生産者リレーエッセイ

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vol.13

相馬 大さん提携先(有)月山パイロットファーム

提携品目 馬鈴薯、赤かぶ漬

他人任せにしないのが生活クラブ。組合員の皆さんのそんな歩みが、庄内に私たちを育ててくれました。

相馬 大さん


 
 

赤かぶ漬

私たちは農業生産者、「百姓」です。消費材はお漬物のほうが知られているとは思いますが、もともと、そして今でも「百姓」です。
以前は水田専業農家でしたが、昭和52年、生活クラブとの出会いから畑作をはじめたことが、月山パイロットファームのはじまりです。その後、漬物の加工もはじめました。
それまで水田しか知らない農家が、「無農薬で馬鈴薯を栽培」を始めたのですから、無謀といえば無謀ですし、そんな話を持ってくる生活クラブも大胆だったものです。
当時、新たな畑が月山の山麓に切り開かれたばかりで、畑としてもはじまったばかりの頃。とても畑とは呼べないような、草も生えない締まった土でのスタートでした。
人も畑もまっさらな状態。種まきから収穫まで、すべてが初めて。しかも、当時は無農薬などということは考えること自体がタブーのような状況ですから、教えてくれる人もいません。
涙あり、笑いあり、感激ありの、試行錯誤しながらの一年目の収穫。小粒ながらも収穫した馬鈴薯を手にしたときの感激は、今でも鮮明に残っているそうです。
ただ、収穫量自体は少なく、またその半分は規格外の小さな馬鈴薯。困り果てて担当者に相談したら、小玉馬鈴薯として特別取り組みをしてくれるとの返事。また、当時の組合員の方々もたいしたもので、処理するのが面倒くさいと言いながらも、皮をむいて食べれば同じ、と全て食べてくれたのだそうです。今でも当時を知る方たちの間では、「ピンポン玉の馬鈴薯」として有名なことです。
一年目のこの強烈な印象が、月山パイロットファームが現在まで至る原動力となっています。
ついでに言えば、私たちの「月山パイロットファーム」という名前。これも生活クラブがつけてくれたもの。当初の名前は「月山有機農場」でした。当時の受発注はなんと封書でした。取り組みが始まって2年目。あるとき発注書の宛名に「月山PF」の文字が。農場が「国営月山麓パイロット事業」で作られた場所なので、月山パイロットファームの略でそのように記載したとのこと。それがそのまま私たちの名前となりました。
漬物を始めたのも生活クラブのおかげです。「馬鈴薯だけでは食えないだろうから、漬物でも作ったら?」というありがたい言葉で、今の漬物がはじまったのです。
こうやって振り返ってみると、生活クラブとの出会いで生まれ、生活クラブとの歩みが育て、生活クラブが原動力になっているのが月山パイロットファームです。
そんな黎明期から取り組み始めたお漬物は、永きにわたり支持していただいています。
その一つが赤かぶ漬です。馬鈴薯の後作で栽培できる山形の在来野菜の赤かぶを、砂糖と酢と塩で甘酢漬にしたもの。生活クラブに供給することを目的として作り始めたということだけでなく、最初から添加物を使用するなんて考えもありませんでした。
数々の失敗を繰り返しながらも、切り捨てずに育ててくれた組合員の方々のおかげで、添加物全盛の時代にあって、最初から一貫して食品添加物を使用することなく作り続けられています。
今となってみると、数ある食品の中でも添加物を多用する漬物にあって、一切の合成食品添加物を使用しないというのは、作り手も食べ手も勇気のあることでしたね。ようやく一般市場でも、添加物を排除する方向に進みつつあるようですが、まだまだひどいものです。

赤かぶ漬


赤かぶ漬

赤かぶ漬をはじめとするお漬物。馬鈴薯をはじめとする農産物。ともに生活クラブの消費材として、誇りを持って作っています。でも、私たちは「安全なもの」や「安心なもの」を作っているわけではありません。正しいと思う道を進み、方向性を同じくする組合員の皆さんと合意し、約束した方法で栽培し、製造しています。それを間違いなく行うのが作り手の責任。それを「安全」だとか「安心」だとか判断するのは、食べ手の責任。他人任せにするのではなく、お互いが責任を果たすことにより、作る「安心」、食べる「安心」が生まれ、その上に成り立つのが相互の「信頼」ではないでしょうか。そんな信頼を構築する仕組みが、生活クラブにはあると確信しています。


赤かぶ

他人任せにしないのが生活クラブ。組合員の皆さんのそんな歩みが、庄内に私たちを育て、そして各地に生活クラブに賛同する生産者をつくってきました。そしてその歩みが確実に「現在」をつくっています。その「現在」にある私たちが、ともに「未来」をつくれるのが生活クラブ。確信を持って、一緒に歩んでいきたいと思います。


【次回生産者】

森のコーヒー等の生産者、日東珈琲(株)の川端勇雅さんの予定です。お楽しみに。

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