生産者リレーエッセイ

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vol.57

宮下 正一さん提携先(株)カジノヤ

提携品目 納豆、小粒納豆 他

納豆を造ることは単純で難しい

宮下 正一さん


 
 

私ども(株)カジノヤは、1946年(昭和21年)より神奈川県川崎市にて納豆造りを始めました。創業者は田畑のあぜに植えられた大豆を原料に納豆を造り、自らリヤカーを引いてあちこちへ売り歩いたそうです。川崎市は海側の工場地帯の印象が強いのですが、当社は東西に長い川崎市の西の端、最寄り駅から数分歩くと田畑がある環境で、納豆を造り続けています。

専用の室で発酵させた納豆は
大谷石の遠赤外線効果でふっくらした仕上がり

 生活クラブとの取り組みは1980年(昭和55年)に神奈川単協から始まりました。当時は今よりも粒の大きな納豆が好まれていたため、国産の中粒大豆を使って納豆を造りました。その後、ご飯にのせて食べやすい小粒納豆の人気が年々高まり、品種改良も進み小粒大豆の生産量が増え、消費材の供給実績においても小粒以下が85%(ひきわり納豆を含む)を占めています。個人的には豆の美味しさをより味わえる、粒の大きな納豆をもっと召し上がっていただきたいと思うのですが……。
 供給開始当時の包材は経木を三角形に折ったもので、手作業で納豆を盛り込み、ビニール袋に入れてお届けしていたそうです。その後、供給量が増え手作業での限界を超えたため、紙と経木で作ったより環境に優しく、扱いやすい容器を開発しました。また、それに合わせて、専用の納豆充填機(写真1)と大谷石で囲った納豆発酵室(写真2)を導入しました。この中でヒノキの木箱(写真3)に経木入り納豆を並べ、大豆を発酵させます。この発酵室で造った納豆は大谷石の遠赤外線効果*により、ふっくらした仕上がりになるように感じられます。経木入りの納豆は市販品も含め、年々少なくなっています。松の木を薄く削って、薬剤を使わず乾燥させた経木の香りがほのかに納豆に移り、より美味しさを引き立たせていると思います。
*大谷石の遠赤外線効果…大谷石は遠赤外線を放出しています。これに当たった食品は腐敗の進行を抑制し、鮮度を保ちながら熟成を進ませる効果があるといわれています。対応容量の関係で、経木容器に入った納豆2品について大谷石の発酵室を使用しています。

発酵食品としても注目が集まる納豆を
ぜひ日々の食卓へ

 納豆の原料は「大豆」「納豆菌」「水」ときわめてシンプルで、製造工程もいたって単純です。まず、大豆に混じったゴミや小石などを取り除き、やわらかくするために水に浸けます。やわらかくなったら圧力釜(写真4)で蒸煮して、納豆菌を噴霧します。容器に盛り込み、室に入れて大豆を発酵させます。その後、納豆菌の働きを一時的に止めるために一昼夜、冷蔵庫で冷やします。しっかり冷やさないと納豆菌は大豆の栄養素を分解し続けてしまい、美味しい納豆をお届けできなくなるのです。以前は冷蔵保存の重要性が知られておらず、豆腐屋や八百屋の店頭で常温販売されていたため、大豆の過発酵状態が続き、アンモニア臭の強い納豆が売られていました。納豆の臭いの原因は主に保存状態によるものでした。
大豆を潰さずにそのまま食す納豆は、わずかな水温・蒸煮・発酵時間の違いにより仕上がりが変わり、召し上がっていただく方にも味や食感の違いがわかりやすい食材です。そのため、各工程の職人は経験に奢ることなく、日々、研鑽を積んでおります。
当社の製造ラインは大手メーカーのように機械化・自動化されておりません。生産性・効率性の観点からは旧態と見えるかもしれません。しかし、これからより求められるであろう多品種少量生産には、機動的に対応できるともいえます。組合員の皆さま方により良い提案と供給ができるように、社員一同取り組んで参りたいと考えています。

最後に納豆使ったおすすめレシピをご紹介いたします。

*(株)カジノヤの納豆は東京・神奈川・千葉・茨城・愛知・栃木・岩手・福島・青森・群馬単協の取り組みです。

【次回生産者】

みかんジュース、まぐろ油漬缶などの生産者、日本果実工業(株)の中野豪さんです。お楽しみに。

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