生産者リレーエッセイ

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vol.58

中野 豪さん提携先日本果実工業(株)

提携品目 温州みかんジュース 他

農、食を通して社会に貢献するために

中野 豪さん


 
 

 山口県下における農産加工事業は歴史が古く、1934年(昭和9年)にまでさかのぼります。大島郡周防大島町にてみかん加工を目的とする工場(現・久賀工場)が設立され、1937年(昭和12年)には、萩地方の夏みかんや近海で獲れる水産物を原料とする農水産加工工場として萩加工場(現・萩工場)が設立されました。
 わが社は、1960年(昭和35年)12月にこれらの工場で製造された農水産加工品を県内外を問わず販売していく目的で設立されました。

日本で最初の果汁100%のみかんストレートジュースを開発

 当時のジュースは果汁が数%入ったものが一般的で、果実をまるごと搾った果汁100%ジュースというのは国内産ではありませんでした。
 1972年(昭和47年)、余剰となっていた温州みかんの消費拡大のために、果汁100%で飲用するジュースの開発を行ないました。当然、原料コストを含め高い製品となったわけですが、ここに日本で最初の果汁100%のみかんストレートジュースが誕生しました。
 1974年、生活クラブにてテスト的に共同購入を開始し、2年後の1976年、正式に生活クラブのオリジナルみかんジュースとして採用され、提携が始まりました。

薄っぺらなものはいらない

 「薄っぺらなものはいらない」――提携を開始する際、生活クラブから言われた言葉でした。この言葉のおかげで、逆に果汁を搾ることに専念できたと当時の経営者は言っていたようです。ジュースも食べるもの。他とは違い、国産の温州みかんだけを使い、1個、1個、みかんの外皮を剥いて、中身だけを搾ることで、生のみかんを食べるのと同じような味が実現しました。一般的なジュースは「全果搾汁」といって外皮ごと搾るのが普通ですが、外皮にはオイルが含まれるため酸化や劣化の原因となります。手間はかかりますが、外皮を取り除くと渋みや雑味の少ないおいしいジュースになるのです。これを搾りたての状態を保つために0~3℃で冷蔵保存。注文をいただくたびに、繰り返し使えるリターナルびんに詰めてお届けしています。
 温州みかんジュースの取組みをきっかけに、いちごジャム、マーマレード、白桃缶、みかん缶と次々に新しい消費材が開発されていきました。どれも国内農業の維持発展に貢献し、生活クラブの求める本物(自然に近い状態)の農産加工品であると自負しており、提携は互いの理念が一致する消費運動であると理解しています。

日本の農業を守り続けるために

 わが社では、今も昔も日本の農産物を守っていくための加工を続けています。これは決して簡単なことではありません。
 以前から、農産物を捨てずに加工し、販売をしていくことを考え続け、さまざまな農産加工品の分野を確立してきました。その結果、わが社で加工する農産原料の集荷先は西日本地区を中心に全国へ広がっています。
 今では、減少してきた農産物を余すところなく加工することを目標に、加工時に出てくる残さなども副産物として利用する加工品も研究しています。少しでも付加価値のある製品・消費材開発を行なうことで、生産農家へ還元し、再生産に繋がることを願っています。
 現在、全国規模で課題となっている生産農家の高齢化・後継者不足、さらには異常気象などにより農作物の生産量は不安定なものとなっております。
 こんな状況下にあるからこそ、生活クラブと共にこれから先の日本の農業・食を守る運動を続けていく、広げていくことが必要かつ重要であると考えています。

【次回生産者】

めばちまぐろなどの生産者、(株)ヤマボシの服部芳明さんです。お楽しみに。

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