生産者リレーエッセイ

 記事一覧

vol.14

川端 勇雅さん提携先日東珈琲(株)

提携品目 森のコーヒー

農家が丹精こめて栽培したコーヒー豆。そのよさを引き出すのに最もふさわしい焙煎をして届けます。

川端 勇雅さん


 
 

 

森のコーヒー豆

「日東」と聞くと「日東紅茶」と結びつける人が多いと思いますが、実はまったく関係がありません。
「日東紅茶」は商社の三井農林が扱っている紅茶のブランド名なのです。珈琲・紅茶・ココア・インスタントコーヒーで生活クラブと提携する日東珈琲㈱は、明治の末期、初めて日本にコーヒーを輸入し、東京・銀座に日本での喫茶店第一号をつくった「カフェーパウリスタ」というコーヒー会社でした。1942年に当局の指示により、社名を「日東珈琲株式会社」に改称したのです。

 

生活クラブとの提携は1983年より始まりました。提携当初から「貿易品であるコーヒーの不透明な生産・流通を明確にして輸入できないか」また、「生産者の顔が見える関係の貿易を構築してはどうか」との提案を受け、93年よりブラジル・サンパウロ州の生産農家と直接提携することで「森のコーヒー」が生まれました。

 

一般的には、コーヒーの買い付けは商社が行い、生産・流通経路は不明確です。味覚面の評価が確立されている欧米に比べて、日本は味と関係ない豆の大きさなど「見てくれ」で判断する国だと、多くの生産国に思われています。そのような状況に疑問を抱き、信頼できる作り手を探し続けてやっと出会ったのが、無農薬・無化学肥料栽培の「森のコーヒー」の生産者・ジョン・ネットさんでした。ジョン・ネットさんと提携し、生産地域・農園の標高・コーヒーの品種・栽培方法・収穫方法・収穫時のチェリーの熟度・収穫後の処理方法・乾燥方法・精製方法・保管方法・品質規格の確認が取れるようになりました。最後に味覚テストにより買うべき原料コーヒー生豆を決定できる道筋もできました。

 

品質や価格をお互いの意思に基づき、生産者と相対で決定し、代金も直接支払うという明快なものにしています。「農園から食卓まで」の流通についても明確にできるようになりました。この関係を構築し、信頼関係を築いていくために、輸入担当者が毎年一度、現地を訪れ、お互いの顔や事情が判りあえる透明度の高い関係作りをしています。

 

この経験を活かし、98年より他の生産国の中からも、当社の基準に合致するコーヒー生産者を探し、現地と直接情報が収集できる産地との貿易を開始しました。「森のコーヒー」以外のコーヒーも、栽培の技術指導をして途上国の経済的自立を支援する国連のコーヒープロジェクトに賛同した生産農家の手によるものです。現地視察も欠かさず、産地の状況を定期的に把握することも大切にしております。

 

2008年には、国内生産者と「公正な取引」を追求してきた生活クラブより新たな依頼を受け、海外の生産者とはいかに向き合えばよいのか、「相互理解ができる関係性作りの可能性」を求めて、パプアニューギニアを訪問しました。2009年には初めて組合員が私どもと現地を訪問し、生産農家との意見交換も行いました。「作る人と食べる人」との交流の可能性について検証していただき、海外産地との提携のあり方を考えていただきました。訪問した組合員の感想は「自給市場 Vol.14」(生活クラブ連合会発行)に、次のように表現されています。

「“施し”でも“償い”でもなく、“友情”の証として飲み続けたい」

 

生活クラブの提携生産者になって27年の歳月が経過しています。その間、多くの組合員と交流させていただいておりますが、その原動力は提携して間もない頃の印象的な二つのことに由来していると思っています。ある組合員から、「生産者が組合員に消費材を語るときに、売ろうという気持ちではダメだよ。組合員は納得したら、申込書に1、って書くんだから」と言われました。過剰な言葉で「買ってくれ」と言うのではなく、「過不足なく材について説明をする」という姿勢を求められたのは初めての経験でした。

 

森


コーヒー

また、「材を育てる」という表現もよく耳にしました。その意味とは、持続的な生産のできる関係(だから消費材)、組合員の意見が反映できる関係(自主管理監査制度)、生産者は組合員に情報の開示・提供をして、消費材の生産時間と生産空間も併せて理解してもらうこと――でした。これからも消費材を育てていただきたい(生産する消費者)と思います。コーヒー生産国の多くは、年一回の収穫となります。年に一度の収穫物は年間の消費予測を立て、原材料の在庫を確保しなくてはなりません。消費が安定し、生産の見通しが立つことが重要課題となります。

 


コーヒー豆

おいしいコーヒーに必要なのは、まず豆です。農家が丹精込めて栽培した豆、それを日東珈琲が輸入し、その豆の良さを引き出すのに最もふさわしい焙煎をして、皆さんの手元まで届けます。皆さんがコーヒーをいれるのが共同作業の締めくくりです。おいしいコーヒーを飲んでください。


【次回生産者】

Sマーク国産ブレンドたなね油の生産者、米澤製油(株)の安田大三さんの予定です。お楽しみに。

ページの先頭に戻る