生産者リレーエッセイ

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vol.3

牧戸 正博さん提携先コーミ(株)

提携品目 Sマークトマトケチャップ

組合員や職員、そして私たち生産者の間でたくさんの物語が詰まった「Sマークトマトケチャップ」です。

牧戸 正博さん


 
 

国産トマト100%トマトケチャップ

愛知県でソースやトマトケチャップを製造販売している、コーミ(株)に生活クラブから声がかかったのは1974年の初めでした。この時、紹介をしていただいたのが、生活クラブのソースを製造していた前・ライオンフードの高山社長でした。当時のコーミのお得意様は食品卸問屋や業務用卸問屋、学校給食ルートなどへの販売が主体で、生協関係への販売はなく、販売内容がよくわからず担当者が生活クラブに聞きに行ったそうです。その時に生活クラブの概要を伺い、また、コーミトマトケチャップの製品特徴を説明したそうです。そこで得た情報を会社へ持ち帰り、生活クラブと提携するための作業が始まりました。
生活クラブトマトケチャップの当時の原料は、愛知県豊橋市近郊の農家での契約栽培された加工用トマトが原料です。露地栽培された加工用トマトは真夏の暑いトマト圃場で完熟したものです。
1974年11月、生活クラブトマトケチャップは「JAS特級品規格630g」で、ビール瓶に詰めて供給が始まりました。ビールメーカーの大瓶を使用していました。1984年に今の380g広口瓶に変わるまで、約10年間近くビール瓶で供給をしていましたが、この当時から洗って再使用するリユース瓶だったのです。
ビール瓶の頃は、組合員からはケチャップが出ないというクレームも多くあったと聞いています。「ケチャップとかけて何と解く?子供のいたずらと解く?その心はお尻ペンペン」。こんなジョークが組合員の間で交わされていたそうです。ビール瓶を逆さにして、ケチャップを使っていただいていたわけです。
当時市販されていたトマトケチャップは、化学調味料などを使用したものがほとんどでした。1978年に生活クラブから化学調味料を抜いてほしいとの要望が出され、ここから生活クラブと何回も試作品をキャッチボールし、意見をぶつけ合い、議論を交わしたそうです。当時の開発担当者は、業界でも例を見ないケチャップの開発に苦労したそうです。しかし、1979年にそのケチャップができた時は、何とも言えない満足感があったと聞いています。日本で最初ともいえる「化学調味料を使用しないケチャップ」が完成したわけですから。
その年の真夏の暑い日に、生活クラブ合同消費委員会の工場見学が実施されました。暑い時期でもあり、工場から冷たい飲み物が用意されました。コカコーラやファンタなどの炭酸飲料をテーブルに並べて提供したそうです。扇風機はありましたが、クーラーもない暑い部屋です。しかし、誰も並べられた飲み物を口にされなかったそうです。担当者が問いかけると「私達は生活クラブの組合員です」と返答があり、最初は意味がよく理解出来ず、職員の耳打ちで担当者は、「一瞬、汗が噴出した」そうです。すぐに麦茶を提供し、事なきを得たといいます。今でもエピソードとして話題に上がりますが、担当者としては、その時から本当の生活クラブの担当者になったのだと思います。

トマト畑


今でこそ笑い話しで語る事が出来ますが、組合員や職員、そして私たち生産者の間でたくさんの物語が詰まった「生活クラブトマトケチャップ」です。
近年の加工用トマト栽培については、生産者の高齢化や異常気象による温暖化の影響で栽培生産者の減少、栽培面積の減少など厳しい状況が続いています。いまや加工用トマトの自給率は5%程度に落ち込み、市販品のトマトケチャップの多くは、輸入トマトペーストを水で伸ばして製造されたものがほとんどです。このような状況の中で、私どもも生活クラブ連合会の協力を得ながら新しい産地の開拓に努力をしています。温暖化による農作物産地の北上に伴い東北地方にも産地開拓を進めています。
どのようなことがあっても、ケチャップの原料である国産加工用トマト栽培の火を消してはならないと思っています。皆さんの応援があってこそ、トマト栽培生産者が元気になると思います。皆さんも愛知県などのトマト栽培生産者に、あたたかいエールを送って下さい。


加工用トマト栽培生産者からは、「組合員が私の作ったトマトを食べている。もっと美味しいケチャップの原料となるトマトを栽培しなければいけない責任がある」という言葉が聞こえてきます。私達、生産者の仕事は、真夏の暑いトマト圃場で一生懸命に栽培していただいたトマトに、トマト栽培生産者の気持ちを込めてケチャップという消費材を創り上げることだと思います。また、それを利用して下さる組合員の皆さんの「美味しい」「頑張って下さい」という気持ちを、トマト栽培生産者に伝える責任があると思います。この気持ちが途絶えることなく、伝え続けるように頑張ります。トマト生産者・組合員の思いが瓶にいっぱい詰まっている生活クラブトマトケチャップには、大きな自信があるからです。


【次回生産者】

Sマーク餃子の美勢商事(株)の小林吉雄さんの予定です。お楽しみに。

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