生産者リレーエッセイ

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vol.40

川尻 正史さん提携先長崎県漁業協同組合連合会

提携品目 長崎パック、煮干し200g(長崎)、宅配とらふぐ ほか

顔が見える関係=安心、安全な消費材

川尻 正史さん


 
 

◆多種多様な漁業が営まれる長崎県

長崎パック(レシピ付き)長崎県は、九州の西北端に位置し、海岸線は多くの半島、岬、湾、入江を形成し、変化に富んでいます。海岸線の長さは全国の約12%にあたる4,184㎞に及び、北海道に次ぎ2番目の長さとなっています。この海岸線に面した広大な海域には、九州西方を北上する対馬暖流のほか、済州島方面からの黄海冷水、九州から沿岸水などが流入。また、多くの島々や複雑な海底地形により好漁場が形成され、内湾から沖合までその漁場環境を活かした多様多種な漁業が営まれています。
生活クラブの組合員数は30万人を超えています。では、全国の漁業就業者数はどれくらいかご存知でしょうか?

菜の花天実は全国で約22万人、このうち長崎県は約1万7,000人しかいません。1998年には約2万4,000人でしたが、年々減少しています。その理由として挙げられているのが漁獲量の減少、魚価低迷、高齢者問題(長崎県では3分の1が65歳以上)、燃油高騰など。漁家経営は厳しい現実に直面しているのです。
しかし、この厳しい現実は、なかなか消費者には伝わりません。スーパーや量販店の間で広がる競争は、安さだけを追い求める低価格路線に他なりません。漁業現場で起きている厳しい現状を無視する競争は、日本の漁業を追い詰めることにしかならないと考えることもあります。

◆提携は「煮干」から 近年は産地交流を積極的に実施

弊会と生活クラブとの提携第一号は「煮干」です。当時、保存性を高めるために酸化防止剤・BHAの使用が一般的でした。生活クラブはそれを排除した「煮干」の開発を目指し、提携できる産地を探していました。時間は要しましたが、弊会の無添加の「煮ぼし」の取組みがスタートしたのは1981年8月のこと。その後、冷凍魚の共同購入が本格化するなか、近海の多獲性魚種を中心に品目が拡大し、現在では40アイテムを超える消費材を開発、利用して頂いております。
開発されたすべての消費材は漁獲時期、漁法、水揚港の情報開示のほか、市販では見栄えのよさや保存・流通のために使用されていた酸化防止剤を排除した、原料原価、製造加工賃等の原価計算も明らかにすることで、安さではなく、漁家経営を圧迫しない適正価格について理解していただいています。
生活クラブと弊会との提携関係は30年以上に及びますが、近年の特徴は産地交流を積極的に進めていることです。これは生活クラブの「水産政策」に基づいて実施されているもので、本県でも毎年、漁業者との産地交流を重ねています。交流の中では、実際の水揚げを体験していただくのですが、不思議と大時化(おおしけ)になることが多く、組合員(連合消費委員)の皆さんには「命がけの体験?」をしていただくこともしばしばです。

◆組合員と生産者が議論を重ねて誕生する消費材

宅配とらふぐぶつ切り(長崎・養殖)それはともかく、産地交流でお互いが学んだことは組合員から組合員へ、私どもは漁業者へと伝えていくことで、相互理解を深めることに大いに役立っていると実感しています。2012年も10月末に産地交流会が行われ、このなかで養殖トラフグの生産者、長崎市たちばな漁協での養殖場視察と、組合員と生産者の意見交換が行われました。養殖魚については、生活クラブ内でも様々な議論があると思います。なかでもトラフグは、ハードルが高い品目です。このため、組合員からは「安心、安全の確立」について、数多くの質問がありました。漁協の担当者は、稚魚からの飼料など、生産履歴に関する情報を開示していること、養殖魚が安全・安心であるという養殖業者を認定する「長崎県適正養殖業者認定制度」の認定を毎年受けていることなどを説明し、「美味しい養殖トラフグを食べていただきたい」とアピールしました。
「LIVELY」2013年10週号(3月配布)にはこの養殖トラフグをはじめとする新規4品目をふくむ“長崎特集”が組まれますが、産地交流の中で、一つひとつの消費材が組合員と生産者が議論を重ねて誕生することを知っていただければ幸いです。(2013年10月1日現在、養殖トラフグの今後の取組みは未定です)
弊会は、提携生産者と連携し、長崎県の水産物を生活クラブに提供していますが、消費材の開発に際しては、産地交流を重ねながら生活クラブ組合員の求めている声を聞き、それを生かすことを念頭に置いています。また、顔が見える関係にあるからこそ、生産者としては手抜きをしてはいけない、本当においしい魚を届けたい―そういう思いで生産に携わっています。
消費材を利用していただくことが生産者の励みとなり活力となることは言うまでもありません。組合員の家庭から「この魚はうまかね!長崎んとやろ(長崎弁)」といっていただけるよう、これからも精進して参ります。(2013年2月12日掲載)


【次回生産者】

Sマークごま油の生産者、(有)小野田製油所の小野田隆昭さんの予定です。お楽しみに。

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