生産者リレーエッセイ

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vol.45

岡田 勝さん提携先雪印メグミルク(株)/製造元 長野興農(株)

提携品目 トマトジュース、野菜ジュース 他

農産物の加工を通して生産農家と組合員の皆さんをつなぐパイプ役に

岡田 勝さん


 
 

地元だからできる、もぎたての美味しさを搾ったジュース      

私たち長野興農(株)は、長野市と須坂市にある3カ所の生産工場を拠点として、新鮮なトマトなどの野菜や果実をジュースなどに加工し、提携先の雪印メグミルク(株)を通して生活クラブに提供しています。
1946年に長野県北部の農協が集まり出資してできた農協連合会の加工工場としてスタートし、64年に株式会社に移行。農業の盛んな長野県において、農産物を生食用としてだけではなく、びん詰め、缶詰めなどの加工技術を活用して無駄にすることなく、農産加工品として提供することで産地と消費地をつなぐ役割を果たしてきました。生活クラブとの取り組みでも、原料生産農家の皆さんと組合員の皆さんをつなぐパイプ役としてお役に立つよう、「安心・安全」をモットーに生産活動に励んでおります。
生活クラブとの関わりは、Sマーク消費材の「トマトジュース」と県産トマトピューレをベースにした「野菜ジュース」がはじまりでした。加工用トマトの栽培は国内では60年代から盛んになりました。長野県の生産量が全国1位だったという背景もあり、80年代に入って生産・提供させていただくことになりました。
Sマーク消費材のトマトジュースは、シーズンパックストレートトマトジュースで、旬の完熟トマトを搾ってつくる、果汁100%のジュースです。一般的な濃縮還元ジュースにあるような特有の匂いやとろみがなく、美味しいと好評をいただいております。

加工原料の輸入自由化で加工用トマトの作付面積は激減

長野興農(株)の倉庫に積み上がるできたてのトマトジュース。旬の時期に1年分をまとめて製品まで作ります。70年代はシーズンパックトマトジュースの急速な需要の伸びに支えられて、加工用トマトは生産増大が続きました。ところが、72年にトマトの中間加工原料(トマトペースト、ピューレ)が輸入自由化されたことを契機に、価格の優位性から国内のケチャップ用原料はほとんどが輸入ペーストに依存する状況に変化しました。
これに伴い、生産調整が始まりました。全国作付面積は80年の1,628haをピーク(この年のシーズンパックトマトジュースの全国生産量は12万9,000t)に、81年は243ha、82年は108ha、83年は28haをそれぞれ減反。さらに、最終製品(トマトジュース、ケチャップ、ソース)の輸入自由化を懸念した加工メーカーが88年に契約栽培価格を値下げしたことも生産者の加工用トマト離れに拍車をかけ、93年には全国作付面積が286haにまで激減しました。
いまや国産加工用トマトは貴重品となりました。加工メーカーが契約価格を見直し面積拡大に努めたため、2013年には全国で427haまで回復しましたが、まだまだ需要を満たせない現状にあります。

組合員の皆さんの協力でトマトの作付を維持

そうしたなかで生活クラブは、95年からJAながの飯綱加工トマト部会、全農、雪印メグミルク(株)、長野興農(株)のトマトジュース関係機関と連携してトマト農家を支援する「計画的労働参加」に取り組んでいます。
加工用トマトの栽培は、5月の苗の植え付け、8月の収穫の短期間に作業が集中する生産者にとって負担が大きい作物です。その負担を少しでも軽くしたいとの思いで、毎年のべ120人ほどの組合員の皆さんが参加しています。生産農家の皆さんにとっても大変ありがたいことで、就農者の高齢化が進むなか、組合員の皆さんの手伝いをあてにして作付けしてくれる生産者もいます。なによりも飯綱地区の加工トマト作付面積の極端な減少を抑えることができているのは「計画的労働参加」のおかげです。19年目となる13年5月にも、19人の方たちが苗の植え付けに汗を流してくれました。
ここ数年来の“トマトブーム”でトマトジュースの需要は高止まり状態にあります。当初「長野県産」ピューレ使用だった野菜ジュースも、「国産」に枠を広げていただき対処していますが、トマトジュース、野菜ジュースとも組合員の皆さんのニーズをまかないきれない状況が続いています。また、11年3月11日に発生した東日本大震災の影響も大きく、福島県を中心とした加工トマト産地では震災後3年目に入った現在でも震災前の状況まで回復していません。当社では県内の加工用トマト作付面積拡大を行なうと同時に県外産地の開拓を進めていますが、農業を支えるのは60歳以上の人が中心であり、思うように拡大できていない現実があります。
今後、生活クラブの提携産地などへ加工用トマト栽培の拡大などもお願いしながら、国産トマトジュース、野菜ジュースの火を消さぬよう、皆さんと共に頑張りたいと思います。ますますのご支援ご鞭撻をお願い申し上げます。

2012年8月、組合員が行う加工用トマト「計画的労働参加」


【次回生産者】

鶏肉の生産者、(株)秋川牧園の佐藤尚志さんの予定です。お楽しみに。

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