生産者リレーエッセイ

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vol.1

青木 幸彦さん提携先マルモ青木味噌醤油醸造所

提携品目 Sマーク信州田舎みそこうじ

本音では、原料規格の変更ほど嫌なことはありません。でも「国産原料100%」の要望は、絶対美味しいものを造らなければいけない生産者の責務でした。

青木 幸彦さん


 
 

信州味噌

私たちの工場は、信州善光寺のある長野市にあります。長野市は長野県北部(北信地方)の都市で、四方を高い山々に囲まれた盆地・善光寺平の中に位置しています。長野県は味噌造りにとって大切な美味しい水と、味噌造りに適した気候条件を備えているため、味噌造りが盛んで、「信州味噌」と呼ばれて、現在、全国の味噌の40%強が生産されています。
私たちは、美味しい水を使い、寒暖の差が激しくも、湿度の低い長野市の自然の気候のままに熟成させて造る天然醸造の味噌を、これからも継承していこうと、昨年、天然醸造蔵を増設しました。また今年は、より良い製品造りを目指し、包装棟も新築しました。
生活クラブとの出会いは1967年、組合員の方の紹介がきっかけでした。当時、東京では信州味噌は白味噌と思われていた時代です。小さな味噌屋が造る熟成の長い赤色の濃い味噌は売れないと思っていた頃に世田谷の主婦のグループの方々の間で「うちの味噌がほしい」と言われていると聞き、父(当社会長の青木生吉です)は「美味しいと言ってくださるなら、数なんて問題じゃありませんよ」と。“うちの味噌がほしい”の一言がきっかけで取引が始まりました。今でも父は「あの出会いの時の感動を忘れる事はない」と感慨深げに語ってくれます。組合員の一言から始まった関係、生活クラブとは運命共同体の関係と思っています。そして、いつまでも美味しい味噌を造り続けていかねばいけません。

天然醸造


味噌は大地が育んだ大豆・米・塩を原料に、麹・酵母という微生物の力を借りて生み出される自然の恵みの賜物と言えます。そしてその究極が天然醸造であり、そこには人間の手だけでは造り出せない芸術的な深い味と香りがあり、食す人全てに懐かしさを感じさせる、味噌本来の姿があります。それはまさに日本の食文化の原点です。単純ながら深い味わいを出すには、機械や薬品の力は必要なく、ただ微生物が自然のままに動き廻る、時間と空間が必要であると、かたくなまでに天然醸造にこだわり続けてきました。
そして、そのこだわりの中から「Sマーク信州田舎みそ」は生まれてきました。1972年「生活クラブSマーク信州田舎みそ」が開発され、その後、幾度と原料の規格変更をして、2000年に現在の国産原料100%の味噌となりました。また、天然醸造と温醸造のブレンド比率は、現在、1対1になっています。


原料の変更は味噌の風味に大きく影響し、長年培ってきた技術も一からやり直しになります。だから、本音を言うと、生産者にとって原料規格の変更ほど嫌なことはありません。難しいのです。できればやりたくない、しかし「Sマーク信州田舎みそ」は組合員が開発した消費材、だから、やるしかありません。国産原料100%という原料変更の組合員要望は、絶対美味しいものを造らなければいけない生産者としての責務でした。
今後、世界では穀物が、大豆が、不足すると考えられています。そのような中、遺伝子組み換え大豆がたくさん作られていく状況が正しいのでしょうか?
北海道産の大豆「銘柄トヨマサリ」と遊佐の「リュウホウ」を100%使用して、国内産米と真塩を使って造るという、市販品と比べものにならない味噌を、生活クラブは当然のように造って食べています。
生活クラブの味噌は本当に「究極の味噌」です。(ちなみに国産原料100%味噌は全体の5%以下。大豆も米も外国産が当たり前の業界で、品評会でしか使われていないような北海道の大豆で味噌を造っているなんて本当に贅沢です)一時は国産大豆が不作で、価格も高騰し、国産大豆が手に入らないこともありました。契約栽培大豆でも確実に手に入る保証は全くありません。
国産100%の「究極の味噌」が食べられなくなる可能性は「ない」とは言えません。毎年、原料産地である庄内みどり農協や北海道の農協へ赴き、圃場を見て、今年の大豆の数量契約や、収穫量などの情報交換をすることで、直接対話し信頼関係を築くことで、味噌に適した良質な大豆が手に入るようにしています。大豆は米の裏作です、大豆を作り続けてもらうことは、米を作り続けてもらうことにもなります。国産大豆を作り続けてもらいたい、そして私たちもその大豆で味噌を作り続けたいと思っています。
「究極の味噌」も生活クラブの環境でなければなかなか造れません。利用結集と計画購入が国産大豆の安定確保や熟成期間の長い天然醸造を可能にし、高品質の味噌を安く購入できる仕組みを作っています。(ちなみに同等品は組合員価格の2倍以上の値段で市販されています)生活クラブと出会って約40年、組合員の皆さんと私たちとの関係は不変です。今後も、この信頼関係と味噌という日本の食文化だけは、未来の子供達に継承したいと願い、皆様と共に力を合わせていきたいと思っています。


【次回生産者】

Sマーク丸大豆醤油のタイへイ(株)の伊橋弘二さんの予定です。お楽しみに。

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