生産者リレーエッセイ

 記事一覧

vol.4

小林 吉雄さん提携先美勢商事(株)

提携品目 Sマーク餃子

生活クラブの生産者になって一番素晴らしい事は、働く全ての人達が明るく元気に素直になった事です。

小林 吉雄さん


 
 

美勢商事(株)の餃子

美勢商事は、1976年に地域(長野県塩尻市)に貢献する責任企業、美勢グループの3番目の企業として設立された会社です。餃子の生産は1979年になってからです。グループ企業の中に中華料理専門店もあり、地域には当時でも有数な高原野菜の産地である洗馬農協がありました。洗馬農協のキャベツを主原料にして製造した餃子は当時の餃子の概念を覆し(当時の市販の餃子の中身はもやし、おから等でした)非常によく売れました。また、鮮度の良い野菜、肉を使用してつくるならば添加物や化学調味料を使用しなくとも美味しい御馳走ができる事を学びました。そして、長野県のチルド餃子の市場の60%を占めるまでになりました。
しかし1986年頃、長野県にもいよいよ高速道路網が整備され始めると、今まで餃子にはあまり縁のなかった中央の大手食品企業が業界に参入してきたのです。テレビ等の広告宣伝を武器に出てくる餃子はまたたく間にシェアを広げ、地域で今まで健闘していた地方の企業は太刀打ちできません。やむをえず今まで培って来た御馳走としての餃子の市場を求めて大都市圏に出ていきますが、当時、韓国産の餃子がソウルオリンピックの時期と重なり、1粒4円位で大ブームになっていました。太刀打ちができません。そんな中、首都圏のある生協と巡りあい、国産の材料だけで餃子を作る提案を受けたのです。
今まで培ってきたものを生かせば作ることができそうな感じがして、今度は小麦粉をはじめ、国産の材料を探しに各地をまわりました。埼玉で国産小麦粉を製造していた前田食品に伺ったところ、事務所に生活クラブのSマークの袋を発見したのです。この粉を使用して餃子を作れば絶対、生活クラブの餃子も作れるとの予感がしたのですが、生活クラブでは、餃子のような加工食品は消費材としては認知していないから扱うのはできないとの事でした。それから約6年、他の生協、健康食品会社、会員制の共同購入組織等に出かけ餃子の利用を依頼する日が続きました。

美勢商事(株)の餃子の皮

そんな中、1993年に、いよいよ生活クラブも餃子のような加工食品を消費材とする事を決めたとのことでした。今までの思いがやっとかなった時でした。さっそく餃子の提案を、私も組合員であった生活クラブ長野からはじめました。平田牧場の豚肉をはじめ材料は全て国産にしたのですが、味覚の部分ではなかなか納得してもらえず、開発に約2年かかり、そこから、埼玉、神奈川、千葉、茨城、山梨の各単協で導入が始まりました。そして、いよいよ連合会でも取り組むことになり、長野の組合員と共に、改めて開発し直そうということになりました。組合員は市場から餃子を買い集め、勇気を持って食べ、生産者に不明な事は尋ね、理解できない事は聞き、確認をしながらラベルウオッチング(市販の商品の原材料ラベルを見て検証すること)の手法を使って進めました。そして、納得いくまで材を語り、材を使っての試食を行い続けて、約2年の歳月を経ての餃子開発でした。その結果できあがったのが、全て生活クラブの材だけで作ったオリジナルな餃子です。
しかし製造現場では大変な努力が必要でした。使用原材料はキャベツ等の野菜、平田牧場の豚肉以外は全て液体の材料です。撹拌(かくはん)しても調味液は流れてしまいます。製造現場では悪戦苦闘の毎日でした。当時の事を語ればいくら時間があっても足りないくらいのエピソードがあります。いよいよ『ライブリー』に登場です。初回注文数がなんと約5万パック!驚愕の数でした。今度は、予定していた生産能力では足りなくて、生産現場にも大変な思いをさせましたが、今では楽しい思い出です。その後、数量は落ち着いてきますが、今でも一回の利用点数は1万6000から2万です。


こうして生活クラブの生産者になって約15年の月日が流れました。その間、組合員との交流会、見学会を行うために工場を大改修し、当初は見学会にきていただくのも気が引けるくらい汚れていた工場でしたが、今は小さな子供たちでも見学できる場所を確保しています。自主監査で来社した組合員の指摘で、会社で使用する洗剤を全て石鹸に変えました。また、“もったいない”の提案から、廃棄していた餃子の皮を再生して使える残麺供給機を導入したり、組合員の質問にすぐ答えられる様に、働く従業員の作業現場での工夫をすることで、資材等の配置から管理まで従業員が率先して取り組みをして行くようになりました。一番素晴らしい事は、働く全ての人達が明るく、元気に素直になった事だと思います。


今回、新Sマーク消費材の一つとして餃子が選考されました。気がつくと、当社が生産する生活クラブの消費材は、ほとんどがSマークの材を使用した消費材になっています。思いおこせば、三十数年前に今の生活クラブ長野の誕生にかかわり、組合員になり生産者となり、その中から多くの同志を得、Sマークの消費材の生産者になったわけです。この喜びを、今後の生活クラブの発展のために役立たせることができればと思っています。


【次回生産者】

Sマークみついし昆布の生産者、みついし昆布(株)の榎本恵子さんの予定です。お楽しみに。

ページの先頭に戻る