検査結果はすべて公開し
アーカイブしています。

生活クラブでは、ただ放射能検査を実施するだけでなく、検査結果を公開することも重要だと考えています。検出下限値も含めてすべて公開することで、組合員ひとりひとりが検査結果を利用して放射能汚染の実態を把握できるからです。
ここでは、毎月の検査結果のアーカイブと、放射能に関する月間コラムを見ることができます。

月刊コラム
Monthly Columun

毎月更新の「放射能検査なるほどコラム」。
生活クラブの放射能検査のしくみや放射能対策について、わかりやすくお伝えします。

vol.11 2017.03 2017.03福島第一原発の廃炉作業を見学してきました

放射能検査なるほどコラム Vol.11

福島第一原発の廃炉作業を見学してきました

東京電力福島第一原子力発電所の事故から6年が経ちます。この度、日本生協連の主催で現在廃炉作業中の現地を見学する機会を得たので、その様子をお伝えします。(報告:槌田博/生活クラブ連合会 品質管理部部長)

人の姿のない「帰還困難区域」を通って福島第一原発へ

廃炉見学が行われたのは2017年2月16日。生活クラブ連合会、生活クラブ埼玉からの参加者を含め、10名ほどで視察しました。まず、いわき駅からバスで、福島第一原発から9kmほど南の居住制限区域内にある、視察・見学の受け入れ拠点として使われている東京電力・旧エネルギー館に到着しました。ここで説明を聞いた後に東京電力のバスに乗り換えて原発構内に向かいました。ここから先は写真撮影禁止で、写真は東京電力撮影のものが後から提供されます。核物質防護の観点から、構内にある監視カメラを写真に写してはいけないなどのルールがあるからだそうです。

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バスは、福島県の沿岸部を南北に貫く国道6号線を北上して原発に向かいます。この国道6号線は、放射線量が非常に高いレベルにある「帰還困難区域」も通過する道路。現在、自動車は通行できますが途中で降りることはできず、バイクで通行することは許可されていません。高いところだと放射線量が6μSv(マイクロシーベルト)/hほどある中を通り抜けていきました。フェンスで覆われ人の帰ることのない家々や、廃墟になったショッピングセンターなどを、バスの中から見ながら原発構内に入ります。

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正門付近には、休憩棟という高い建物が最近建てられたばかりです。今この福島第一原発では一日6千人ぐらいの人が働いていますが、その人たちが温かい食事をとれる食堂や休憩できるスペースを備えた場所が、ここにきてやっとできた状態。そういう意味では、これから長く続く廃炉作業を支える基盤が、やっとできたところなのだと感じました。

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困難な核燃料取り出し作業の途上にある1~3号機

見学は、構内をバスに乗車したまま巡ります。まず、原子炉建屋の山側にある高台から、建屋を見下ろす形で見学。車内の空間線量率は36μSv/hありました。1986年に爆発事故を起こしたチェルノブイリ原発4号炉を2012年に見学したときの空間線量率の最高値は16μSv/hでしたから、それよりも2倍以上の値です。

【原子炉1号機建屋】
地震発生翌日の3月12日に水素爆発を起こした1号機。使用済み燃料プールには392体の核燃料が保管されています。また格納容器の底には溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)があります。現在は、これらを取り出すために、事故後に取り付けた建屋カバーが取り外され、使用済み燃料プールの上部をがれきが覆っているのが見える状態。今後は、上部のがれきを慎重に撤去して核燃料を搬出する計画です。
 
【原子炉2号機建屋】
爆発事故は免れたものの、原子炉内部の核燃料は溶け落ち、もっとも多量の放射能を環境に放出した2号機。燃料プールには、615体の核燃料が取り残されています。見学したこの日に、溶け落ちた核燃料デブリの状況を確認するために遠隔操作ロボットを投入する作業が行われていましたが、強い放射線の影響によりロボットが故障して調査は失敗しました。建屋内の空間放射線量は、1分足らずで致死量に達するほどの650Sv(シーベルト※)/hという値。あとで高台から降りてこの2号機のすぐ裏までバスで近づいたとき、バスの車内であっても120μSv(マイクロシーベルト)/hという、今回の見学でもっとも高い数値でした。チェルノブイリ原発4号炉を2012年に見学したときの空間線量率の75倍の値です。 (※1シーベルト=百万マイクロシーベルト)

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【原子炉3号機建屋】
地震から3日後の3月14日に爆発が起きた3号機。現在は、建屋5階より上のがれきの片づけは終了していますが、建屋の横には爆発の被害が残る建造物もまだありました。燃料プールには、566体の核燃料が取り残されています。
 
【原子炉4号機建屋】
建屋の裏側まで降りて見学。震災当時には定期検査中で運転を停止していた4号機も、地震により外部電源を喪失し、3月15日に原子炉建屋が水素爆発したとされています。現在は、使用済み燃料プールにあった1535体すべての核燃料の搬出を完了しています。

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やや離れた場所にある5、6号機も廃炉を待つ

震災時、定期点検中で原子炉は停止していた5号機と6号機。鉄塔が倒れて外部電源は断たれましたが、6号機用非常電源施設のディーゼル発電機が津波被害を免れたために、冷却機能を保つことができました。5号機と6号機も、廃炉にすることが決まりましたが、核燃料が融解した1~3号機の核燃料デブリを取り出す方法の検討の場所として活用することになっています。

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原子炉建屋1~6号機の他に、地下水バイパスの揚水井戸や、陸側凍土遮水壁、サブドレイン(建屋近傍の井戸)なども見学し、職員の説明を受けました。

構内には増え続ける膨大な放射性のごみが

構内には、放射性廃棄物を一時的に保管するための広大な施設もあります。使い捨ての放射線防護服や、汚染水処理に使ったフィルターが、放射性廃棄物のコンクリートブロックとなって積まれていました。また地下水は放射能除去の処理をしても、トリチウムという放射性物質は残ってしまうので、汚染水として毎日300トンずつタンクに保管せざるをえない状況です。とてつもなく大きなタンクが並ぶ様は異様な印象でした。

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莫大な負担と無為な作業を次世代に押し付ける原発

ここ福島第一原発では、放射能に晒される作業現場での廃炉や後片付けの作業が、これから数百年数万年と続きます。地下の凍土壁を維持するために、また汚染水を浄化するために、膨大な電力が何も生産しないまま消費されていきます。こういった果てしない負担を押し付けられるのは、私たちの子孫や未来の生き物です。

福島第一原発の事故は甚大な災害ですが、いろいろな意味で幸運が重なっていたとも言える面があります。たまたま日本一敷地の広い原発だったので、放射性廃棄物や汚染水を一時的に置く場所があったこと。放射能が放出されたときにたまたま西風で海のほうに放射能が流れたおかげで、最悪の事態が避けられたこと。しかし放射能を消す能力は人類にはなく、長い長い時間を経て放射能が自然消滅することを待つしかありません。今回の事故は人類への大きな警告であり、これを聞かずに再稼働を考えるなどしてはいけないことだと、この見学を通じてあらためて感じました。

原発のない社会の実現をめざしそれぞれができることを

原子力エネルギーを使った発電方法が人類の手に負えるものではないことは、事故を起こした原子炉の現状と収束作業の困難さを見れば明らかです。生活クラブでは、福島第一原発の事故が起きる以前から一貫して、「原発のない社会」をめざし自然エネルギーを推進してきました。2016年からは、再生可能エネルギーを基本とした「生活クラブでんき」の共同購入もスタート。生活クラブでんきを選ぶことも、「原発はいらない」という意志を実践する第一歩になるでしょう。

生活クラブでんきの共同購入について詳しくはこちら≫

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vol.10 2017.02 2017.02原発のない未来をめざして「電気の共同購入」

放射能検査なるほどコラム Vol.10

原発のない未来をめざして「電気の共同購入」

いつも生活クラブの放射能対策などの話題をお届けしている「放射能検査なるほどコラム」。今回は少し視点を変えて、原発のない社会をめざして生活クラブが取り組んでいる活動のひとつである、自然エネルギーによる電気の共同購入について紹介します。(株)生活クラブエナジーの半澤彰浩代表取締役(生活クラブ神奈川 専務理事)に聞きました。

「環境」への配慮は生活クラブの理念のひとつ

「生活クラブでんき」を買うことができるのはご存知ですか?2016年からスタートした生活クラブの電気の共同購入。自然エネルギーの割合が高い電気であることが特徴です。もともと生活クラブでは、「安全」や「健康」と共に「環境」にもこだわった活動をしてきました。環境に配慮することは生活クラブの活動の原則で、例えばびんを使い捨てせずに繰り返し使う「リユース」で地球温暖化の原因となる二酸化炭素の削減を行い資源の有効活用をしたり、配送センターの事業所等の省エネを行うこともその一環です。

秋田県に風車を建設するプロジェクトからスタート

そうした環境問題への取り組みの中で、本格的に温暖化問題に取り組むために自分たちでエネルギーをつくろうという声が上がり、生活クラブ首都圏4単協(東京・神奈川・埼玉・千葉)で秋田県に風車を建設する構想が立ちあがったのが2009年頃。計画を進めていた折、2011年3月に東京電力福島第一原発の放射能もれ事故が発生しました。これによってあらためて、人々の暮らしを危険にさらしてエネルギーを得る原子力発電ではなく、太陽、風、水といった自然エネルギーによるしくみづくりをめざそうという方向性は強いものとなりました。風車が稼働した当初はまだ手探りではありましたが、「自分たちでエネルギーを選べる社会をつくる」という、将来につながるモデルがここでできたのです。

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消費材と同様に電気も原料やつくり方が大事

電気の共同購入を本格的に担う(株)生活クラブエナジーが設立されたのは2014年。活動の柱となるのは、「つくる」(自然エネルギーをつくる)、「使う」(自然エネルギーを選択して使う)、「減らす」(省エネをすすめエネルギー使用を減らす)、の3つです。電気の「供給」ではなく電気の「共同購入」と呼ぶのは、電気も、牛乳やお米や醤油といった消費材と一緒だと考えているから。消費材と同じように、電気も、原料に何を使っているか、どんなつくり方をしているか、ということが大事なのです。「生活クラブでんき」は、電源構成を明らかにしており、現在は30~60%が自然エネルギー。将来は100%自然エネルギーをめざします。風力、水力、太陽光といった自然エネルギーから生まれた電気を、組合員が自ら選択して、たくさんの人で共同購入する。それは「エネルギーの自治」につながるのです。

生活クラブの電気の共同購入について詳しくはこちら≫

自然エネルギーは新しく豊かな社会をつくる道具

一般にも、自然エネルギー中心の電力会社はまだそんなに多くないので、すでに共同購入を始めている組合員からは「自分の電気代が自然エネルギー発電所に払われていると思うと気持ちがよい」という嬉しい感想もたくさん聞きます。一方でまだまだ組合員のあいだでも認知度が低いので、もっと広げていくことがこれからの課題です。

この電気の共同購入は、脱原発へのひとつの方策ですが、それだけにとどまらない、より大きな可能性を秘めたもの。自然エネルギーというのは、原発のように大規模集中型ではなく、小規模・分散型で発電できるという特性があります。しかも、石油や石炭やウランを持たない日本でも、自然エネルギーは自給できるのが強み。日本各地で、地域と人が結びついてエネルギーを生み出し、それによってその地域にお金がもたらされる、そうした自給・自治のモデルになり得るのです。「生活クラブでんき」も、消費材の提携生産地が発電を始めるなどの広がりを見せ、地域の活性化につながる例も生まれ始めています。自然エネルギーは、今までとは違う、人を中心としたこれからの豊かな社会を描く道具だといえるでしょう。
((株)生活クラブエナジー 半澤彰浩代表取締役 談)

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生活クラブは、ほかにも、東日本大震災と福島第一原発事故の発生以来、政府への要請や政策提案、パブリックコメントなどの働きかけ、国会議員へのアンケートなどの活動も行っています。今後も、原発のない社会をめざしてさまざまな取り組みを続けていきます。

「原子力発電の廃炉費用および東京電力福島第一原発事故の賠償費用を電気の託送料金へ上乗せすることについて、生活クラブ生協連合会が意見書を提出」
http://seikatsuclub.coop/coop/press/20161216ikenshotakusouryoukin.html

「資源エネルギー庁「電力システム改革貫徹のための政策小委員会・中間取りまとめ」についてパブリックコメントを提出し、国会議員に賛否を問うアンケートも実施しました」
http://seikatsuclub.coop/coop/news/20170131.html

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vol.9 2017.01 2017.01生椎茸とレンコンに見る原発事故の影響と対策

放射能検査なるほどコラム Vol.9

生椎茸とレンコンに見る原発事故の影響と対策

2011年の東京電力福島第一原発事故で、もっとも大きな被害を受けた食品のひとつが、生椎茸やレンコンです。放射能による影響、その後の対策などについて、まとめてご紹介します。

原発事故後に
生椎茸やレンコンから高い数値が出た理由

きのこ類は元々、微量元素をたくさん吸収しやすいという性質を持った食材です。それが、滋養にあふれ栄養豊かな、きのこ類ならではおいしさにつながっています。ところが、福島第一原発事故による放射能汚染が起きると、その性質が仇となってほだ木などに吸着した放射性セシウムを集めてしまうことになりました。程度は違いますがレンコンも似た性質を持っています。そのため、生椎茸やレンコンは、事故直後には放射能検査で高い値が出ることもあったのです。(※1)

地元の山を守ってきた生椎茸栽培の
営みも原発事故が破壊

生椎茸に関して言うと、放射能汚染は、生椎茸そのものだけではなく、椎茸を栽培するためのほだ木にも及びました。実は、原発事故前までは、福島県は日本国内のほだ木の一大産地として知られる県でした。国内の生椎茸を栽培するほだ木の3~4割は福島県産だったほどです。しかし、原発事故の放射能汚染によってそれらの木がことごとく使えなくなってしまい、事故後は、生椎茸のほだ木の供給がひっ迫するという状況も起こったのです。

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生椎茸の栽培には、「地元の山を守る」という側面もあります。生椎茸の生産に使うほだ木は2~3年で交換することが多いのですが、ほだ木のための木を地元の山から定期的に刈ることで、森林が手入れされ、野山の環境が維持されていきます。また、生椎茸の栽培に使ったあとのスカスカになったほだ木は舞茸生産の培地に適しており、崩して舞茸の菌床栽培に利用するというサイクルもできていました。ところが原発事故は、そういった地元の人たちが長い年月をかけて築いてきた農業や林業の営みを、一気に壊してしまったのです。ほだ木を刈ることがなくなったために荒れてしまった野山や雑木林が、今、福島県にはたくさんあるのです。

生活クラブ独自の基準で検査を徹底
放射能を減らすための活動支援も

生活クラブでは、「食べ物による内部被曝はできるかぎり少ないほうがよい」という考えのもと、原発事故の直後から放射能検査体制を作り上げ、まずは国の安全基準を超えたものを確実に出荷停止することを徹底しました。その中で、事故直後には、生椎茸やレンコンの供給中止の事例も生まれました。その後2012年に国の基準値とは別の生活クラブ独自の自主基準値を定め、2016年には自主基準値を大幅に引き下げました。生椎茸の新基準値は、国の基準(一般食品)の100Bq/kgの半分である50Bq/kg、レンコンは青果物の区分で25Bq/kg。国の基準よりかなり厳しい自主基準で運用しています。

また、生産者と共に、生椎茸の放射能セシウム低減化のためのトライアルも行っています。2015年から2016年にかけては、プルシアンブルー処理という方法で低減化をはかる実験を行いました。残念ながらこの方法による明らかな低減結果は得られませんでしたが、放射能汚染に立ち向かう生産者を支援する目的でつくられた生活クラブ独自の「生産者支援基金」によって、今後も生産者の取り組みを支援する活動は継続していきます。

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組合員ひとりひとりが
食べるものを判断し選択するために

生椎茸・レンコン共に、供給後に自主基準値を超えて回収した事例はありませんが、出荷前に判明して供給産地を急遽変更する事例がときどき発生しています。検査結果はすべて公開しており、検出があった場合は検出値をわかりやすく示しています。自分が食べるものについての情報を知らないまま口にするのではなく、組合員それぞれが「何を食べるか」を自主的に選びとっていくために、検査の結果はすべて公開していくのが生活クラブの変わらぬ姿勢です。

東京電力福島第一原発事故により国土は放射能で汚染され、何の落ち度もない生産者と消費者が共に、「おいしくて安心な食品を生産し、食べる」という日常を理不尽な形で奪われることになりました。それまでに培ってきた農業のあり方をすっかり壊されてしまった地域や農家もたくさんあります。これらの苛酷な現状を原発事故が引き起こしたことは、今後も決して忘れるわけにいきません。

(※1)生活クラブの放射能検査での生椎茸とレンコンの測定値(不検出を除く)。
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vol.8 2016.12 2016.12教えてハカセ!③ 「線量限度」について知ろう

放射能検査なるほどコラム Vol.8

教えてハカセ!  ③
「線量限度」について知ろう

自然界にも存在し、福島第一原発以後は東日本の各地で線量が上がった放射能。その限度量について「1ミリシーベルト」とか「20ミリシーベルト」など、いろいろな数字を聞きますが、どう考えていけばいいのでしょう。ハカセに聞いてみました。

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化学物質の環境基準より
実はかなりゆるい放射線の基準


---放射線って目に見えないし、危険度が把握しづらいですね。そもそも人が受ける放射線量に基準ってあるんですか?

国際放射線防護委員会(ICRP)というところが出している勧告が、国際的な基準になっています。その中では、一般の人への放射線量(公衆被曝)の指標を、平常時は「年間1ミリシーベルト以下」としています。レントゲン技師など、仕事で放射線を受けることがある人(職業被曝)に関しては「年間20ミリシーベルト」です。

---この「1ミリシーベルト」というのはどういう理由で決まってるんでしょうか?

ざっくり言うと、放射線による発がん率のデータから決まってるんです。この「年間1ミリシーベルト」という線量は、1年間に1ミリシーベルトの放射線を浴びると、確率的には2万人に2人ががんになって、そのうち1人ががんで死亡するという数字なんですね。発がんリスクの許容量として、社会的にそれぐらいは認めても仕方ないのでは、とICRPが設定している数字です。

あとは、自然界に元々ある放射線から被曝する自然被曝の平均値が、日本では年間1.2ミリシーベルト、世界平均は年間2.4ミリシーベルトぐらいなので、これを大きく超えないということで「年間1ミリシーベルト」が決まっている部分もあります。

でも「2万人に1人ががんで死亡する確率」という放射線の許容量の基準は、実は化学物質の基準よりはだいぶゆるいんです。例えばベンゼンなどの化学物質の環境基準は、「10万人に1人」を目安にするのが国際的なルールなんです。つまり、化学物質より、放射線のほうが5倍もゆるく設定されているんですね。

---それは知りませんでした。

原発事故後、一般人の線量限度は
「年間20ミリシーベルト」に


しかも、東京電力福島第一原発事故の後、国はICRP勧告の「緊急時における基準値」を適用して、一般の人の許容量を「年間20ミリシーベルト」までゆるくしました。これは、平常時だったら放射線や原子力の仕事についている人の被曝の基準と同じです。化学物質より100倍もゆるいことになります。

---一般の人でも、福島原発事故後だからそれまでの職業被曝の基準まで浴びても仕方ない、という考え方なんですね。

国は今、年間20ミリシーベルトを基準として、それを下回る地域に対しては避難勧告を解除しています。年間20ミリシーベルトまでなら、放射能を浴びるとしても、子どもを含む一般の人が帰還してもよいだろうということ。元々一般の人の平常時の線量限度が「年間1ミリシーベルト」であることを考えると、驚くべきことです。

先ほど、「年間1ミリシーベルト」という量は、「2万人に1人」ががんで死亡する確率だと言いました。しかし、「年間20ミリシーベルト」となると、これが「1000人に1人」まではね上がります。1000人と言えば、少し大きな小学校の生徒数ぐらいの数字。つまり、その小学校の誰か1人がんで亡くなる可能性がある。ちょっとショッキングな例えですが、それぐらいひどい方針なんです。年間20ミリシーベルトのところに住むというのはそういう意味のことだと、あらためて認識しておいた方がいいと思います。

生活クラブでは住宅支援の継続などを求める署名活動や
甲状腺検査活動に取り組んでいます


---その帰還方針に伴って、自主避難している方への住宅支援が2017年3月で打ち切られようとしていることもニュースになっています。

はい。それに対し、生活クラブでは、原発事故避難者の住宅支援の継続などを求めて、「原発事故被害者の救済を求める全国運動」に参加し、署名活動などに取り組んでいます。2016年10月には、全国の生活クラブから集まった70,703筆の署名を国会に届けました。「全国運動」全体では、署名の総数は19万筆を超えました。
詳しくはこちら≫

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また、福島第一原発の事故による放射能汚染から子ども達を守る活動の一環として、全国各地で組合員の子どもの甲状腺検査も実施しています。この検査活動と、福島県が県民に対して行っている甲状腺の結果を比較できるようにして役立てる意味もあります。一般的には事故から5年以降に放射線によるがんの発症率は高くなるということもあり、生活クラブでは2020年までこの検査活動を継続することを決めています。
2015年度の検査結果はこちら≫

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原発事故から5年以上が経ちますが、原発自体の状況はもちろん、それに伴ういろいろな問題がまだ現在進行形です。あの爆発が起こった頃に、子どもが雨に濡れてしまったとか外で遊ばせてしまっていたなど、その影響はわからないものの、ずっとそのことが気にかかっているお母さんも多いかもしれません。過去のこと・遠い場所のこと、と流してしまわずに、現在起こっていることとして常に考えていきたいですね。

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vol.7 2016.11 2016.11えっ、生活クラブの牛乳は 毎日分を検査してるってホント!?

放射能検査なるほどコラム Vol.7

えっ、生活クラブの牛乳は
毎日分を検査してるってホント!?

安心で新鮮でおいしい。生活クラブの代表的な消費材のひとつである「牛乳」は、生活クラブでもっとも放射能検査されている食品でもあります。生活クラブだからこそできる牛乳の放射能検査についてご紹介します。

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放射能検査は原乳の段階でしっかり実施

生活クラブの牛乳は、千葉・栃木・安曇野の3カ所の自前の牛乳工場で生産されています。福島第一原発事故の影響を勘案して、千葉工場と栃木工場の原乳は毎日分を検査、安曇野工場の原乳は月一回検査しています。工場近隣の提携酪農家から集荷した生乳を、独自の安全基準でチェックし加工処理しているパスチャライズド牛乳です。
牛乳の放射能検査は、製品に加工するまえの原乳の段階で行います。工場から原乳を検査室に直接送ってもらい、精度の高い検査ができるゲルマニウム半導体検出器を使って検査します。生活クラブの牛乳の自主基準値は、国の基準値「50Bq/kg」の10分の1の「5Bq/kg」と、とても厳しい基準です。
千葉工場と栃木工場の場合、原乳は毎日500mlボトルに採取され検査室に送られます。1週間分の7本を混合して週に一度検査にかけています。

牛乳からの放射能は事故直後を除きずっと「不検出」
生産者自身の検査の努力も

2011年3月の東京電力福島第一原発事故の直後は、栃木工場と千葉工場の製品と原乳から放射能の検出がありましたが、その後4月14日の検出を最後に、以後ずっと不検出が続いています。事故後2年間は外部への検査機関へ測定を依頼して、毎日検査を行っていましたが、ずっと不検出が継続されているので、その後、毎日採取したものを1週間分まとめて測る今の方式になっています。

牛乳は小さな子どもを含めた多くの人が日常的に口にする食品なので、高感度の検査を継続し、段階を経ながら、検出下限値を下げるようにしています。
詳しくはこちら≫
5年間の検査実績からも、牛乳の放射能が不検出の状態から急に大きな値になるということは、現状ではまずないといえます。

不検出が続けられている理由のひとつに、生産者団体自身が測定器を所有して、エサなどの放射能測定を続けていることがあります。エサとなる牧草などの放射能汚染を生産者自身が調べ、汚染された牛乳を出さないためのノウハウを確立してきた努力が背景にあるのです。

また、生活クラブの牛乳は、指定の生産者以外の原乳が入ることはなく、酪農家まできちんと把握できるので、放射能検査体制もしっかりしたものにできます。遺伝子組み換え対策のためもあり、乳牛が食べる飼料まですべて明らかになっているので、仮に放射能が検出された場合にも、牛やエサなどの特定が容易なのです。一方、一般の大手メーカーの牛乳はいろいろなところから原乳を調達している場合が多いので、このようにはいきません。

生活クラブだからこそ生み出せる
安心でおいしい牛乳を味わってください

牛乳は、生活クラブの中でももっとも多くの回数、検査をしており、毎日分それを続けている消費材なので、放射能検査全体のベースにもなります。万が一何か(新たな原発事故や原子爆弾使用、実験)があったとき、牛乳の検出結果に大きな変化があれば、すぐに異変に気づいて他の食品も含めて調べることができます。ここ5年以上ずっと不検出が続いているからこそ、わずかな兆候でも捉えることができる、定点観測の指標になる消費材と言えるのです。
提携生産者の原乳を使って自前の工場で生産する、生活クラブだからこそ可能な安心で安全な牛乳。ぜひみなさんに、安心しておいしく飲んでいただければと思います。

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vol.6 2016.10 2016.10おいしい新米の季節! 検査の様子ってどんなふう?

放射能検査なるほどコラム Vol.6

おいしい新米の季節!
検査の様子ってどんなふう?

新米の季節になりました。生活クラブでは毎年、組合員にお届けするより早く、各地の新米の放射能検査を行います。生活クラブ連合会放射能検査室(埼玉県さいたま市)で実施されている新米の検査の様子をお知らせします。

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基準値の厳しい米の検査は
高精度の「ゲルマニウム半導体検出器」で実施

生活クラブで2016年春に新たに定めた放射能の自主基準値。その中でも米は、基準値が5Bq/kg、検出下限値が1Bq/kgと、飲料水や牛乳と並んで厳しい基準となっています。そのため、検査は高精度の測定が可能な「ゲルマニウム半導体検出器」によって行います。
米の放射能検査は、普段も週に2~3検体ずつを順番に行っています。その場合は、組合員と同様の物流ルートで受け取った消費材を検体としますが、この新米の時期には取り組みのある米のすべてについて早期の検査が必要なので、収穫した米を生産者からすぐに直接送ってもらい、検査をします。そのため、精米する前の玄米を銘柄ごとに検査することが多く、今年は16種の玄米を検査しました。greenline生活クラブでは、山形県遊佐、栃木県黒磯、長野県上伊那、宮城県加美よつば、千葉県旭、岩手一関、北海道江部乙のお米を取り扱っています。
そのほか、地域ごとに栽培しているお米を地域限定で共同購入をしています。
≫生活クラブのお米についてはこちらgreenline

生産者から直接送られた新米を
供給前に次々検査します

この日も検査室には、たくさんの銘柄の米が生産者から届いていました。今回の取材時に検査を行ったのは、JA庄内みどり(遊佐)のササニシキオリジンです。まず、米を検体容器に入れますが、このときに均等に入れることが正確な測定のコツということで、隙間がなるべくなくなるようにきれいにならします。これは2ℓ入る容器で、2ℓ分の検体があれば(特に重量の軽い検体でない限り)、検出下限値1Bq/kgで約1時間で測定ができます。容器いっぱいに米が入ったら、重さをはかったのち、測定器の中に入れ、ふたを閉めて測定を開始します。測定結果はパソコン画面で確認できるようになっています。
新米であっても、検査のやり方自体は普段の米のときと変わりませんが、生産者から取り寄せた大切な新米ですし、毎日みなさんが食べるものだから漏れなどのないよう現場で点検をしっかりして検査をしています。

【検査の様子】
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【検査結果】20161101kensa

しっかりと検査をした
生産者自慢の新米を楽しんでください

高精度の検査ができるこのゲルマニウム半導体検出器は、2016年春に生活クラブに導入され、6月から本格稼働を始めました。それまで外部機関に委託していた高精度の検査が内部でできるようになったことで、新米の検査も早急に行うことができ、他の消費材でも再検査などの小回りがきくようになったとのことです。
この検出器の特徴として、機械に使用しているゲルマニウムの結晶を冷やしておくために、マイナス196℃の液体窒素を使用しているという点があります。この液体窒素は1日1kgぐらい減っていくので、2週間に1度ほど補充が必要。ちょうど取材と補充のタイミングが重なり、タンクから液体窒素を測定器の下の部分へ入れる作業も見ることができました。この超低温の液体窒素を使っているため、測定器のセンサー部分が結露しやすく、それを防ぐために検査室の除湿は欠かせません。室温も、夏も冬も年間を通して24℃程度に保たれているそうです。

【タンクから液体窒素を補充する様子】
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消費材を組合員に安心して食べてもらえるように、生活クラブではこのような放射能検査を手間をかけ丁寧に行い、結果もすべて開示しています。今週のカタログから、すべて新米でお届けします。各地の生産者が手をかけ心をこめて生産したこの時期ならではの新米も、ぜひ心ゆくまでお楽しみください。
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vol.5 2016.9 2016.9教えてハカセ!② 被曝についての素朴な疑問

放射能検査なるほどコラム Vol.5

教えてハカセ!②
被曝についての素朴な疑問

「教えてハカセ!」シリーズ、今回は放射能の被曝について取り上げます。外部被曝と内部被曝のことなど、いろいろな側面からハカセに聞いてみました。

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放射線は遺伝子の結合を分断しうる
莫大なエネルギーを持っている

---放射線の被曝が怖いのは、どういう理由からなんですか?
放射線の持つエネルギーは、すさまじいものだからです。放射線は、およそ100万ボルトの電圧ぐらいのエネルギーを持っています。それに対して、化学物質の原子と原子を結びつける力はたかだか10ボルト。つまり、放射線が1個エネルギーを放出すると、10万個ぐらいの化学結合を分断することが可能なわけです。化学結合の固まりである遺伝子などは、放射線を受けることによって配列がずたずたになってしまう。それぐらい、放射線というのは莫大なエネルギーを持っているんです。

外部被曝と内部被曝の両方に
それぞれ注意が必要

---外部被曝はどのようなもので、どうすれば防げますか?
外部被曝とは、文字通り放射線を外から浴びること。屋外では放射線はどんどん分散して広がるので、放射性物質から離れれば離れるほど薄くなります。だから、放射性物質から距離を取るというのは、外部被曝から身を守るために有効な方法です。放射線をさえぎることも、もちろん有効です。ただ、放射線の中でもアルファ線は紙、ベータ線はアルミ板などでも簡単にさえぎることができるのですが、ガンマ線をさえぎるには鉛の板や数十センチの厚みのある水がないといけません。何メートルも厚みのある水なら、中性子線も止めることができます。原発の使用済み燃料の貯蔵プールはそれを利用していて、数メートルの深さの水に使用済み燃料を沈めているので、プールサイドを人が歩いても大丈夫なのです。
一方で、原発事故の作業現場で使われているレインコートのような簡易な「防護服」は、実は放射線をさえぎるためにはまったく役立っていないんですね。放射性物質のほこりが服につかないようにはできますが、放射線をさえぎってはいないのです。

【放射線の透過力】
20160923toukaryoku
 
■出典:「放射線の基礎知識」(文部科学省)
 (http://www.mext.go.jp/b_menu/shuppan/sonota/attach/1314159.htm


---内部被曝はどのようなもので、何に注意すればいいですか?
内部被曝は、放射性物質を身体の内部に取り込んで被曝すること。水や食品中や空気中の放射性物質を「食事」や「呼吸」で取り込むことで起こります。食べ物に注意するのと同時に、放射性物質を含むほこりなどを吸い込まないようにすることも大事です。
東京電力福島第一原発事故から5年以上が経ちますが、実は福島県内のほこりに含まれている放射能は案外減っていないという事実があります。住宅地や市街地は除染されても、細かいほこりのようなものは、除染されていない土地や山林などから舞ってきてしまうからです。吸ったほこりがのどを通過して肺まで入ってしまうと、体外に出ることはまずないので注意が必要です。汚染のひどい場所には立ち入らないことが一番です。

放射能は体内に入るととても怖いもの

---アルファ線やベータ線は透過力が弱いのに、内部被曝では要注意と言われるのはどうしてですか?
アルファ線やベータ線は、ガンマ線などより透過力は弱く、外部からの場合は、建物や洋服でさえぎられることがほとんどです。しかし、だからこそ内部被曝では注意が必要。なぜかというと、放射線は、止まったときにそこでエネルギーを放出する性質を持つからです。つまりアルファ線やベータ線が食物などと共に体内に入った場合は、直接胃壁や血管などに当たって、止まった瞬間にそこで小さな爆発を起こすようなイメージです。逆に透過力の強いガンマ線は、体内で発せられても通過してしまう量のほうが多い*のです。だから内部被曝については、よりアルファ線やベータ線への注意が必要なのです。
*条件によって、体を通過するときに何%かは体内で止まって体に影響を与えると考えられる

【外部被曝と内部被曝のイメージ】
20160923hibakunozu食物についての国の放射能基準値は、内部被曝だけを想定して設定されています。しかし、実際には外部被曝の影響もあることを考慮しなくてはいけません。だからこそ生活クラブでは、「食べ物からの内部被曝のリスクはできるかぎり少なくすべきである」と考え、国の基準より低い、放射能の自主基準を設定しているのです。

【生活クラブの自主基準】
20160923scjisyukijyun
 
*飲料水には、国の基準と同じ「緑茶」だけでなく、「麦茶」や「抹茶」などの茶類を含みます。
*「生椎茸」を除く「きのこ類」を含みます。
*検出下限値を目標としている理由は、測定する消費材の比重などにより、検査結果にバラつきが生じるためです。

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vol.4 2016.8 2016.8教えてハカセ!① 人と「放射能」の関係って?

放射能検査なるほどコラム Vol.4

教えてハカセ!①
人と「放射能」の関係って?

今回からコラム内で不定期にお届けするシリーズ、「教えてハカセ!」がスタートします。最新のニュースやトピック以外の、放射能についての基本的な事柄を、生活クラブのハカセ(博士(工学)/専門分野は環境科学と安全工学)に教わります。知りたいことや素朴な疑問、どんどんぶつけますよ!
まずは、人にとっての「放射能」ってどんな存在だろう?というあたりから。

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150億年かけて放射能が減った世界だから
人間は生きられる

---放射能って天然にあるものですよね?いつからあるんですか?
宇宙ができた150億年前からあります。宇宙ができたときは、宇宙は放射能だらけでした。放射能には半減期(放射線を出す能力が半分になるまでの時間)があり、半減期の短い放射能からどんどんなくなっていって、150億年経って天然の放射能がここまで少なくなった世界だからこそ、今、生き物が住めていると言えます。
逆に言うと、宇宙誕生以来150億年かけても消えずに今まで残ってきた天然の放射能は、人間の生きる短い時間の中でなくなることはほぼありません。天然のウランや天然のカリウムといった放射能は、私たちの住む地球からはなくなることはないのです。

人工的な核分裂で
強い放射能が多量に作られるように

---天然の放射能と人工的な放射能は、どのように違うのでしょうか?
ウランなどの天然にある放射能は、仕方のないものとしてそれから逃れながら生きる工夫をすればよいわけです。しかし悪いことに、人間は人工的に放射能を作り出してしまいました。元々自然にあるウランの放射能などは大した量ではないのですが、そのウランを核分裂させると、非常に放射能の強い核分裂物質ができます。そのひとつがセシウム134やセシウム137やストロンチウムですが、これらは元々のウランに比べるとすさまじく放射能が強いのです。核分裂を起こさなければ天然にある元々の放射能を増やすことにはならないのですが、人間がわざわざウランに中性子を当てて核分裂を起こした結果として、多量の核廃棄物ができて、処理に困っているような状況が生まれてしまっています。まして、爆発が起こってしまった東京電力福島第一原発のような状況では、管理できない状態となり、多くの人を苦しめることになってしまうのです。

---核分裂というのはどのような仕組みで起こるんですか?
原子を構成する「原子核」は陽子と中性子でできています。陽子と中性子の組み合わせによって、安定した原子核・不安定な原子核がありますが、不安定な原子核は、分裂して別の原子核になろうとします。これが核分裂の基本的な仕組みです。
人工的に核分裂を起こす場合で言うと、例えばウラン235というのは92個の陽子と143個の中性子でできているのですが、これに中性子を当てて、236個のつぶつぶをぐにゅっと2つ(もしくは2つ以上)に分けるわけです。そのときにその2つが何個ずつのどんな原子核にそれぞれなるかは、分かれてみないとわかりません。こうして核分裂の中では、ありとあらゆる種類の原子核が生まれます。

核分裂のしくみ
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1.核燃料になるウラン235は、92個の陽子(黒)と143個の中性子(白)でできています。
2.陽子は中性子で結びついて1つの原子核になっています。
3.ウラン235の原子核に、外から中性子がひとつ入り込むとウラン236になります。しかし、これは不安定ですぐに割れてしまいます。
4.ウラン236は核分裂して、たくさんのエネルギーと数個の中性子を放出します。この中性子がさらに別のウラン235に入り込んで、核分裂が連鎖します。

人の手で増やした放射能が人の生活をおびやかす

---放射能で特に問題となる核種は?
核分裂で生まれる原子核の中には、すさまじい放射線を出しながらミリ秒、マイクロ秒といった短い半減期であっというまに崩壊して消えてしまうものもあれば、少しずつ放射線を出しながらゆっくり何億年もかけて崩壊していくものもあります。そうしたさまざまな種類の原子核の中で、半減期が数年から数十年で、そこそこ放射能が強いものが人間にとって影響力が大きい厄介な存在となります。セシウム134(半減期2年)、セシウム137(半減期30年)、ストロンチウム90(半減期29年)などがそれにあたります。クリプトン85(半減期10年)といった放射性物質も生成されますが、これはガス状で他の物質と化学結合しない性質を持つため、どんどん空気中に上って薄まってしまい、あまり問題にされません。

---人間と核のエネルギーの関係をどう考える?
天然に存在するウランを使って核分裂を起こし、大きなエネルギーを得ることを人類が始めたのは、第二次世界大戦中のことです。まず作ったのは原爆、そのあとに原子力発電ですが、核分裂反応を使うという意味ではどちらも同じです。どちらもすさまじく放射能を増やす装置なので、原料であるウランの元々の放射能よりも原爆が爆発した後の放射能のほうが多いし、燃料のウランの放射能よりも原子炉の使用済み核燃料の放射能のほうが多いのです。
放射能は全部危険なものであって、安全な放射能というものはありません。一部で体によいなどとされるラジウム温泉も、微量の放射線を浴びるものであり、安全とは言えません。放射能は体の遺伝子に対して損害しか与えないのです。
地球には太陽からたくさんエネルギーが降りそそぎ、自然のエネルギー源も複数あります。その利用を不十分にしたまま、危険な放射能を次々生み出し利用するようなことは、人は決してやるべきではありません。生活クラブでは、そのような考えから、再生可能な自然エネルギーを基本とした電気の共同購入を始めています。

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vol.3 2016.7 2016.7すくすくカタログ掲載食品「不検出」その舞台裏、教えます!

放射能検査なるほどコラム Vol.3

すくすくカタログ掲載食品「不検出」
その舞台裏、教えます!

生活クラブでは2016年4月から、放射能の自主基準値をそれまでの半分以下へと大幅に引き下げました。中でも注目されるのは、毎日の子育てを応援する「すくすくカタログ」に掲載の食品は、すべて「不検出」を基準としたことです。今回のコラムでは、このトピックについて詳しくご紹介します。

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基準値「不検出」までの準備期間

「すくすくカタログ」の創刊は、今から約1年あまり前の2015年4月。実は、自主基準改訂前のこの時期からすでに、「すくすくカタログ」に掲載する乳児用食品(粉ミルクやベビーフード)については、検出下限値の目標を1Bq(ベクレル)/kgと、厳しい基準に設定して測っていました。そして2015~2016年の1年かけて、確実に「不検出」という結果を重ねていたのです。こうした準備期間を経て、2016年4月に、すくすくカタログ掲載食品については検出下限目標値1Bq/kgの計測で「不検出」という自主基準を打ち出すことになりました。

「低い検出下限値」+「不検出」だから意味がある

この「不検出」という基準は、計測時の検出下限値の目標を低くすることとセットでないと意味がありません。検出下限値というのは測定の限界の値のことを指すので、例えば「5.5Bq/kgの検出下限値で不検出」となった場合は、5.5Bq/kg以下の放射性物質が含まれている可能性は残ることになります。「すくすくカタログ」では、その検出下限値の目標を1Bq/kgと非常に低く設定しているので、「不検出」にも大きな意味があるのです。(生活クラブでは「飲料水」「牛乳(原乳)」「米」についても、検出下限値の目標を1Bq/kgとしています。)

子どもに食べさせるものは安心・安全であってほしい

「不検出」という厳しい自主基準を設定することになった背景には、「やはり子どもに食べさせるものは限りなく安心・安全であってほしい」という親の願いと、その願いに応えたいと考える生活クラブの姿勢があります。
国が定めた放射性セシウムの基準値を見ると、乳児用食品の区分では50Bq/kgとなっています(一般食品は100Bq/kg)。この値も国として食品の安全と安心を考えた設定ですが、生活クラブでは、さらにできる限りの安心を追求したいと考え「不検出」を基準値としました。お母さんたちが子どもの食べもののことで不安になったり、あとから自分を責めたりすることがないように、というのが私たちの願いです。

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たまごボーロは検査の難敵!?

「すくすくカタログ」に食品が掲載されるまでの流れですが、だいたい3カ月ぐらい前までに掲載予定品目が決まります。半年以内に検査が行われていない消費材については検査を行ない、すべてきちんと「不検出」の結果が得られたことを確認したうえでカタログに掲載となります。
すくすくカタログ掲載食品の検査は、基本的に新しく導入したゲルマニウム半導体検出器で行っています。検出下限目標値1Bq/kgの検査には2ℓの検体が必要なので、例えば容量がとても少ないベビーフードなどは、1回の検査のために20個ほど用意しなければなりません。また検査に意外と苦労するのが子ども向けのお菓子。特にたまごボーロは、固くて崩れにくく空気がなかなか抜けないので、検体を入れる容器にぎゅっといっぱいに詰めるのがとても手間がかかったという裏話があります。

小中学生がいるご家庭でも目を通すと役立ちます!

「すくすくカタログ」は乳幼児のいる家庭向けのカタログと思っている方もいるかもしれませんが、掲載されているのはベビーフードや粉ミルクだけではありません。カタログを見ると、肉類や加工食品など小中学生の食事に登場するような消費材もたくさん紹介されています。これらはすべて検出下限目標値1Bq/kgの厳しい検査で「不検出」となった食品ということ。ですので、乳児や幼児のいる家庭でなくても、届いたすくすくカタログにさっと目を通して「ああ、こんな食品が『不検出』なんだ」と確認し、役立ててもらえるといいですね。

~たとえば8月の「すくすくカタログ」では、こんな消費材が登場します。~
  • ・8月1回 餃子の皮2袋、ごま油500g、ミックスチーズ、低脂肪牛乳1000ml
  • ・8月2回 国産十割こうじみそ・袋、マヨネーズ、ナン、豚肉切り落とし300g
  • ・8月4回 鶏肉ムネ250g、焼き肉のたれ、食酢
  • ・8月5回 まぐろ油漬缶4缶組、手延べそうめん、小粒カップ納豆(カジノヤ)

これらは、ぜんぶ検出下限目標値1Bq/kgで「不検出」です。

【2016年7月25日】

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vol.2 2016.6 2016.6「ゲルマニウム半導体検出器」って どんな機械?どう使ってるの?

放射能検査なるほどコラム Vol.2

「ゲルマニウム半導体検出器」って どんな機械?どう使ってるの?

今月の「放射能検査なるほどコラム」では、2016年度から生活クラブに導入された新しい放射能測定器「ゲルマニウム半導体検出器」について、いろいろな角度からご紹介していきます。

精度の高い検査が可能な「ゲルマニウム半導体検出器」

生活クラブでは6台目の放射能測定器となる「ゲルマニウム半導体検出器」。既存の5台の測定器(NaIシンチレーションカウンター、CsIシンチレーションカウンター)とはしくみの異なる、非常に精度の高い放射能検査ができる機械です。このゲルマニウム半導体検出器は、ゲルマニウム半導体に放射線が当たると流れる電気を測るしくみで、放射線のエネルギーを正確に測定できるのが大きな特徴。自然界に元々存在しているウランなどの放射性物質から出る自然放射線と、原発などによる人工放射線を完全に識別して測定できる機械です。

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検出下限目標値の厳しい食品をゲルマニウム半導体検出器で検査

このゲルマニウム半導体検出器は、生活クラブ連合会の検査室(大宮)に配備され、6月から検査を開始しています。ではこの機械では、どのような食品の検査を行っているのでしょうか。
生活クラブでは2016年4月から、放射能の自主基準値を大幅に引き下げ、同時に検査の精度をあらわす検出下限値の目標を公開しました(コラムVOL.1参照≫)。この中で、検出下限値の目標を1Bq/kgともっとも厳しく設定している「すくすくカタログ掲載食品(乳児用食品含)」「飲料水」「牛乳(原乳)」「米」は、基本的にすべてこのゲルマニウム半導体検出器で検査を行います。また、検出下限値の目標が次に厳しい2.5Bq/kgの食品の多くも、ゲルマニウム半導体検出器で検査しています。

2016年4月からの生活クラブ放射能新自主基準と検出下限目標値

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1)飲料水には、国の基準と同じ「緑茶」だけでなく、「麦茶」や「抹茶」などの茶類を含みます。
2)旧基準の「乳製品②」を「乳製品①」に結合し、新基準の「乳製品」とします。
3)新基準の「青果物」には、「生椎茸」を除く「きのこ類」を含みます。
4)検出下限値を目標としている理由は、測定する消費材の比重等により、検査結果にバラつきが生じるためです。

厳しい検出下限値での検査でもより短い時間で測定が可能

ゲルマニウム半導体検出器による検査に必要な時間はどれぐらいかというと、検出下限値1Bq/kgで測る検体の場合は、2ℓの容器を使い約1時間かかります。検出下限値2.5Bq/kgの場合なら、2ℓの容器で約20分となります。1ℓの容器でも約1.5時間で測れるようになりました。
ゲルマニウム半導体検出器導入前は、検出下限値2.5Bq/kgで測る場合、2inch NaIシンチレーション検出器を使って1ℓの容器で約20時間かけていました。ゲルマニウム半導体検出器なら一ℓの容器で1.5時間で検査可能です。厳しい検出下限値の設定でも約1~1.5時間で1検体の検査が済むゲルマニウム半導体検出器は、極めて性能が高いことがわかるかと思います。
現状では、この機械で日中に検査する検体の数は1日6検体ほど※。月曜から金曜までの5日間で30検体前後というのが標準の検査数です。
※夜間は別の機器で検査した検体の確認検査を8時間ほどかけて行っています。

放射能が減ってきた今だからこそ大きな意味がある

このように精度の高い検査を行うことができるゲルマニウム半導体検出器。「なぜ、今このタイミングでの導入なのか?」には理由があります。
まずひとつには、2016年4月から、生活クラブの放射能自主基準を引き下げ、検出下限値の目標も公開したこと。これまでも高精度の検査は外部に委託して行っていましたが、生活クラブの内部にゲルマニウム半導体検出器を配備することで、厳しい基準での検査をより多くの回数や頻度、行う体制が整いました。また、東京電力福島第一原発事故から5年が経過し、セシウム134の半減期が2回過ぎて、放射能セシウムは事故直後の半分以下に減ってきているので、少ない放射線量を正確に測れる感度のよい機械が必要になってきたという理由もあります。事故直後は高い濃度のものを多品目検査しなければいけなかったので、精度の高い機械一台よりも、より安価な機械を多くの台数入れて測ることのほうが急務でした。現在は1Bq/kgや2.5Bq/kgといった厳しい検出下限値の目標で測ることが多くなってきたので、ゲルマニウム半導体検出器を導入することに大きな意味があるのです。

ゲルマニウム半導体検出器での検査も!「不検出」のリストを公開

生活クラブではこれまでも放射能検査の結果をすべて公開してきましたが、それに加え新たにこの6月からは、放射能検査で不検出だった消費材のリストをWEB上に毎月アップする取り組みを始めました。「ひと月の検査の中でどれだけの消費材が『不検出』だったか」を一覧できるリストです。特に表の最初のほうには、1Bq/kgという厳しい検出下限値の目標で測定した結果「不検出」だった消費材が並んでいます。これらはゲルマニウム半導体検出器によって測定された検査結果です。厳しい検出下限値での検査でも多くの消費材が不検出である安心感を、このリストから感じていただければと思います。
不検出リストは放射能検査結果アーカイブからご覧ください。

【2016年6月27日】

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