生産者リレーエッセイ

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vol.2

伊橋 弘二さん提携先タイヘイ(株)

提携品目 Sマーク国産大豆醤油

とにかく数え切れない難問を次から次へと問題提起され、生活クラブと一緒に解決してきたことが、何よりの「宝」です。

伊橋 弘二さん


 
 

丸大豆醤油と国産丸大豆しょうゆ

1974年に産声をあげた生活クラブの醤油。江戸末期より続く大木桶で1年間発酵・熟成された天然醸造の逸品は、117本でくり返し醸造されています。合成保存料や合成添加物が当たり前の時代に、また、脱脂加工大豆を使い、培養した微生物を添加してプラスチック桶で速醸するのが当たり前の時代に、添加物の排除を第一に掲げ、本来の醤油は大豆、小麦、食塩を原料に微生物の働きで造ることが出来る天然の醸造品であるべきだ……。そこに醤油の独自開発が実施されたのです。 
この間、生活クラブと共に歩んできた中で、業界を一歩も二歩も、いやもっと先を見据えた考えが、次々と業界をリードしてきました。まずは、食塩濃度を出来る範囲で下げたことです。当時の業界より0.5%~1%低くしました。また、カビ発生事故を教訓に、アルコールを利用してのカビ抑制効果を考えだしたことや、 醤油の色度の安定化が図れたことです。そして最大の事は、醤油の原材料の脱脂加工大豆を作る時に使われるノルマルヘキサン(化学物質)の必要ない「丸大豆醤油」を1996年に開発したことです。

とにかく数え切れない難問を次から次へと問題提起され、生活クラブと一緒に解決してきたことが、何よりの宝であり、今は一緒に歩んできたことを誇りに感じます。
特に丸大豆醤油の開発に要した時間は大変貴重な時間となりました。「これで行こう」という言葉を聞いたときは言葉に表せないほどの喜びでした。生産者の一人として消費材を作り上げたことへの思いを組合員の皆さんにいつも伝えたいです。「みなさんの醤油ですよ。一緒に造ってきたのですよ」と! 
その気持ちが伝わったのかもしれません、2005年に組合員の皆さんより今世紀最後?かもしれない50石(9000L)の大木桶を寄贈していただきました。提携30周年を記念し、「末永く木桶で醤油を造り続けてほしい」との思いを込められて。新木桶蔵はひとりぼっちで楽しく、いや、寂しくお母さんが(組合員のことです)また、会いに来てくれるのを待ち望んでいます。また、見学に来てよ……と!

木桶の中で熟成させる'本物の醤油'


さて、最近の原料事情をお話しますと、大豆のGM(遺伝子組み換え)問題で圃場が大変な状況です。アメリカで長年契約栽培を行ってきましたが、生産農家がGM大豆を作ったほうがリスクが少ないといって浮気されてしまいました。生産してくれる農家がいなくなってしまったのです。大問題です。生産農家を探しましたが要求する栽培条件のNON-GM(非遺伝子組み換え)大豆種子使用、播種後無農薬栽培、ポストハーベストフリー(収穫後農薬不使用)を理解してくれる生産者は残念ながら一人も現れませんでした。それほどNON-GM大豆を作ることにリスクを抱えているのです。
でも、その思いを一蹴してくれたのが同じ提携生産者仲間のマルモ青木味噌醤油醸造場の青木社長でした。長年、味噌用大豆として中国産有機大豆を使用してきた実績があり、その一部を分けていただくことが出来そうだとの話しをいただき、早速、現地の確認を実施して、今年1月より中国産有機大豆を加えた醤油造りが新たなページを刻みました。
組合員の皆様も“中国アレルギー”をお持ちの方々が沢山おられることでしょう。しかし生産者の一人として、皆さんが安心してご使用頂けるよう情報を的確に伝えていこうと考えています。
また、昨年12月からは、国産大豆、小麦を100%使用した「国産丸大豆醤油」の取組みも始まりました。小麦は主に北海道産、塩は「シママース」を使用し、大豆は、JA庄内みどりや島根県ファーマーズユニオンにお願いして契約栽培をしています。生活クラブとともに「国内自給」を高めることにも貢献したいと考えています。


最後になりますが、醤油は日本古来より伝わる調味料です。自然の力を利用し、目に見えない微生物が働き、そして物として表れた時、形として見えたときが一番「感動」を味わうことが出来る瞬間であり、そのことに携わっていることに誇りを感じております。生活クラブと共に35年、社員一人一人の意識改革、技術の向上、もの造りとは何か、も含め一緒に勉強出来てきたこと、そしてそのことを今後に活かし、次の世代に受け継ぐ「架け橋」になれることが大きな財産であります。この私のパワーの源をメッセージとして組合員の皆様に伝えたいと思っています。贅沢な歳月と自然の力を利用して、毎日毎日、諸味(もろみ)が語りかけています。「ぷつぷつ」と。そんな贅沢な時間を「交流という場」をつくって、是非、見学してください。社員一同お待ちしております。


【次回生産者】

Sマークトマトケチャップのコーミ(株)の牧戸正博さんの予定です。お楽しみに。

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