさき)灯台は東北一の高さを誇り、映画「喜びも悲しみも幾年月」の舞台になったことで知られています。

海岸線は約55kmにおよび、3つの第一種共同漁業権、11の第一種区画漁業権と5つの定置漁業権を持つ、漁業の盛んな純漁村です。沖合は親潮と黒潮の寒暖流が交差する海域で、漁獲種類も豊富で、とても良質な海産物が採れる絶好の漁場となっています。

重茂地区では主に、天然わかめ、天然こんぶ、あわび、うにを獲る採介藻漁業*と、わかめ、こんぶの養殖漁業を営んでいます。生活クラブの主要提携消費材である養殖わかめは、震災によって施設が壊滅的な被害を被りましたが、現在は7割まで復旧しています。水揚げも2,500tまで回復し、県内トップを誇っています。

重茂半島の面積は約7,000haありますが、人口はわずか1,600人と人口密度は低いながら自然環境に恵まれた地域です。漁協を組織する漁家世帯数は391戸で、正組合員501名、准組合員49名。後継者の育成を図る目的で、1世帯2名までの組合加入を認めています。
*船上から道具を使って貝類や海藻などを採捕する漁法。

自然豊かな海に育つ「肉厚わかめ」と早採りわかめ「春いちばん」

生活クラブとの提携は「肉厚わかめ」から始まりました。重茂のわかめの特徴は肉厚な食べごたえにあります。わかめの養殖には豊かな森から流れ出すミネラルが欠かせません。また、おいしいわかめは穏やかな海ではなく、激しい潮流や荒波によって育ちます。肉厚わかめは、雄大な自然と未開の原生林から流れ出すミネラル豊富な水に育まれる、天恵ともいえる自然環境が広がる重茂半島の荒磯で丹念に育てられています。この環境を守るために、30年以上にわたって地域全体で合成洗剤の使用を禁止し、森に植林するなどの活動に取り組み、安全・安心を提供しています。

2013年からは、一部の単協でわかめの新芽を摘み取った「春いちばん」の取組みを始めました。通常のわかめに先駆けて、厳寒の1~2月に摘み取られる新芽は茎まで食べられるほど柔らかく、原藻(生わかめ)なので新鮮で栄養価も高い。もともとは市場に出回らず、地元だけで親しまれてきた春先のみのお楽しみでした。2014年は年に1回の共同購入として取り組みます(一部単協除く)。さっと湯通ししてしゃぶしゃぶにするのがおすすめ。ぜひ、重茂の春を味わってください。

こんなにある。わかめの栄養効果

肉厚わかめの収穫は、陽が昇る前の早朝に行なわれます。水揚・集荷・ボイル加工・塩蔵加工・タンクへの漬け込みまで、鮮度を保つために手際良く作業が進められます。その後、漬け込み2昼夜、脱水2昼夜の工程を経て箱詰めして、冷蔵庫に保管。少しずつ冷蔵蔵から出して芯を取り除き、300gの袋詰めにして出荷となります。

重茂では、わかめの品質を維持するために収穫時期も限定しています。大きく成長させてから収穫しようとすれば、収穫量は2倍にも3倍にも増量できますが、おいしく食べていただくために適期の収穫に努めています。春いちばんは1月上旬に始まり2月下旬まで、肉厚わかめは3月上旬から4月上旬までを収穫期と定め、厳正した製品作りに取り組んでいます。しかも、塩分は、わかめの保存に必要な30%以内に抑え、増量を目的とした余分な塩分は加えておりません。

わかめは、カルシウム・ヨウ素・ビタミンなどの栄養成分も豊富で、とくに水溶性のアルギン酸やフコイダンといった食物繊維の宝庫です。アルギン酸は、塩分を体外に排出する働きがあります。その効果により血圧の上昇を抑制したり、血液中のコレステロールを減らし、腸内細菌のバランスを整える働きをします。このため、動脈硬化などの生活習慣病や、腸から始まる老化防止、さらに便秘の予防にも有効であるといわれます。抗腫瘍作用、抗菌作用があるという報告もあります。

また、わかめはヘルシー食品の代表格です。1食分あたり(水に戻した状態で約30g)5kcal未満ですので、カロリー摂取が気になる方は、どうぞ毎日の食卓に重茂産の肉厚わかめをご愛顧ください。

(2014年1月掲載)


【次回生産者】

鶏ごぼうごはん、お惣菜などの生産者、全国農協食品(株)の天野祥さんの予定です。お楽しみに。

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