生産者リレーエッセイ

 記事一覧

vol.42

常前 健一さん提携先(株)戸田久

提携品目 南部地粉うどん、南部地粉平うどん、生うどん、盛岡ビビン麺、盛岡冷麺など

安心安全な消費材と、こだわりの麺づくり (株)戸田久

常前 健一さん


 
 

◆国産小麦へのこだわりが生活クラブとの出会いのきっかけ

当社(株)戸田久は、岩手県の県北部、青森県寄りに位置する一戸町を生産拠点とする製麺業者です。本社工場は乾麺工場、冷麺工場、そば製粉工場の3つの工場で成り立ち、消費材の「南部地粉うどん」や「南部地粉平うどん」などの製造もここで行なっています。その他に生めん工場が盛岡市に近い場所にあります。
1948年に製粉・製麺業の戸田久商店として創業。64年に株式会社戸田久と社名を変更して、おかげ様で65年が経ちました。生活クラブの組合員のみなさんにはいつも当社の消費材を購入していただきまして本当に感謝しています。私たちは安心安全な消費材を責任をもって作り続けていきたいと思っています。
最初に生活クラブとの出会いについて説明させていただきます。
生活クラブでは、当社と出会う前の67年、まだ生協ではなかった「生活クラブ」時代にほかの提携先とうどんの扱いを始めています。当初はスープ付きのインスタント生うどんを販売しましたが、カビや腐敗が発生し、取り組みは中止されることになりました。72年には長期保存が可能で殺菌剤を使う必要がない乾麺のうどんを開発しました。
ところが、原料は輸入小麦粉でした。当時の日本の小麦の自給率は5%前後で、国産小麦粉はなかなか入手できない状態でした。それでも生活クラブは、素性の明らかな消費材を求めるために、国産小麦を原料とするうどんの開発を課題としていました。
当時、社長だった故・戸田康巳前会長は地元岩手県産小麦にこだわりがあり、新工場を設立して高品質のうどんづくりに取り組んでいました。この取り組みを評価した全農(全国農業協同組合連合会)の生活クラブ担当者を介して84年に生活クラブと出会い、翌年から「南部地粉平うどん」の提携が始まりました。当時、生活クラブで扱っていた讃岐うどんと区別するために平たい麺にしたそうです。

◆多加水、長時間熟成で南部小麦の個性を引き出す

生地をのばす圧延工程岩手県で収穫される南部小麦は、朝夕の寒暖差が大きい気候のなかで育つため弾力性があり、麺づくりに適した小麦です。製麺工程で小麦粉に塩水を加えることを「加水」といいますが、一般的な機械製麺では小麦粉に対して35~38%のところ、当社では手打ちうどんに近い42%の「多加水」で生地を練り、長時間熟成させることにより、なめらかな舌触りとコシの強い麺ができあがりました。
89年に私が入社した頃は、消費材としては「南部地粉平うどん」のみを製造していました。社員食堂で初めて食べたとき、「弾力があり、食べごたえがある」と感じたことを覚えています。それから5年くらい経って「南部地粉うどん」が開発されました。ゆでるときにくっつかないように面取りをするなど工夫をしています。この数年で組合員のみなさんからの注文は「南部地粉うどん」のほうが増えてきています。

◆麺づくりは乾燥がポイント
細心の注意を払う冬場の温度・湿度管理

生地を麺にする切り出し工程(真ん中に取り付けられた切り刃を交換することで地粉うどんと地粉平うどんをつくり分けます。)製麺工程で一番気を配るのは乾燥工程です。温度・湿度の関係により品質が変わりやすく、外気の温度に極端な変化などがあると乾燥不良が起きやすい状態になります。冬場はとくに気を配って製造管理を行なわなければなりません。冷気により横に亀裂が入ってしまい、乾麺のときはわからないのですが、ゆでると短く折れてしまう「短麺乾燥」が起こったり、湿度の低下により割り箸のように縦に割れる「縦割れ乾燥」が起こってしまいます。トラブルを防ぐために、月に1回、製造ラインの点検を行なうなど、維持管理を実施しています。
冬場の12月から2月頃までは、外気温度が-10℃近くまで冷え込む日が続くことがあります。とくに今冬は朝方の冷え込みが厳しく、朝早くからの仕込みができない日も何日かありました。仕込み水の配管凍結、乾燥室の屋根裏の蒸気ヒーターなどの凍結、破裂なども多く、修理の日が続きました。私たちはこのような環境のなかで、おいしい麺をつくる工場内の温度・湿度の条件を満たすために、冬場はとくに注意して製造を行なっています。
最後になりますが、新消費材の情報をお伝えしたいと思います。
戸田久では、麺の形状が三角形の、いわば「三角麺」の特許を持っています。断面を三角形にすることでのどごしがよく、舌触りの食感もよくて、とてもおいしく感じるのです。この三角麺の新消費材として、南部小麦を使用した試作品を開発しました。6月には「南部地粉三角ざるうどん」という名前で、みなさんのお手元にお届けできる予定です。ぜひご期待ください。
今後とも組合員のみなさんとともに消費材に取り組む姿勢として、生産者として安全安心なものを提供し、さまざまな問題に対処していくためにも、生活クラブのみなさんからの意見・要望を取り入れて取り組んでいきたいと思います。


【次回生産者】

Sマークパスチャライズド牛乳の生産者、新生酪農(株)の岩瀬寛さんの予定です。お楽しみに。

ページの先頭に戻る