検査結果はすべて公開し
アーカイブしています。

生活クラブでは、ただ放射能検査を実施するだけでなく、検査結果を公開することも重要だと考えています。検出下限値も含めてすべて公開することで、組合員ひとりひとりが検査結果を利用して放射能汚染の実態を把握できるからです。
ここでは、毎月の検査結果のアーカイブと、放射能に関する月間コラムを見ることができます。

月刊コラム
Monthly Columun

毎月更新の「放射能検査なるほどコラム」。
生活クラブの放射能検査のしくみや放射能対策について、わかりやすくお伝えします。

vol.17 2017.09 2017.09生活クラブの放射能検査数が累積10万件を突破!

放射能検査なるほどコラム Vol.17

生活クラブの放射能検査数が累積10万件を突破!

東京電力福島第一原発の事故後、独自の基準値のもと放射能検査を積み重ねてきた生活クラブ。先日、その累積検査件数が「10万件」を超えました。6年余り継続してきた検査で至った「10万件」という大きな数字。その経緯や意味合いを振り返ります。

「組合員が放射能汚染の実態を認識し、消費材の利用を計画し工夫できるようにすること」
「子どもたちに安心して与えられる食品を供給すること」
「提携生産者と共に、産地の放射能汚染の実態を把握しその低減策を模索すること」
生活クラブの放射能検査には、そんな目的があります。そして、この目的を達成するために地道に「不検出」という結果を積み上げてきたのが、生活クラブの放射能検査です。10万件の検査結果のうち、9万7530件が不検出です。毎月、組合員に配布される放射能検査ニュースやWEBサイトでも、このことをみなさんにお知らせしています。

2017年の8月に10万件を突破

2011年より続けてきた、生活クラブの消費材の放射能検査。さる2017年8月に、練習や確認を除いた検査報告件数が10万件を超えたことを確認しました。記念すべき10万件目の測定は、埼玉県さいたま市にある生活クラブ検査室の5号機で、8月18日深夜23:45に実施した消費材「北海道の黒豆煮豆」の測定でした。結果はもちろん不検出。5号機はロボットアームによる自動交換により、誰もいない時間帯でも連続測定ができる機械なので、深夜の10万件達成となりました。

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生活クラブ検査室:(左)5号機 (右)高精度の検査が可能な6号機

農畜水産物も加工食品もまんべんなく検査して10万件

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10万件の検査をジャンル別に集計すると、青果物が53,278検体で過半数を占めています。続いて、惣菜9,063検体、菓子5,870検体、調理素材5,725検体、魚介4,819検体、乳製品3,448検体、魚介加工品 3,418検体、麺類・軽食 2,926検体、調味料 2,622検体、豚肉 1,697検体、茶・飲料 1,517検体、牛肉 1,507検体、鶏肉 1,137検体、その他2,973検体となっています。農畜水産物(一次産品)だけでなく、加工食品もまんべんなく検査していることが、生活クラブの放射能検査の特徴です。

またこの10万件のグラフを見ると、福島原発事故後の2011年秋頃から検査数が飛躍的に増えていることがわかります。これは、生活クラブで自前の放射能測定器(1号機・2号機)が稼働し始めたからです。

10万件を達成するまでの道のり

少しさかのぼって振り返ると、福島第一原発事故が起こる前までは、放射能検査といえば主に1986年4月のチェルノブイリ原発事故由来の放射能汚染を測定することでした。生活クラブでは「放射能汚染食品測定室」(市民・研究者・生活クラブを含む複数の生協・自然食品取扱い事業者が協力して設立)で消費材の検査を行っていました。チェルノブイリ原発事故から10年以上が経つと、一部の輸入食品などを除いてはほとんど不検出となり、生活クラブが依頼する放射能検査も毎月数検体という数でした。

ところが2011年3月11日の東日本大震災による東京電力福島第一原発の事故により、多量の放射能が環境中に放出されたことから、放射能汚染食品測定室も格段に多くの検体の放射能測定を行う必要が出てきました。しかし2台の測定器をフル稼働しても、1日15検体の検査枠を作るのがやっと。生活クラブにも1日3検体の検査枠が割り当てられたので、定点観測のために毎日2検体の原乳(栃木工場と千葉工場)の測定、汚染分布を知るために1検体の畜肉(肥育した牧場を指定して順番に検査)の測定を続けました。

数多くの検査を重ねさらに厳しい自主基準値へ

2011年9月には、生活クラブ内に自前の放射能測定器を2台導入し、多検体の検査を行うことが可能となりました。最初の3ヵ月間は、1検体5分間の測定(検出下限値 150Bq/kg程)という短い検査で、国の基準値(当時は500Bq/kg)を超えていないことを確認するのを最優先として、とにかく多くの検体を検査しました。土日も休まずに、毎週供給する全品目600検体の測定を行った時期(第1ステップ)です。

その後、「検出下限値を徐々に低くする(検査の精度を上げる)」「国の基準より厳しい自主基準値を定めて運用する」「自前の放射能測定器の台数を増強する」などに取り組みながら、放射能検査を行ってきました。2016年春からは、精度の高いGe半導体検出器を配備し、自前の放射能検出器は計6台に。また検査実績を踏まえた新しい自主基準値を運用開始し、検出下限目標は自主基準値の1/4以下としました。現在もこの体制を引き継いでいます。

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「累積検査数10万件」という数の大きさ

ひと口に「10万件」といっても、それがどの程度の数字なのかはピンとこないかもしれません。10万件の検査がどれぐらいの意味を持つかというと、例えば厚生労働省が食品の放射能検査をした結果を集約している国立保健医療科学院のWebサイト※がありますが、2011年3月の事故以来の検査件数は「約189万件」です。生活クラブの累計検査数の「10万件」は、全国にある国立研究所や保健所などが測定した総数の、実に19分の1に達するほどの数なのです。また、この集計では畜産物は143万件と多い一方で、農産物は23万件など検査数に偏りがあることがわかります。例えば農産物の検査件数を比べると、生活クラブの5万件は、全国にある国立研究所や保健所などの検査数の約4分の1に達するほどになります。
※ 国立保健医療科学院のWebサイトURL:
http://www.radioactivity-db.info/CategoryList.aspx

検査体制を支える組合員の意識

現在、生活クラブは6台の放射能測定装置を保有しています。それぞれの価格は下図のとおりで、6台の合計で4,159万円(税別)です。

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その他にも、提携生産者に支払う検体の買い取り費用や、検査の実務作業を委託する費用、測定装置の保守メンテナンス費用なども合わせて、年間数千万円がかかっています。このような生活クラブの検査体制を維持しているのは、安全な消費材を厳しい自主基準をクリアすることで確認しようとする組合員の意識にほかなりません。

放射能汚染の恐さを胸に刻みながら活動を続けます

放射性セシウム137の半減期は30年です。その3倍の期間の90年が経っても、最初の量の8分の1にしか減りません。8000 Bq/kg未満の廃棄物が、1000 Bq/kg未満になるだけです。放射能という存在の恐さ、原発事故というものの恐ろしさを胸に刻みながら、私たちはこれからも放射能検査を続けなくてはいけません。そして、検査で放射能が不検出になる日がやってくるためには、原水爆実験や原子力発電などによって環境に放射能汚染がもたらされる事態はなくさなければいけません。そのためのいろいろな活動も、生活クラブは続けていきます。

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vol.16 2017.08 2017.08生活クラブでは放射能検査の見学を実施しています

放射能検査なるほどコラム Vol.16

生活クラブでは放射能検査の見学を実施しています

東京電力福島第一原発の事故以来、独自の厳しい基準による放射能検査を実施し、放射能検査数では国内屈指の実績を重ねてきている生活クラブ。その検査の拠点である生活クラブ連合会検査室(埼玉県さいたま市・生活クラブ埼玉大宮センター内)では、申し込みを受けて、組合員の見学を受け入れています。見学はどのように行われ、組合員からはどんな感想が聞かれるのでしょうか?ある日の見学の様子をレポートします。

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生活クラブ連合会検査室

生活クラブの組合員活動の一環として

今回放射能検査の見学を行ったのは、生活クラブ埼玉大宮ブロックの組合員。食、エネルギー、環境などの問題に目を向け「サステイナブル(持続可能)な暮らし方」をめざすためのさまざまな活動をしている、「サステイナブル委員会」のメンバーです。この大宮ブロックサステイナブル委員会では、8月20日に生活クラブ埼玉の主催で行われた「エコフェス(環境フェア)」の展示で、放射能汚染の問題を取り上げるため、その学習の一環として放射能検査の見学を計画した経緯でした。

見学前に資料に沿って基本をおさらい

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品質管理部品質管理課 沼尾課長

当日はまず会議室で、生活クラブ連合会品質管理部品質管理課の沼尾課長より、生活クラブの放射能汚染対策全般についての説明がありました。
生活クラブが所有する放射能検査機器は、現在1号機から6号機までの6台あることが説明されました。そのうち1~4号機は青果物を仕分けしている戸田デリバリーセンターにあり青果を検査しています。飯能デリバリーセンターにあった5号機が連合会検査室へ2017年4月に移ってきたのが最近のニュース。この5号機と、最も精度の高い検査のできるゲルマニウム半導体検出器である6号機の2台が、この検査室で稼働しています。

生活クラブの放射能検査が、国の基準よりもはるかに厳しい自主基準値のもとで行われていることも、あらためて説明がありました。生活クラブの自主基準では検出下限目標値も明示されていますが、なぜ検出下限値を示すのかという点について、放射能の測定一回一回には揺らぎがあるので、基準値以下であることを確実に測るためにはその4分の1以下の値までを測る必要があるからだという解説がありました。だから、生活クラブで定めている検出下限目標値は基準値の1/4以下になっています。生活クラブの放射能検査は国よりもはるかに厳しい基準で運用しており、その自主基準値をしっかり守った消費材を組合員に届け続けるために、日々検査をしている、という説明を受け、組合員も納得の表情を見せていました。
さらに放射性物質の性質などの基本的な情報についても簡単なレクチャーがあり、その後、実際の検査室の見学に移ります。

実際の放射能検査機器を間近で見学

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検査室には5号機と6号機があります。5号機はCsIシンチレーションカウンターと呼ばれる機種です。100mlの容器に入れた検体を並べておくと、測定の終わった検体と次の検体を自動で入れ替える機能があるので、終夜自動運転しています。この機械では、2時間程度の測定で下限値6 Bq/kgまで測れます。自動で検体の入れ替えができるこのタイプの検査機は、生活クラブではこの1台のみ。
もう1台の6号機は、2016年春に導入された、ゲルマニウム半導体検出器と呼ばれる機種。こちらは色々な使い方ができますが、2リットルの容器の検体を約1時間の測定で下限値1 Bq/kgで測れる、精度の高い機械です。主に、自主基準値25 Bq/kgまでの消費材は1~5号機を使い、それよりも基準値の厳しい消費材の検査は6号機を使います。この日は牛乳の測定を行っていました。このゲルマニウム半導体検出器はしくみ上機械を冷やす必要があり、液体窒素で冷やしています。機械に結露があってはいけないので室温を21℃・湿度を60%以下に保つようにしています。厚みのある鉛で遮蔽された内側に円筒型の検出器がある構造を、覗きこんで確かめることができるのも見学ならではの体験です。

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ゲルマニウム半導体検出器(6号機)

検査室の機械については、組合員からもさまざまな質問が出ていました。
●「それぞれの機械で1日にどれぐらい測っているんですか?」→「5号機は10検体/日、6号機は5~6検体/日ぐらい。5号機は自動で入れ替えができるので、週末は30検体ぐらいセットして月曜の朝までに測ります。」
●「牛乳などの液体は容器にそのまま入れているが、野菜などは砕いている?」→「はい。青果物は主に戸田デリバリーセンターの機械で測っているが、野菜はフードプロセッサーにかけて細かくしています。」
●「放射線に対する注意を促す放射線マークのようなものは必要ないのか?」→「機械から外に放射線を出すわけではないので大丈夫です。」
また、質問が出て関心の高さをうかがわせたのは、機械の値段。これについては、5号機は800万円、6号機は1200万円程度、という回答がありました。

見学を終えた後は、会議室に戻ってさらに質疑応答があり、活発に質問が飛び出していました。

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「放射能検査がより身近になった」という感想が多々

最後に、組合員に見学の感想を伺ったところ、さまざまな声が聞かれました。
「毎月『放射能検査ニュース』の紙が届くのは知っていて、ざっとは見ていたけれど、『シーベルト』と『ベクレル』という単位の違いも実はよくわかっていませんでした。今日の説明を聞いて、そのあたりもわかったのでよかったです。」
「2011年に原発事故が起こった当初は放射能に関する学習会もよくやっていたのですが、最近はそういう機会が減ってきていました。今回あらためて、生活クラブ内の活動などを通じて放射能についてもっと発信していかなければいけないと感じました。」
「事故が起きたときは気にしていた放射能のことも、今ではどんどん忘れてしまいがち。でも、生活クラブではこうして毎日地道に検査していて、その結果のものを食べているんだと実感できました。」
「原発や放射能のニュースは気にはかけていたけれど、今日、検査室を実際に訪問して感じることが多かった。800万円、1200万円といったお金をかけて機械を導入して、きめ細かい検査をした食品を食べられるというのは、普通のスーパーではできないことなのでありがたいと思いました。」

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案内をした沼尾課長からは、このような話もありました。「生活クラブでは、放射能だけでなく残留農薬や微生物などの検査も、かなりの労力と費用をかけてやっています。これは、組合員が払ったお金の中から予算を割り当ててやっていること。つまり生活クラブの検査体制は、組合員自身に支えられているものです。」

生活クラブ連合会検査室では、組合員の見学申し込みを各地の生活クラブを通して受け付けています。見学会の実施は、放射能検査への理解を深める活動のひとつ。こうした活動を通じて、組合員が消費材の届くまでの背景を知り、安心・安全な食べ物を「自分たちで選んで食べていく」という生活に寄与することをめざしています。

 

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vol.15 2017.07 2017.07教えてハカセ!⑤ 原発の再稼働の問題って?

放射能検査なるほどコラム Vol.15

教えてハカセ! ⑤
原発の再稼働の問題って?

福島第一原発事故から6年余り。過酷な事故の影響は今も色濃く、普通の暮らしを奪われたままの被害者も多数存在します。一方で、真剣な事故の反省もないまま、国内の原発は再稼働に向けて動いている状況でもあります。原発の再稼働の問題点について、あらためてハカセに聞いてみました。

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再稼働に向け動いていく日本国内の原発

---現在(2017年7月時点)、日本国内の原発はどういう状況にあるのでしょうか?

現在、日本国内には70基にも及ぶ原子力発電所(廃炉と着工準備中を含む)があります。そのうち、2017年7月現在、5基の原発が稼働しています。伊方原発3号機(愛媛県)、川内原発1、2号機(鹿児島県)、高浜原発3、4号機(福井県)の5基です。

---2011年に東京電力福島第一原発事故が起こってから、原発がまったく稼働していないときもありましたよね?

そうですね。2013年9月15日から2015年8月10日までの約2年間は、国内のすべての原発は稼働していませんでした。そしてその間、電力不足になることはありませんでした。

---でも、現在は5基が再稼働しているんですね。それ以外の原発の状況は?

複数の原発が、原子力施設新規制基準に係る適合性の審査の申請をしていて、原子力規制委員会がその審査をしています。現状、原子力規制委員会が、対策工事をすれば新基準に適合すると判断した原発は7基あります。高浜原発1、2号機、大飯原発3、4号機、美浜原発3号機(いずれも福井県)、玄海原発3、4号機(佐賀県)の7基です。玄海原発は佐賀県知事が再稼働に同意し、今秋にも再稼働するといわれています。

---思った以上にたくさんの原発が再稼働に向けて準備中なんですね。

現在、適合審査中の原発も13基あります。着工中の原発が3基あり、さらに9基の建設計画があります。

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出典:電気事業連合会図面集(2013)に補筆(2017.7.末現在)
参考:電気事業連合会 http://www.fepc.or.jp/theme/re-operation/

放射性廃棄物の処理方法があいまいなままの原発再稼働

---原発の再稼働には根強い反対もあると思います。再稼働の問題点としてはどのようなことがあるのでしょう?

そもそもの、原発という存在自体の問題点になりますが、原発の稼働によって生み出された放射性廃棄物の処理方法が確立されていません。原発で生み出された放射性廃棄物の多くは、その半減期を繰り返して減衰するのを待つしかなく、現在は、原発の敷地内や六ヶ所再処理工場の保管プールに保管されています。しかし、その保管場所は10年以内に枯渇するとされ、対応が必要です。

---どんな対応方法があるのでしょう?

日本では使用済み核燃料を再処理処分することにしています。再処理とは、使用済み核燃料をウランとプルトニウムと高レベル放射性廃棄物の3つに分ける作業のことです。しかし、1993年に建設開始した六ヶ所再処理工場は、相次ぐトラブルで今もなお操業を始められていません。使用済み核燃料の一部は、海外のイギリスやフランスの再処理工場で再処理されました。ごく一部が東海再処理工場でも処理されました。しかし、再処理で放射能が少なくなるわけではありません。ただ分別するだけです。

約95%を占める回収ウランは、不純物の放射能を含むため取扱いが難しく、現実に発電に再利用する目処が立っていません。電力会社は、この回収ウランを核燃料として資産計上していますが、本来なら処分費用がかかる核廃棄物に過ぎません。

---よく原発は「トイレのないマンション」と言われますが、放射性廃棄物の処理方法があいまいなまま、原発が稼働しているんですね、

一番の問題は、高レベル放射性廃棄物を1万年間以上安全に保持できる場所がないことです。地震国の日本にそのような適地があるとは思えません。はなはだ無責任な状態のまま、原発を稼動して放射能を量産していく。再稼働にあたって、この問題は何ら解決されていないのです。

実効性のある避難計画がないまま再稼働されている問題も

---再稼働にあたっての問題点は他にもありますか?

原発の再稼働は、原子力規制委員会が新規制基準に従って審査をしていますが、万が一の過酷事故発生の際の避難計画の策定は審査基準の対象となっていません。避難計画は、自治体任せになっているのが実情です。

---避難計画がきちんとできていなくても、再稼働の審査に適合とされることがあるわけですね。

原子力発電所を安全に運転するためには、万が一の過酷事故の場合に周辺住民を確実に安全に避難させるための避難計画策定は必須ですが、そこがおざなりにされており、福島第一原発事故の反省がまったく生かされていないと言わざるを得ません。

原発を稼働させることの危険性とは

---ところで素朴な疑問なのですが、稼働している場合と稼働していない場合では、原発の危険度は違うのですか?

定格運転中は、電力出力100万キロワットの原子炉は、330万キロワットの熱を出しています。例として150日後の使用済み核燃料(200万ワットの発熱があると考えられる)と比べると、1650倍の発熱量です。つまり、ごくざっくりとした計算ですが、原子炉を停止して150日後の使用済み核燃料と比べて、稼働中の原子炉には1650倍の多量の放射能があると推定できます。

このように、原発の稼働中は、半減期が短時間の放射能も含めて多数の放射性元素があり、放射能も発熱量も大きな状態ですから、稼働中の原発事故が最も恐ろしい事故です。緊急停止後の数分で、原子炉内の核分裂反応がすべて止まります。発熱量も半減します。その後の数時間で、発熱量はさらに半分になるといいます。

---なるほど。同じ量の核燃料だとしても、稼働中と停止中では事故が起こった場合の恐ろしさはまったく違うんですね。

ちなみに、福島第一原発は、地震の直後に緊急停止し、数日後に放射能を放出したため、半減期が短い放射能が消滅していました。東京電力は、放射性ヨウ素と放射性セシウムの合計(ヨウ素131換算値)で90京ベクレルを大気中に放出したと公表しました。今なお、多くの放射能が溶融デブリとなって、格納容器下部に堆積しています。

海外の原発の稼働はどのような状況か

---海外では、原発の稼働状況は現在どのようなものなんでしょうか?

アメリカ合衆国は、地球上でもっとも沢山の原発がある国です。現在、99基(合計出力約1億kW)の原子炉があります。これらはみな40年以上前に着工された古い原発で、今や次々と運転休止し、廃炉になっていきます。現在5基を新たに建設中ですが、2011年の福島第一原発事故で安全基準が厳しくなり、全体の建設コストが上昇するとともに、工期が遅れています。それと同時にアメリカ国内でシェールガスの開発が進んでいて、この安価な天然ガスを使った火力発電が急増し、原発のコスト競争力は相対的に下がっています。

※追記:8月1日にアメリカ合衆国で建設中の原発2基が建設断念されたと報じられました。
したがって、現在建設中は3基になります。さらに、別の2基も建設を継続するかどうかの判断を8月中にする予定になっていると報じられています。

フランスは、国策として原発を推進してきたため、58基の原発を擁する世界第2位の原発大国です。しかし、2011年の福島第一原発事故後、減原発を掲げるオランド大統領が当選し、2015年にフランス議会は、2025年までに全発電量のうち原発を約75%から50%まで削減することを決めました。2017年7月に仏環境相が、3分の1近くにあたる17基程度を閉鎖する見解を示しています。

ロシアは、欧州で広がった「脱原発」の動きを尻目に、原発推進の姿勢を崩していません。国営原子力企業であるロスアトムの元で、原発の建設を進めています。

韓国には、4か所に原子力発電所があり、そのうち2か所は日本海を挟んで日本のすぐ対岸に位置します。原子力技術を輸出する取り組みも進んでいました。しかし、新しい大統領は、原発新規建設計画を全面白紙化すると語り、脱原発時代を宣言しています。

ドイツ、イタリア、スイスなどでは脱原発の動きが見られます。ドイツは、原発8基の即時停止と2022年までの全廃を決定しました。イタリアは、国民投票の結果、反対票が9割超を占め、原発の再開を断念しました。スイスは、新規原発建設を停止する旨を発表し、2012年3月には一部稼働停止を決定しました。

---これまで原発推進だった国も、方向転換したりしているんですね。コスト高の問題もますますクローズアップされそうです。

原子力発電は不合理で不経済な発電方法

福島第一原発事故でその実態があらわになりましたが、やはり原発は不合理で不経済な発電方法です。使用済み核燃料の管理費や処分費、万が一の原発事故の損害を考えれば、原発が最も値段の高い発電方法と言わざるを得ません。「原発が安い」という喧伝は、本来原発の運転に必要な経費を小さく見積もっています。

原発は、地方差別の上に立地している装置であることも問題です。賃金格差のなかで被曝労働をする使い捨ての原発労働者を必要とする装置なのです。

---たとえ事故が起こらないとしても、被曝労働を前提に成り立っている発電方法ということですよね。

福島第一原発事故から6年余りが過ぎ、風化も心配される中、数々の問題に目をつむってここでなし崩し的に次々と原発の再稼働を許してよいのかということを、私たちはいま一度考えなければならないと思います。

生活クラブは脱原発社会に向けた取り組みを続けます

生活クラブでは、福島第一原発事故の発生以来、数度にわたり政府に要請や政策提案、パブリックコメントを行い働きかけしてきました。各地の原発再稼働反対のパブリックコメントや意見書も複数回提出しています。今後も、脱原発社会、持続可能なエネルギー社会に向けた積極的な取り組みを行っていきます。

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vol.14 2017.06 2017.06ビデオによる報告や活発な質疑など 放射能の学習会の様子

放射能検査なるほどコラム Vol.14

ビデオによる報告や活発な質疑など
放射能の学習会の様子

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生活クラブ連合会には、北海道から兵庫県までの21都道府県の33の会員生協(地域生協)が参加しています。その各地域生協の組合員の代表が定期的に集まって、生活クラブの方針やそれぞれの活動の共有をはかる場を持っています。さまざまなテーマの中で、脱原発や自然エネルギーについての情報共有も大きなテーマ。今回、放射能についての学習会の一環として、2月の連合会職員による「東京電力福島第一原発廃炉作業見学」の報告会を行ったので、その様子をお伝えします。

見学者の報告から福島第一原発の現状を知る

福島第一原発の廃炉作業見学については、この「放射能検査なるほどコラム」のVOL.11でも特集しましたが、見学者である槌田博 生活クラブ連合会 品質管理部部長から、直接組合員に見てきたことを報告する場ということで、皆が興味をもって学習会に参加していました。

槌田部長からはまず、資料に基づき、見学当日の足取りや福島第一原発の位置関係の確認がありました。つい最近まで原発から20km圏内は基本的には立ち入り禁止であったこと(※2017年4月より一部は避難指示解除が行われた)、それは東京を中心に考えると川崎や大宮といった場所に及ぶという説明があり、参加者からは驚きの声がもれていました。

【福島第一原子力発電所1~4号機の被害状況 2011年3月19日】20170703rc14_2
出典:https://www4.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/outline/2_11-j.html

1~4号機の現状の説明もありました。
●1号機はがれきの粉塵が散らないように接着剤で固めたうえで、建屋カバーを外した状態。格納容器内はロボット調査では最大毎時12シーベルトを計測し、これは30分間いたら致死量に達するほどの線量である。
●2号機は爆発は免れたので建物はきれいであるものの、内部の核燃料はかなり溶け落ちていて、格納容器内の放射能は最大毎時650シーベルトもの値(1分足らずで致死量に達するほど)が推計されている。
●3号機はほとんどすべての核燃料が溶け落ちた状態で、建屋の上の大きながれきはすでにきれいにしてあり、これからプール内のがれきを撤去しようとしている。
●4号機は核燃料取り出し済みである。

そして構内には汚染水の巨大なタンクが並んでいて、放射能除去作業後の汚染水をどんどん保管せざるを得ない状況であること、汚染水処理に使ったフィルターや作業員の使い捨ての防護服もすべて放射性廃棄物となってどんどん増えていっていること、などが説明されました。福島第一原発についての詳細な報道が減ってきている今、実際の見学者の口から様子を聞くことで、あらためて事故の重大さを感じます。

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汚染水保管用タンク

居住制限区域や帰還困難区域を通った際の録画ビデオを上映

福島第一原発の構内は見学者による写真撮影が禁止されていますが、今回の報告会では、槌田部長がバスで福島第一原発に向かうまでの、居住制限区域(当時)、そして帰還困難区域を通過する行程を録画したビデオを上映しました。15分にまとめたものを早送りせずに15分そのまま参加者に見てもらうことで、福島の居住制限区域や帰還困難区域が現在どんな状態なのかを、なるべくリアルに感じてもらう趣旨です。

バスの車窓越しに外の様子を映すビデオから、沿道の様子がわかります。見学当時(2017年2月)居住制限区域(自由に入ることはできるが、住んだり泊まったりすることはできない)だった場所は、2017年3月いっぱいまでで制限の解除が決まっていたため、徐々に住民が戻る準備をしている様子も見られた、との説明がありました。しかし、帰還困難区域にバスが進むと、店や家々の入り口にバリケードが張られ、廃墟となっている様子が映し出されました。

20170703rc14_4bバリケードで覆われた家々

ビデオには、バス内の見学者の持っている空間線量計のアラーム音も収録されています。バス内の線量が1マイクロシーベルト/時を超えると「ピッ」と鳴り、さらに2マイクロシーベルト/時を超えるようになると「ピーッピーッ」と強い警報音が鳴っている様子がわかり、見えない放射能の怖さを感じさせました。また、沿道の田畑や空き地には、ところどころに大量の袋が置いてある様子が見えて、これは除染した土を詰めて一時置きしているものだとの説明がありました。
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沿道に置かれた除染した土

居住制限区域や帰還困難区域のほんの一部を通過した15分間のビデオではありますが、その15分間のあいだにも広大な土地を通り過ぎ、その中には人が活発に行き来していたであろう数々の町や家、作物を生み出していたであろう膨大な田畑があり、原発事故で失われたものの大きさを実感せざるを得ない映像でした。

参加者による活発な質疑も

1時間近くの説明とビデオ上映の最後には、参加者からの活発な質疑も。福島第一原発の様子についての質問の他に、それに関連して6月の茨城県大洗町の原子力機構での作業員被ばく事故についての質問もあり、参加者のこのテーマへの関心の高さがうかがえました。中には、自分も福島第一原発の見学に参加したことがあるという組合員もいて、そのことを思い出しながらこの日の報告を聞いて胸が痛んだという感想も聞かれました。

原発のない社会をめざす運動の大切さをあらためて確認

槌田部長からは、「実際に見学をして、廃炉作業がようやく端緒についてきたことはわかったけれど、収束作業は困難を極めている。これから何万年も原発の放射能を漏れ出さないようにし続ける、その作業を背負わされるのは私たちの遠い子孫である」という話がありました。このような困難を人類に強いる、原子力エネルギーを使った発電方法からは脱却して、原発のない社会をめざしていくのが生活クラブの運動である、ということを、あらためて参加者全員が確認する意義深い学習会となりました。

生活クラブでは、このような食や環境に関する学習会や情報共有を地道に行うことで、各地域生協それぞれが、そして組合員ひとりひとりが、「サステイナブル(持続可能)な生き方」を考え、選んでいくことをこころざしています。


※写真の一部は廃炉作業見学会で東京電力から提供されたものです。

《掲載後修正》本文中の数値に誤りがあることが分かりました。下記のように修正しました。

誤=「格納容器内はロボット調査では最大毎時12シーベルトを計測し、これは1時間いたら半数が死に至るほどの線量である」

正=「格納容器内はロボット調査では最大毎時12シーベルトを計測し、これは30分間いたら致死量に達するほどの線量である」

【2017年7月13日追記】

 

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vol.13 2017.05 2017.05チェルノブイリ事故から31年 当時のお茶を検査しました

放射能検査なるほどコラム Vol.13

チェルノブイリ事故から31年

当時のお茶を検査しました

覚えていますか?今から31年前、1986年4月26日は、ソビエト連邦(当時)のチェルノブイリ原子力発電所で原子力事故が起こった日。今では日本でこの事故のことが語られる機会は減ってしまいましたが、このチェルノブイリの記憶を刻みこんだ「あるもの」が、30年以上経った今も生活クラブのいくつかの地域生協に保存されています。それは、当時、チェルノブイリ原発から放出され日本にまで到達した放射能に汚染された、1986年産のお茶の葉。出荷前の段階で、生活クラブの当時の自主基準値を上回る放射能が検出されたため、供給停止になったものです。この度、チェルノブイリ原発事故から30年以上が経過したことを受けて、保管されていた茶葉の放射能をあらためて測定する試みが行われました。また、このお茶が供給停止となった、事故当時のことをよく知る組合員にも話を聞きました。

201706radiationc01

86年産の日本茶から放射能が検出された当時の経緯

1986年4月26日にチェルノブイリ原発事故が起きた当時、国は輸入食品に対する放射能の暫定基準値を370Bq/kg(ベクレル)としました。生活クラブは、国の基準のさらに10分の1である「37Bq/kg」を暫定自主基準値とし、自主基準値を超えた食品は供給をストップするという措置をとりました。この自主基準値により、イタリア産のスパゲティやトルコ産のローレルなど、供給ストップになった品目もありました。

そうしたヨーロッパ産ではない、1986年収穫の日本茶から、自主基準値を上回る放射能が検出されたのが翌年の1987年のこと。生活クラブにおける三重県のわたらい茶の検査で、最大で227Bq/kgのセシウムが検出されました。チェルノブイリの放射能汚染は日本にまで届き、特に、ちょうど一番茶の収穫時期にあたったお茶の葉が、大きく汚染の被害を受けた形です。227Bq/kgという数値は国の基準値以下ではあったものの、生活クラブの自主基準値は上回っていたため供給停止の措置がとられました。そのわたらい茶の量はなんと7.6トンもありました。その時期の他の日本茶の多くにも同じように放射能が降り注いだはずですが、生活クラブのような自主基準を持っていない場合は、国の基準を超えてさえいなければ流通したと思われます。

放射能汚染のために、出荷できないお茶を7トン以上も抱えることになってしまったわたらい茶の生産者。この状況を受け、生産者と痛みを分かち合いながら問題を共に考えていこうという動きが生まれ、供給停止となったわたらい茶を生活クラブで引き取り、各地域生協に配布して原発や放射能について考える材料としていく、という活動になりました。お茶の取り扱いは各地域生協に委ねられ、センターでの展示や、催しで展示したりなど、生協によってさまざまな使い方がされました。

保管されていた86年産の茶葉の放射能検査を実施

そういった地域生協のうちのひとつ、神奈川県の横浜みなみ生活クラブでも、汚染されたお茶を当時からずっと配送センターに展示・保管していました。

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マヨネーズの空きびんに入れて30年間保管されていたわたらい茶

今回、事故から31年、汚染の検出から30年ということを受けて、この保管していた汚染されたお茶を放射能検査にかけるという試みがなされました。放射性セシウムのうち、セシウム134は半減期(放射性物質の量が半分になる時間)が約2年、セシウム137は半減期が約30年なので、31年経ったお茶の場合、セシウム134は検出されずセシウム137は半減していることが予測されます。

検査は、横浜みなみ生活クラブの港南センターに保管されていた茶葉の一部を試料として、4/28(金)の夕刻から5/1(月)の早朝にかけて行われました。
検査結果は
■セシウム134 不検出 (検出下限値 0.15Bq/kg)
■セシウム137 23.0Bq/kg

というものでした。セシウム134が不検出なのは予測通り。セシウム137は1kgあたり23ベクレルという量が残っていました。

20170605rc0
開封し検査用容器へ移されるわたらい茶

この結果から、半減期30年のセシウム137は、30年前には現在の倍量の1kgあたり46ベクレルであったことがわかります。また、当時はその0.55倍のセシウム134があったと推定できるので、この試料の場合、セシウム合計では1kgあたり71ベクレルの放射能汚染を受けていたと推計されます。1987年の放射能検査ではいくつかのわたらい茶の検体を測定したうちの最高値が227Bq/kgでしたが、茶畑の位置や斜面の向き、海抜高度などによっても汚染の具合は異なるため、当時71Bq/kgだったと推定される今回の茶葉の値はサンプルのばらつきの範囲と考えられます。(注)

当時71Bq/kgだった茶葉の放射能は、30年経っても、23Bq/kgまでにしか減りません。ここからさらに30年経っても、セシウム137の量が半減するだけなので、11Bq/kgのセシウムが残ってしまうことになります。一度汚染されたものからセシウム137が検出できなくなるまでには、永い年月がかかることの証明ともなる検査結果でした。


当時の様子をよく知る組合員に話を聞きました

今回検査した86年産のわたらい茶を保管していた横浜みなみ生活クラブで、当時の様子をよく知る組合員3名から話を聞きました。

お話:

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内田ハル子さん
当時の横浜南部ブロック組合員 チェルノブイリのこどもたちを呼ぶ会 代表(当時)

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中村信子さん
当時の横浜南部ブロック組合員 社会運動委員会 平和ネットワーク委員長(当時)

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牧野美登里さん
当時の横浜南部ブロック組合員 チェルノブイリのこどもたちを呼ぶ会 代表(当時)

【チェルノブイリの原発事故について】

[内田さん]
私が生活クラブに入ったのは79年。当時スリーマイル島の原発事故などが大きく報道されていました。いろいろ話などを聞く中で、原発がなくても電気は十分起こせるということも知り、じゃあなぜ原発を使うのか?などと考え始めていたんです。そこに起きたのがチェルノブイリの事故。それからは生活クラブの活動の中で勉強も重ねて、問題意識が高まりました。

[中村さん] チェルノブイリの事故をきっかけに、講師の先生を呼んで学習会を開催したり、署名活動やビデオ上映会を開催したり、脱原発に向けて大規模な電気利用実態のアンケートを実施したり、さまざまな活動をしました。

[牧野さん] 私は安全でおいしいものが食べたくて生活クラブに入会しました。なのに、チェルノブイリの事故によって、大好きなお茶が放射能に汚染されて出荷できなくなるなんていうことが起こったのは本当にショックでしたね。

【汚染されたわたらい茶について】

[中村さん]
汚染されたわたらい茶を、事故や原発を考えるきっかけとして活用してほしいということで送られてきたときのことは今でも覚えています。港南センターに100袋ほど届いたでしょうか。活用の仕方は各地域生協に任されていましたが、当時の横浜南部ブロックでは、放射能のことを考え続けていく材料としてセンターにモニュメントとして展示することにしました。

[内田さん]
マヨネーズの空きびんに入れて、ピラミッドのように積み重ねてモニュメントにしたんですよね。セシウム137の半減期が30年だということを知っていたので、「30年経ったら飲みましょう」なんて、半ば冗談のように言いながらみんなでびんに詰めた覚えがあります。

[牧野さん]
催しやイベントで、放射能汚染の象徴として展示したり、配布などもしたことがあります。原発の危険性についての話をしっかり聞いてくださる方もいましたが、組合員以外の方だとあまりぴんときていない方も多かったですね。でも、ずっとあとに福島原発の事故が起こったとき、友人から「あなたの言ってたとおりになった」と言われました。

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30年前から港南センターエントランスに保管されているわたらい茶

【事故を契機にいろいろな活動へ】

[中村さん]
チェルノブイリの事故をきっかけに、私たちのさまざまな活動が広がりましたが、中でも大きかったのは「チェルノブイリの子どもたちを呼ぶ会/横浜」を発足させ原発事故で被災した子どもたちの保養受け入れを10年にわたって行ったことです。

[牧野さん]
受け入れは大変でしたが、少しでも汚染地域を離れ、健康的な食材を食べ、思いきり遊ぶ毎日を過ごすと、帰る頃には見違えるように元気な様子になるんですよね。そんな姿を見ると本当に嬉しかったです。

[内田さん]
保養の受け入れは、生活クラブの組合員だけでなく、一般の人もボランティアで参加した活動でした。地域に根付いた形で活動が続き、原発や放射能のことが自分たちの生活の身近に感じられるようになったのはよいことだったと思いますね。

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当時の活動資料

【メッセージ】

[中村さん] チェルノブイリ原発事故から30年以上経って、汚染されたわたらい茶のことであらためて思うのは、「放射能には国境がない」ということ。8,000km離れていても、放射能は風に乗って、海を渡って、やって来る。30年経っても放射能が消えないこのわたらい茶を通して、そういうことを認識してほしいですね。

【今回の内田さん・中村さん・牧野さんの当時のお話を聞いた組合員からは】

「汚染されたわたらい茶のことは今日初めて知りました。それをきっかけに運動が地域に広がって、その活動を今も続けられていることをお聞きできてよかったです。」

「海を隔てて遠く離れていても、放射能は届いてしまうという怖さを感じました。今日本人は、福島の事故のことさえ忘れかけているように見えます。自分の国で起きたことなんだから、もっと考えていかなきゃと思いました。」

などの声が出ていました。

30年経過しても放射能が残る現実を教訓に

今回の、1986年産のわたらい茶の放射能検査結果は、汚染から30年以上が経っても消え去ることのない放射能の怖さをまざまざと感じさせるものでした。当時、わたらい茶の生産グループの代表だった鳥羽平悟さんは、7.6トン(約一千万円以上)の汚染茶を倉庫に抱え途方にくれながら、このわたらい茶を、再び放射能汚染を繰り返さないための活動にぜひ役立ててほしいと涙ながらに語っていたそうです。

日本国内で起きた東京電力福島第一原発事故もいまだ収束をしていない今、生活クラブでは、引き続き地道に消費材の放射能検査を続け、食品の安心と安全を届けていくことが大切だと考えています。そして、生活クラブでんきの共同購入などを通して自然エネルギーを推進し、今後も「原発のない社会」に向け確かな歩みを続けていきます。

(注)放射性セシウム濃度の推計に際して、セシウムの同位体比がチェルノブイリ原発事故では0.55:1であったというご指摘を外部からいただきました。掲載当初、この点を誤って計算した記述となっていましたので、該当部分を修正しました。多くのみなさまからのご指摘に感謝いたします。【2017年6月14日追記】

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vol.12 2017.04 2017.04教えてハカセ!④ 新データベースの使い方が知りたい!

放射能検査なるほどコラム Vol.12

教えてハカセ! ④
新データベースの使い方が知りたい!

生活クラブの放射能検査の詳細を検索できる「検査結果データベース」が、この春(2017年4月1日)から新しくなって、より使いやすくなりました。新しいデータベースの使い方のコツなどを、開発を担当したハカセに聞いてみましょう。(記事内の表示例などは、2017年4月時点のものです。)

20160829hakase700

2017c12_1x

放射能検査結果データベースURL: http://radiation.seikatsuclub.coop/

基本の使い方を知ろう

Q.データベースの基本の使い方を教えてください。
A.まず検索条件を決めます。

まず「検索条件を決める」という項目で検索条件を決めるのが、基本の使い方です。「消費材名」「生産者名」「測定日の期間」などを指定して検索することができます。イラストのカテゴリーから調べることもできます。

Q.どうやって検索すればいいですか?
A.目的によりますが、消費材名を検索するのが一番簡単です。

例えば「プレーンヨーグルト」の検査結果を調べたいときは、検索窓に「プレーンヨーグルト」と入力して「検索」ボタンを押すと、
2017c12_2

「脂肪と酸味をおさえたプレーンヨーグルト」「プレーンヨーグルト」の2つの候補が出てきます。
2017c12_3x

さらに「プレーンヨーグルト」にチェックマークを入れて「決定」ボタンを押すと、
2017c12_45

直近2年間に行われた検査結果が表示されます。
2017c12_6x
 この例の表示URL: http://radiation.seikatsuclub.coop/,,プレーンヨーグルト,,,,55,210366

正確な消費材名がわからないときは、例えば、
2017c12_7x
①「ヨーグルト」という言葉を入力して、②検索ボタンを押して、③ヨーグルトという言葉を含む候補の中から「プレーンヨーグルト」を選んで、④決定ボタンで検査結果を表示します。
この例の表示URL: http://radiation.seikatsuclub.coop/,,ヨーグルト,,,,55,210366

カテゴリーから調べることもできます。
2017c12_8x
①カテゴリー「乳製品」から、②「プレーンヨーグルト」を選んで、③決定ボタンを押して調べることもできます。
この例の表示URL: http://radiation.seikatsuclub.coop/,,,乳製品,,,55,210366

Q.期間はどのように指定するのですか?指定しなくてもよい?
A.期間を指定しないで検索すると直近2年間の結果が出ます。
期間を何も指定しないで検索すると、検索した日から2年前までの結果が表示されます。
測定日の期間を指定する場合は、ボタンで「全期間」「選択年▼」「最近1年」「最近1月」「最近1週」を選ぶことができます。「選択年▼」では更に何年もしくは何年度の1年間を選べます。
 2017c12_9

測定日の記入欄に自由に入力もできます。ある1日だけ見たい、なんていうときは、「2017/4/1」~「2017/4/1」として、検索ボタンを押せば、2017年4月1日だけの測定結果を見られますよ。
 2017c12_10
この例の表示URL: http://radiation.seikatsuclub.coop/2017-4-1,2017-4-1,,,,,55,0

Q.消費材名を入れずに期間だけ決めて検索することもできるのですか?
A.その期間に検査したすべての消費材の結果が出てきます
例えば消費材を決めずに「最近1週」のボタンを押すと、この1週間に行われたさまざまな消費材の検査結果が出てきます。「最近1週間では、どんな消費材の検査をやったのかな?」なんていう見方もできますね。(ただし、現在は検査データの追加が通常週2回なので、直近の数日間の検査データが未登録の場合もあります。)
 2017c12_11

牛乳や卵や青果を調べるときはちょっとしたコツが

Q.いつも飲んでいる牛乳の検査結果が知りたいときは?
A.牛乳の工場名を確認しましょう
「検索条件を決める」のカテゴリーで「牛乳」を選ぶと、
 2017c12_12
「【原乳】パスチャライズド牛乳(○○工場)」という候補が出てきます。生活クラブの牛乳は、普通のパスチャライズド牛乳の他にノンホモ牛乳や低脂肪牛乳などもありますが、検査はすべて製品化する前の「原乳」で行っています。ですので、飲んでいる牛乳がどこの工場からやってきたものか、びんのキャップやパッケージを確かめて、それを選んでください。

パスチャライズド牛乳900mlは、キャップに製造工場が記載されています。
 2017c12_1314  

パスチャライズド牛乳200mlは、すべて千葉工場で生産しています。
 2017c12_15
 
Q.「鶏卵」で検索すると、「鶏卵(○○○○)」といろいろな候補が出てきますが?
A.卵や青果物は生産者を確認しましょう
鶏卵も、いろいろな生産者の鶏卵があります。
 2017c12_16
自分が食べている卵の検査結果が知りたいときは、卵のパッケージや配達カードなどを見て生産者名を確かめてください。青果物も、同じ消費材名でさまざまな生産者のものがあります。やはり包材や配達カードを見て、生産者名を確かめてから選んでください。

Q.「にんじん」で調べるとジャムやジュースしか出てきません。
 2017c12_17

A.消費材名の表記に注意してみてください
生活クラブでは、青果物のにんじんは「人参」と漢字表記なので、「人参」で検索すると出てきます。
 2017c12_18
消費材名の表記は「漢字」「ひらがな」「カタカナ」などいろいろな場合があり、じゃがいもが「馬鈴薯」と呼ばれるなど、思っている名称と違う場合もあるので、わからないときはカタログなどで確認してみるとよいかもしれません。

検査結果はどう見ればいい?

Q.検査結果の見方を教えてください。
A.「セシウム合計」を見るのが基本です
 2017c12_19
検査結果の一覧には「ヨウ素131」「セシウム134」「セシウム137」「セシウム合計」という項目があります(スマホ画面では違うことも)。検出器によって、放射能を分けて測定できるものと、合計の結果だけのものがありますが、「セシウム合計」(セシウム137と134の合計値)を見るのがもっともわかりやすいでしょう。
多くの消費材は近年「不検出」ですが、検出した場合は項目の背景色が薄いピンク色になるので見つけやすいと思います。2行目にはその検査における検出下限値(測定において検出できる最小値で、下限値が低いほうが検査の精度が高いことを表す)が表記されています。

Q.検査結果の「ヨウ素」や「セシウム」の意味は?
A.近年で出るとすれば半減期の長いセシウム137がほとんど
「ヨウ素131」は半減期が8日の放射能なので、8日経つと半分に減り、1か月経つとほとんど検出できなくなります。ですので、2011年のデータを見るとき以外はあまり気にしなくてよいでしょう。「セシウム134」は半減期が2年、「セシウム137」は30年。近年の検査では出るとしてもセシウム137であることがほとんどです。

こんな使い方もできます

Q.消費材の検査結果を新しいほうから見たいときはどうすれば?
A.測定日の並べ替えを活用してみましょう
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検査結果は、基本的には古い結果から順に、上から下へと並んでいます。ですので「全期間」を指定すると、その消費材の最初の検査結果が一番上に来て、下に行くにつれ新しい結果になっていきます。
新しいほうから見たいときは、検査結果一覧の測定日の横の「並替」ボタンで昇順(▲)・降順(▼)を変えられます。こうすることで検査結果の経年変化も見られますね。
※注意:「全期間」の結果データを表示するときは、対象消費材の数が多いと結果データを並べ替えるために時間がかかりすぎることがあります。検索条件で対象消費材を絞り込んで活用してください。

Q.消費材から過去に放射能が検出されたことがあるかどうか知るには?
A.「セシウム合計」の並べ替えをしてみてください
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「全期間」を指定して出した検査結果で、「セシウム合計」のところにある「並替」ボタンを押し降順(▼)にすると、セシウム合計の高いほうから並べ替えができます。一番上に来るのが「不検出」だったら、その消費材の検査結果はすべて不検出ということがわかります。

新データベースの特長や検査結果の注目点は

Q.新データベースがこれまでと違うところは何ですか?
A.複数の消費材の結果を一度に並べられることです
以前のデータベースは、「消費材ごと」または「期間」による検索結果しか出せなかったのが、新データベースでは、複数の消費材の検査結果を一度に出せるのが一番の違いですね。例えば、「ほうれん草」なら、一か所の生産者だけでなくいろいろな生産者の「ほうれん草」の検査結果を並べて見ることができます。
 2017c12_22
まず、①検索条件に「ほうれん草」と入力します。右の検索ボタンを使うと「ほうれん草」という名前が含まれる加工食品も検索されてしまうので、この検索ボタンは押しません。②青果物のジャンルに限定して検索するために、青果物のイラストをクリックします。このように検索すると「青果物」の「ほうれん草」だけがリスト表示されます。③全部のチェックボックスにマークを入れてください。
こうすることで複数の消費材を出荷している生産者がいたら、「この生産者が作っている農産物の検査結果は?」というのを並べて見ることも。
また新データベースはスマホ対応をしているので、スマホからでも見やすいのが特長。ぜひスマホからも気軽に見てほしいですね。
この例の表示URL: http://radiation.seikatsuclub.coop/,,ほうれん草,青果物,,,55,0

Q.検査結果で特にここを注目してほしいというところはありますか?
A.「不検出」の多さにもぜひ目を向けて
放射能検査では、やはり「検出されたもの」が気になるのは当然なのですが、ごく限られた消費材で放射能が検出されることはあるものの、それ以外のほとんどは「不検出」というのが近年の現状です。不検出がこんなにたくさんあるのだなというのもぜひ実感してほしいところです。
放射能検査をどれぐらいの頻度で行っているかがわかったり、どんな生産者が何を作っているか知ることができたり、このデータベースからわかることはいろいろあります。これをきっかけに、消費材にいっそうの関心を持っていただけるといいですね。

東京電力福島第一原発の事故から6年が経ち、食品中の放射能のことも、以前に比べると話題にのぼることが少なくなってきました。しかし原発事故が収束したわけではなく、リスクには常に目を光らせていかないといけないことも事実。生活クラブでは、利用者の食の安心につながる取り組みのひとつとして、今後も引き続き、消費材の放射能検査を行っていきます。この解説も参考にしながら、リニューアルした放射能検査結果データベースをぜひ活用してほしいと思います。   

放射能検査結果データベースURL: http://radiation.seikatsuclub.coop/                     

 

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vol.11 2017.03 2017.03福島第一原発の廃炉作業を見学してきました

放射能検査なるほどコラム Vol.11

福島第一原発の廃炉作業を見学してきました

東京電力福島第一原子力発電所の事故から6年が経ちます。この度、日本生協連の主催で現在廃炉作業中の現地を見学する機会を得たので、その様子をお伝えします。(報告:槌田博/生活クラブ連合会 品質管理部部長)

人の姿のない「帰還困難区域」を通って福島第一原発へ

廃炉見学が行われたのは2017年2月16日。生活クラブ連合会、生活クラブ埼玉からの参加者を含め、10名ほどで視察しました。まず、いわき駅からバスで、福島第一原発から9kmほど南の居住制限区域内にある、視察・見学の受け入れ拠点として使われている東京電力・旧エネルギー館に到着しました。ここで説明を聞いた後に東京電力のバスに乗り換えて原発構内に向かいました。ここから先は写真撮影禁止で、写真は東京電力撮影のものが後から提供されます。核物質防護の観点から、構内にある監視カメラを写真に写してはいけないなどのルールがあるからだそうです。

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バスは、福島県の沿岸部を南北に貫く国道6号線を北上して原発に向かいます。この国道6号線は、放射線量が非常に高いレベルにある「帰還困難区域」も通過する道路。現在、自動車は通行できますが途中で降りることはできず、バイクで通行することは許可されていません。高いところだと放射線量が6μSv(マイクロシーベルト)/hほどある中を通り抜けていきました。フェンスで覆われ人の帰ることのない家々や、廃墟になったショッピングセンターなどを、バスの中から見ながら原発構内に入ります。

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正門付近には、休憩棟という高い建物が最近建てられたばかりです。今この福島第一原発では一日6千人ぐらいの人が働いていますが、その人たちが温かい食事をとれる食堂や休憩できるスペースを備えた場所が、ここにきてやっとできた状態。そういう意味では、これから長く続く廃炉作業を支える基盤が、やっとできたところなのだと感じました。

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困難な核燃料取り出し作業の途上にある1~3号機

見学は、構内をバスに乗車したまま巡ります。まず、原子炉建屋の山側にある高台から、建屋を見下ろす形で見学。車内の空間線量率は36μSv/hありました。1986年に爆発事故を起こしたチェルノブイリ原発4号炉を2012年に見学したときの空間線量率の最高値は16μSv/hでしたから、それよりも2倍以上の値です。

【原子炉1号機建屋】
地震発生翌日の3月12日に水素爆発を起こした1号機。使用済み燃料プールには392体の核燃料が保管されています。また格納容器の底には溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)があります。現在は、これらを取り出すために、事故後に取り付けた建屋カバーが取り外され、使用済み燃料プールの上部をがれきが覆っているのが見える状態。今後は、上部のがれきを慎重に撤去して核燃料を搬出する計画です。
 
【原子炉2号機建屋】
爆発事故は免れたものの、原子炉内部の核燃料は溶け落ち、もっとも多量の放射能を環境に放出した2号機。燃料プールには、615体の核燃料が取り残されています。見学したこの日に、溶け落ちた核燃料デブリの状況を確認するために遠隔操作ロボットを投入する作業が行われていましたが、強い放射線の影響によりロボットが故障して調査は失敗しました。建屋内の空間放射線量は、1分足らずで致死量に達するほどの650Sv(シーベルト※)/hという値。あとで高台から降りてこの2号機のすぐ裏までバスで近づいたとき、バスの車内であっても120μSv(マイクロシーベルト)/hという、今回の見学でもっとも高い数値でした。チェルノブイリ原発4号炉を2012年に見学したときの空間線量率の75倍の値です。 (※1シーベルト=百万マイクロシーベルト)

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【原子炉3号機建屋】
地震から3日後の3月14日に爆発が起きた3号機。現在は、建屋5階より上のがれきの片づけは終了していますが、建屋の横には爆発の被害が残る建造物もまだありました。燃料プールには、566体の核燃料が取り残されています。
 
【原子炉4号機建屋】
建屋の裏側まで降りて見学。震災当時には定期検査中で運転を停止していた4号機も、地震により外部電源を喪失し、3月15日に原子炉建屋が水素爆発したとされています。現在は、使用済み燃料プールにあった1535体すべての核燃料の搬出を完了しています。

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やや離れた場所にある5、6号機も廃炉を待つ

震災時、定期点検中で原子炉は停止していた5号機と6号機。鉄塔が倒れて外部電源は断たれましたが、6号機用非常電源施設のディーゼル発電機が津波被害を免れたために、冷却機能を保つことができました。5号機と6号機も、廃炉にすることが決まりましたが、核燃料が融解した1~3号機の核燃料デブリを取り出す方法の検討の場所として活用することになっています。

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原子炉建屋1~6号機の他に、地下水バイパスの揚水井戸や、陸側凍土遮水壁、サブドレイン(建屋近傍の井戸)なども見学し、職員の説明を受けました。

構内には増え続ける膨大な放射性のごみが

構内には、放射性廃棄物を一時的に保管するための広大な施設もあります。使い捨ての放射線防護服や、汚染水処理に使ったフィルターが、放射性廃棄物のコンクリートブロックとなって積まれていました。また地下水は放射能除去の処理をしても、トリチウムという放射性物質は残ってしまうので、汚染水として毎日300トンずつタンクに保管せざるをえない状況です。とてつもなく大きなタンクが並ぶ様は異様な印象でした。

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莫大な負担と無為な作業を次世代に押し付ける原発

ここ福島第一原発では、放射能に晒される作業現場での廃炉や後片付けの作業が、これから数百年数万年と続きます。地下の凍土壁を維持するために、また汚染水を浄化するために、膨大な電力が何も生産しないまま消費されていきます。こういった果てしない負担を押し付けられるのは、私たちの子孫や未来の生き物です。

福島第一原発の事故は甚大な災害ですが、いろいろな意味で幸運が重なっていたとも言える面があります。たまたま日本一敷地の広い原発だったので、放射性廃棄物や汚染水を一時的に置く場所があったこと。放射能が放出されたときにたまたま西風で海のほうに放射能が流れたおかげで、最悪の事態が避けられたこと。しかし放射能を消す能力は人類にはなく、長い長い時間を経て放射能が自然消滅することを待つしかありません。今回の事故は人類への大きな警告であり、これを聞かずに再稼働を考えるなどしてはいけないことだと、この見学を通じてあらためて感じました。

原発のない社会の実現をめざしそれぞれができることを

原子力エネルギーを使った発電方法が人類の手に負えるものではないことは、事故を起こした原子炉の現状と収束作業の困難さを見れば明らかです。生活クラブでは、福島第一原発の事故が起きる以前から一貫して、「原発のない社会」をめざし自然エネルギーを推進してきました。2016年からは、再生可能エネルギーを基本とした「生活クラブでんき」の共同購入もスタート。生活クラブでんきを選ぶことも、「原発はいらない」という意志を実践する第一歩になるでしょう。

生活クラブでんきの共同購入について詳しくはこちら≫

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vol.10 2017.02 2017.02原発のない未来をめざして「電気の共同購入」

放射能検査なるほどコラム Vol.10

原発のない未来をめざして「電気の共同購入」

いつも生活クラブの放射能対策などの話題をお届けしている「放射能検査なるほどコラム」。今回は少し視点を変えて、原発のない社会をめざして生活クラブが取り組んでいる活動のひとつである、自然エネルギーによる電気の共同購入について紹介します。(株)生活クラブエナジーの半澤彰浩代表取締役(生活クラブ神奈川 専務理事)に聞きました。

「環境」への配慮は生活クラブの理念のひとつ

「生活クラブでんき」を買うことができるのはご存知ですか?2016年からスタートした生活クラブの電気の共同購入。自然エネルギーの割合が高い電気であることが特徴です。もともと生活クラブでは、「安全」や「健康」と共に「環境」にもこだわった活動をしてきました。環境に配慮することは生活クラブの活動の原則で、例えばびんを使い捨てせずに繰り返し使う「リユース」で地球温暖化の原因となる二酸化炭素の削減を行い資源の有効活用をしたり、配送センターの事業所等の省エネを行うこともその一環です。

秋田県に風車を建設するプロジェクトからスタート

そうした環境問題への取り組みの中で、本格的に温暖化問題に取り組むために自分たちでエネルギーをつくろうという声が上がり、生活クラブ首都圏4単協(東京・神奈川・埼玉・千葉)で秋田県に風車を建設する構想が立ちあがったのが2009年頃。計画を進めていた折、2011年3月に東京電力福島第一原発の放射能もれ事故が発生しました。これによってあらためて、人々の暮らしを危険にさらしてエネルギーを得る原子力発電ではなく、太陽、風、水といった自然エネルギーによるしくみづくりをめざそうという方向性は強いものとなりました。風車が稼働した当初はまだ手探りではありましたが、「自分たちでエネルギーを選べる社会をつくる」という、将来につながるモデルがここでできたのです。

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消費材と同様に電気も原料やつくり方が大事

電気の共同購入を本格的に担う(株)生活クラブエナジーが設立されたのは2014年。活動の柱となるのは、「つくる」(自然エネルギーをつくる)、「使う」(自然エネルギーを選択して使う)、「減らす」(省エネをすすめエネルギー使用を減らす)、の3つです。電気の「供給」ではなく電気の「共同購入」と呼ぶのは、電気も、牛乳やお米や醤油といった消費材と一緒だと考えているから。消費材と同じように、電気も、原料に何を使っているか、どんなつくり方をしているか、ということが大事なのです。「生活クラブでんき」は、電源構成を明らかにしており、現在は30~60%が自然エネルギー。将来は100%自然エネルギーをめざします。風力、水力、太陽光といった自然エネルギーから生まれた電気を、組合員が自ら選択して、たくさんの人で共同購入する。それは「エネルギーの自治」につながるのです。

生活クラブの電気の共同購入について詳しくはこちら≫

自然エネルギーは新しく豊かな社会をつくる道具

一般にも、自然エネルギー中心の電力会社はまだそんなに多くないので、すでに共同購入を始めている組合員からは「自分の電気代が自然エネルギー発電所に払われていると思うと気持ちがよい」という嬉しい感想もたくさん聞きます。一方でまだまだ組合員のあいだでも認知度が低いので、もっと広げていくことがこれからの課題です。

この電気の共同購入は、脱原発へのひとつの方策ですが、それだけにとどまらない、より大きな可能性を秘めたもの。自然エネルギーというのは、原発のように大規模集中型ではなく、小規模・分散型で発電できるという特性があります。しかも、石油や石炭やウランを持たない日本でも、自然エネルギーは自給できるのが強み。日本各地で、地域と人が結びついてエネルギーを生み出し、それによってその地域にお金がもたらされる、そうした自給・自治のモデルになり得るのです。「生活クラブでんき」も、消費材の提携生産地が発電を始めるなどの広がりを見せ、地域の活性化につながる例も生まれ始めています。自然エネルギーは、今までとは違う、人を中心としたこれからの豊かな社会を描く道具だといえるでしょう。
((株)生活クラブエナジー 半澤彰浩代表取締役 談)

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生活クラブは、ほかにも、東日本大震災と福島第一原発事故の発生以来、政府への要請や政策提案、パブリックコメントなどの働きかけ、国会議員へのアンケートなどの活動も行っています。今後も、原発のない社会をめざしてさまざまな取り組みを続けていきます。

「原子力発電の廃炉費用および東京電力福島第一原発事故の賠償費用を電気の託送料金へ上乗せすることについて、生活クラブ生協連合会が意見書を提出」
http://seikatsuclub.coop/coop/press/20161216ikenshotakusouryoukin.html

「資源エネルギー庁「電力システム改革貫徹のための政策小委員会・中間取りまとめ」についてパブリックコメントを提出し、国会議員に賛否を問うアンケートも実施しました」
http://seikatsuclub.coop/coop/news/20170131.html

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vol.9 2017.01 2017.01生椎茸とレンコンに見る原発事故の影響と対策

放射能検査なるほどコラム Vol.9

生椎茸とレンコンに見る原発事故の影響と対策

2011年の東京電力福島第一原発事故で、もっとも大きな被害を受けた食品のひとつが、生椎茸やレンコンです。放射能による影響、その後の対策などについて、まとめてご紹介します。

原発事故後に
生椎茸やレンコンから高い数値が出た理由

きのこ類は元々、微量元素をたくさん吸収しやすいという性質を持った食材です。それが、滋養にあふれ栄養豊かな、きのこ類ならではおいしさにつながっています。ところが、福島第一原発事故による放射能汚染が起きると、その性質が仇となってほだ木などに吸着した放射性セシウムを集めてしまうことになりました。程度は違いますがレンコンも似た性質を持っています。そのため、生椎茸やレンコンは、事故直後には放射能検査で高い値が出ることもあったのです。(※1)

地元の山を守ってきた生椎茸栽培の
営みも原発事故が破壊

生椎茸に関して言うと、放射能汚染は、生椎茸そのものだけではなく、椎茸を栽培するためのほだ木にも及びました。実は、原発事故前までは、福島県は日本国内のほだ木の一大産地として知られる県でした。国内の生椎茸を栽培するほだ木の3~4割は福島県産だったほどです。しかし、原発事故の放射能汚染によってそれらの木がことごとく使えなくなってしまい、事故後は、生椎茸のほだ木の供給がひっ迫するという状況も起こったのです。

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生椎茸の栽培には、「地元の山を守る」という側面もあります。生椎茸の生産に使うほだ木は2~3年で交換することが多いのですが、ほだ木のための木を地元の山から定期的に刈ることで、森林が手入れされ、野山の環境が維持されていきます。また、生椎茸の栽培に使ったあとのスカスカになったほだ木は舞茸生産の培地に適しており、崩して舞茸の菌床栽培に利用するというサイクルもできていました。ところが原発事故は、そういった地元の人たちが長い年月をかけて築いてきた農業や林業の営みを、一気に壊してしまったのです。ほだ木を刈ることがなくなったために荒れてしまった野山や雑木林が、今、福島県にはたくさんあるのです。

生活クラブ独自の基準で検査を徹底
放射能を減らすための活動支援も

生活クラブでは、「食べ物による内部被曝はできるかぎり少ないほうがよい」という考えのもと、原発事故の直後から放射能検査体制を作り上げ、まずは国の安全基準を超えたものを確実に出荷停止することを徹底しました。その中で、事故直後には、生椎茸やレンコンの供給中止の事例も生まれました。その後2012年に国の基準値とは別の生活クラブ独自の自主基準値を定め、2016年には自主基準値を大幅に引き下げました。生椎茸の新基準値は、国の基準(一般食品)の100Bq/kgの半分である50Bq/kg、レンコンは青果物の区分で25Bq/kg。国の基準よりかなり厳しい自主基準で運用しています。

また、生産者と共に、生椎茸の放射能セシウム低減化のためのトライアルも行っています。2015年から2016年にかけては、プルシアンブルー処理という方法で低減化をはかる実験を行いました。残念ながらこの方法による明らかな低減結果は得られませんでしたが、放射能汚染に立ち向かう生産者を支援する目的でつくられた生活クラブ独自の「生産者支援基金」によって、今後も生産者の取り組みを支援する活動は継続していきます。

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組合員ひとりひとりが
食べるものを判断し選択するために

生椎茸・レンコン共に、供給後に自主基準値を超えて回収した事例はありませんが、出荷前に判明して供給産地を急遽変更する事例がときどき発生しています。検査結果はすべて公開しており、検出があった場合は検出値をわかりやすく示しています。自分が食べるものについての情報を知らないまま口にするのではなく、組合員それぞれが「何を食べるか」を自主的に選びとっていくために、検査の結果はすべて公開していくのが生活クラブの変わらぬ姿勢です。

東京電力福島第一原発事故により国土は放射能で汚染され、何の落ち度もない生産者と消費者が共に、「おいしくて安心な食品を生産し、食べる」という日常を理不尽な形で奪われることになりました。それまでに培ってきた農業のあり方をすっかり壊されてしまった地域や農家もたくさんあります。これらの苛酷な現状を原発事故が引き起こしたことは、今後も決して忘れるわけにいきません。

(※1)生活クラブの放射能検査での生椎茸とレンコンの測定値(不検出を除く)。
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vol.8 2016.12 2016.12教えてハカセ!③ 「線量限度」について知ろう

放射能検査なるほどコラム Vol.8

教えてハカセ!  ③
「線量限度」について知ろう

自然界にも存在し、福島第一原発以後は東日本の各地で線量が上がった放射能。その限度量について「1ミリシーベルト」とか「20ミリシーベルト」など、いろいろな数字を聞きますが、どう考えていけばいいのでしょう。ハカセに聞いてみました。

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化学物質の環境基準より
実はかなりゆるい放射線の基準


---放射線って目に見えないし、危険度が把握しづらいですね。そもそも人が受ける放射線量に基準ってあるんですか?

国際放射線防護委員会(ICRP)というところが出している勧告が、国際的な基準になっています。その中では、一般の人への放射線量(公衆被曝)の指標を、平常時は「年間1ミリシーベルト以下」としています。レントゲン技師など、仕事で放射線を受けることがある人(職業被曝)に関しては「年間20ミリシーベルト」です。

---この「1ミリシーベルト」というのはどういう理由で決まってるんでしょうか?

ざっくり言うと、放射線による発がん率のデータから決まってるんです。この「年間1ミリシーベルト」という線量は、1年間に1ミリシーベルトの放射線を浴びると、確率的には2万人に2人ががんになって、そのうち1人ががんで死亡するという数字なんですね。発がんリスクの許容量として、社会的にそれぐらいは認めても仕方ないのでは、とICRPが設定している数字です。

あとは、自然界に元々ある放射線から被曝する自然被曝の平均値が、日本では年間1.2ミリシーベルト、世界平均は年間2.4ミリシーベルトぐらいなので、これを大きく超えないということで「年間1ミリシーベルト」が決まっている部分もあります。

でも「2万人に1人ががんで死亡する確率」という放射線の許容量の基準は、実は化学物質の基準よりはだいぶゆるいんです。例えばベンゼンなどの化学物質の環境基準は、「10万人に1人」を目安にするのが国際的なルールなんです。つまり、化学物質より、放射線のほうが5倍もゆるく設定されているんですね。

---それは知りませんでした。

原発事故後、一般人の線量限度は
「年間20ミリシーベルト」に


しかも、東京電力福島第一原発事故の後、国はICRP勧告の「緊急時における基準値」を適用して、一般の人の許容量を「年間20ミリシーベルト」までゆるくしました。これは、平常時だったら放射線や原子力の仕事についている人の被曝の基準と同じです。化学物質より100倍もゆるいことになります。

---一般の人でも、福島原発事故後だからそれまでの職業被曝の基準まで浴びても仕方ない、という考え方なんですね。

国は今、年間20ミリシーベルトを基準として、それを下回る地域に対しては避難勧告を解除しています。年間20ミリシーベルトまでなら、放射能を浴びるとしても、子どもを含む一般の人が帰還してもよいだろうということ。元々一般の人の平常時の線量限度が「年間1ミリシーベルト」であることを考えると、驚くべきことです。

先ほど、「年間1ミリシーベルト」という量は、「2万人に1人」ががんで死亡する確率だと言いました。しかし、「年間20ミリシーベルト」となると、これが「1000人に1人」まではね上がります。1000人と言えば、少し大きな小学校の生徒数ぐらいの数字。つまり、その小学校の誰か1人がんで亡くなる可能性がある。ちょっとショッキングな例えですが、それぐらいひどい方針なんです。年間20ミリシーベルトのところに住むというのはそういう意味のことだと、あらためて認識しておいた方がいいと思います。

生活クラブでは住宅支援の継続などを求める署名活動や
甲状腺検査活動に取り組んでいます


---その帰還方針に伴って、自主避難している方への住宅支援が2017年3月で打ち切られようとしていることもニュースになっています。

はい。それに対し、生活クラブでは、原発事故避難者の住宅支援の継続などを求めて、「原発事故被害者の救済を求める全国運動」に参加し、署名活動などに取り組んでいます。2016年10月には、全国の生活クラブから集まった70,703筆の署名を国会に届けました。「全国運動」全体では、署名の総数は19万筆を超えました。
詳しくはこちら≫

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また、福島第一原発の事故による放射能汚染から子ども達を守る活動の一環として、全国各地で組合員の子どもの甲状腺検査も実施しています。この検査活動と、福島県が県民に対して行っている甲状腺の結果を比較できるようにして役立てる意味もあります。一般的には事故から5年以降に放射線によるがんの発症率は高くなるということもあり、生活クラブでは2020年までこの検査活動を継続することを決めています。
2015年度の検査結果はこちら≫

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原発事故から5年以上が経ちますが、原発自体の状況はもちろん、それに伴ういろいろな問題がまだ現在進行形です。あの爆発が起こった頃に、子どもが雨に濡れてしまったとか外で遊ばせてしまっていたなど、その影響はわからないものの、ずっとそのことが気にかかっているお母さんも多いかもしれません。過去のこと・遠い場所のこと、と流してしまわずに、現在起こっていることとして常に考えていきたいですね。

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vol.7 2016.11 2016.11えっ、生活クラブの牛乳は 毎日分を検査してるってホント!?

放射能検査なるほどコラム Vol.7

えっ、生活クラブの牛乳は
毎日分を検査してるってホント!?

安心で新鮮でおいしい。生活クラブの代表的な消費材のひとつである「牛乳」は、生活クラブでもっとも放射能検査されている食品でもあります。生活クラブだからこそできる牛乳の放射能検査についてご紹介します。

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放射能検査は原乳の段階でしっかり実施

生活クラブの牛乳は、千葉・栃木・安曇野の3カ所の自前の牛乳工場で生産されています。福島第一原発事故の影響を勘案して、千葉工場と栃木工場の原乳は毎日分を検査、安曇野工場の原乳は月一回検査しています。工場近隣の提携酪農家から集荷した生乳を、独自の安全基準でチェックし加工処理しているパスチャライズド牛乳です。
牛乳の放射能検査は、製品に加工するまえの原乳の段階で行います。工場から原乳を検査室に直接送ってもらい、精度の高い検査ができるゲルマニウム半導体検出器を使って検査します。生活クラブの牛乳の自主基準値は、国の基準値「50Bq/kg」の10分の1の「5Bq/kg」と、とても厳しい基準です。
千葉工場と栃木工場の場合、原乳は毎日500mlボトルに採取され検査室に送られます。1週間分の7本を混合して週に一度検査にかけています。

牛乳からの放射能は事故直後を除きずっと「不検出」
生産者自身の検査の努力も

2011年3月の東京電力福島第一原発事故の直後は、栃木工場と千葉工場の製品と原乳から放射能の検出がありましたが、その後4月14日の検出を最後に、以後ずっと不検出が続いています。事故後2年間は外部への検査機関へ測定を依頼して、毎日検査を行っていましたが、ずっと不検出が継続されているので、その後、毎日採取したものを1週間分まとめて測る今の方式になっています。

牛乳は小さな子どもを含めた多くの人が日常的に口にする食品なので、高感度の検査を継続し、段階を経ながら、検出下限値を下げるようにしています。
詳しくはこちら≫
5年間の検査実績からも、牛乳の放射能が不検出の状態から急に大きな値になるということは、現状ではまずないといえます。

不検出が続けられている理由のひとつに、生産者団体自身が測定器を所有して、エサなどの放射能測定を続けていることがあります。エサとなる牧草などの放射能汚染を生産者自身が調べ、汚染された牛乳を出さないためのノウハウを確立してきた努力が背景にあるのです。

また、生活クラブの牛乳は、指定の生産者以外の原乳が入ることはなく、酪農家まできちんと把握できるので、放射能検査体制もしっかりしたものにできます。遺伝子組み換え対策のためもあり、乳牛が食べる飼料まですべて明らかになっているので、仮に放射能が検出された場合にも、牛やエサなどの特定が容易なのです。一方、一般の大手メーカーの牛乳はいろいろなところから原乳を調達している場合が多いので、このようにはいきません。

生活クラブだからこそ生み出せる
安心でおいしい牛乳を味わってください

牛乳は、生活クラブの中でももっとも多くの回数、検査をしており、毎日分それを続けている消費材なので、放射能検査全体のベースにもなります。万が一何か(新たな原発事故や原子爆弾使用、実験)があったとき、牛乳の検出結果に大きな変化があれば、すぐに異変に気づいて他の食品も含めて調べることができます。ここ5年以上ずっと不検出が続いているからこそ、わずかな兆候でも捉えることができる、定点観測の指標になる消費材と言えるのです。
提携生産者の原乳を使って自前の工場で生産する、生活クラブだからこそ可能な安心で安全な牛乳。ぜひみなさんに、安心しておいしく飲んでいただければと思います。

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vol.6 2016.10 2016.10おいしい新米の季節! 検査の様子ってどんなふう?

放射能検査なるほどコラム Vol.6

おいしい新米の季節!
検査の様子ってどんなふう?

新米の季節になりました。生活クラブでは毎年、組合員にお届けするより早く、各地の新米の放射能検査を行います。生活クラブ連合会放射能検査室(埼玉県さいたま市)で実施されている新米の検査の様子をお知らせします。

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基準値の厳しい米の検査は
高精度の「ゲルマニウム半導体検出器」で実施

生活クラブで2016年春に新たに定めた放射能の自主基準値。その中でも米は、基準値が5Bq/kg、検出下限値が1Bq/kgと、飲料水や牛乳と並んで厳しい基準となっています。そのため、検査は高精度の測定が可能な「ゲルマニウム半導体検出器」によって行います。
米の放射能検査は、普段も週に2~3検体ずつを順番に行っています。その場合は、組合員と同様の物流ルートで受け取った消費材を検体としますが、この新米の時期には取り組みのある米のすべてについて早期の検査が必要なので、収穫した米を生産者からすぐに直接送ってもらい、検査をします。そのため、精米する前の玄米を銘柄ごとに検査することが多く、今年は16種の玄米を検査しました。greenline生活クラブでは、山形県遊佐、栃木県黒磯、長野県上伊那、宮城県加美よつば、千葉県旭、岩手一関、北海道江部乙のお米を取り扱っています。
そのほか、地域ごとに栽培しているお米を地域限定で共同購入をしています。
≫生活クラブのお米についてはこちらgreenline

生産者から直接送られた新米を
供給前に次々検査します

この日も検査室には、たくさんの銘柄の米が生産者から届いていました。今回の取材時に検査を行ったのは、JA庄内みどり(遊佐)のササニシキオリジンです。まず、米を検体容器に入れますが、このときに均等に入れることが正確な測定のコツということで、隙間がなるべくなくなるようにきれいにならします。これは2ℓ入る容器で、2ℓ分の検体があれば(特に重量の軽い検体でない限り)、検出下限値1Bq/kgで約1時間で測定ができます。容器いっぱいに米が入ったら、重さをはかったのち、測定器の中に入れ、ふたを閉めて測定を開始します。測定結果はパソコン画面で確認できるようになっています。
新米であっても、検査のやり方自体は普段の米のときと変わりませんが、生産者から取り寄せた大切な新米ですし、毎日みなさんが食べるものだから漏れなどのないよう現場で点検をしっかりして検査をしています。

【検査の様子】
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【検査結果】20161101kensa

しっかりと検査をした
生産者自慢の新米を楽しんでください

高精度の検査ができるこのゲルマニウム半導体検出器は、2016年春に生活クラブに導入され、6月から本格稼働を始めました。それまで外部機関に委託していた高精度の検査が内部でできるようになったことで、新米の検査も早急に行うことができ、他の消費材でも再検査などの小回りがきくようになったとのことです。
この検出器の特徴として、機械に使用しているゲルマニウムの結晶を冷やしておくために、マイナス196℃の液体窒素を使用しているという点があります。この液体窒素は1日1kgぐらい減っていくので、2週間に1度ほど補充が必要。ちょうど取材と補充のタイミングが重なり、タンクから液体窒素を測定器の下の部分へ入れる作業も見ることができました。この超低温の液体窒素を使っているため、測定器のセンサー部分が結露しやすく、それを防ぐために検査室の除湿は欠かせません。室温も、夏も冬も年間を通して24℃程度に保たれているそうです。

【タンクから液体窒素を補充する様子】
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消費材を組合員に安心して食べてもらえるように、生活クラブではこのような放射能検査を手間をかけ丁寧に行い、結果もすべて開示しています。今週のカタログから、すべて新米でお届けします。各地の生産者が手をかけ心をこめて生産したこの時期ならではの新米も、ぜひ心ゆくまでお楽しみください。
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vol.5 2016.9 2016.9教えてハカセ!② 被曝についての素朴な疑問

放射能検査なるほどコラム Vol.5

教えてハカセ!②
被曝についての素朴な疑問

「教えてハカセ!」シリーズ、今回は放射能の被曝について取り上げます。外部被曝と内部被曝のことなど、いろいろな側面からハカセに聞いてみました。

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放射線は遺伝子の結合を分断しうる
莫大なエネルギーを持っている

---放射線の被曝が怖いのは、どういう理由からなんですか?
放射線の持つエネルギーは、すさまじいものだからです。放射線は、およそ100万ボルトの電圧ぐらいのエネルギーを持っています。それに対して、化学物質の原子と原子を結びつける力はたかだか10ボルト。つまり、放射線が1個エネルギーを放出すると、10万個ぐらいの化学結合を分断することが可能なわけです。化学結合の固まりである遺伝子などは、放射線を受けることによって配列がずたずたになってしまう。それぐらい、放射線というのは莫大なエネルギーを持っているんです。

外部被曝と内部被曝の両方に
それぞれ注意が必要

---外部被曝はどのようなもので、どうすれば防げますか?
外部被曝とは、文字通り放射線を外から浴びること。屋外では放射線はどんどん分散して広がるので、放射性物質から離れれば離れるほど薄くなります。だから、放射性物質から距離を取るというのは、外部被曝から身を守るために有効な方法です。放射線をさえぎることも、もちろん有効です。ただ、放射線の中でもアルファ線は紙、ベータ線はアルミ板などでも簡単にさえぎることができるのですが、ガンマ線をさえぎるには鉛の板や数十センチの厚みのある水がないといけません。何メートルも厚みのある水なら、中性子線も止めることができます。原発の使用済み燃料の貯蔵プールはそれを利用していて、数メートルの深さの水に使用済み燃料を沈めているので、プールサイドを人が歩いても大丈夫なのです。
一方で、原発事故の作業現場で使われているレインコートのような簡易な「防護服」は、実は放射線をさえぎるためにはまったく役立っていないんですね。放射性物質のほこりが服につかないようにはできますが、放射線をさえぎってはいないのです。

【放射線の透過力】
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■出典:「放射線の基礎知識」(文部科学省)
 (http://www.mext.go.jp/b_menu/shuppan/sonota/attach/1314159.htm


---内部被曝はどのようなもので、何に注意すればいいですか?
内部被曝は、放射性物質を身体の内部に取り込んで被曝すること。水や食品中や空気中の放射性物質を「食事」や「呼吸」で取り込むことで起こります。食べ物に注意するのと同時に、放射性物質を含むほこりなどを吸い込まないようにすることも大事です。
東京電力福島第一原発事故から5年以上が経ちますが、実は福島県内のほこりに含まれている放射能は案外減っていないという事実があります。住宅地や市街地は除染されても、細かいほこりのようなものは、除染されていない土地や山林などから舞ってきてしまうからです。吸ったほこりがのどを通過して肺まで入ってしまうと、体外に出ることはまずないので注意が必要です。汚染のひどい場所には立ち入らないことが一番です。

放射能は体内に入るととても怖いもの

---アルファ線やベータ線は透過力が弱いのに、内部被曝では要注意と言われるのはどうしてですか?
アルファ線やベータ線は、ガンマ線などより透過力は弱く、外部からの場合は、建物や洋服でさえぎられることがほとんどです。しかし、だからこそ内部被曝では注意が必要。なぜかというと、放射線は、止まったときにそこでエネルギーを放出する性質を持つからです。つまりアルファ線やベータ線が食物などと共に体内に入った場合は、直接胃壁や血管などに当たって、止まった瞬間にそこで小さな爆発を起こすようなイメージです。逆に透過力の強いガンマ線は、体内で発せられても通過してしまう量のほうが多い*のです。だから内部被曝については、よりアルファ線やベータ線への注意が必要なのです。
*条件によって、体を通過するときに何%かは体内で止まって体に影響を与えると考えられる

【外部被曝と内部被曝のイメージ】
20160923hibakunozu食物についての国の放射能基準値は、内部被曝だけを想定して設定されています。しかし、実際には外部被曝の影響もあることを考慮しなくてはいけません。だからこそ生活クラブでは、「食べ物からの内部被曝のリスクはできるかぎり少なくすべきである」と考え、国の基準より低い、放射能の自主基準を設定しているのです。

【生活クラブの自主基準】
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*飲料水には、国の基準と同じ「緑茶」だけでなく、「麦茶」や「抹茶」などの茶類を含みます。
*「生椎茸」を除く「きのこ類」を含みます。
*検出下限値を目標としている理由は、測定する消費材の比重などにより、検査結果にバラつきが生じるためです。

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vol.4 2016.8 2016.8教えてハカセ!① 人と「放射能」の関係って?

放射能検査なるほどコラム Vol.4

教えてハカセ!①
人と「放射能」の関係って?

今回からコラム内で不定期にお届けするシリーズ、「教えてハカセ!」がスタートします。最新のニュースやトピック以外の、放射能についての基本的な事柄を、生活クラブのハカセ(博士(工学)/専門分野は環境科学と安全工学)に教わります。知りたいことや素朴な疑問、どんどんぶつけますよ!
まずは、人にとっての「放射能」ってどんな存在だろう?というあたりから。

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150億年かけて放射能が減った世界だから
人間は生きられる

---放射能って天然にあるものですよね?いつからあるんですか?
宇宙ができた150億年前からあります。宇宙ができたときは、宇宙は放射能だらけでした。放射能には半減期(放射線を出す能力が半分になるまでの時間)があり、半減期の短い放射能からどんどんなくなっていって、150億年経って天然の放射能がここまで少なくなった世界だからこそ、今、生き物が住めていると言えます。
逆に言うと、宇宙誕生以来150億年かけても消えずに今まで残ってきた天然の放射能は、人間の生きる短い時間の中でなくなることはほぼありません。天然のウランや天然のカリウムといった放射能は、私たちの住む地球からはなくなることはないのです。

人工的な核分裂で
強い放射能が多量に作られるように

---天然の放射能と人工的な放射能は、どのように違うのでしょうか?
ウランなどの天然にある放射能は、仕方のないものとしてそれから逃れながら生きる工夫をすればよいわけです。しかし悪いことに、人間は人工的に放射能を作り出してしまいました。元々自然にあるウランの放射能などは大した量ではないのですが、そのウランを核分裂させると、非常に放射能の強い核分裂物質ができます。そのひとつがセシウム134やセシウム137やストロンチウムですが、これらは元々のウランに比べるとすさまじく放射能が強いのです。核分裂を起こさなければ天然にある元々の放射能を増やすことにはならないのですが、人間がわざわざウランに中性子を当てて核分裂を起こした結果として、多量の核廃棄物ができて、処理に困っているような状況が生まれてしまっています。まして、爆発が起こってしまった東京電力福島第一原発のような状況では、管理できない状態となり、多くの人を苦しめることになってしまうのです。

---核分裂というのはどのような仕組みで起こるんですか?
原子を構成する「原子核」は陽子と中性子でできています。陽子と中性子の組み合わせによって、安定した原子核・不安定な原子核がありますが、不安定な原子核は、分裂して別の原子核になろうとします。これが核分裂の基本的な仕組みです。
人工的に核分裂を起こす場合で言うと、例えばウラン235というのは92個の陽子と143個の中性子でできているのですが、これに中性子を当てて、236個のつぶつぶをぐにゅっと2つ(もしくは2つ以上)に分けるわけです。そのときにその2つが何個ずつのどんな原子核にそれぞれなるかは、分かれてみないとわかりません。こうして核分裂の中では、ありとあらゆる種類の原子核が生まれます。

核分裂のしくみ
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1.核燃料になるウラン235は、92個の陽子(黒)と143個の中性子(白)でできています。
2.陽子は中性子で結びついて1つの原子核になっています。
3.ウラン235の原子核に、外から中性子がひとつ入り込むとウラン236になります。しかし、これは不安定ですぐに割れてしまいます。
4.ウラン236は核分裂して、たくさんのエネルギーと数個の中性子を放出します。この中性子がさらに別のウラン235に入り込んで、核分裂が連鎖します。

人の手で増やした放射能が人の生活をおびやかす

---放射能で特に問題となる核種は?
核分裂で生まれる原子核の中には、すさまじい放射線を出しながらミリ秒、マイクロ秒といった短い半減期であっというまに崩壊して消えてしまうものもあれば、少しずつ放射線を出しながらゆっくり何億年もかけて崩壊していくものもあります。そうしたさまざまな種類の原子核の中で、半減期が数年から数十年で、そこそこ放射能が強いものが人間にとって影響力が大きい厄介な存在となります。セシウム134(半減期2年)、セシウム137(半減期30年)、ストロンチウム90(半減期29年)などがそれにあたります。クリプトン85(半減期10年)といった放射性物質も生成されますが、これはガス状で他の物質と化学結合しない性質を持つため、どんどん空気中に上って薄まってしまい、あまり問題にされません。

---人間と核のエネルギーの関係をどう考える?
天然に存在するウランを使って核分裂を起こし、大きなエネルギーを得ることを人類が始めたのは、第二次世界大戦中のことです。まず作ったのは原爆、そのあとに原子力発電ですが、核分裂反応を使うという意味ではどちらも同じです。どちらもすさまじく放射能を増やす装置なので、原料であるウランの元々の放射能よりも原爆が爆発した後の放射能のほうが多いし、燃料のウランの放射能よりも原子炉の使用済み核燃料の放射能のほうが多いのです。
放射能は全部危険なものであって、安全な放射能というものはありません。一部で体によいなどとされるラジウム温泉も、微量の放射線を浴びるものであり、安全とは言えません。放射能は体の遺伝子に対して損害しか与えないのです。
地球には太陽からたくさんエネルギーが降りそそぎ、自然のエネルギー源も複数あります。その利用を不十分にしたまま、危険な放射能を次々生み出し利用するようなことは、人は決してやるべきではありません。生活クラブでは、そのような考えから、再生可能な自然エネルギーを基本とした電気の共同購入を始めています。

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vol.3 2016.7 2016.7すくすくカタログ掲載食品「不検出」その舞台裏、教えます!

放射能検査なるほどコラム Vol.3

すくすくカタログ掲載食品「不検出」
その舞台裏、教えます!

生活クラブでは2016年4月から、放射能の自主基準値をそれまでの半分以下へと大幅に引き下げました。中でも注目されるのは、毎日の子育てを応援する「すくすくカタログ」に掲載の食品は、すべて「不検出」を基準としたことです。今回のコラムでは、このトピックについて詳しくご紹介します。

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基準値「不検出」までの準備期間

「すくすくカタログ」の創刊は、今から約1年あまり前の2015年4月。実は、自主基準改訂前のこの時期からすでに、「すくすくカタログ」に掲載する乳児用食品(粉ミルクやベビーフード)については、検出下限値の目標を1Bq(ベクレル)/kgと、厳しい基準に設定して測っていました。そして2015~2016年の1年かけて、確実に「不検出」という結果を重ねていたのです。こうした準備期間を経て、2016年4月に、すくすくカタログ掲載食品については検出下限目標値1Bq/kgの計測で「不検出」という自主基準を打ち出すことになりました。

「低い検出下限値」+「不検出」だから意味がある

この「不検出」という基準は、計測時の検出下限値の目標を低くすることとセットでないと意味がありません。検出下限値というのは測定の限界の値のことを指すので、例えば「5.5Bq/kgの検出下限値で不検出」となった場合は、5.5Bq/kg以下の放射性物質が含まれている可能性は残ることになります。「すくすくカタログ」では、その検出下限値の目標を1Bq/kgと非常に低く設定しているので、「不検出」にも大きな意味があるのです。(生活クラブでは「飲料水」「牛乳(原乳)」「米」についても、検出下限値の目標を1Bq/kgとしています。)

子どもに食べさせるものは安心・安全であってほしい

「不検出」という厳しい自主基準を設定することになった背景には、「やはり子どもに食べさせるものは限りなく安心・安全であってほしい」という親の願いと、その願いに応えたいと考える生活クラブの姿勢があります。
国が定めた放射性セシウムの基準値を見ると、乳児用食品の区分では50Bq/kgとなっています(一般食品は100Bq/kg)。この値も国として食品の安全と安心を考えた設定ですが、生活クラブでは、さらにできる限りの安心を追求したいと考え「不検出」を基準値としました。お母さんたちが子どもの食べもののことで不安になったり、あとから自分を責めたりすることがないように、というのが私たちの願いです。

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たまごボーロは検査の難敵!?

「すくすくカタログ」に食品が掲載されるまでの流れですが、だいたい3カ月ぐらい前までに掲載予定品目が決まります。半年以内に検査が行われていない消費材については検査を行ない、すべてきちんと「不検出」の結果が得られたことを確認したうえでカタログに掲載となります。
すくすくカタログ掲載食品の検査は、基本的に新しく導入したゲルマニウム半導体検出器で行っています。検出下限目標値1Bq/kgの検査には2ℓの検体が必要なので、例えば容量がとても少ないベビーフードなどは、1回の検査のために20個ほど用意しなければなりません。また検査に意外と苦労するのが子ども向けのお菓子。特にたまごボーロは、固くて崩れにくく空気がなかなか抜けないので、検体を入れる容器にぎゅっといっぱいに詰めるのがとても手間がかかったという裏話があります。

小中学生がいるご家庭でも目を通すと役立ちます!

「すくすくカタログ」は乳幼児のいる家庭向けのカタログと思っている方もいるかもしれませんが、掲載されているのはベビーフードや粉ミルクだけではありません。カタログを見ると、肉類や加工食品など小中学生の食事に登場するような消費材もたくさん紹介されています。これらはすべて検出下限目標値1Bq/kgの厳しい検査で「不検出」となった食品ということ。ですので、乳児や幼児のいる家庭でなくても、届いたすくすくカタログにさっと目を通して「ああ、こんな食品が『不検出』なんだ」と確認し、役立ててもらえるといいですね。

~たとえば8月の「すくすくカタログ」では、こんな消費材が登場します。~
  • ・8月1回 餃子の皮2袋、ごま油500g、ミックスチーズ、低脂肪牛乳1000ml
  • ・8月2回 国産十割こうじみそ・袋、マヨネーズ、ナン、豚肉切り落とし300g
  • ・8月4回 鶏肉ムネ250g、焼き肉のたれ、食酢
  • ・8月5回 まぐろ油漬缶4缶組、手延べそうめん、小粒カップ納豆(カジノヤ)

これらは、ぜんぶ検出下限目標値1Bq/kgで「不検出」です。

【2016年7月25日】

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vol.2 2016.6 2016.6「ゲルマニウム半導体検出器」って どんな機械?どう使ってるの?

放射能検査なるほどコラム Vol.2

「ゲルマニウム半導体検出器」って どんな機械?どう使ってるの?

今月の「放射能検査なるほどコラム」では、2016年度から生活クラブに導入された新しい放射能測定器「ゲルマニウム半導体検出器」について、いろいろな角度からご紹介していきます。

精度の高い検査が可能な「ゲルマニウム半導体検出器」

生活クラブでは6台目の放射能測定器となる「ゲルマニウム半導体検出器」。既存の5台の測定器(NaIシンチレーションカウンター、CsIシンチレーションカウンター)とはしくみの異なる、非常に精度の高い放射能検査ができる機械です。このゲルマニウム半導体検出器は、ゲルマニウム半導体に放射線が当たると流れる電気を測るしくみで、放射線のエネルギーを正確に測定できるのが大きな特徴。自然界に元々存在しているウランなどの放射性物質から出る自然放射線と、原発などによる人工放射線を完全に識別して測定できる機械です。

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検出下限目標値の厳しい食品をゲルマニウム半導体検出器で検査

このゲルマニウム半導体検出器は、生活クラブ連合会の検査室(大宮)に配備され、6月から検査を開始しています。ではこの機械では、どのような食品の検査を行っているのでしょうか。
生活クラブでは2016年4月から、放射能の自主基準値を大幅に引き下げ、同時に検査の精度をあらわす検出下限値の目標を公開しました(コラムVOL.1参照≫)。この中で、検出下限値の目標を1Bq/kgともっとも厳しく設定している「すくすくカタログ掲載食品(乳児用食品含)」「飲料水」「牛乳(原乳)」「米」は、基本的にすべてこのゲルマニウム半導体検出器で検査を行います。また、検出下限値の目標が次に厳しい2.5Bq/kgの食品の多くも、ゲルマニウム半導体検出器で検査しています。

2016年4月からの生活クラブ放射能新自主基準と検出下限目標値

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1)飲料水には、国の基準と同じ「緑茶」だけでなく、「麦茶」や「抹茶」などの茶類を含みます。
2)旧基準の「乳製品②」を「乳製品①」に結合し、新基準の「乳製品」とします。
3)新基準の「青果物」には、「生椎茸」を除く「きのこ類」を含みます。
4)検出下限値を目標としている理由は、測定する消費材の比重等により、検査結果にバラつきが生じるためです。

厳しい検出下限値での検査でもより短い時間で測定が可能

ゲルマニウム半導体検出器による検査に必要な時間はどれぐらいかというと、検出下限値1Bq/kgで測る検体の場合は、2ℓの容器を使い約1時間かかります。検出下限値2.5Bq/kgの場合なら、2ℓの容器で約20分となります。1ℓの容器でも約1.5時間で測れるようになりました。
ゲルマニウム半導体検出器導入前は、検出下限値2.5Bq/kgで測る場合、2inch NaIシンチレーション検出器を使って1ℓの容器で約20時間かけていました。ゲルマニウム半導体検出器なら一ℓの容器で1.5時間で検査可能です。厳しい検出下限値の設定でも約1~1.5時間で1検体の検査が済むゲルマニウム半導体検出器は、極めて性能が高いことがわかるかと思います。
現状では、この機械で日中に検査する検体の数は1日6検体ほど※。月曜から金曜までの5日間で30検体前後というのが標準の検査数です。
※夜間は別の機器で検査した検体の確認検査を8時間ほどかけて行っています。

放射能が減ってきた今だからこそ大きな意味がある

このように精度の高い検査を行うことができるゲルマニウム半導体検出器。「なぜ、今このタイミングでの導入なのか?」には理由があります。
まずひとつには、2016年4月から、生活クラブの放射能自主基準を引き下げ、検出下限値の目標も公開したこと。これまでも高精度の検査は外部に委託して行っていましたが、生活クラブの内部にゲルマニウム半導体検出器を配備することで、厳しい基準での検査をより多くの回数や頻度、行う体制が整いました。また、東京電力福島第一原発事故から5年が経過し、セシウム134の半減期が2回過ぎて、放射能セシウムは事故直後の半分以下に減ってきているので、少ない放射線量を正確に測れる感度のよい機械が必要になってきたという理由もあります。事故直後は高い濃度のものを多品目検査しなければいけなかったので、精度の高い機械一台よりも、より安価な機械を多くの台数入れて測ることのほうが急務でした。現在は1Bq/kgや2.5Bq/kgといった厳しい検出下限値の目標で測ることが多くなってきたので、ゲルマニウム半導体検出器を導入することに大きな意味があるのです。

ゲルマニウム半導体検出器での検査も!「不検出」のリストを公開

生活クラブではこれまでも放射能検査の結果をすべて公開してきましたが、それに加え新たにこの6月からは、放射能検査で不検出だった消費材のリストをWEB上に毎月アップする取り組みを始めました。「ひと月の検査の中でどれだけの消費材が『不検出』だったか」を一覧できるリストです。特に表の最初のほうには、1Bq/kgという厳しい検出下限値の目標で測定した結果「不検出」だった消費材が並んでいます。これらはゲルマニウム半導体検出器によって測定された検査結果です。厳しい検出下限値での検査でも多くの消費材が不検出である安心感を、このリストから感じていただければと思います。
不検出リストは放射能検査結果アーカイブからご覧ください。

【2016年6月27日】

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vol.1 2016.5 2016.5自主基準値の大幅引き下げで測定の現場では何が変わった?

放射能検査なるほどコラム Vol.1

自主基準値の大幅引き下げで
測定の現場では何が変わった?

今月から「放射能検査なるほどコラム」と題して、生活クラブの放射能検査のしくみや放射能対策について、わかりやすくお伝えするコラムを月1回のペースでお届けします。今回は、2016年4月から放射能自主基準値の引き下げによって測定の現場ではどのような変化があったか、また新基準に至る背景についてお伝えします。

自主基準値の大幅引き下げで検査時間は長くかかるように

生活クラブでは、2016年4月から、放射能の自主基準値をそれまでの半分以下へと大幅に引き下げました。詳しくはこちら(活動情報へリンク)≫ 自主基準値を引き下げたことによる変化としては、何よりもまず、検査時間が長くかかるようになりました。ひとつの機械では検体を入れる容器の量は決まっているので、感度を高めるには時間をのばしていくしかありません。例えば、戸田DC(デリバリーセンター)での青果の例でいうと、昨年度までは2時間程度の検査だったものが、自主基準値引き下げ後は4時間程度かかるようになっています。ひとつの機械で、昼間に2検体、夜に1検体の一日計3検体という、非常に丁寧で手間のかかる検査を行っているのです。

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不検出が当たり前となってきたからこそ大事な「検出下限値」の目標

この春からは生活クラブとしての「検出下限値」の目標を新たに公開しました。 これまでも検査の中での検出下限値の目標はあったのですが、それをきちんと定めて公開することにしたのには、背景があります。 厚生労働省では「一般食品(乳幼児食品・飲料水・牛乳をのぞく)の検出下限値は基準値の1/4とする」ことが示されています。検出下限値とは測定において検出できる最小値で、いわば放射能検査の精度を表すもの。いくら、自主基準値が低くても、実際の検査の精度を表す検出下限値が低くなければ、検査結果に信頼性があるとは言えません。 そこで、生活クラブでは、一般食品だけでなく乳幼児食品・飲料水・牛乳についても、新しい自主基準値の1/4以下となるよう検出下限値の目標をあらかじめ設定・公開することにしました。 東京電力福島第一原発事故後に積み重ねられてきた生活クラブの膨大な検査実績の中で、最近の検査では放射能はほぼ不検出になってきています。すると今後は、「検出されたかどうか」以上に、「不検出の場合にそれがどれぐらいの感度(精度)で不検出なのか」が大事なのではないか、という考えからです。 このことにより、さらに正確に検査結果を組合員が知ることができるようになりました。

2016年4月からの生活クラブ放射能新自主基準と検出下限目標値

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(1)飲料水には、国の基準と同じ「緑茶」だけでなく、「麦茶」や「抹茶」などの茶類を含みます。
(2)旧基準の「乳製品②」を「乳製品①」に結合し、新基準の「乳製品」とします。
(3)新基準の「青果物」には、「生椎茸」を除く「きのこ類」を含みます。
(4)検出下限値を目標としている理由は、測定する消費材の比重等により、検査結果にバラつ きが生じるためです。

「検出下限値」にもご注目を!

実は、検出下限値というのは、その検体を測ってみないとわからないという面があります。検査容器への検体の詰めこみやすさなどによっても感度が変わってくるからです。生活クラブで公開している放射能検査結果では、必ずその検査ごとの検出下限値も併せて公開しています。安心のよりどころとなるこの検出下限値にも、ぜひご注目ください。
放射能検査結果データベースはこちら

【2016年5月23日】

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