生産者リレーエッセイ

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vol.21

吉原 忍さん 提携先月島食品工業(株)

提携品目 Sマークマーガリン、ファットスプレッド、チョコレート

「マーガリン」の大きなリニューアルの時の失敗に、顔が青くなったのを覚えています。

吉原 忍さん


 
 

マーガリン

月島食品工業の消費材とは?
この問いに「マーガリン」、「チョコレート」、「パイシート」と答えが返ってきます。しかし、それら全ての消費材が月島食品工業で製造されているわけではありません。月島食品工業で生産している消費材はマーガリンなどの加工油脂製品で、チョコレート類は茨城県つくば市にある東京フード(株)、パイシートは長野県長野市にある(株)ホーライといったグループ会社がそれぞれ製造しています。
出会いとマーガリン開発
1978年、当時の生活クラブ連合事業部が基礎調味料の消費材開発をほぼ終え、未開拓な分野に目を向け始める中、マーガリンの開発も構想にあったことから、チーズを扱う全酪連の方から紹介を受けたのが生活クラブとの出会いのきっかけでした。また、当社の創業者でもある当時の社長が、生活クラブの理念に惚れ込んだ事も後押しとなりました。当時の担当者は、生活クラブとの折衝を続けていく中で、消費材に対する姿勢を理解し、かねてから考えていた製品設計の「融点が人間の体温以下の油脂だけでつくる」ハードタイプのマーガリンを提案しました。当時、その様な設計で作られるハードタイプのマーガリンは世の中になく、1979年に業界初のマーガリンである消費材、「マーガリンハード」が誕生しました。その後、世の中の生活様式の変化にあわせ、1991年にファットスプレッドが開発されました。
2度の大きなリニューアル
現在の消費材の「マーガリン」は、今までに2度の大きなリニューアルを行っています。1度目は1997年の遺伝子組み換え対策の時でした。原料油脂はパーム油・米油・ヤシ油を使用することで解決することが出来ましたが、少量ですが使用しなければならない添加物(大豆レシチン、ビタミンE、色素、香料)に課題が残りました。大豆レシチンは、中国のメーカーまで視察に行きましたが、品質の安定性に不安があるため断念。しかし、品質証明のとれたブラジル産を手配出来ることが判り、解決しました。ビタミンEは大豆由来ではなく原料油脂と同じパーム由来のものへ変更、色素は旨味と関係ないため不使用にしました。また、香料も使用せず、当社が研究開発に力を入れている発酵乳で風味を出すことにしました。この遺伝子組み換え対策は完了するまでに7年の時間がかかりましたが、結果的に色素と香料という添加物の削減もする事が出来ました。
2度目のリニューアルは、2006年のマーガリンハードの「みんなでTRY!消費材開発」でした。大きなコンセプトは、新生酪農の牛乳を配合し、「現行品より使いやすい硬さに」というものでした。当初、新生酪農の牛乳を使用して当社の発酵技術で発酵乳を作り、配合する事で開発を進めていましたが、マーガリンに使用出来る良い発酵乳を作り出すことが出来ずに断念し、牛乳そのものを配合する事にしました。また、使いやすい硬さにするために油脂配合を見直しましたが、開発部門の機械では作れるものの、工場で製造したところ軟らかすぎてマーガリンにならないという事態になりました。そのため、油脂配合を調整し再挑戦しましたが、それでも失敗し、3度目の調整でやっと作ることが出来ました。その時、開発、製造の人たちが「長い間マーガリンを作ってきたが、2度も失敗した事はない。悔しい、情けない」と言っていたことが非常に印象に残っています。その時の私は、生活クラブを担当して半年くらいでの大仕事。何が起きているか理解出来ずに、顔が青くなったのを覚えています。
このリニューアルは半年程度で終える予定だったのですが、前述の様な事が起きたために約1年かかってしまいました。この間、組合員、連合会開発担当者の皆さんと会議をしていく中で、消費材名の変更、簡単なレシピを包材に記載するなどの変更点も決定し、現在の消費材「マーガリン」が誕生ました。

月島食品工業の工場


ブラックチョコレート400グラム

製菓材料としてのチョコレート
 月島食品工業のもう一つの顔としての消費材にチョコレートがあります。この消費材が誕生するまでにも苦労があったようです。当時、生活クラブでは甘い菓子類の消費材はあまり見あたらなく、敬遠されていた時期でした。そこで、当時の担当者は提案の方法を考えました。「このチョコレートはそのまま食べても良いのですが、基本は製菓材料です」。この"製菓材料"がポイントだったようで、その後、開発が進み"500gの大きな板チョコ"として供給されることとなりました。その後、チョコレートの利用が順調で好評だったため、ブラックチョコやアーモンドチョコレートなど様々な種類の消費材開発につながりました。
生活クラブの消費材を作り続けて30年を過ぎました。その間、添加物や遺伝子組み換え対策など様々な課題があり、克服するために時間のかかった物もありました。月島食品グループは、この課題を克服することで新しい技術や消費材を開発することが出来ました。 また、その力となったのは、おおぜいの組合員、生活クラブ、他の生産者の皆様からの支えや協力があったからです。そのことに感謝し、今後もより良い消費材開発を行っていきたいと考えています。


【次回生産者】

Sマーク乾しいたけ、Sマークわれ葉しいたけの生産者、(株)OSKの阿南雄太さんの予定です。お楽しみに。

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