検査結果はすべて公開し
アーカイブしています。

生活クラブでは、ただ放射能検査を実施するだけでなく、検査結果を公開することも重要だと考えています。検出下限値も含めてすべて公開することで、組合員ひとりひとりが検査結果を利用して放射能汚染の実態を把握できるからです。
ここでは、毎月の検査結果のアーカイブと、放射能に関する月間コラムを見ることができます。

月刊コラム
Monthly Columun

毎月更新の「放射能検査なるほどコラム」。
生活クラブの放射能検査のしくみや放射能対策について、わかりやすくお伝えします。

vol.28 2018.09 2018.09工作で自然エネルギーが身近に。夏休みの「親子講座」レポート

放射能検査なるほどコラム Vol.28

工作で自然エネルギーが身近に。夏休みの「親子講座」レポート

生活クラブでは、原発のいらない社会をめざし、「減らす」(省エネをすすめエネルギーの使用を減らす)、「つくる」(自然エネルギーをつくる)、「使う」(自然エネルギーを選択して使う)を3つの柱として活動をすすめています。こうした活動の一環として各地で組合員向けに開催されているのが、エネルギーについて学べる「省エネ講座」。今回は、夏休みの時期に開催された親子向け講座の様子をご紹介します。

子どもにも親しみやすいアニメなどを使いエネルギーについて解説

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たくさんの親子があつまりました


東京都の23区南生活クラブのまち渋谷が開催したこの日の講座は、「親子でつくる自然エネルギー工作」。身近な材料を使った工作を親子で作りながら、風力発電、太陽光発電などの自然エネルギーについて学ぶことができる講座です。この日は講師に鈴木伸予さん(一般社団法人グリーンファンド秋田 事務局長)を迎え、ペットボトルを使った風力発電作りに挑戦する内容。夏休みの自由研究にもピッタリということで、会場の渋谷区文化総合センター大和田の学習室には、たくさんの親子が集まりました。

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講師の鈴木伸予さん



まず最初に、講師の鈴木さんより、自然エネルギーと省エネの大切さについてわかりやすい解説がありました。鈴木さんが「みんなエネルギーって知っているかな?テレビやゲームはどんなエネルギーで動きますか?」と問いかけると、子ども達から「電気!」「電池!」という元気な声が。「では自動車は?」「ガソリン!」…そんなやりとりのあと鈴木さんは「エネルギーの中でもガソリンや石油や石炭や天然ガスは地下から掘り出す化石燃料といって、燃やすと地球がどんどん暑くなってしまうんです。それで今、エネルギーを化石燃料じゃないものに切り替えようという動きが出ています」と、地球温暖化の問題とエネルギーの関係についてわかりやすく触れました。

その後、短いアニメーションを上映。化石燃料を食べて動く恐竜と、風や太陽や水や植物や地熱をエサにするドラゴンのストーリーで、地球が温暖化に至ってしまう原因や、自然エネルギーの大切さが伝わるものです。物語仕立てでとても分かりやすく、子ども達はもちろん、大人も引き込まれていました。

ペットボトルを使った風車づくりで自然エネルギーを実感

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うちわで風を送ると風車がまわって…


自然エネルギーと省エネについて学んだあとは、お待ちかねの工作です。ペットボトルを切り開いて風車の羽根を作る工程では、ハサミを慎重に動かして切る子、大人の助けを借りながら進める子、みんな真剣なまなざしでした。できた風車を発電のキットと組み合わせて、うちわでパタパタと風を送ると…風車が回り出し、LEDランプが赤く灯って「ついたー!」という歓声が。ペットボトルの種類や羽根の長さや開き方によっても回り方が違うそう。ランプを点灯させたくて、うちわを全力でパタパタさせる子どもの姿があちこちに。ランプをつけるためにはかなり風を起こさないといけないことも、子ども達は実感できたようです。講師の鈴木さんが「風で電気を起こすってけっこう大変だってわかりますよね」と声をかけていました。

風力発電機を完成させて、満足げな表情や、「めっちゃ大変だった!」「疲れた!」なんていうにぎやかな声も。鈴木さんからは、規模は違うけれどペットボトルの風車も風力発電であること、発電に使うような大きな風車は、さらにギアを使って力を上げて発電機を回していることなどについて解説がありました。目に見えにくい「自然エネルギー」の存在を、親子での楽しい工作でより身近に感じられたのではないでしょうか。参加した親子からは、「よい経験になった」「環境問題を楽しみながら学べてよかった」などの感想も出ていました。

親子向け講座を通して感じる「伝える大切さ」

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まち渋谷の住吉夕香さん(左)と上園美穂子さん(右)


講座の主催である「まち渋谷」の住吉夕香さんと上園美穂子さんにもお話を聞きました。他地域の生活クラブで同様の講座を開催しているのを知って、楽しそうだと思い今回企画したそうです。人数も集まり、関心の高さを感じたとのこと。「アニメーションは子どもも真剣に見ていたし、親にも勉強になる内容でよかった(上園さん)」「この講座を通して自然エネルギーのことが子ども達にわかりやすく伝わっているといいなと思います(住吉さん)」と話してくれました。

生活クラブの省エネ講座には、このような親子向けのものもあります。今後も組合員同士で自然エネルギーや省エネの大切さについて学び、広める活動を続けながら、持続可能な自然エネルギー社会をめざしていきたいと生活クラブは考えています。

 

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【2018年9月10日】

 

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vol.27 2018.08 2018.08原発のないサステイナブルな社会をめざすための「生活クラブのエネルギー7原則」

放射能検査なるほどコラム Vol.27

原発のないサステイナブルな社会をめざすための「生活クラブのエネルギー7原則」

生活クラブがめざす、持続可能な循環型の経済・社会。これを実践していくために、私たちは地域社会の中で「Food(食べ物・生活用品)」「Energy(エネルギー)」「Care(福祉)」を自給し循環させていく取組みをすすめています。

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この中の「Energy」の分野における行動原則を定めたものが「生活クラブのエネルギー7原則」。2015年の6月に決定した原則です。今回はこの「生活クラブのエネルギー7原則」について紹介します。

継続してきた環境問題への取組みが2011年の原発事故を契機に本格化

もともと生活クラブでは、環境への配慮を基本において活動をしてきました。地球温暖化の原因となるCO2の削減をめざして、びんのリユースをしたり事業所での省エネを行ったりしてきたのもその一環です。脱原発の活動も長らく続けてきました。

そんな中、2011年3月に起きた東京電力福島第一原子力発電所の放射能漏れ事故が、生活クラブの活動の方向性をよりいっそう強めることとなりました。原子力発電という発電方法は、一部の人々を危険にさらさないと維持できず、いったん事故が起これば甚大な被害を人と国土に及ぼすもの。このような危険な発電方法の上に成り立つ暮らしのあり方を見直して、エネルギーの選択についてあらためて積極的に考えようという契機になりました。

「減らす」「つくる」「使う」を柱とした総合エネルギー政策を策定

生活クラブのエネルギー分野の活動方針について話し合いや確認を重ね、「生活クラブ総合エネルギー政策」として決定したのが2013年のこと。その中で、人と自然が共生していく社会をめざし、「減らす」(省エネをすすめエネルギーの使用を減らす)、「つくる」(自然エネルギーをつくる)、「使う」(自然エネルギーを選択して使う)を、3つの具体的な柱として運動と事業をすすめることを打ち出しています。

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この総合エネルギー政策を推進するための会社として(株)生活クラブエナジーを設立したのが2014年10月。(株)生活クラブエナジーの主な業務は、電力供給事業、自然エネルギーの推進・普及及び電源開発事業、省エネルギーの推進などです。

2015年に決定した「生活クラブのエネルギー7原則」

この動きと共に、「減らす、つくる、使う」の観点から、生活クラブと組合員に求められる行動原則を体系的に構築したのが「生活クラブのエネルギー7原則」。2014年に内容を決め、2015年6月に正式に決定しました。

【生活クラブのエネルギー7原則】
①省エネルギーを柱とします。
②原発のない社会、CO2を減らせる社会をつくります。
③地域への貢献と自然環境に留意した発電事業をすすめます。
④電気の価格や送配電のしくみを明らかにします。
⑤生活クラブの提携産地との連携を深め、エネルギー自給率を高めます。
⑥エシカルコンシューマー(※)として、再生可能エネルギーによる提携生産者が発電した電気を共同購入します。
⑦生産から廃棄までトータルに責任を持ちます。

生活クラブのエネルギー7原則 全文はこちら

(※)エシカルコンシューマーとは、「環境や社会に配慮したモノ・サービスを選択し、購入・利用するなどの消費行動をつうじて、社会的な課題の解決に寄与 していこうという意識を持った消費者」のこと

「エネルギー7原則」に基づいた行動がサステイナブルな未来へ

エネルギー7原則では、3.11以前からも継続してきた「省エネルギー」を柱とすることがうたわれています。そして自然エネルギーによる発電事業と電気の共同購入をスタートするにあたり、電気についても牛乳などの消費材と同様に、届くまでのしくみや価格について明らかにすることを決めています。自然エネルギーを生み出す産地との連携を深めることも明記しています。

エネルギーを選ぶことは、生き方や未来を選ぶこと。風力、水力、太陽光といった自然エネルギーから生まれた電気を組合員が選択して、多くの人の力を結集して共同購入する。そのことは大手資本のみに電気を独占させるのでない、「エネルギーの自治」につながります。「Food(食べ物)」「Care(福祉)」と共に、「Energy(エネルギー)」も自給し循環させることを可能にしていきます。

「生活クラブのエネルギー7原則」に基づいた私たちの行動。そのひとつひとつは小さいかもしれませんが、その力が集まることで確実に、持続可能(=サステイナブル)な社会という理想が少しずつ具体化していきます。

 

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【2018年8月6日】

 

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vol.26 2018.07 2018.07生活クラブの電気をつくる発電所―村の復興に挑む飯舘電力

放射能検査なるほどコラム Vol.26

生活クラブの電気をつくる発電所―村の復興に挑む飯舘電力

生活クラブの電気の共同購入「生活クラブでんき」。その電気をつくる数々の自然エネルギー発電所の中に、東日本大震災後に福島県に誕生した2つの電力会社、会津電力(株)と飯舘電力(株)があります。前回(Vol.25)の会津電力(株)の紹介に引き続き、飯舘電力(株)の設立の経緯や生活クラブとの出会いなどを、(株)生活クラブエナジーの半澤彰浩代表取締役(生活クラブ神奈川 専務理事)に聞きました。

原発事故による全村避難を余儀なくされる中、村民が立ち上げた飯舘電力

前回のコラムで、生活クラブが会津電力(株)の佐藤彌右衛門やうえもんさんと出会って、会津電力(株)の電気を生活クラブエナジーに供給してもらうことになった経緯を話しました。その佐藤さんが副社長を務める、福島県飯舘村の電力会社が飯舘電力(株)です。

ご存知のように飯舘村は、2011年の東日本大震災時の東京電力福島第一原発事故の放射能汚染により全村避難を余儀なくされていた地域です。その後、事故から6年経った昨年2017年3月31日に、避難指示が解除されたばかり。そんな、全村避難を余儀なくされていたさなかの2014年に、有志が立ち上げたのが飯舘電力(株)です。

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(株)生活クラブエナジー半澤さん(左)と飯舘電力(株)小林さん(右)

失ったふるさとを取り戻す社長の小林さんの試み

飯舘村は、豊かな自然に恵まれた、農業と畜産が盛んな村でしたが、原発事故の放射能汚染により村民の暮らしは壊され、住む場所を追われ、農業も畜産業も継続できなくなりました。人がいない田畑は草が伸びて荒れ放題になったといいます。しかし、全村避難から3年ほど過ぎ、除染が進んで避難解除が現実的になってきた頃、「村民が戻ってきた後の暮らしを本格的に考えなければ」という気運が、有志のあいだから出てきたそうです。その一人が、現在、飯舘電力(株)の社長である小林稔さんです。

小林さんは元々、和牛を育てる肥育農家であり稲作農家。会津電力(株)の佐藤さんとは、小林さんが育てた飯舘の米を使ったお酒を佐藤さんの会社・大和川酒造でつくっていた縁で、以前から知り合いだったということです。2011年に原発事故が起きて飯舘村での米づくりができなくなったときには、小林さんが喜多方市の空いている田んぼに通ってお酒用の米をつくることもしたそうです。

帰村する村民のための産業を興し雇用と収入を生み出したいという思い

そんな中、佐藤さんが2013年に会津電力(株)を立ち上げた流れもあり、小林さんと佐藤さんを含めた5人が発起人となって、飯舘村に太陽光発電の会社を作ることになりました。そこにあったのは、いずれ飯舘村に人が戻ってきたときのために、村民が雇用と収入を手にできるような産業を興したいという強い思い。そして、飯舘の復興を自力で行っていくための、村民による村民のための会社にしたいというこだわりです。

ソーラーシェアリングで生まれた電気が生活クラブでんきへ

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太陽光パネルの下で牧草を栽培するソーラーシェアリング

飯舘電力(株)は、主に「ソーラーシェアリング」による太陽光発電に取り組んでいるところが大きな特徴です。ソーラーシェアリングとは、農地の上に太陽光パネルを設置し、営農もしつつ発電をする方法。太陽の光を発電と農業の両方でシェアするというやり方です。飯舘では、太陽光パネルの下の農地で牛のエサとなる牧草を栽培するソーラーシェアリングで、発電と牧草栽培と牛肥育による収入や雇用を生み出し、地域で自立した経済を回すというモデルを作りつつあります。元々肥育農家である小林さんは、この春、飯舘に新しく作った牛舎に牛を迎え入れ、飯舘牛ブランドの復活をめざしているところです。

すでに会津電力(株)から電気を供給を受けていた生活クラブでんきでしたが、佐藤さんの紹介で飯舘電力(株)とのつながりも生まれ、まず2か所の発電所と契約をスタートしています。飯舘電力(株)は、「村民による村民のための会社」であることを大切にしており、発電所の設計・施工も維持管理も村民が中心になってやっているのがとても素晴らしい部分です。飯舘村のみなさんの思いが乗った、自然エネルギーによる電気を生活クラブで共同購入できることは、私たちにとっても誇らしいことだと思っています。

((株)生活クラブエナジー 半澤彰浩代表取締役 談)

 

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【2018年7月9日】

 

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vol.25 2018.06 2018.06生活クラブの電気をつくる発電所―地域の自立をめざす会津電力

放射能検査なるほどコラム Vol.25

生活クラブの電気をつくる発電所―地域の自立をめざす会津電力

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自然エネルギーの割合が高い電気を共同購入することで、脱原発をすすめエネルギーの自給・自治の新しいモデルを作っている、生活クラブの電気の共同購入「生活クラブでんき」。生活クラブでんきの電力はさまざまな自然エネルギー発電所から調達していますが、その調達先の中に、東日本大震災後に福島県に誕生した2つの電力会社、会津電力(株)と飯舘電力(株)があります。今回はその一社・会津電力(株)と生活クラブの出会い、会津電力(株)から電気を調達することになった経緯などを、(株)生活クラブエナジーの半澤彰浩代表取締役(生活クラブ神奈川 専務理事)に聞きました。

震災をきっかけに生まれた会津電力

以前このコラムで、生活クラブが建設した発電用の風車「夢風」のことを紹介しました(vol.22「生活クラブ風車「夢風」から広がるいきいきした交流と地域活性化」)。「夢風」は、自分たちで自然エネルギーを作っていく取り組みのひとつ。その他にも生活クラブでは、配送センターや工場等に設置した発電施設で自然エネルギーによる電力を生み出しています。ただ、そうした生活クラブでの電力調達だけでは足りないこともあり、自然エネルギー発電にしっかり取り組んでいる他の発電所や提携生産者にも、調達先を広げていきたいという話は当初からあったのです。

そんな中で出会ったのが、会津電力(株)代表取締役の佐藤彌右衛門やうえもんさんでした。会津電力(株)は、2013年に設立された自然エネルギーによる電力会社です。佐藤さんはそもそもは、喜多方の大和川酒造店という江戸時代から続く有名な酒屋さんの9代目当主。しかし、2011年3月11日の東日本大震災とその後に起こった東京電力福島第一原発の放射能漏れ事故によって、原子力発電の危うさに直面したといいます。佐藤さんの酒造りは水も米も地元のもので、昔は酒造りに必要なエネルギーもまわりの山からの薪でまかなっていたそうです。会津は元々そうした「里酒」を育むことのできる豊かな土地でした。佐藤さんは震災と原発事故をきっかけにあらためて、酒造りのための電気も、原発に頼らず地元で自分たちの手で作りたい、と思い会津電力(株)の設立に至ったそうです。

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佐藤彌右衛門さん

自然エネルギーによる電気が「顔の見える関係」で地域や人をつなげる

佐藤さんが設立した会津電力(株)は、「地域で使うエネルギーを、地域でつくるエネルギーでまかなう」ことをめざす会社。ただ、地域外の人から「会津電力の電気はどこで買えるの?」などと聞かれることもあって、「顔の見える関係であれば会津電力で発電した電力をどこかに売電できないか」ということも考えていたそうなんですね。そんなときに私たち生活クラブエナジーと会津電力との出会いがありました。私と佐藤さんとで意見交換をする中で、生活クラブエナジーが地域の自然エネルギー発電所から電気を調達したいと考えていることを伝えると、佐藤さんも、生活クラブのような志のある組織に供給することを願っていたという話になり、提携に至りました。

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会津電力(株)は、小規模分散型の太陽光発電所を中心に、福島県内に70か所以上の発電所を持っています。その中の一つが会津地域初のメガソーラー発電所である「雄国おぐに太陽光発電所」。この雄国太陽光発電所の電気が、生活クラブエナジーに供給されています。双方の関係が生まれる中で、生活クラブの組合員が会津電力の発電所を訪ねるような交流も始まっています。また、佐藤さんの酒造会社である大和川酒造店の工場や地元のガーデンホテル喜多方が、生活クラブエナジーから電気を購入しています。地元でつくったエネルギーを使うことで、利益を地元に還元できるしくみです。

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自然エネルギーを軸にした取組みで地域活性化をめざす

ドイツに「シュタットベルケ」という、地域の自治体が電力会社を作って地域でエネルギーを回していく地産地消の発電事業の形態があります。会津電力(株)もそういった地域で回していくモデルを念頭に置いています。実は会津は、只見川ただみがわや猪苗代湖などの立派な水源を持ち、自然エネルギーによる発電の能力を十分に持っている地域なんです。

自然エネルギーというのは太陽や風、水といった地元の資源を使っているので、もともとは地元のものなのですが、電力政策の歪みにより、大手電力会社が利益を独占して地元が潤わないようなしくみになってしまってるのが現状です。

生活クラブは電気の共同購入を通じ、こうした小規模・分散型の発電所との結びつきを深め、自然エネルギーを軸にした自給・自治のしくみづくりと地域活性化への実践を、地域と共にすすめていきたいと考えています。会津電力(株)との取組みがそのひとつのモデルになっていけばと思っています。

(次回は、同じく生活クラブでんきが提携する自然エネルギー発電所「飯舘電力」についてお話しする予定です。)

((株)生活クラブエナジー 半澤彰浩代表取締役 談)

 

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【2018年6月4日】

 

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vol.24 2018.05 2018.05「脱原発と自然エネルギー社会を展望するフォーラム」から見えた未来

放射能検査なるほどコラム Vol.24

「脱原発と自然エネルギー社会を展望するフォーラム」から見えた未来

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世界では今、自然エネルギーの発電コストが下がり、自然エネルギーによる発電へ、大幅なシフトが起きています。一方日本では、自然エネルギーによる発電量は増加しているものの本格的なシフトがすすんでいないのが現状。そんな中、生活クラブでは2014年に(株)生活クラブエナジーを設立し、自然エネルギーから生まれた電気の共同購入で、持続可能な社会の実現をめざす取り組みを始めています。

こうした動きをさらに広げ深めていくためのステップとして、2018年4月20日に、生活クラブの主催で「脱原発と自然エネルギー社会を展望するフォーラム」を開催しました。自然エネルギー中心の生き生きとした未来社会を展望する、充実したフォーラムとなりました。その様子を紹介します。

生き生きした未来を描くキッカケとしてのフォーラム開催

最初にフォーラムの主催者として(株)生活クラブエナジーの半澤彰浩代表取締役(生活クラブ神奈川専務理事)が挨拶。「減らす」「つくる」「使う」を柱とした生活クラブの総合エネルギー政策の策定(2013年)から5年、(株)生活クラブエナジーの設立(2014年)から4年、電力小売自由化(2016年)から2年、という足どりを振り返り、現在の「生活クラブでんき」の電力供給量が約5,000万kWh、組合員の契約者が約12,000人に及び、調達先の自然エネルギー発電所も55か所まで広がったことを紹介。このフォーラムをキッカケに、自然エネルギーを通じて今後どんな社会や未来を描いていけるかをさらにみんなで考えていきたいと挨拶しました。

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半澤彰浩さん

風力や太陽光発電は低価格化。自然エネルギーへのシフトは世界の潮流(基調講演)

続いて、自然エネルギーを基盤とする社会の構築をめざして活動する、公益財団法人自然エネルギー財団の大野輝之氏より基調講演がありました。現在、世界では、風力発電、太陽光発電ともに設備容量が急増しており、2015年には風力発電が、2017年には太陽光発電が、それぞれ原発の設備容量を超えたとの紹介がありました。また、世界の自然エネルギー発電量は原発の約2倍もあり、そもそも原発の発電量が自然エネルギー全体の発電量を超えたことはないのだそうです。

自然エネルギー拡大の背景のひとつには、コストの低下が挙げられ、世界の多くの地域で太陽光や風力が火力より安価になってきている状況とのこと。また、拡大のもうひとつの背景として2015年の「パリ協定」が挙げられました。パリ協定は今世紀後半には温室効果ガスの排出を「実質ゼロ」にする目標であるため、その最も有効な手段として自然エネルギーを大幅に導入することが必須で、世界の常識になってきています。しかし、日本は依然として化石燃料電力に依存しており、世界の歩みと大きく差が開いているそうです。そんな中でも、電力利用を自然エネルギーに切り替えていこうとする国内企業の動きなども出始めているとのこと。自然エネルギー拡大に向けての方策はいろいろあり、中でも、使う側から「自然エネルギーを使いたい」という声を上げていくことも大切だという提言がありました。日本国内ではまだ歩みが遅れているものの、自然エネルギーへのシフトは不可避かつ現実的・創造的な選択であることを確信させてくれる基調講演でした。

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大野輝之さん

活発化する各地域での小規模発電の取り組み(パネリストの活動紹介)

フォーラムに先立ち、丸山康司さん(名古屋大学大学院環境学研究科教授)からは、「生活クラブでんき」について組合員に行ったアンケートの結果報告がありました。契約理由の分析とともに、今後生活クラブでんきを広げていくために必要なポイントの提言も。自然エネルギーによる電力を普及させていくためのヒントに気づかされました。

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丸山康司さん

パネリストのうち「生活クラブでんき」の生産者の3名からは、それぞれの活動の紹介が。佐藤彌右衛門さん(会津電力(株)代表取締役)からは、会津電力の設立から現在までの経緯について話がありました。会津は昔から自給自足のできる豊かな土地柄。佐藤さんも、土地の米・土地の水を使った酒造りをしていましたが、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故が起きたことで、エネルギーも自分たちの手で作らなければと痛感したそうです。「まず自分たちのところから少しずつ」という小規模分散型の発電所が多くでき、その中の雄国太陽光発電所が生活クラブエナジーに電気を供給しています。

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佐藤彌右衛門さん

千葉訓道さん(飯舘電力(株)取締役)は、飯館電力の目指すことと生活クラブへの期待を話しました。東京電力福島第一原発事故後、全村避難という事態になりながらも、飯館の土地を守り、将来村民が戻るときのための産業を創造したいという思いで5名の有志により飯舘電力を設立した経緯が語られました。避難解除から1年を過ぎ、ソーラーシェアリングによって発電と共に農業や畜産の復活の第一歩を踏み出しているそうです。

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千葉訓道さん

高岡敦子さんは生活クラブ都市生活の組合員で、組合員と地域住民による「住吉川小水力発電を実現する会」を2016年に立ち上げました。住吉川小水力発電の実現に向けて今まさに進行中の活動の様子を、写真も交えて紹介。活動の中で、住吉川流域には元々水車による産業の歴史があったことも詳しくわかってきたそうです。自然と共生した小水力発電という発電方法が、地域と密着した豊かな可能性に満ちたものであることが伝わりました。

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高岡敦子さん

遅れている日本の自然エネルギー分野でも確実な変化が(フォーラム)

フォーラムでは、コーディネーターの西城戸誠さん(法政大学人間環境学部教授)からの問いで、パネリスト5人が意見を交わしました。会津電力、飯館電力、住吉川小水力発電のような事例から、「今後の日本の再生エネルギー社会へのどんな示唆が読み取れるか」というテーマでは、自然エネルギー財団の大野さんより、世界では地域の小規模な電力会社が既存の大電力会社に影響を与えて、変革が起きていく例が多くあるとの話がありました。会津電力、飯館電力、住吉川小水力発電のような事例は日本の再生可能エネルギー社会の最先端であり、大企業がこれから追いついてくる状況ではないかということです。

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西城戸誠さん

また「これから自然エネルギーを選んでいく意味」として、パネリストからさまざまな意見が。「家族の健康を考えて食べ物を選ぶように、電気も安心して子どもに渡せるものを選びたい」「消費“させられる”消費者ではなく、生活者として主体的に選ぶ」「大量消費の時代ではない今、間に合う分だけ作って使うという分散型の発電の良さ」「農産物のように電気も“作った人・生まれる場所”に思いを向けてみる」などの視点が出され、会場にはうなずく人の姿が多く見られました。

「自然エネルギー分野の今後の展望」については、パネリストがみな、確実に変化が起きているという見方を示しました。日本では再生可能エネルギーへと向かう歩みは期待したよりは遅いのが現状。しかし地域電力や消費者はすでに動き始めていて、大企業や行政もやっと変わる時期にきたのではないかということです。飯館電力の千葉さんの「再エネビジネスの未来は明るい!と思ってます」との言葉に会場全体が笑いに包まれました。

地域の生産者と結びつき、自然エネルギー中心の持続可能な社会へ

最後に、この日会場に来ていた「生活クラブでんき」の生産者の方々がずらりと登壇。この生産者のみなさんが地域で作り出したエネルギーを、生活クラブの組合員が共同購入しています。「組合員が生産者と消費材をつくってきた歴史が生活クラブにはあり、それが自然エネルギーの分野でも強さになる」というコーディネーターの西城戸さんの言葉が実感できるような、壇上の光景でした。
フォーラムを通じて、自然エネルギーによる電力へのシフトが世界的な潮流であり、それは脱原発のみにとどまらず、地域の資源を活かしながら地域の経済を活性化し、持続可能な社会を形づくっていく試みであることが共有されました。生活クラブは今後も、「生活クラブでんき」の共同購入をはじめとした取り組みを続け、「持続可能な生産・消費・暮らしのできる低エネルギー社会」の実現をめざします。

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【「脱原発と自然エネルギー社会を展望するフォーラム」主なプログラム】
■主催者挨拶
半澤彰浩((株)生活クラブエナジー代表取締役/生活クラブ神奈川専務理事)
■基調講演 <テーマ>「自然エネルギー100%に向かう世界と日本」
公益財団法人 自然エネルギー財団 常務理事 大野輝之氏
■フォーラム <テーマ>自然エネルギーへの転換と地域社会づくり~「生活クラブでんき」を選択することでの社会転換の可能性
<コーディネーター> 西城戸誠さん(法政大学人間環境学部教授)
<パネリスト> 丸山康司さん(名古屋大学大学院環境学研究科教授)、佐藤彌右衛門さん(会津電力(株)代表取締役)、千葉訓道さん(飯舘電力(株)取締役)、高岡敦子さん(生活クラブ都市生活/住吉川小水力発電を実現する会)、大野輝之さん(公益財団法人 自然エネルギー財団 常務理事)

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 【2018年5月14日】

 

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vol.23 2018.04 2018.04目からウロコの話も!「省エネ講座」レポート

放射能検査なるほどコラム Vol.23

目からウロコの話も!「省エネ講座」レポート

生活クラブでは、持続可能な社会をめざして、エネルギーを「減らす、つくる、使う」を柱に活動しています。このうち、自然エネルギーを「つくる」「使う」と共に、大切なのがエネルギーの使用を「減らす」こと。誰もが今すぐ手軽にでき、エネルギーをつくるのと同じぐらいの価値があるのがエネルギーを減らすことができる「省エネ」です。生活クラブではこの省エネを進める活動のひとつとして、各地で組合員向けに「省エネ講座」を開催しています。今回はその様子をご紹介します。

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カードを使った「アンペアダウンゲーム」で家電の消費電力を意識

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この日、福祉クラブ生協(生活クラブ会員生協・神奈川県)で開催された省エネ講座の参加者は10名ほどの組合員、講師は一般社団法人グリーンファンド秋田 事務局長の鈴木伸予さんです。
まずは「7年前の3.11のときどうしていましたか?」という講師の問いかけから、当時心がけていた省エネのことをあらためて振り返ります。それから「アンペアダウンゲーム」というカードゲームがはじまりました。カードには、一般的な家庭にあるさまざまな家電のイラストが描かれています。「一年の中で一番電気を使う季節・時間帯を想定してそのときに動いている家電のカードを選ぶ」という課題が出され、参加者がみんなで相談して選んでいきます。「朝食がパンならトースター、ご飯なら炊飯器、どちらかよね」「あさバタバタと動いているときはこたつには入らないのでは?」などにぎやかに話し合った末、数枚のカードが選ばれました。このカードを裏返すと、その家電のアンペア数が書いてあり、すべてのアンペア数を合計すると60アンペア以上ありました。これは、もし家庭の契約アンペア数が30や40だった場合、これらの家電を一度に使うとブレーカーが落ちてしまう状態ということです。思っていた以上に消費電力が高い家電もあり、驚く参加者もいました。講師からは、トースター、炊飯器、ドライヤー、電気ストーブ、ホットカーペットなど「電気を熱に変えるものがアンペアが高い」という説明がありました。家電のアンペア数のことを少し意識するだけでも省エネにつながるということに、参加者は納得の表情を浮かべました。

無駄な発電所をつくらないために契約アンペア数の見直しも大事

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さらに資料を見ながら、具体的な省エネの方法を考えていきます。東京電力の「電気ご使用量のお知らせ」を例に、契約アンペア数について講師が説明します。契約アンペア数というのは電気使用量のピークを表します。契約アンペア数が大きくなればそれだけ電力会社が発電所をつくり電気を準備しておくことが必要なので、契約アンペア数を適切なものにすることが大事だそうです。参加者の中には「うちは2人暮らしなのに60アンペアで契約している」などと気づく人も。講師によると、子どもが独立しても子どもがいたときの大きな契約アンペア数のままという人は多いそう。電気料金を引き落としにしていると「買っている」意識がなくなりがちですが、契約アンペア数が倍になると基本料金も倍になる(東京電力の場合)ので、契約アンペア数を見直すことは節約になるとの説明がありました。

「家庭で一番電気を使っている家電は?」に驚く参加者

地球温暖化の原因として大きな問題になっている二酸化炭素の話題も取り上げられました。家庭からの二酸化炭素排出量の約半分は電気からだそう。そして、電気使用量が多い家電は、①冷蔵庫 ②照明 ③テレビ ④エアコンの順で、この4つだけで家庭の消費電力の半分近くを占めるという説明がありました。これには、参加者みんなが驚いていました。特に冷蔵庫は24時間365日使っているため消費電力が大きく、その分、省エネ型に買い替えると大きな効果が感じられるとのこと。参加者の中には、冷蔵庫を2台持っていて、古い冷蔵庫も貯蔵庫代わりに使っているという人もいて、それをやめるとかなり電気代が変わるだろうというアドバイスを受けていました。

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これからは自然エネルギーを使った電気が重要に

講座の最後に、自然エネルギーによる電気についての話がありました。温暖化により、台風による被害が増えたり、海面が上昇することによって土地が水没するなどの問題が懸念されている今、二酸化炭素を排出する化石エネルギー(天然ガス・石炭・石油など)による発電から、自然エネルギーによる発電へとシフトするのは、世界的な潮流であるとのこと。そんな中、自然エネルギーの割合が高い電気を共同購入できるのが生活クラブでんきだという紹介がありました。電力小売自由化が始まり、さまざまな会社に契約を切り替えている人も増えていますが、価格やサービスなどのメリット以外に、「電源構成がどんなものか」「自然エネルギーを重視しているか」も、電気を選ぶ重要なポイントとなります。

「目からウロコ」「参加してよかった」という感想も

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2時間弱の講座を受けた参加者に感想を聞くと「目からウロコの話がいっぱいだった」「自分の家の契約アンペア数をずっと無駄に大きくしていたのを反省した」「これからは省エネを意識して家電を使えそうなので参加してよかった」などの声が聞かれました。電気は毎日使う、生活に密着したものですが、誤解していることや意外に知らないことも多く、このような省エネ講座の果たす役割は大きいようです。

生活クラブは今後も持続可能な自然エネルギー社会をめざし、生活クラブでんきの普及と省エネを進めていきます。

 

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 【2018年4月9日】

 

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vol.22 2018.03 2018.03生活クラブ風車「夢風」から広がるいきいきした交流と地域活性化

放射能検査なるほどコラム Vol.22

生活クラブ風車「夢風」から広がるいきいきした交流と地域活性化

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生活クラブでは、原発のない社会をめざして、さまざま活動をしてきました。
エネルギーの使用を「減らす」、再生可能エネルギーを「つくる」、再生可能エネルギーを「つかう」を掲げ、その具体的な取り組みとして2016年に電気の共同購入をスタートしました。

「生活クラブでんき」は自然エネルギーの割合が高い電気を共同購入できることが大きな特徴です。この「生活クラブでんき」の取り組みの起点ともいえるのが、2012年に秋田県にかほ市に建設された「生活クラブ風車・夢風(ゆめかぜ)」。建設から6年経ち、「夢風」は、自然エネルギーを供給する施設というだけにとどまらない広がりを見せています。その様子を、(株)生活クラブエナジーの半澤彰浩代表取締役(生活クラブ神奈川 専務理事)に聞きました。

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「生活クラブ風車・夢風」が建設されるまで

生活クラブは、日本各地の生産者と連携して共同購入を50年以上すすめる中で、「安全」「健康」「環境」を追求してきました。環境への負荷削減については、びんや卵パックのリユースやせっけんの利用の促進など、「省エネ」を中心に行ってきました。しかし、電気やエネルギーも「食」と並んで私たちの生活に欠かせないものであり、自分たちで積極的に自然エネルギーを作っていく「創エネ」が、環境対策として大事なのではないかという議論が、生活クラブの中でずっと行われてきたのです。

そんな議論のベースがあった中で、生活クラブ神奈川が2010年に40周年を迎えるにあたって、節目の事業として「風車の建設」が持ち上がりました。最終的には他の単位生協にも呼びかけて、生活クラブ首都圏4単協(東京・神奈川・埼玉・千葉)で建設することになったのです。始めるからにはやはり継続的な事業としてきちんと成功するモデルを作るべきだという考えのもと、建設地を多数吟味し、一定の風速があり風況のよい秋田県にかほ市が最終建設地に決まりました。風車は2012年3月より稼動を開始。「夢風」という名前は地元の小学生につけてもらった名前です。

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「夢風」竣工記念式典

風車を起点に広がり始めた交流活動

そうやって事業のスタートは切りましたが、当時はまだ固定価格買い取り制度(再生可能エネルギー源を用いて発電された電気を、一定価格で電気事業者が買い取ることを義務付けた制度)もなかったので、風車を建設して運営することはとても困難でした。風車というものへの理解がまだまだ不足している面もありました。また、「創エネ」という分野は生活クラブにとっても初めてだったので生活クラブ内でも多くの議論が巻き起こったのです。

中でも生活クラブらしかったのは、風車を地方に作ってそこで起こした電気を首都圏で使う、という関係だけではなく、もっと風車の地元にもプラスの効用を生むような、活発な関係を探るべきではという意見が出てきたこと。そこで始まったのが、秋田県にかほ市の方たちと、組合員の交流活動です。単に「エネルギー」だけでなく、人と人の交流や、物産の取組みなどの連携を深めています。

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生活クラブ神奈川(オルタ館)で開催された物産展

農産物の仕入れや小学校の環境教育へ

こういった連携から広がり、にかほ市で作っている加工用トマトや大豆などの農産物を、生活クラブの消費材の原料として仕入れる取り組みも広がっています。

また小学校の授業で、この「生活クラブ風車・夢風」をエネルギー学習の素材として生かす試みも始まっています。実際に風車が回っているところを見たり、風車の中に入ってもらったりして、小学生たちの素朴な質問にも答えていくような講座です。

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にかほ市でつくられた大豆

地元の人にとって特別な「顔の見える」風車

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県道から臨む「夢風」

風況のよいにかほ市には、生活クラブのもの以外にもたくさんの風車が建っていますが、多くの場合は地元の人にとって「誰のものかもわからない」風車であり、中に入るということもまずありません。しかし生活クラブでの風車は、交流活動を通じてどんな人がやっている風車なのかわかる、「顔が見える風車」となっているようです。にかほ市に数十基ある風車の中でも、「生活クラブ風車・夢風」はいわば、にかほ市で一番有名な風車。地元の人たちは、「生活クラブの風車を見ると組合員の顔を思い出す」「生活クラブの風車が回っていないと心配になる」などと言ってくれており、「夢風」が特別な風車になっていることを感じます。
例えば防災協定など、今後もさらに、にかほ市と生活クラブの連携や交流を深めていく試みは検討中です。

自然エネルギーから地域の自治が生まれる新しいモデルへ

自然エネルギーはこのように、小規模・分散型で発電できるという特性があります。地域と人が結びついてエネルギーを生み出し、それによってその地域にお金がもたらされる、そうした自給・自治のモデルになり得るのです。自然エネルギーによるしくみづくりが、脱原発社会への歩みとなることはもちろん、地域の活性化にもつながっていくような例をなるべく多く生み出したい、それが生活クラブの目標です。
((株)生活クラブエナジー 半澤彰浩代表取締役 談)

 

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 【2018年3月13日】

 

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vol.21 2018.02 2018.02福島第一原発事故を振り返りこれからを考える

放射能検査なるほどコラム Vol.21

福島第一原発事故を振り返りこれからを考える

東日本大震災、そして東京電力福島第一原子力発電所の事故からまもなく7年。今だからこそ把握できる原発事故の経緯と、放射能汚染の状況をあらためて整理し、生活クラブの放射能対策と併せて振り返ります。

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福島第一原発の事故の状況をあらためて振り返る

原発事故の当時は、情報も錯綜していて事故の全体像はなかなかつかみにくい状況でした。7年経った今も全容が解明されているとはいい難い状況ですが、今振り返ることで、「あのときはこういうことが起きていたんだ」と把握できることもあります。そんな視点で、事故を起こした福島第一原発の1~4号機の状況を、少し詳しく振り返ります。


【最初に水素爆発を起こした1号機】
<1号機の振り返り>
1号機は、3月11日14時46分の地震発生後、自動停止しました。しかし送電線からの電力供給がなくなってしまったために、緊急時の対応である非常用ディーゼル発電機を使って水で冷やす方法に切り替え。ところがこのディーゼル電源も津波により喪失し、炉心の冷却が困難に。本来は、この状態に至っても、「隔離時冷却装置」という装置で電源がなくても冷やせるはずだったのが、1号機はこの隔離時冷却装置をたまたま止めた状態で停電になってしまったために使えなかったという事実があります。このようなことが重なり冷却ができなくなり、圧力容器内の水位が下がって燃料の空焚き状態になり、建屋に水素が漏洩し爆発に至ったのが3月12日の15時36分ごろです。
<現状>
核燃料はすべて格納容器から溶け落ちて、一部は下のコンクリートも溶かしている状態。建屋の中の放射線量は一部で5000ミリシーベルト=5シーベルトもあります(1時間いると半分ぐらいの人が死んでしまうぐらいの高い線量)。建屋の上も線量が高く人が近づけないため、がれきが片付けられないままです。

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瓦礫が覆った状態の1号機建屋

【爆発はしなかったが最も多量の放射能を放出した2号機】
<2号機の振り返り>
2号機は、爆発はしなかったけれども4つの中でもっとも環境を汚染してしまった原子炉です。非常用ディーゼル電源が津波により喪失してしまうところまでは1号機と同じ経過ですが、2号機は当初隔離時冷却装置が働いていたために1号機より少し長く持ち、しかしいずれその注水機能も失われ、3月15日に中の弁が開いてしまい煙突からの大量の放射能放出に至りました。大量の放射能が出たのが高さのある煙突からだったので原発の周囲にいる作業員は助かりましたが、この量の放射能がもし下の配管から出ていたら、多くの作業員が死んでいたでしょう。高い煙突からの大量の放射能は、風に乗って海から内陸まで広い地域を汚染しました。
<現状>
核燃料はかなりの部分が格納容器に残っているが、半分ぐらいは下に溶け落ちているとみられます。中は線量の一番高いところが毎時80シーベルトを計測しています(そこに入ったら数分で人が死んでしまうぐらいの高線量)。

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ロボット投入作業中の2号機建屋

【1号機の2日後に水素爆発を起こした3号機】
<3号機の振り返り>
3号機は、1、2号機と違ってバッテリーが残り高圧注水を続けることができたのですが、結局はバッテリーが枯渇して1号機と同じように水素爆発に至ります。バッテリーが残った分1号機より2日遅く、3月14日に爆発が起こりました。水素爆発の白煙とほぼ同時に、真っ黒な煙柱が瓦礫とともに高さ数百メートルまで吹き上がる大爆発でした。1号機の爆発との違いについて、十分な解析がされていないことは大きな謎です。
<現状>
核燃料はほぼ全量が下に溶け落ちてしまっています。格納容器付近で4000ミリシーベルト=4シーベルトを超える高線量。建屋の上は片付けられて、燃料取り出しのためのクレーン設置工事などを行っています。

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【大量の核燃料を燃料プールに保管していた4号機も爆発】
<4号機の振り返り>
4号機は地震発生時に定期点検中で運転は停止していたものの、原子炉の燃料が全て使用済燃料プールに取り出されていたため、この燃料プールが壊れたら大災害になるおそれがありました。煙突が共通だった3号機の水素が、4号機のほうに流れてきて3月15日に4号機も水素爆発に至ったと言われています。しかし、4号機の爆発時の映像がひとつも残っていないことも大きな謎となっています。
<現状>
大量にあった核燃料をすべて取り出し終わっています。

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4号機の建屋上部を覆う燃料取り出しカバー

1~4号機の当時の様子をあらためて整理して振り返ると、例えば3号機が爆発した影響で2号機の注水ができなくなって2号機の放射能大量放出につながったり、3号機爆発後の水素が4号機の方にも流れたり、相互に影響して事態をより深刻にしていたことがわかります。原発1機であっても対処し難いのに、それをまとめて置いてしまっていることの恐ろしさを痛感します。例えば現在、新潟県の柏崎刈羽原発には7機の原子炉が並んでおり、その危険性も認識されるべきでしょう。また、事故前に原子炉メーカーは「原子炉は5重の壁で放射能を閉じ込めているから絶対に表に出ることはない」と言っていましたが、福島原発の事故では第5の壁まですべて失われたのが事実です。

津波の予測に適切な対策をしなかった政府と東電の責任

福島第一原発の事故では、津波で電源が失われたことが深刻な事態を招きましたが、これは予想できなかったことではなく、事故前の2006年に国会で質疑として取り上げられていた懸念でした。「原子力発電所の津波対策」「巨大地震の発生に伴う安全機能の喪失など原発の危険から国民の安全を守ることに関する質問主意書」として、共産党の吉井議員から2回にわたり問いただされていた問題でした。しかし当時の第一次安倍内閣はこれを無視して対策を怠りました。また、東京電力も事故前から堤防を超える規模の津波予想を把握していたことがわかっています。しかし東京電力も対策を取りませんでした。このときに政府や東電が対策を行っていれば過酷事故は防げたと言えます。この重い責任は決して忘れてはならないでしょう。

原発事故で失われた国土の大きさ

東京電力福島第一原発事故は未曽有の人災ですが、日本の東側の海岸にある原発だったために、放射能の多くが西風で海側へ流れました。それでもその時々の風向きによって内陸にも多く流れ、放射線量が高い地域も生まれることになりました。事故直後に第一原発から20km圏内を立ち入り禁止の「警戒区域」としました。この20km圏内という範囲がどんなに広いかは、同じ距離を首都圏に当てはめてみるとわかります。原発を東京の真ん中に置いたとすると、大宮や春日部や川崎なども20km圏内に入ってしまい、20km圏内というのがどれだけ広い範囲か、どれだけ大きな面積の国土が原発事故によって失われてしまったか、ということが実感できます。

現在国が進める避難解除には大きな問題が

現在、福島第一原発事故による避難区域の解除を国が進めていて、避難区域は少しずつ狭まってきています。しかし、解除の基準となるのが、積算線量「年間20ミリシーベルト」ということは見過ごせない問題です。そもそもは一般人の線量限度は年間1ミリシーベルトと定められており、20ミリシーベルトというのは原発事故時の特別警戒下ということでやむなくゆるめられている数値です。その、いわば非常時の基準をもとに、年間20ミリシーベルトもの放射線量の場所に帰還することを国が強いるのはとてもおかしな話です。放射線被ばく量とがん発病の確率の関係で言うと、年間1ミリシーベルトは1万人に1人ががんを発病する線量ですが、20ミリシーベルトは1万人に20人ががんを発病し、そのうち半分の10人ががんで死亡するという確率の線量です。1000人に1人、つまり1000人ぐらいの規模の小学校があったらそのうちの1人ががんで死亡するような線量の場所ということ。国が今やろうとしているのは、そこに人を帰還させるという暴挙だということは問題にすべきでしょう。

食品の汚染に対し生活クラブは独自の検査を続けてきました

原発事故による食品の放射能汚染を受け、事故後、行政も放射能検査を行っていましたが、自治体によって検査数にばらつきがあったり、検査にかける品目にも偏りがあるのが実態でした。生活クラブでは、震災の直後から原乳をはじめとした検査を行い、その後自前の測定器を導入するなどして農畜水産物も加工食品もまんべんなく検査することに努めました。国の基準値より厳しい自主基準値も定め、10万件を超える累積検査数を重ね、利用者に安心と安全を届けられるよう現在もその体制を続けています。

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*写真左:2016年に導入した高精度な検査可能なゲルマニウム半導体検出器
*写真右:生活クラブと国の基準値の比較 セシウム134と137合計値 単位:Bq/kg

全体を振り返ることであらためて、福島第一原発事故の甚大さ、被害にあった人々の苦しみ、今もなお続く事故処理の困難さが浮き彫りになります。7年の月日が経っても忘れてはいけないこと・忘れるべきでないことを心に刻みながら、生活クラブは原発のない社会をめざし、再生可能エネルギーを「つくる」、再生可能エネルギーを「つかう」、エネルギーの使用を「減らす」をかかげ、様々な活動を続けていきます。

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 【2018年2月9日】

 

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vol.20 2018.01 2018.01「生活クラブの放射能対策」子育てママ座談会

放射能検査なるほどコラム Vol.20

「生活クラブの放射能対策」子育てママ座談会

「きちんと検査されていて安心」「厳しい基準だから信頼できる」などの声

2011年の東京電力福島第一原発の事故から、もう少しで7年になろうとしています。今回は神奈川県の横浜みなみ生活クラブの組合員で子育て世代のママたちに集まってもらい、原発事故のとき小さな子どもを抱えてどんなことを感じていたか、生活クラブの放射能対策についてどう思うかなど、自由に話してもらいました。

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●参加者・横浜みなみ生活クラブの組合員のみなさん
吉川さん(小6・年少の母/生活クラブ加入歴約6年)
三浦さん(小3の母/生活クラブ加入歴約1年)
沖村さん(年長の母/生活クラブ加入歴約6年)
安藤さん(小4・小2の母/生活クラブ加入歴約8年)

生活クラブ加入のきっかけと「3.11」のときのこと

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[吉川さん]私は、生活クラブに加入したのがちょうど「3.11」の直前ぐらいでした。普段は細かいことはあまり気にしないタイプなのですが、原発事故が起こって放射能汚染があったときに生活クラブに入っていたのは、今思うととてもラッキーでした。生活クラブに加入していることで、食に関して正しい情報が受け取れるという安心感があったので。事故直後は特にそうでしたね。

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[沖村さん]うちは親が昔から生活クラブに入っていて、私が結婚したときに「あなたもちゃんと生活クラブに入りなさい」なんて言われていたんです。でも妊娠したりで入りそびれていたときに起きたのが「3.11」。妊娠中だったのでその前から食品の添加物などはずっと気にしていたんですけど、放射能汚染も気にしなくてはいけなくなって、本当に不安でしたね。それがきっかけですぐ生活クラブに入ったんです。

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[三浦さん]震災当時は子どももまだ2歳前ぐらいだったので、放射能汚染は本当に怖かったですね。食のことはすごく気をつけてたし、ガイガーカウンターを使って自分で放射線を測ったりもしていました。でもその頃はまだ生活クラブには加入していなくて。というのは、そのときは今よりも時間的にも余裕があったので、まずは自分で、食べるものや買うお店を選ぶ生活をしようと思ったからなんです。お友達には組合員の人もたくさんいたので話はずっと聞いていて、私も1年ほど前に加入しました。仕事が忙しい中、短い時間で食事の支度をしないといけないということもあり、生活クラブなら納得できると思いました。

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[安藤さん]夫の母が生活クラブの組合員だったので、すすめられて、結婚とほぼ同時に約10年前に加入しました。途中2年ほど海外にいたので実質8年です。大学院で原子力政策の勉強をしていたこともあり、原発事故が起こったときはものすごくショックでした。子どもはまだ3歳と1歳ぐらいで、どうしたら子どもを守れるか?で頭がいっぱいでしたね。

生活クラブに加入していたから安心できた面も

[吉川さん]事故当時は放射能に関する知識もあまりなかったし、情報も少なかったから怖かったですよね。国の発表やテレビのニュースもあまり正しいことを伝えていないと感じられました。子どもを外で遊ばせるのもみんな控えてたから公園にも誰にもいなくて、洗濯物も外に干せなかったりした覚えがあります。

[三浦さん]テレビの情報は鵜呑みにしなくなりましたよね。それよりも、地道に放射線量を測って報告している人のブログとか、情報を自分から探すようになりました。

[沖村さん]事故直後は、食品の放射能汚染が心配でお店で何を買うか悩んだり。それがかえってストレスになってお腹の子どもに悪いのでは?と思っちゃうこともよくありました。生活クラブに加入して、ストレスが減ったし少し気持ちが落ち着きましたね。もし生活クラブに入っていなかったら、買い物のとき店頭で悩む時間がずっと続いていたと思うので。

[安藤さん]毎日不安は尽きませんでしたが、生活クラブのものなら一番安心できる、と考えて利用していましたね。

放射能対策への信頼感

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[三浦さん]生活クラブの放射能検査は、産地ごとに細かく調べているのがいいですよね。あと、生鮮品だけじゃなくて、加工食品についてもきちんと調べているというのは安心です。事故直後は私も食品の放射能汚染の数値を自分で調べたりもしていたんですが、今はなかなかそこまで時間をかけられないので、注文用紙と一緒に毎月印刷されたニュースで検査結果が手元に届くのは助かります。

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[沖村さん]逆に私は生活クラブ以外をあまり知らないので、他のところはここまできちんと測ってるのかな?と思っちゃいますね。どうなんだろう?

[吉川さん]放射能検査もいろいろあると思うんだけど、生活クラブは検出下限値(※)が厳しいし、検査体制自体もしっかりしているところが信頼できると思ってます。放射能検査数も他より圧倒的に多いんですよね。
(※測定において検出できる最小値で、いわば放射能検査の精度を表すもの。)

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国と生活クラブの自主基準値の比較表
セシウム134と137合計値 単位:Bq/kg

[安藤さん]3.11の直後、放射能への関心は国全体でわーっと高まったけど、今はそれがすっかり引いてしまって「何ともないよね」という雰囲気になってしまっていますよね。でも生活クラブは今でも徹底的に、ここまでやれば安心でしょっていうレベルで調べてくれているので安心できます。このあいだ、届いた放射能検査ニュースを見ていたら、30年以上前のお茶からチェルノブイリのときの放射能を検出したニュースが載っていて(放射能検査なるほどコラム Vol.13「チェルノブイリ事故から31年 当時のお茶を検査しました」を参照)、30年以上前の放射能でもまだ残っているんだから、福島原発の事故の放射能もずっと気にしていかなければいけないなと改めて思いました。

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当時から保管されていたわたらい茶

[吉川さん]私は生活クラブの組合員理事をやっているので、生活クラブの放射能対策が、例えば「検査の検出下限値が厳しい」とか「乳幼児向けのすくすくカタログに掲載する食品は『不検出』を基準にしている」とか「ゲルマニウム半導体検出器を導入している」とか、そういうことまで知っているんだけど、組合員でもそこまで知らない人もいますよね。

[三浦さん]えー、すくすくカタログって「不検出」が基準なんですか?知らなかった!知らない人いっぱいいると思いますよ。もっとアピールすればいいのに(笑)!

[沖村さん]そういう生活クラブならではの放射能検査のいいところは、一番よく見るカタログの表紙にどーんと載せたりしたほうがいいですよね(笑)。

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乳幼児向けのすくすくカタログ

生活クラブの姿勢や方向性にも共感

[沖村さん]私もそうだし子育てママは日々忙しくて、放射能のことも食の安全のことも流れていっちゃうところがあるので、そこを生活クラブが気づかせてくれるのはありがたいなっていつも思います。食品の放射能検査もそうだし、例えばこの間、横浜みなみ生活クラブ主催の「日本と再生」という自然エネルギーについてのドキュメンタリー映画の上映会があり、組合員以外の人にも広がりのあるような、そういう活動を率先してやってくれるのはすごい力になると思うんですよね。

[三浦さん]私も、原発事故後、福島の方たちを保養に迎える活動を小さな規模でやっているんですが、保養活動って資金もボランティアも足りなくて、続けていくのが本当に大変なんですよ。そんな中、生活クラブの各地域生協でも保養を企画しているところがあって、生活クラブみたいな母体の大きいところがやってくれるのは本当にありがたいし頼もしいなと感じます。

[吉川さん]生活クラブでは、食の安全についてなどいろいろな勉強会があるので、そういう勉強会に出ると正しい知識が得られるし、横のつながりもできて視野が広がりますよね。事故のときにあれだけ実感した原発の怖さも世間ではすっかり忘れてしまうような風潮があって、自分もそれに流されそうになるけど、生活クラブの活動に触れていると忘れちゃいけないなとあらためて思うことができます。

[安藤さん]放射能検査などの活動とともに私が嬉しいなと思ったのが、生活クラブが電気の共同購入を始めてくれたこと。原発事故後、脱原発の活動がしたいなと思っても具体的に自分に何ができるんだろう?と思ってたので、再生可能エネルギーを使った電気の共同購入が始まると聞いたときはものすごく嬉しかったです。

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[沖村さん]普段なかなかママ友とそういう話題になることは少ないけど、原発の怖さとか食の安全とかを気にしているママはけっこういると思うので、そういう人に生活クラブのことをもっと知ってもらえたらいいですよね。

[一同]そうですね。


子育てをしながら原発事故後の不安と向き合い対策を工夫してきた様子が、みなさんの率直なお話からうかがえました。生活クラブは今後も、放射能検査をはじめとしたさまざまな対策を通じて、食の安全と安心を守ります。また、脱原発の活動や生活クラブでんきの共同購入などをすすめ、健康で安心して暮らせる社会をめざしていきます。

 【2018年1月15日】

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vol.19 2017.12 2017.12「もんじゅ」の視察に行ってきました

放射能検査なるほどコラム Vol.19

「もんじゅ」の視察に行ってきました

福井県敦賀市にあり、昨年廃炉が正式決定した高速増殖炉「もんじゅ」。この度、このもんじゅおよび美浜原発、敦賀原発の視察に、生活クラブのメンバーが参加してきました。その様子をお伝えします。

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廃炉が決まったもんじゅを含む福井県の原発の視察へ

もんじゅは、核燃料サイクルの中核をなす高速増殖炉の実証炉として、1970年に設置が決まり、1985年から本体工事着工、1994年に臨界達成、1995年に発電を開始しました。しかし同年に冷却用ナトリウム漏れ事故を起こし、2010年に運転再開をしたものの炉内への装置落下事故により再び運転が止まったまま、2016年12月21日、廃炉が正式決定された原子炉です。

20171204c02白木海水浴場から望む「もんじゅ」

今回の視察・見学ツアーは、地元でもんじゅの廃炉を求めて活動を続けてきた「原子力発電に反対する福井県民会議」が、活動を総括する集会を開催したのに合わせ計画されました。もんじゅの見学、周辺の美浜原発、敦賀原発の視察を行ったほか、もんじゅ廃炉集会シンポジウムへの参加や、地元美浜町で美浜原発への反対活動をしながら原子力に頼らない暮らしの実践の場となってきた「森と暮らすどんぐり倶楽部」訪問なども交えた日程でした(実施日11月5日~6日)。

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小さな敦賀半島とその周辺に多くの原発が密集

原子力発電所の視察は、ツアー日程の2日目に行われました。

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福井県の敦賀半島の先端に、美浜原発、もんじゅ、敦賀原発、ふげん、そしてすぐそばの若狭湾岸には大飯原発、高浜原発と、この狭い地域に15基もの原発が並んでいます。(その内、再稼働中2基、停止中8基、廃炉が5基。)さらに敦賀原発には建設計画中の原子炉が2基あります。原発は万が一の事故のとき被害を受ける人々の数を少なくするために、人口密集地に建設してはいけないと決められているため、いずれも辺境の地に建設されています。実際にその様子を見ると、原発をめぐる都会と地方の差別的な関係が如実に現れていると感じました。

最初に訪れた美浜原発は、3基の内、2015年に1号機と2号機が廃炉決定となり、残る3号機は停止中ですが新基準には適合とされ、再稼働の準備中です。美浜原発PR館は、休館日であり、見学できませんでしたが、入口前からは長い橋の向こう側に原子炉格納容器が望めました。

美しい海水浴場のすぐ向こうにもんじゅの格納容器

そのあと、もんじゅの対岸にある白木漁港・白木海水場から、もんじゅを望みました。透明度の高いきれいな海と白い砂浜の、美しい海水浴場のすぐ向こう側に、もんじゅの原子炉格納容器が見えます。参加者の中からは、美しい海水浴場とその向こうに立つ原発施設とのギャップに違和感を覚えるといった感想も出ました。

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もんじゅでは、情報棟で3D動画の上映を見た後、班に分かれて解説員の案内で見学をしました。もんじゅ情報棟はもともとPR館として建てられたもので、ここではもんじゅ全体の構造を説明する「マジックビジョン」や、もんじゅ機器全体の50分の1の縮小モデル、ナトリウム配管や燃料ピン、燃料集合体などの模型の見学をしました。ナトリウム取扱研修施設では、もんじゅの冷却材である金属ナトリウムにまつわる実験などを見ました。それから小型バスに乗り換え、もんじゅ構内を見学しました。もんじゅの構内は防犯上の理由から写真撮影が禁止されていました。

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膨大な予算を注ぎ込まれながらほとんど稼働することなく廃炉が決まったもんじゅ。施設での「高速増殖炉は夢のエネルギー」といったような説明には、違和感を覚えたという率直な意見も参加メンバーからは聞かれました。

さらにバスで、同じ敦賀半島にある敦賀原発に移動。原子炉格納容器が見えるところまで近づき、バス車内から見学しました。敦賀原発は、1号機は廃炉ですが、2号機は新基準適合審査中で、さらに3・4号機の建設計画があります。

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実際に見学してあらためて感じる原発技術への疑問

実際にバスを使って、美浜原発、もんじゅ、敦賀原発、と巡ってみると、狭い半島にたくさんの原発が立地している状況が実感できました。美しい海や砂浜、あるいは緑豊かな森といった自然の中に、原発の施設や高圧の鉄塔群が立ち並んでいる様子も、目の当たりにすると違和感を覚えるものでした。自然エネルギーによる発電も低コストで可能となり世界中で転換が進む中、実際に原発施設を見学して、原子力発電技術というものの古臭さをより実感したという意見もメンバーから多かったのが事実です。

視察の経験を生かしながら脱原発の取り組みを進めます

今回の視察で得た知見は生活クラブの内外で共有し、東京電力福島第一原発事故の発生以前から生活クラブが続けている、脱原発社会に向けた取り組みに生かしていきます。今回の訪問先の福井県をはじめとして、日本各地で原発の再稼働がなし崩し的に進められようとしている現在こそ、生活クラブは「生活クラブでんき」の共同購入などを通じて、「原発はいらない」という意志を実践する組織であり続けます。

 【2017年12月4日】

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vol.18 2017.11 2017.11人々の健康不安に寄り添う、生活クラブの甲状腺検査活動

放射能検査なるほどコラム Vol.18

人々の健康不安に寄り添う、生活クラブの甲状腺検査活動

2011年の東京電力福島第一原発事故から6年が経過しました。事故に関する報道が減りつつあるように思える現在。でも、原発事故の放射能による健康被害への不安はなくなったわけではありません。生活クラブは、2012年より継続して「甲状腺検査」活動を行っています。

生活クラブはなぜ甲状腺検査活動を続けているか

原発事故の影響のひとつに、事故で放出された放射性ヨウ素による、甲状腺がんの発症の心配があります。福島県では、事故当時18歳以下の県民を対象にした「県民健康調査」で、甲状腺検査を行っています。生活クラブでは、子どもの健康に寄り添う必要があることから福島県が行っている甲状腺検査との比較や、福島県内外の検査結果を比較するなどの目的で、2012年より甲状腺検査を開始し現在も継続しています。

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生活クラブふくしまによる子どもの甲状腺検査

2016年度の検査でわかったこと

最新の2016年度の生活クラブの検査は、各地で計790人が受診しました。甲状腺検査は、甲状腺に嚢胞(のうほう)や結節などがあるかを調べるものです。嚢胞とは体液のたまった袋状のもので、がんになる可能性は低いものです。結節は「しこり」とも呼ばれ、良性と悪性(がん)があります。

生活クラブの2016年度の検査、および2012年度からの継続した検査活動の中では、以下のようなことがわかりました。

●福島県による検査結果との比較としては、2016年度も結節の所見率が、生活クラブの検査のほうが高くなっています。これは、より丁寧な検査がなされている可能性を示唆しています。
●震災時に福島にいた子どもの嚢胞の所有率が、全体より10.3ポイント高くなっており、引き続き経過を注視していく必要があります。
●結節および嚢胞のサイズが、増減したり消失・発生する事例がかなりの頻度で見られることがわかりました。継続的な検査活動の成果のひとつと言えます。この傾向は県民健康調査でも見受けられます。その要因が何によるものなのかも含め、今後も注視が必要です。

※より詳しい検査結果の報告は、こちらの「2016年度甲状腺検査活動報告書」で読むことができます。(PDFファイル、A4版10ページ、約320KB)

甲状腺検査活動はこれからが重要、そのための施策も

1986年のチェルノブイリ原発事故では5年後から子どもの甲状腺がんが増え、10年後に発生のピークを迎えた事実があります。つまり、福島第一原発事故を受けた甲状腺検査も、これからが重要ということ。これを踏まえ、生活クラブでは少なくとも2020年度まで検査活動を継続していく方針を決定しました。

また、福島県県民健康調査は原則として2年ごとの検査であり、20歳を超えると5年ごとの節目検診の実施となり、検査の間隔が長くなっています。これに対し生活クラブの甲状腺検査活動では、1年に1回の検査を行っています。多くの人が継続して検査を受けやすくするため、検査の実施時期も通年に拡大しました。大学進学や就職などで地元を離れる子どもたちも受診できるよう、検討していきます。

不安に寄り添いながら今後につながる検査活動を継続

2017年の福島県による県民健康調査報告では、甲状腺がんおよび疑いのある人は191人(受診対象約30万件)とされています。これは専門家の従来の知見(「100 万人に1人」)をはるかに上回る率ですが、「県民健康調査検討委員会」では「放射線による影響とは考えにくい」との見解を変えていません。

放射能による甲状腺への健康被害については医学的にわかっていないことが多いのが現状ですが、福島第一原発事故により広がった放射能汚染が、健康へのぬぐえない不安を人々にもたらしたことは事実です。

福島県の行っている県民健康調査は集団検査で詳しい説明が受けられないため、不安に感じてしまうという声も少なからず聞かれます。生活クラブの甲状腺検査では「丁寧に診てもらえ安心できた」「その場で質問にも答えてもらえた」「説明がわかりやすかった」などの感想が寄せられています。

健康に不安を感じる子どもや親の気持ちに寄り添った検査活動を、生活クラブは今後も進めたいと考えています。市民の側からの検証として、検査活動を継続しデータを蓄積することが、現状把握、そして放射能による影響を明らかにしていくことにもつながっていきます。

 【2017年11月7日】

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vol.17 2017.10 2017.10生活クラブの放射能検査数が累積10万件を突破!

放射能検査なるほどコラム Vol.17

生活クラブの放射能検査数が累積10万件を突破!

東京電力福島第一原発の事故後、独自の基準値のもと放射能検査を積み重ねてきた生活クラブ。先日、その累積検査件数が「10万件」を超えました。6年余り継続してきた検査で至った「10万件」という大きな数字。その経緯や意味合いを振り返ります。

「組合員が放射能汚染の実態を認識し、消費材の利用を計画し工夫できるようにすること」
「子どもたちに安心して与えられる食品を供給すること」
「提携生産者と共に、産地の放射能汚染の実態を把握しその低減策を模索すること」
生活クラブの放射能検査には、そんな目的があります。そして、この目的を達成するために地道に「不検出」という結果を積み上げてきたのが、生活クラブの放射能検査です。10万件の検査結果のうち、9万7530件が不検出です。毎月、組合員に配布される放射能検査ニュースやWEBサイトでも、このことをみなさんにお知らせしています。

2017年の8月に10万件を突破

2011年より続けてきた、生活クラブの消費材の放射能検査。さる2017年8月に、練習や確認を除いた検査報告件数が10万件を超えたことを確認しました。記念すべき10万件目の測定は、埼玉県さいたま市にある生活クラブ検査室の5号機で、8月18日深夜23:45に実施した消費材「北海道の黒豆煮豆」の測定でした。結果はもちろん不検出。5号機はロボットアームによる自動交換により、誰もいない時間帯でも連続測定ができる機械なので、深夜の10万件達成となりました。

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生活クラブ検査室:(左)5号機 (右)高精度の検査が可能な6号機

農畜水産物も加工食品もまんべんなく検査して10万件

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10万件の検査をジャンル別に集計すると、青果物が53,278検体で過半数を占めています。続いて、惣菜9,063検体、菓子5,870検体、調理素材5,725検体、魚介4,819検体、乳製品3,448検体、魚介加工品 3,418検体、麺類・軽食 2,926検体、調味料 2,622検体、豚肉 1,697検体、茶・飲料 1,517検体、牛肉 1,507検体、鶏肉 1,137検体、その他2,973検体となっています。農畜水産物(一次産品)だけでなく、加工食品もまんべんなく検査していることが、生活クラブの放射能検査の特徴です。

またこの10万件のグラフを見ると、福島原発事故後の2011年秋頃から検査数が飛躍的に増えていることがわかります。これは、生活クラブで自前の放射能測定器(1号機・2号機)が稼働し始めたからです。

10万件を達成するまでの道のり

少しさかのぼって振り返ると、福島第一原発事故が起こる前までは、放射能検査といえば主に1986年4月のチェルノブイリ原発事故由来の放射能汚染を測定することでした。生活クラブでは「放射能汚染食品測定室」(市民・研究者・生活クラブを含む複数の生協・自然食品取扱い事業者が協力して設立)で消費材の検査を行っていました。チェルノブイリ原発事故から10年以上が経つと、一部の輸入食品などを除いてはほとんど不検出となり、生活クラブが依頼する放射能検査も毎月数検体という数でした。

ところが2011年3月11日の東日本大震災による東京電力福島第一原発の事故により、多量の放射能が環境中に放出されたことから、放射能汚染食品測定室も格段に多くの検体の放射能測定を行う必要が出てきました。しかし2台の測定器をフル稼働しても、1日15検体の検査枠を作るのがやっと。生活クラブにも1日3検体の検査枠が割り当てられたので、定点観測のために毎日2検体の原乳(栃木工場と千葉工場)の測定、汚染分布を知るために1検体の畜肉(肥育した牧場を指定して順番に検査)の測定を続けました。

数多くの検査を重ねさらに厳しい自主基準値へ

2011年9月には、生活クラブ内に自前の放射能測定器を2台導入し、多検体の検査を行うことが可能となりました。最初の3ヵ月間は、1検体5分間の測定(検出下限値 150Bq/kg程)という短い検査で、国の基準値(当時は500Bq/kg)を超えていないことを確認するのを最優先として、とにかく多くの検体を検査しました。土日も休まずに、毎週供給する全品目600検体の測定を行った時期(第1ステップ)です。

その後、「検出下限値を徐々に低くする(検査の精度を上げる)」「国の基準より厳しい自主基準値を定めて運用する」「自前の放射能測定器の台数を増強する」などに取り組みながら、放射能検査を行ってきました。2016年春からは、精度の高いGe半導体検出器を配備し、自前の放射能検出器は計6台に。また検査実績を踏まえた新しい自主基準値を運用開始し、検出下限目標は自主基準値の1/4以下としました。現在もこの体制を引き継いでいます。

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「累積検査数10万件」という数の大きさ

ひと口に「10万件」といっても、それがどの程度の数字なのかはピンとこないかもしれません。10万件の検査がどれぐらいの意味を持つかというと、例えば厚生労働省が食品の放射能検査をした結果を集約している国立保健医療科学院のWebサイト※がありますが、2011年3月の事故以来の検査件数は「約189万件」です。生活クラブの累計検査数の「10万件」は、全国にある国立研究所や保健所などが測定した総数の、実に19分の1に達するほどの数なのです。また、この集計では畜産物は143万件と多い一方で、農産物は23万件など検査数に偏りがあることがわかります。例えば農産物の検査件数を比べると、生活クラブの5万件は、全国にある国立研究所や保健所などの検査数の約4分の1に達するほどになります。
※ 国立保健医療科学院のWebサイトURL:
http://www.radioactivity-db.info/CategoryList.aspx

検査体制を支える組合員の意識

現在、生活クラブは6台の放射能測定装置を保有しています。それぞれの価格は下図のとおりで、6台の合計で4,159万円(税別)です。

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その他にも、提携生産者に支払う検体の買い取り費用や、検査の実務作業を委託する費用、測定装置の保守メンテナンス費用なども合わせて、年間数千万円がかかっています。このような生活クラブの検査体制を維持しているのは、安全な消費材を厳しい自主基準をクリアすることで確認しようとする組合員の意識にほかなりません。

放射能汚染の恐さを胸に刻みながら活動を続けます

放射性セシウム137の半減期は30年です。その3倍の期間の90年が経っても、最初の量の8分の1にしか減りません。8000 Bq/kg未満の廃棄物が、1000 Bq/kg未満になるだけです。放射能という存在の恐さ、原発事故というものの恐ろしさを胸に刻みながら、私たちはこれからも放射能検査を続けなくてはいけません。そして、検査で放射能が不検出になる日がやってくるためには、原水爆実験や原子力発電などによって環境に放射能汚染がもたらされる事態はなくさなければいけません。そのためのいろいろな活動も、生活クラブは続けていきます。

【2017年10月6日】

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vol.16 2017.09 2017.09生活クラブでは放射能検査の見学を実施しています

放射能検査なるほどコラム Vol.16

生活クラブでは放射能検査の見学を実施しています

東京電力福島第一原発の事故以来、独自の厳しい基準による放射能検査を実施し、放射能検査数では国内屈指の実績を重ねてきている生活クラブ。その検査の拠点である生活クラブ連合会検査室(埼玉県さいたま市・生活クラブ埼玉大宮センター内)では、申し込みを受けて、組合員の見学を受け入れています。見学はどのように行われ、組合員からはどんな感想が聞かれるのでしょうか?ある日の見学の様子をレポートします。

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生活クラブ連合会検査室

生活クラブの組合員活動の一環として

今回放射能検査の見学を行ったのは、生活クラブ埼玉大宮ブロックの組合員。食、エネルギー、環境などの問題に目を向け「サステイナブル(持続可能)な暮らし方」をめざすためのさまざまな活動をしている、「サステイナブル委員会」のメンバーです。この大宮ブロックサステイナブル委員会では、8月20日に生活クラブ埼玉の主催で行われた「エコフェス(環境フェア)」の展示で、放射能汚染の問題を取り上げるため、その学習の一環として放射能検査の見学を計画した経緯でした。

見学前に資料に沿って基本をおさらい

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品質管理部品質管理課 沼尾課長

当日はまず会議室で、生活クラブ連合会品質管理部品質管理課の沼尾課長より、生活クラブの放射能汚染対策全般についての説明がありました。
生活クラブが所有する放射能検査機器は、現在1号機から6号機までの6台あることが説明されました。そのうち1~4号機は青果物を仕分けしている戸田デリバリーセンターにあり青果を検査しています。飯能デリバリーセンターにあった5号機が連合会検査室へ2017年4月に移ってきたのが最近のニュース。この5号機と、最も精度の高い検査のできるゲルマニウム半導体検出器である6号機の2台が、この検査室で稼働しています。

生活クラブの放射能検査が、国の基準よりもはるかに厳しい自主基準値のもとで行われていることも、あらためて説明がありました。生活クラブの自主基準では検出下限目標値も明示されていますが、なぜ検出下限値を示すのかという点について、放射能の測定一回一回には揺らぎがあるので、基準値以下であることを確実に測るためにはその4分の1以下の値までを測る必要があるからだという解説がありました。だから、生活クラブで定めている検出下限目標値は基準値の1/4以下になっています。生活クラブの放射能検査は国よりもはるかに厳しい基準で運用しており、その自主基準値をしっかり守った消費材を組合員に届け続けるために、日々検査をしている、という説明を受け、組合員も納得の表情を見せていました。
さらに放射性物質の性質などの基本的な情報についても簡単なレクチャーがあり、その後、実際の検査室の見学に移ります。

実際の放射能検査機器を間近で見学

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検査室には5号機と6号機があります。5号機はCsIシンチレーションカウンターと呼ばれる機種です。100mlの容器に入れた検体を並べておくと、測定の終わった検体と次の検体を自動で入れ替える機能があるので、終夜自動運転しています。この機械では、2時間程度の測定で下限値6 Bq/kgまで測れます。自動で検体の入れ替えができるこのタイプの検査機は、生活クラブではこの1台のみ。
もう1台の6号機は、2016年春に導入された、ゲルマニウム半導体検出器と呼ばれる機種。こちらは色々な使い方ができますが、2リットルの容器の検体を約1時間の測定で下限値1 Bq/kgで測れる、精度の高い機械です。主に、自主基準値25 Bq/kgまでの消費材は1~5号機を使い、それよりも基準値の厳しい消費材の検査は6号機を使います。この日は牛乳の測定を行っていました。このゲルマニウム半導体検出器はしくみ上機械を冷やす必要があり、液体窒素で冷やしています。機械に結露があってはいけないので室温を21℃・湿度を60%以下に保つようにしています。厚みのある鉛で遮蔽された内側に円筒型の検出器がある構造を、覗きこんで確かめることができるのも見学ならではの体験です。

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ゲルマニウム半導体検出器(6号機)

検査室の機械については、組合員からもさまざまな質問が出ていました。
●「それぞれの機械で1日にどれぐらい測っているんですか?」→「5号機は10検体/日、6号機は5~6検体/日ぐらい。5号機は自動で入れ替えができるので、週末は30検体ぐらいセットして月曜の朝までに測ります。」
●「牛乳などの液体は容器にそのまま入れているが、野菜などは砕いている?」→「はい。青果物は主に戸田デリバリーセンターの機械で測っているが、野菜はフードプロセッサーにかけて細かくしています。」
●「放射線に対する注意を促す放射線マークのようなものは必要ないのか?」→「機械から外に放射線を出すわけではないので大丈夫です。」
また、質問が出て関心の高さをうかがわせたのは、機械の値段。これについては、5号機は800万円、6号機は1200万円程度、という回答がありました。

見学を終えた後は、会議室に戻ってさらに質疑応答があり、活発に質問が飛び出していました。

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「放射能検査がより身近になった」という感想が多々

最後に、組合員に見学の感想を伺ったところ、さまざまな声が聞かれました。
「毎月『放射能検査ニュース』の紙が届くのは知っていて、ざっとは見ていたけれど、『シーベルト』と『ベクレル』という単位の違いも実はよくわかっていませんでした。今日の説明を聞いて、そのあたりもわかったのでよかったです。」
「2011年に原発事故が起こった当初は放射能に関する学習会もよくやっていたのですが、最近はそういう機会が減ってきていました。今回あらためて、生活クラブ内の活動などを通じて放射能についてもっと発信していかなければいけないと感じました。」
「事故が起きたときは気にしていた放射能のことも、今ではどんどん忘れてしまいがち。でも、生活クラブではこうして毎日地道に検査していて、その結果のものを食べているんだと実感できました。」
「原発や放射能のニュースは気にはかけていたけれど、今日、検査室を実際に訪問して感じることが多かった。800万円、1200万円といったお金をかけて機械を導入して、きめ細かい検査をした食品を食べられるというのは、普通のスーパーではできないことなのでありがたいと思いました。」

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案内をした沼尾課長からは、このような話もありました。「生活クラブでは、放射能だけでなく残留農薬や微生物などの検査も、かなりの労力と費用をかけてやっています。これは、組合員が払ったお金の中から予算を割り当ててやっていること。つまり生活クラブの検査体制は、組合員自身に支えられているものです。」

生活クラブ連合会検査室では、組合員の見学申し込みを各地の生活クラブを通して受け付けています。見学会の実施は、放射能検査への理解を深める活動のひとつ。こうした活動を通じて、組合員が消費材の届くまでの背景を知り、安心・安全な食べ物を「自分たちで選んで食べていく」という生活に寄与することをめざしています。

【2017年9月4日】

 

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vol.15 2017.08 2017.08教えてハカセ!⑤ 原発の再稼働の問題って?

放射能検査なるほどコラム Vol.15

教えてハカセ! ⑤
原発の再稼働の問題って?

福島第一原発事故から6年余り。過酷な事故の影響は今も色濃く、普通の暮らしを奪われたままの被害者も多数存在します。一方で、真剣な事故の反省もないまま、国内の原発は再稼働に向けて動いている状況でもあります。原発の再稼働の問題点について、あらためてハカセに聞いてみました。

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再稼働に向け動いていく日本国内の原発

---現在(2017年7月時点)、日本国内の原発はどういう状況にあるのでしょうか?

現在、日本国内には70基にも及ぶ原子力発電所(廃炉と着工準備中を含む)があります。そのうち、2017年7月現在、5基の原発が稼働しています。伊方原発3号機(愛媛県)、川内原発1、2号機(鹿児島県)、高浜原発3、4号機(福井県)の5基です。

---2011年に東京電力福島第一原発事故が起こってから、原発がまったく稼働していないときもありましたよね?

そうですね。2013年9月15日から2015年8月10日までの約2年間は、国内のすべての原発は稼働していませんでした。そしてその間、電力不足になることはありませんでした。

---でも、現在は5基が再稼働しているんですね。それ以外の原発の状況は?

複数の原発が、原子力施設新規制基準に係る適合性の審査の申請をしていて、原子力規制委員会がその審査をしています。現状、原子力規制委員会が、対策工事をすれば新基準に適合すると判断した原発は7基あります。高浜原発1、2号機、大飯原発3、4号機、美浜原発3号機(いずれも福井県)、玄海原発3、4号機(佐賀県)の7基です。玄海原発は佐賀県知事が再稼働に同意し、今秋にも再稼働するといわれています。

---思った以上にたくさんの原発が再稼働に向けて準備中なんですね。

現在、適合審査中の原発も13基あります。着工中の原発が3基あり、さらに9基の建設計画があります。

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出典:電気事業連合会図面集(2013)に補筆(2017.7.末現在)
参考:電気事業連合会 http://www.fepc.or.jp/theme/re-operation/

放射性廃棄物の処理方法があいまいなままの原発再稼働

---原発の再稼働には根強い反対もあると思います。再稼働の問題点としてはどのようなことがあるのでしょう?

そもそもの、原発という存在自体の問題点になりますが、原発の稼働によって生み出された放射性廃棄物の処理方法が確立されていません。原発で生み出された放射性廃棄物の多くは、その半減期を繰り返して減衰するのを待つしかなく、現在は、原発の敷地内や六ヶ所再処理工場の保管プールに保管されています。しかし、その保管場所は10年以内に枯渇するとされ、対応が必要です。

---どんな対応方法があるのでしょう?

日本では使用済み核燃料を再処理処分することにしています。再処理とは、使用済み核燃料をウランとプルトニウムと高レベル放射性廃棄物の3つに分ける作業のことです。しかし、1993年に建設開始した六ヶ所再処理工場は、相次ぐトラブルで今もなお操業を始められていません。使用済み核燃料の一部は、海外のイギリスやフランスの再処理工場で再処理されました。ごく一部が東海再処理工場でも処理されました。しかし、再処理で放射能が少なくなるわけではありません。ただ分別するだけです。

約95%を占める回収ウランは、不純物の放射能を含むため取扱いが難しく、現実に発電に再利用する目処が立っていません。電力会社は、この回収ウランを核燃料として資産計上していますが、本来なら処分費用がかかる核廃棄物に過ぎません。

---よく原発は「トイレのないマンション」と言われますが、放射性廃棄物の処理方法があいまいなまま、原発が稼働しているんですね、

一番の問題は、高レベル放射性廃棄物を1万年間以上安全に保持できる場所がないことです。地震国の日本にそのような適地があるとは思えません。はなはだ無責任な状態のまま、原発を稼動して放射能を量産していく。再稼働にあたって、この問題は何ら解決されていないのです。

実効性のある避難計画がないまま再稼働されている問題も

---再稼働にあたっての問題点は他にもありますか?

原発の再稼働は、原子力規制委員会が新規制基準に従って審査をしていますが、万が一の過酷事故発生の際の避難計画の策定は審査基準の対象となっていません。避難計画は、自治体任せになっているのが実情です。

---避難計画がきちんとできていなくても、再稼働の審査に適合とされることがあるわけですね。

原子力発電所を安全に運転するためには、万が一の過酷事故の場合に周辺住民を確実に安全に避難させるための避難計画策定は必須ですが、そこがおざなりにされており、福島第一原発事故の反省がまったく生かされていないと言わざるを得ません。

原発を稼働させることの危険性とは

---ところで素朴な疑問なのですが、稼働している場合と稼働していない場合では、原発の危険度は違うのですか?

定格運転中は、電力出力100万キロワットの原子炉は、330万キロワットの熱を出しています。例として150日後の使用済み核燃料(200万ワットの発熱があると考えられる)と比べると、1650倍の発熱量です。つまり、ごくざっくりとした計算ですが、原子炉を停止して150日後の使用済み核燃料と比べて、稼働中の原子炉には1650倍の多量の放射能があると推定できます。

このように、原発の稼働中は、半減期が短時間の放射能も含めて多数の放射性元素があり、放射能も発熱量も大きな状態ですから、稼働中の原発事故が最も恐ろしい事故です。緊急停止後の数分で、原子炉内の核分裂反応がすべて止まります。発熱量も半減します。その後の数時間で、発熱量はさらに半分になるといいます。

---なるほど。同じ量の核燃料だとしても、稼働中と停止中では事故が起こった場合の恐ろしさはまったく違うんですね。

ちなみに、福島第一原発は、地震の直後に緊急停止し、数日後に放射能を放出したため、半減期が短い放射能が消滅していました。東京電力は、放射性ヨウ素と放射性セシウムの合計(ヨウ素131換算値)で90京ベクレルを大気中に放出したと公表しました。今なお、多くの放射能が溶融デブリとなって、格納容器下部に堆積しています。

海外の原発の稼働はどのような状況か

---海外では、原発の稼働状況は現在どのようなものなんでしょうか?

アメリカ合衆国は、地球上でもっとも沢山の原発がある国です。現在、99基(合計出力約1億kW)の原子炉があります。これらはみな40年以上前に着工された古い原発で、今や次々と運転休止し、廃炉になっていきます。現在5基を新たに建設中ですが、2011年の福島第一原発事故で安全基準が厳しくなり、全体の建設コストが上昇するとともに、工期が遅れています。それと同時にアメリカ国内でシェールガスの開発が進んでいて、この安価な天然ガスを使った火力発電が急増し、原発のコスト競争力は相対的に下がっています。

※追記:8月1日にアメリカ合衆国で建設中の原発2基が建設断念されたと報じられました。
したがって、現在建設中は3基になります。さらに、別の2基も建設を継続するかどうかの判断を8月中にする予定になっていると報じられています。

フランスは、国策として原発を推進してきたため、58基の原発を擁する世界第2位の原発大国です。しかし、2011年の福島第一原発事故後、減原発を掲げるオランド大統領が当選し、2015年にフランス議会は、2025年までに全発電量のうち原発を約75%から50%まで削減することを決めました。2017年7月に仏環境相が、3分の1近くにあたる17基程度を閉鎖する見解を示しています。

ロシアは、欧州で広がった「脱原発」の動きを尻目に、原発推進の姿勢を崩していません。国営原子力企業であるロスアトムの元で、原発の建設を進めています。

韓国には、4か所に原子力発電所があり、そのうち2か所は日本海を挟んで日本のすぐ対岸に位置します。原子力技術を輸出する取り組みも進んでいました。しかし、新しい大統領は、原発新規建設計画を全面白紙化すると語り、脱原発時代を宣言しています。

ドイツ、イタリア、スイスなどでは脱原発の動きが見られます。ドイツは、原発8基の即時停止と2022年までの全廃を決定しました。イタリアは、国民投票の結果、反対票が9割超を占め、原発の再開を断念しました。スイスは、新規原発建設を停止する旨を発表し、2012年3月には一部稼働停止を決定しました。

---これまで原発推進だった国も、方向転換したりしているんですね。コスト高の問題もますますクローズアップされそうです。

原子力発電は不合理で不経済な発電方法

福島第一原発事故でその実態があらわになりましたが、やはり原発は不合理で不経済な発電方法です。使用済み核燃料の管理費や処分費、万が一の原発事故の損害を考えれば、原発が最も値段の高い発電方法と言わざるを得ません。「原発が安い」という喧伝は、本来原発の運転に必要な経費を小さく見積もっています。

原発は、地方差別の上に立地している装置であることも問題です。賃金格差のなかで被曝労働をする使い捨ての原発労働者を必要とする装置なのです。

---たとえ事故が起こらないとしても、被曝労働を前提に成り立っている発電方法ということですよね。

福島第一原発事故から6年余りが過ぎ、風化も心配される中、数々の問題に目をつむってここでなし崩し的に次々と原発の再稼働を許してよいのかということを、私たちはいま一度考えなければならないと思います。

生活クラブは脱原発社会に向けた取り組みを続けます

生活クラブでは、福島第一原発事故の発生以来、数度にわたり政府に要請や政策提案、パブリックコメントを行い働きかけしてきました。各地の原発再稼働反対のパブリックコメントや意見書も複数回提出しています。今後も、脱原発社会、持続可能なエネルギー社会に向けた積極的な取り組みを行っていきます。

【2017年8月1日】

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vol.14 2017.07 2017.07ビデオによる報告や活発な質疑など 放射能の学習会の様子

放射能検査なるほどコラム Vol.14

ビデオによる報告や活発な質疑など
放射能の学習会の様子

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生活クラブ連合会には、北海道から兵庫県までの21都道府県の33の会員生協(地域生協)が参加しています。その各地域生協の組合員の代表が定期的に集まって、生活クラブの方針やそれぞれの活動の共有をはかる場を持っています。さまざまなテーマの中で、脱原発や自然エネルギーについての情報共有も大きなテーマ。今回、放射能についての学習会の一環として、2月の連合会職員による「東京電力福島第一原発廃炉作業見学」の報告会を行ったので、その様子をお伝えします。

見学者の報告から福島第一原発の現状を知る

福島第一原発の廃炉作業見学については、この「放射能検査なるほどコラム」のVOL.11でも特集しましたが、見学者である槌田博 生活クラブ連合会 品質管理部部長から、直接組合員に見てきたことを報告する場ということで、皆が興味をもって学習会に参加していました。

槌田部長からはまず、資料に基づき、見学当日の足取りや福島第一原発の位置関係の確認がありました。つい最近まで原発から20km圏内は基本的には立ち入り禁止であったこと(※2017年4月より一部は避難指示解除が行われた)、それは東京を中心に考えると川崎や大宮といった場所に及ぶという説明があり、参加者からは驚きの声がもれていました。

【福島第一原子力発電所1~4号機の被害状況 2011年3月19日】20170703rc14_2
出典:https://www4.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/outline/2_11-j.html

1~4号機の現状の説明もありました。
●1号機はがれきの粉塵が散らないように接着剤で固めたうえで、建屋カバーを外した状態。格納容器内はロボット調査では最大毎時12シーベルトを計測し、これは30分間いたら致死量に達するほどの線量である。
●2号機は爆発は免れたので建物はきれいであるものの、内部の核燃料はかなり溶け落ちていて、格納容器内の放射能は最大毎時650シーベルトもの値(1分足らずで致死量に達するほど)が推計されている。
●3号機はほとんどすべての核燃料が溶け落ちた状態で、建屋の上の大きながれきはすでにきれいにしてあり、これからプール内のがれきを撤去しようとしている。
●4号機は核燃料取り出し済みである。

そして構内には汚染水の巨大なタンクが並んでいて、放射能除去作業後の汚染水をどんどん保管せざるを得ない状況であること、汚染水処理に使ったフィルターや作業員の使い捨ての防護服もすべて放射性廃棄物となってどんどん増えていっていること、などが説明されました。福島第一原発についての詳細な報道が減ってきている今、実際の見学者の口から様子を聞くことで、あらためて事故の重大さを感じます。

 20170703rc14_3
汚染水保管用タンク

居住制限区域や帰還困難区域を通った際の録画ビデオを上映

福島第一原発の構内は見学者による写真撮影が禁止されていますが、今回の報告会では、槌田部長がバスで福島第一原発に向かうまでの、居住制限区域(当時)、そして帰還困難区域を通過する行程を録画したビデオを上映しました。15分にまとめたものを早送りせずに15分そのまま参加者に見てもらうことで、福島の居住制限区域や帰還困難区域が現在どんな状態なのかを、なるべくリアルに感じてもらう趣旨です。

バスの車窓越しに外の様子を映すビデオから、沿道の様子がわかります。見学当時(2017年2月)居住制限区域(自由に入ることはできるが、住んだり泊まったりすることはできない)だった場所は、2017年3月いっぱいまでで制限の解除が決まっていたため、徐々に住民が戻る準備をしている様子も見られた、との説明がありました。しかし、帰還困難区域にバスが進むと、店や家々の入り口にバリケードが張られ、廃墟となっている様子が映し出されました。

20170703rc14_4bバリケードで覆われた家々

ビデオには、バス内の見学者の持っている空間線量計のアラーム音も収録されています。バス内の線量が1マイクロシーベルト/時を超えると「ピッ」と鳴り、さらに2マイクロシーベルト/時を超えるようになると「ピーッピーッ」と強い警報音が鳴っている様子がわかり、見えない放射能の怖さを感じさせました。また、沿道の田畑や空き地には、ところどころに大量の袋が置いてある様子が見えて、これは除染した土を詰めて一時置きしているものだとの説明がありました。
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沿道に置かれた除染した土

居住制限区域や帰還困難区域のほんの一部を通過した15分間のビデオではありますが、その15分間のあいだにも広大な土地を通り過ぎ、その中には人が活発に行き来していたであろう数々の町や家、作物を生み出していたであろう膨大な田畑があり、原発事故で失われたものの大きさを実感せざるを得ない映像でした。

参加者による活発な質疑も

1時間近くの説明とビデオ上映の最後には、参加者からの活発な質疑も。福島第一原発の様子についての質問の他に、それに関連して6月の茨城県大洗町の原子力機構での作業員被ばく事故についての質問もあり、参加者のこのテーマへの関心の高さがうかがえました。中には、自分も福島第一原発の見学に参加したことがあるという組合員もいて、そのことを思い出しながらこの日の報告を聞いて胸が痛んだという感想も聞かれました。

原発のない社会をめざす運動の大切さをあらためて確認

槌田部長からは、「実際に見学をして、廃炉作業がようやく端緒についてきたことはわかったけれど、収束作業は困難を極めている。これから何万年も原発の放射能を漏れ出さないようにし続ける、その作業を背負わされるのは私たちの遠い子孫である」という話がありました。このような困難を人類に強いる、原子力エネルギーを使った発電方法からは脱却して、原発のない社会をめざしていくのが生活クラブの運動である、ということを、あらためて参加者全員が確認する意義深い学習会となりました。

生活クラブでは、このような食や環境に関する学習会や情報共有を地道に行うことで、各地域生協それぞれが、そして組合員ひとりひとりが、「サステイナブル(持続可能)な生き方」を考え、選んでいくことをこころざしています。
【2017年7月3日】

※写真の一部は廃炉作業見学会で東京電力から提供されたものです。

 

《掲載後修正》本文中の数値に誤りがあることが分かりました。下記のように修正しました。

誤=「格納容器内はロボット調査では最大毎時12シーベルトを計測し、これは1時間いたら半数が死に至るほどの線量である」

正=「格納容器内はロボット調査では最大毎時12シーベルトを計測し、これは30分間いたら致死量に達するほどの線量である」

【2017年7月13日追記】

 

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vol.13 2017.06 2017.06チェルノブイリ事故から31年 当時のお茶を検査しました

放射能検査なるほどコラム Vol.13

チェルノブイリ事故から31年

当時のお茶を検査しました

覚えていますか?今から31年前、1986年4月26日は、ソビエト連邦(当時)のチェルノブイリ原子力発電所で原子力事故が起こった日。今では日本でこの事故のことが語られる機会は減ってしまいましたが、このチェルノブイリの記憶を刻みこんだ「あるもの」が、30年以上経った今も生活クラブのいくつかの地域生協に保存されています。それは、当時、チェルノブイリ原発から放出され日本にまで到達した放射能に汚染された、1986年産のお茶の葉。出荷前の段階で、生活クラブの当時の自主基準値を上回る放射能が検出されたため、供給停止になったものです。この度、チェルノブイリ原発事故から30年以上が経過したことを受けて、保管されていた茶葉の放射能をあらためて測定する試みが行われました。また、このお茶が供給停止となった、事故当時のことをよく知る組合員にも話を聞きました。

201706radiationc01

86年産の日本茶から放射能が検出された当時の経緯

1986年4月26日にチェルノブイリ原発事故が起きた当時、国は輸入食品に対する放射能の暫定基準値を370Bq/kg(ベクレル)としました。生活クラブは、国の基準のさらに10分の1である「37Bq/kg」を暫定自主基準値とし、自主基準値を超えた食品は供給をストップするという措置をとりました。この自主基準値により、イタリア産のスパゲティやトルコ産のローレルなど、供給ストップになった品目もありました。

そうしたヨーロッパ産ではない、1986年収穫の日本茶から、自主基準値を上回る放射能が検出されたのが翌年の1987年のこと。生活クラブにおける三重県のわたらい茶の検査で、最大で227Bq/kgのセシウムが検出されました。チェルノブイリの放射能汚染は日本にまで届き、特に、ちょうど一番茶の収穫時期にあたったお茶の葉が、大きく汚染の被害を受けた形です。227Bq/kgという数値は国の基準値以下ではあったものの、生活クラブの自主基準値は上回っていたため供給停止の措置がとられました。そのわたらい茶の量はなんと7.6トンもありました。その時期の他の日本茶の多くにも同じように放射能が降り注いだはずですが、生活クラブのような自主基準を持っていない場合は、国の基準を超えてさえいなければ流通したと思われます。

放射能汚染のために、出荷できないお茶を7トン以上も抱えることになってしまったわたらい茶の生産者。この状況を受け、生産者と痛みを分かち合いながら問題を共に考えていこうという動きが生まれ、供給停止となったわたらい茶を生活クラブで引き取り、各地域生協に配布して原発や放射能について考える材料としていく、という活動になりました。お茶の取り扱いは各地域生協に委ねられ、センターでの展示や、催しで展示したりなど、生協によってさまざまな使い方がされました。

保管されていた86年産の茶葉の放射能検査を実施

そういった地域生協のうちのひとつ、神奈川県の横浜みなみ生活クラブでも、汚染されたお茶を当時からずっと配送センターに展示・保管していました。

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マヨネーズの空きびんに入れて30年間保管されていたわたらい茶

今回、事故から31年、汚染の検出から30年ということを受けて、この保管していた汚染されたお茶を放射能検査にかけるという試みがなされました。放射性セシウムのうち、セシウム134は半減期(放射性物質の量が半分になる時間)が約2年、セシウム137は半減期が約30年なので、31年経ったお茶の場合、セシウム134は検出されずセシウム137は半減していることが予測されます。

検査は、横浜みなみ生活クラブの港南センターに保管されていた茶葉の一部を試料として、4/28(金)の夕刻から5/1(月)の早朝にかけて行われました。
検査結果は
■セシウム134 不検出 (検出下限値 0.15Bq/kg)
■セシウム137 23.0Bq/kg

というものでした。セシウム134が不検出なのは予測通り。セシウム137は1kgあたり23ベクレルという量が残っていました。

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開封し検査用容器へ移されるわたらい茶

この結果から、半減期30年のセシウム137は、30年前には現在の倍量の1kgあたり46ベクレルであったことがわかります。また、当時はその0.55倍のセシウム134があったと推定できるので、この試料の場合、セシウム合計では1kgあたり71ベクレルの放射能汚染を受けていたと推計されます。1987年の放射能検査ではいくつかのわたらい茶の検体を測定したうちの最高値が227Bq/kgでしたが、茶畑の位置や斜面の向き、海抜高度などによっても汚染の具合は異なるため、当時71Bq/kgだったと推定される今回の茶葉の値はサンプルのばらつきの範囲と考えられます。(注)

当時71Bq/kgだった茶葉の放射能は、30年経っても、23Bq/kgまでにしか減りません。ここからさらに30年経っても、セシウム137の量が半減するだけなので、11Bq/kgのセシウムが残ってしまうことになります。一度汚染されたものからセシウム137が検出できなくなるまでには、永い年月がかかることの証明ともなる検査結果でした。


当時の様子をよく知る組合員に話を聞きました

今回検査した86年産のわたらい茶を保管していた横浜みなみ生活クラブで、当時の様子をよく知る組合員3名から話を聞きました。

お話:

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内田ハル子さん
当時の横浜南部ブロック組合員 チェルノブイリのこどもたちを呼ぶ会 代表(当時)

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中村信子さん
当時の横浜南部ブロック組合員 社会運動委員会 平和ネットワーク委員長(当時)

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牧野美登里さん
当時の横浜南部ブロック組合員 チェルノブイリのこどもたちを呼ぶ会 代表(当時)

【チェルノブイリの原発事故について】

[内田さん]
私が生活クラブに入ったのは79年。当時スリーマイル島の原発事故などが大きく報道されていました。いろいろ話などを聞く中で、原発がなくても電気は十分起こせるということも知り、じゃあなぜ原発を使うのか?などと考え始めていたんです。そこに起きたのがチェルノブイリの事故。それからは生活クラブの活動の中で勉強も重ねて、問題意識が高まりました。

[中村さん] チェルノブイリの事故をきっかけに、講師の先生を呼んで学習会を開催したり、署名活動やビデオ上映会を開催したり、脱原発に向けて大規模な電気利用実態のアンケートを実施したり、さまざまな活動をしました。

[牧野さん] 私は安全でおいしいものが食べたくて生活クラブに入会しました。なのに、チェルノブイリの事故によって、大好きなお茶が放射能に汚染されて出荷できなくなるなんていうことが起こったのは本当にショックでしたね。

【汚染されたわたらい茶について】

[中村さん]
汚染されたわたらい茶を、事故や原発を考えるきっかけとして活用してほしいということで送られてきたときのことは今でも覚えています。港南センターに100袋ほど届いたでしょうか。活用の仕方は各地域生協に任されていましたが、当時の横浜南部ブロックでは、放射能のことを考え続けていく材料としてセンターにモニュメントとして展示することにしました。

[内田さん]
マヨネーズの空きびんに入れて、ピラミッドのように積み重ねてモニュメントにしたんですよね。セシウム137の半減期が30年だということを知っていたので、「30年経ったら飲みましょう」なんて、半ば冗談のように言いながらみんなでびんに詰めた覚えがあります。

[牧野さん]
催しやイベントで、放射能汚染の象徴として展示したり、配布などもしたことがあります。原発の危険性についての話をしっかり聞いてくださる方もいましたが、組合員以外の方だとあまりぴんときていない方も多かったですね。でも、ずっとあとに福島原発の事故が起こったとき、友人から「あなたの言ってたとおりになった」と言われました。

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30年前から港南センターエントランスに保管されているわたらい茶

【事故を契機にいろいろな活動へ】

[中村さん]
チェルノブイリの事故をきっかけに、私たちのさまざまな活動が広がりましたが、中でも大きかったのは「チェルノブイリの子どもたちを呼ぶ会/横浜」を発足させ原発事故で被災した子どもたちの保養受け入れを10年にわたって行ったことです。

[牧野さん]
受け入れは大変でしたが、少しでも汚染地域を離れ、健康的な食材を食べ、思いきり遊ぶ毎日を過ごすと、帰る頃には見違えるように元気な様子になるんですよね。そんな姿を見ると本当に嬉しかったです。

[内田さん]
保養の受け入れは、生活クラブの組合員だけでなく、一般の人もボランティアで参加した活動でした。地域に根付いた形で活動が続き、原発や放射能のことが自分たちの生活の身近に感じられるようになったのはよいことだったと思いますね。

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当時の活動資料

【メッセージ】

[中村さん] チェルノブイリ原発事故から30年以上経って、汚染されたわたらい茶のことであらためて思うのは、「放射能には国境がない」ということ。8,000km離れていても、放射能は風に乗って、海を渡って、やって来る。30年経っても放射能が消えないこのわたらい茶を通して、そういうことを認識してほしいですね。

【今回の内田さん・中村さん・牧野さんの当時のお話を聞いた組合員からは】

「汚染されたわたらい茶のことは今日初めて知りました。それをきっかけに運動が地域に広がって、その活動を今も続けられていることをお聞きできてよかったです。」

「海を隔てて遠く離れていても、放射能は届いてしまうという怖さを感じました。今日本人は、福島の事故のことさえ忘れかけているように見えます。自分の国で起きたことなんだから、もっと考えていかなきゃと思いました。」

などの声が出ていました。

30年経過しても放射能が残る現実を教訓に

今回の、1986年産のわたらい茶の放射能検査結果は、汚染から30年以上が経っても消え去ることのない放射能の怖さをまざまざと感じさせるものでした。当時、わたらい茶の生産グループの代表だった鳥羽平悟さんは、7.6トン(約一千万円以上)の汚染茶を倉庫に抱え途方にくれながら、このわたらい茶を、再び放射能汚染を繰り返さないための活動にぜひ役立ててほしいと涙ながらに語っていたそうです。

日本国内で起きた東京電力福島第一原発事故もいまだ収束をしていない今、生活クラブでは、引き続き地道に消費材の放射能検査を続け、食品の安心と安全を届けていくことが大切だと考えています。そして、生活クラブでんきの共同購入などを通して自然エネルギーを推進し、今後も「原発のない社会」に向け確かな歩みを続けていきます。
【2017年6月5日】

(注)放射性セシウム濃度の推計に際して、セシウムの同位体比がチェルノブイリ原発事故では0.55:1であったというご指摘を外部からいただきました。掲載当初、この点を誤って計算した記述となっていましたので、該当部分を修正しました。多くのみなさまからのご指摘に感謝いたします。【2017年6月14日追記】

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vol.12 2017.05 2017.05教えてハカセ!④ 新データベースの使い方が知りたい!

放射能検査なるほどコラム Vol.12

教えてハカセ! ④
新データベースの使い方が知りたい!

生活クラブの放射能検査の詳細を検索できる「検査結果データベース」が、この春(2017年4月1日)から新しくなって、より使いやすくなりました。新しいデータベースの使い方のコツなどを、開発を担当したハカセに聞いてみましょう。(記事内の表示例などは、2017年4月時点のものです。)

20160829hakase700

2017c12_1x

放射能検査結果データベースURL: http://radiation.seikatsuclub.coop/

基本の使い方を知ろう

Q.データベースの基本の使い方を教えてください。
A.まず検索条件を決めます。

まず「検索条件を決める」という項目で検索条件を決めるのが、基本の使い方です。「消費材名」「生産者名」「測定日の期間」などを指定して検索することができます。イラストのカテゴリーから調べることもできます。

Q.どうやって検索すればいいですか?
A.目的によりますが、消費材名を検索するのが一番簡単です。

例えば「プレーンヨーグルト」の検査結果を調べたいときは、検索窓に「プレーンヨーグルト」と入力して「検索」ボタンを押すと、
2017c12_2

「脂肪と酸味をおさえたプレーンヨーグルト」「プレーンヨーグルト」の2つの候補が出てきます。
2017c12_3x

さらに「プレーンヨーグルト」にチェックマークを入れて「決定」ボタンを押すと、
2017c12_45

直近2年間に行われた検査結果が表示されます。
2017c12_6x
 この例の表示URL: http://radiation.seikatsuclub.coop/,,プレーンヨーグルト,,,,55,210366

正確な消費材名がわからないときは、例えば、
2017c12_7x
①「ヨーグルト」という言葉を入力して、②検索ボタンを押して、③ヨーグルトという言葉を含む候補の中から「プレーンヨーグルト」を選んで、④決定ボタンで検査結果を表示します。
この例の表示URL: http://radiation.seikatsuclub.coop/,,ヨーグルト,,,,55,210366

カテゴリーから調べることもできます。
2017c12_8x
①カテゴリー「乳製品」から、②「プレーンヨーグルト」を選んで、③決定ボタンを押して調べることもできます。
この例の表示URL: http://radiation.seikatsuclub.coop/,,,乳製品,,,55,210366

Q.期間はどのように指定するのですか?指定しなくてもよい?
A.期間を指定しないで検索すると直近2年間の結果が出ます。
期間を何も指定しないで検索すると、検索した日から2年前までの結果が表示されます。
測定日の期間を指定する場合は、ボタンで「全期間」「選択年▼」「最近1年」「最近1月」「最近1週」を選ぶことができます。「選択年▼」では更に何年もしくは何年度の1年間を選べます。
 2017c12_9

測定日の記入欄に自由に入力もできます。ある1日だけ見たい、なんていうときは、「2017/4/1」~「2017/4/1」として、検索ボタンを押せば、2017年4月1日だけの測定結果を見られますよ。
 2017c12_10
この例の表示URL: http://radiation.seikatsuclub.coop/2017-4-1,2017-4-1,,,,,55,0

Q.消費材名を入れずに期間だけ決めて検索することもできるのですか?
A.その期間に検査したすべての消費材の結果が出てきます
例えば消費材を決めずに「最近1週」のボタンを押すと、この1週間に行われたさまざまな消費材の検査結果が出てきます。「最近1週間では、どんな消費材の検査をやったのかな?」なんていう見方もできますね。(ただし、現在は検査データの追加が通常週2回なので、直近の数日間の検査データが未登録の場合もあります。)
 2017c12_11

牛乳や卵や青果を調べるときはちょっとしたコツが

Q.いつも飲んでいる牛乳の検査結果が知りたいときは?
A.牛乳の工場名を確認しましょう
「検索条件を決める」のカテゴリーで「牛乳」を選ぶと、
 2017c12_12
「【原乳】パスチャライズド牛乳(○○工場)」という候補が出てきます。生活クラブの牛乳は、普通のパスチャライズド牛乳の他にノンホモ牛乳や低脂肪牛乳などもありますが、検査はすべて製品化する前の「原乳」で行っています。ですので、飲んでいる牛乳がどこの工場からやってきたものか、びんのキャップやパッケージを確かめて、それを選んでください。

パスチャライズド牛乳900mlは、キャップに製造工場が記載されています。
 2017c12_1314  

パスチャライズド牛乳200mlは、すべて千葉工場で生産しています。
 2017c12_15
 
Q.「鶏卵」で検索すると、「鶏卵(○○○○)」といろいろな候補が出てきますが?
A.卵や青果物は生産者を確認しましょう
鶏卵も、いろいろな生産者の鶏卵があります。
 2017c12_16
自分が食べている卵の検査結果が知りたいときは、卵のパッケージや配達カードなどを見て生産者名を確かめてください。青果物も、同じ消費材名でさまざまな生産者のものがあります。やはり包材や配達カードを見て、生産者名を確かめてから選んでください。

Q.「にんじん」で調べるとジャムやジュースしか出てきません。
 2017c12_17

A.消費材名の表記に注意してみてください
生活クラブでは、青果物のにんじんは「人参」と漢字表記なので、「人参」で検索すると出てきます。
 2017c12_18
消費材名の表記は「漢字」「ひらがな」「カタカナ」などいろいろな場合があり、じゃがいもが「馬鈴薯」と呼ばれるなど、思っている名称と違う場合もあるので、わからないときはカタログなどで確認してみるとよいかもしれません。

検査結果はどう見ればいい?

Q.検査結果の見方を教えてください。
A.「セシウム合計」を見るのが基本です
 2017c12_19
検査結果の一覧には「ヨウ素131」「セシウム134」「セシウム137」「セシウム合計」という項目があります(スマホ画面では違うことも)。検出器によって、放射能を分けて測定できるものと、合計の結果だけのものがありますが、「セシウム合計」(セシウム137と134の合計値)を見るのがもっともわかりやすいでしょう。
多くの消費材は近年「不検出」ですが、検出した場合は項目の背景色が薄いピンク色になるので見つけやすいと思います。2行目にはその検査における検出下限値(測定において検出できる最小値で、下限値が低いほうが検査の精度が高いことを表す)が表記されています。

Q.検査結果の「ヨウ素」や「セシウム」の意味は?
A.近年で出るとすれば半減期の長いセシウム137がほとんど
「ヨウ素131」は半減期が8日の放射能なので、8日経つと半分に減り、1か月経つとほとんど検出できなくなります。ですので、2011年のデータを見るとき以外はあまり気にしなくてよいでしょう。「セシウム134」は半減期が2年、「セシウム137」は30年。近年の検査では出るとしてもセシウム137であることがほとんどです。

こんな使い方もできます

Q.消費材の検査結果を新しいほうから見たいときはどうすれば?
A.測定日の並べ替えを活用してみましょう
 2017c12_20
検査結果は、基本的には古い結果から順に、上から下へと並んでいます。ですので「全期間」を指定すると、その消費材の最初の検査結果が一番上に来て、下に行くにつれ新しい結果になっていきます。
新しいほうから見たいときは、検査結果一覧の測定日の横の「並替」ボタンで昇順(▲)・降順(▼)を変えられます。こうすることで検査結果の経年変化も見られますね。
※注意:「全期間」の結果データを表示するときは、対象消費材の数が多いと結果データを並べ替えるために時間がかかりすぎることがあります。検索条件で対象消費材を絞り込んで活用してください。

Q.消費材から過去に放射能が検出されたことがあるかどうか知るには?
A.「セシウム合計」の並べ替えをしてみてください
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「全期間」を指定して出した検査結果で、「セシウム合計」のところにある「並替」ボタンを押し降順(▼)にすると、セシウム合計の高いほうから並べ替えができます。一番上に来るのが「不検出」だったら、その消費材の検査結果はすべて不検出ということがわかります。

新データベースの特長や検査結果の注目点は

Q.新データベースがこれまでと違うところは何ですか?
A.複数の消費材の結果を一度に並べられることです
以前のデータベースは、「消費材ごと」または「期間」による検索結果しか出せなかったのが、新データベースでは、複数の消費材の検査結果を一度に出せるのが一番の違いですね。例えば、「ほうれん草」なら、一か所の生産者だけでなくいろいろな生産者の「ほうれん草」の検査結果を並べて見ることができます。
 2017c12_22
まず、①検索条件に「ほうれん草」と入力します。右の検索ボタンを使うと「ほうれん草」という名前が含まれる加工食品も検索されてしまうので、この検索ボタンは押しません。②青果物のジャンルに限定して検索するために、青果物のイラストをクリックします。このように検索すると「青果物」の「ほうれん草」だけがリスト表示されます。③全部のチェックボックスにマークを入れてください。
こうすることで複数の消費材を出荷している生産者がいたら、「この生産者が作っている農産物の検査結果は?」というのを並べて見ることも。
また新データベースはスマホ対応をしているので、スマホからでも見やすいのが特長。ぜひスマホからも気軽に見てほしいですね。
この例の表示URL: http://radiation.seikatsuclub.coop/,,ほうれん草,青果物,,,55,0

Q.検査結果で特にここを注目してほしいというところはありますか?
A.「不検出」の多さにもぜひ目を向けて
放射能検査では、やはり「検出されたもの」が気になるのは当然なのですが、ごく限られた消費材で放射能が検出されることはあるものの、それ以外のほとんどは「不検出」というのが近年の現状です。不検出がこんなにたくさんあるのだなというのもぜひ実感してほしいところです。
放射能検査をどれぐらいの頻度で行っているかがわかったり、どんな生産者が何を作っているか知ることができたり、このデータベースからわかることはいろいろあります。これをきっかけに、消費材にいっそうの関心を持っていただけるといいですね。

東京電力福島第一原発の事故から6年が経ち、食品中の放射能のことも、以前に比べると話題にのぼることが少なくなってきました。しかし原発事故が収束したわけではなく、リスクには常に目を光らせていかないといけないことも事実。生活クラブでは、利用者の食の安心につながる取り組みのひとつとして、今後も引き続き、消費材の放射能検査を行っていきます。この解説も参考にしながら、リニューアルした放射能検査結果データベースをぜひ活用してほしいと思います。   

放射能検査結果データベースURL: http://radiation.seikatsuclub.coop/                     

【2017年5月9日】

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vol.11 2017.03 2017.03福島第一原発の廃炉作業を見学してきました

放射能検査なるほどコラム Vol.11

福島第一原発の廃炉作業を見学してきました

東京電力福島第一原子力発電所の事故から6年が経ちます。この度、日本生協連の主催で現在廃炉作業中の現地を見学する機会を得たので、その様子をお伝えします。(報告:槌田博/生活クラブ連合会 品質管理部部長)

人の姿のない「帰還困難区域」を通って福島第一原発へ

廃炉見学が行われたのは2017年2月16日。生活クラブ連合会、生活クラブ埼玉からの参加者を含め、10名ほどで視察しました。まず、いわき駅からバスで、福島第一原発から9kmほど南の居住制限区域内にある、視察・見学の受け入れ拠点として使われている東京電力・旧エネルギー館に到着しました。ここで説明を聞いた後に東京電力のバスに乗り換えて原発構内に向かいました。ここから先は写真撮影禁止で、写真は東京電力撮影のものが後から提供されます。核物質防護の観点から、構内にある監視カメラを写真に写してはいけないなどのルールがあるからだそうです。

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バスは、福島県の沿岸部を南北に貫く国道6号線を北上して原発に向かいます。この国道6号線は、放射線量が非常に高いレベルにある「帰還困難区域」も通過する道路。現在、自動車は通行できますが途中で降りることはできず、バイクで通行することは許可されていません。高いところだと放射線量が6μSv(マイクロシーベルト)/hほどある中を通り抜けていきました。フェンスで覆われ人の帰ることのない家々や、廃墟になったショッピングセンターなどを、バスの中から見ながら原発構内に入ります。

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正門付近には、休憩棟という高い建物が最近建てられたばかりです。今この福島第一原発では一日6千人ぐらいの人が働いていますが、その人たちが温かい食事をとれる食堂や休憩できるスペースを備えた場所が、ここにきてやっとできた状態。そういう意味では、これから長く続く廃炉作業を支える基盤が、やっとできたところなのだと感じました。

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困難な核燃料取り出し作業の途上にある1~3号機

見学は、構内をバスに乗車したまま巡ります。まず、原子炉建屋の山側にある高台から、建屋を見下ろす形で見学。車内の空間線量率は36μSv/hありました。1986年に爆発事故を起こしたチェルノブイリ原発4号炉を2012年に見学したときの空間線量率の最高値は16μSv/hでしたから、それよりも2倍以上の値です。

【原子炉1号機建屋】
地震発生翌日の3月12日に水素爆発を起こした1号機。使用済み燃料プールには392体の核燃料が保管されています。また格納容器の底には溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)があります。現在は、これらを取り出すために、事故後に取り付けた建屋カバーが取り外され、使用済み燃料プールの上部をがれきが覆っているのが見える状態。今後は、上部のがれきを慎重に撤去して核燃料を搬出する計画です。
 
【原子炉2号機建屋】
爆発事故は免れたものの、原子炉内部の核燃料は溶け落ち、もっとも多量の放射能を環境に放出した2号機。燃料プールには、615体の核燃料が取り残されています。見学したこの日に、溶け落ちた核燃料デブリの状況を確認するために遠隔操作ロボットを投入する作業が行われていましたが、強い放射線の影響によりロボットが故障して調査は失敗しました。建屋内の空間放射線量は、1分足らずで致死量に達するほどの650Sv(シーベルト※)/hという値。あとで高台から降りてこの2号機のすぐ裏までバスで近づいたとき、バスの車内であっても120μSv(マイクロシーベルト)/hという、今回の見学でもっとも高い数値でした。チェルノブイリ原発4号炉を2012年に見学したときの空間線量率の75倍の値です。 (※1シーベルト=百万マイクロシーベルト)

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【原子炉3号機建屋】
地震から3日後の3月14日に爆発が起きた3号機。現在は、建屋5階より上のがれきの片づけは終了していますが、建屋の横には爆発の被害が残る建造物もまだありました。燃料プールには、566体の核燃料が取り残されています。
 
【原子炉4号機建屋】
建屋の裏側まで降りて見学。震災当時には定期検査中で運転を停止していた4号機も、地震により外部電源を喪失し、3月15日に原子炉建屋が水素爆発したとされています。現在は、使用済み燃料プールにあった1535体すべての核燃料の搬出を完了しています。

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やや離れた場所にある5、6号機も廃炉を待つ

震災時、定期点検中で原子炉は停止していた5号機と6号機。鉄塔が倒れて外部電源は断たれましたが、6号機用非常電源施設のディーゼル発電機が津波被害を免れたために、冷却機能を保つことができました。5号機と6号機も、廃炉にすることが決まりましたが、核燃料が融解した1~3号機の核燃料デブリを取り出す方法の検討の場所として活用することになっています。

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原子炉建屋1~6号機の他に、地下水バイパスの揚水井戸や、陸側凍土遮水壁、サブドレイン(建屋近傍の井戸)なども見学し、職員の説明を受けました。

構内には増え続ける膨大な放射性のごみが

構内には、放射性廃棄物を一時的に保管するための広大な施設もあります。使い捨ての放射線防護服や、汚染水処理に使ったフィルターが、放射性廃棄物のコンクリートブロックとなって積まれていました。また地下水は放射能除去の処理をしても、トリチウムという放射性物質は残ってしまうので、汚染水として毎日300トンずつタンクに保管せざるをえない状況です。とてつもなく大きなタンクが並ぶ様は異様な印象でした。

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莫大な負担と無為な作業を次世代に押し付ける原発

ここ福島第一原発では、放射能に晒される作業現場での廃炉や後片付けの作業が、これから数百年数万年と続きます。地下の凍土壁を維持するために、また汚染水を浄化するために、膨大な電力が何も生産しないまま消費されていきます。こういった果てしない負担を押し付けられるのは、私たちの子孫や未来の生き物です。

福島第一原発の事故は甚大な災害ですが、いろいろな意味で幸運が重なっていたとも言える面があります。たまたま日本一敷地の広い原発だったので、放射性廃棄物や汚染水を一時的に置く場所があったこと。放射能が放出されたときにたまたま西風で海のほうに放射能が流れたおかげで、最悪の事態が避けられたこと。しかし放射能を消す能力は人類にはなく、長い長い時間を経て放射能が自然消滅することを待つしかありません。今回の事故は人類への大きな警告であり、これを聞かずに再稼働を考えるなどしてはいけないことだと、この見学を通じてあらためて感じました。

原発のない社会の実現をめざしそれぞれができることを

原子力エネルギーを使った発電方法が人類の手に負えるものではないことは、事故を起こした原子炉の現状と収束作業の困難さを見れば明らかです。生活クラブでは、福島第一原発の事故が起きる以前から一貫して、「原発のない社会」をめざし自然エネルギーを推進してきました。2016年からは、再生可能エネルギーを基本とした「生活クラブでんき」の共同購入もスタート。生活クラブでんきを選ぶことも、「原発はいらない」という意志を実践する第一歩になるでしょう。

生活クラブでんきの共同購入について詳しくはこちら≫

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【2017年3月27日】

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vol.10 2017.02 2017.02原発のない未来をめざして「電気の共同購入」

放射能検査なるほどコラム Vol.10

原発のない未来をめざして「電気の共同購入」

いつも生活クラブの放射能対策などの話題をお届けしている「放射能検査なるほどコラム」。今回は少し視点を変えて、原発のない社会をめざして生活クラブが取り組んでいる活動のひとつである、自然エネルギーによる電気の共同購入について紹介します。(株)生活クラブエナジーの半澤彰浩代表取締役(生活クラブ神奈川 専務理事)に聞きました。

「環境」への配慮は生活クラブの理念のひとつ

「生活クラブでんき」を買うことができるのはご存知ですか?2016年からスタートした生活クラブの電気の共同購入。自然エネルギーの割合が高い電気であることが特徴です。もともと生活クラブでは、「安全」や「健康」と共に「環境」にもこだわった活動をしてきました。環境に配慮することは生活クラブの活動の原則で、例えばびんを使い捨てせずに繰り返し使う「リユース」で地球温暖化の原因となる二酸化炭素の削減を行い資源の有効活用をしたり、配送センターの事業所等の省エネを行うこともその一環です。

秋田県に風車を建設するプロジェクトからスタート

そうした環境問題への取り組みの中で、本格的に温暖化問題に取り組むために自分たちでエネルギーをつくろうという声が上がり、生活クラブ首都圏4単協(東京・神奈川・埼玉・千葉)で秋田県に風車を建設する構想が立ちあがったのが2009年頃。計画を進めていた折、2011年3月に東京電力福島第一原発の放射能もれ事故が発生しました。これによってあらためて、人々の暮らしを危険にさらしてエネルギーを得る原子力発電ではなく、太陽、風、水といった自然エネルギーによるしくみづくりをめざそうという方向性は強いものとなりました。風車が稼働した当初はまだ手探りではありましたが、「自分たちでエネルギーを選べる社会をつくる」という、将来につながるモデルがここでできたのです。

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消費材と同様に電気も原料やつくり方が大事

電気の共同購入を本格的に担う(株)生活クラブエナジーが設立されたのは2014年。活動の柱となるのは、「減らす」(省エネをすすめエネルギー使用を減らす)、「つくる」(自然エネルギーをつくる)、「使う」(自然エネルギーを選択して使う)、の3つです。電気の「供給」ではなく電気の「共同購入」と呼ぶのは、電気も、牛乳やお米や醤油といった消費材と一緒だと考えているから。消費材と同じように、電気も、原料に何を使っているか、どんなつくり方をしているか、ということが大事なのです。「生活クラブでんき」は、電源構成を明らかにしており、現在は30~60%が自然エネルギー。将来は100%自然エネルギーをめざします。風力、水力、太陽光といった自然エネルギーから生まれた電気を、組合員が自ら選択して、たくさんの人で共同購入する。それは「エネルギーの自治」につながるのです。

生活クラブの電気の共同購入について詳しくはこちら≫

自然エネルギーは新しく豊かな社会をつくる道具

一般にも、自然エネルギー中心の電力会社はまだそんなに多くないので、すでに共同購入を始めている組合員からは「自分の電気代が自然エネルギー発電所に払われていると思うと気持ちがよい」という嬉しい感想もたくさん聞きます。一方でまだまだ組合員のあいだでも認知度が低いので、もっと広げていくことがこれからの課題です。

この電気の共同購入は、脱原発へのひとつの方策ですが、それだけにとどまらない、より大きな可能性を秘めたもの。自然エネルギーというのは、原発のように大規模集中型ではなく、小規模・分散型で発電できるという特性があります。しかも、石油や石炭やウランを持たない日本でも、自然エネルギーは自給できるのが強み。日本各地で、地域と人が結びついてエネルギーを生み出し、それによってその地域にお金がもたらされる、そうした自給・自治のモデルになり得るのです。「生活クラブでんき」も、消費材の提携生産地が発電を始めるなどの広がりを見せ、地域の活性化につながる例も生まれ始めています。自然エネルギーは、今までとは違う、人を中心としたこれからの豊かな社会を描く道具だといえるでしょう。
((株)生活クラブエナジー 半澤彰浩代表取締役 談)

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生活クラブは、ほかにも、東日本大震災と福島第一原発事故の発生以来、政府への要請や政策提案、パブリックコメントなどの働きかけ、国会議員へのアンケートなどの活動も行っています。今後も、原発のない社会をめざしてさまざまな取り組みを続けていきます。

「原子力発電の廃炉費用および東京電力福島第一原発事故の賠償費用を電気の託送料金へ上乗せすることについて、生活クラブ生協連合会が意見書を提出」
http://seikatsuclub.coop/coop/press/20161216ikenshotakusouryoukin.html

「資源エネルギー庁「電力システム改革貫徹のための政策小委員会・中間取りまとめ」についてパブリックコメントを提出し、国会議員に賛否を問うアンケートも実施しました」
http://seikatsuclub.coop/coop/news/20170131.html

【2017年2月27日】

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vol.9 2017.01 2017.01生椎茸とレンコンに見る原発事故の影響と対策

放射能検査なるほどコラム Vol.9

生椎茸とレンコンに見る原発事故の影響と対策

2011年の東京電力福島第一原発事故で、もっとも大きな被害を受けた食品のひとつが、生椎茸やレンコンです。放射能による影響、その後の対策などについて、まとめてご紹介します。

原発事故後に
生椎茸やレンコンから高い数値が出た理由

きのこ類は元々、微量元素をたくさん吸収しやすいという性質を持った食材です。それが、滋養にあふれ栄養豊かな、きのこ類ならではおいしさにつながっています。ところが、福島第一原発事故による放射能汚染が起きると、その性質が仇となってほだ木などに吸着した放射性セシウムを集めてしまうことになりました。程度は違いますがレンコンも似た性質を持っています。そのため、生椎茸やレンコンは、事故直後には放射能検査で高い値が出ることもあったのです。(※1)

地元の山を守ってきた生椎茸栽培の
営みも原発事故が破壊

生椎茸に関して言うと、放射能汚染は、生椎茸そのものだけではなく、椎茸を栽培するためのほだ木にも及びました。実は、原発事故前までは、福島県は日本国内のほだ木の一大産地として知られる県でした。国内の生椎茸を栽培するほだ木の3~4割は福島県産だったほどです。しかし、原発事故の放射能汚染によってそれらの木がことごとく使えなくなってしまい、事故後は、生椎茸のほだ木の供給がひっ迫するという状況も起こったのです。

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生椎茸の栽培には、「地元の山を守る」という側面もあります。生椎茸の生産に使うほだ木は2~3年で交換することが多いのですが、ほだ木のための木を地元の山から定期的に刈ることで、森林が手入れされ、野山の環境が維持されていきます。また、生椎茸の栽培に使ったあとのスカスカになったほだ木は舞茸生産の培地に適しており、崩して舞茸の菌床栽培に利用するというサイクルもできていました。ところが原発事故は、そういった地元の人たちが長い年月をかけて築いてきた農業や林業の営みを、一気に壊してしまったのです。ほだ木を刈ることがなくなったために荒れてしまった野山や雑木林が、今、福島県にはたくさんあるのです。

生活クラブ独自の基準で検査を徹底
放射能を減らすための活動支援も

生活クラブでは、「食べ物による内部被曝はできるかぎり少ないほうがよい」という考えのもと、原発事故の直後から放射能検査体制を作り上げ、まずは国の安全基準を超えたものを確実に出荷停止することを徹底しました。その中で、事故直後には、生椎茸やレンコンの供給中止の事例も生まれました。その後2012年に国の基準値とは別の生活クラブ独自の自主基準値を定め、2016年には自主基準値を大幅に引き下げました。生椎茸の新基準値は、国の基準(一般食品)の100Bq/kgの半分である50Bq/kg、レンコンは青果物の区分で25Bq/kg。国の基準よりかなり厳しい自主基準で運用しています。

また、生産者と共に、生椎茸の放射能セシウム低減化のためのトライアルも行っています。2015年から2016年にかけては、プルシアンブルー処理という方法で低減化をはかる実験を行いました。残念ながらこの方法による明らかな低減結果は得られませんでしたが、放射能汚染に立ち向かう生産者を支援する目的でつくられた生活クラブ独自の「生産者支援基金」によって、今後も生産者の取り組みを支援する活動は継続していきます。

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組合員ひとりひとりが
食べるものを判断し選択するために

生椎茸・レンコン共に、供給後に自主基準値を超えて回収した事例はありませんが、出荷前に判明して供給産地を急遽変更する事例がときどき発生しています。検査結果はすべて公開しており、検出があった場合は検出値をわかりやすく示しています。自分が食べるものについての情報を知らないまま口にするのではなく、組合員それぞれが「何を食べるか」を自主的に選びとっていくために、検査の結果はすべて公開していくのが生活クラブの変わらぬ姿勢です。

東京電力福島第一原発事故により国土は放射能で汚染され、何の落ち度もない生産者と消費者が共に、「おいしくて安心な食品を生産し、食べる」という日常を理不尽な形で奪われることになりました。それまでに培ってきた農業のあり方をすっかり壊されてしまった地域や農家もたくさんあります。これらの苛酷な現状を原発事故が引き起こしたことは、今後も決して忘れるわけにいきません。

(※1)生活クラブの放射能検査での生椎茸とレンコンの測定値(不検出を除く)。
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【2017年1月30日】

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vol.8 2016.12 2016.12教えてハカセ!③ 「線量限度」について知ろう

放射能検査なるほどコラム Vol.8

教えてハカセ!  ③
「線量限度」について知ろう

自然界にも存在し、福島第一原発以後は東日本の各地で線量が上がった放射能。その限度量について「1ミリシーベルト」とか「20ミリシーベルト」など、いろいろな数字を聞きますが、どう考えていけばいいのでしょう。ハカセに聞いてみました。

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化学物質の環境基準より
実はかなりゆるい放射線の基準


---放射線って目に見えないし、危険度が把握しづらいですね。そもそも人が受ける放射線量に基準ってあるんですか?

国際放射線防護委員会(ICRP)というところが出している勧告が、国際的な基準になっています。その中では、一般の人への放射線量(公衆被曝)の指標を、平常時は「年間1ミリシーベルト以下」としています。レントゲン技師など、仕事で放射線を受けることがある人(職業被曝)に関しては「年間20ミリシーベルト」です。

---この「1ミリシーベルト」というのはどういう理由で決まってるんでしょうか?

ざっくり言うと、放射線による発がん率のデータから決まってるんです。この「年間1ミリシーベルト」という線量は、1年間に1ミリシーベルトの放射線を浴びると、確率的には2万人に2人ががんになって、そのうち1人ががんで死亡するという数字なんですね。発がんリスクの許容量として、社会的にそれぐらいは認めても仕方ないのでは、とICRPが設定している数字です。

あとは、自然界に元々ある放射線から被曝する自然被曝の平均値が、日本では年間1.2ミリシーベルト、世界平均は年間2.4ミリシーベルトぐらいなので、これを大きく超えないということで「年間1ミリシーベルト」が決まっている部分もあります。

でも「2万人に1人ががんで死亡する確率」という放射線の許容量の基準は、実は化学物質の基準よりはだいぶゆるいんです。例えばベンゼンなどの化学物質の環境基準は、「10万人に1人」を目安にするのが国際的なルールなんです。つまり、化学物質より、放射線のほうが5倍もゆるく設定されているんですね。

---それは知りませんでした。

原発事故後、一般人の線量限度は
「年間20ミリシーベルト」に


しかも、東京電力福島第一原発事故の後、国はICRP勧告の「緊急時における基準値」を適用して、一般の人の許容量を「年間20ミリシーベルト」までゆるくしました。これは、平常時だったら放射線や原子力の仕事についている人の被曝の基準と同じです。化学物質より100倍もゆるいことになります。

---一般の人でも、福島原発事故後だからそれまでの職業被曝の基準まで浴びても仕方ない、という考え方なんですね。

国は今、年間20ミリシーベルトを基準として、それを下回る地域に対しては避難勧告を解除しています。年間20ミリシーベルトまでなら、放射能を浴びるとしても、子どもを含む一般の人が帰還してもよいだろうということ。元々一般の人の平常時の線量限度が「年間1ミリシーベルト」であることを考えると、驚くべきことです。

先ほど、「年間1ミリシーベルト」という量は、「2万人に1人」ががんで死亡する確率だと言いました。しかし、「年間20ミリシーベルト」となると、これが「1000人に1人」まではね上がります。1000人と言えば、少し大きな小学校の生徒数ぐらいの数字。つまり、その小学校の誰か1人がんで亡くなる可能性がある。ちょっとショッキングな例えですが、それぐらいひどい方針なんです。年間20ミリシーベルトのところに住むというのはそういう意味のことだと、あらためて認識しておいた方がいいと思います。

生活クラブでは住宅支援の継続などを求める署名活動や
甲状腺検査活動に取り組んでいます


---その帰還方針に伴って、自主避難している方への住宅支援が2017年3月で打ち切られようとしていることもニュースになっています。

はい。それに対し、生活クラブでは、原発事故避難者の住宅支援の継続などを求めて、「原発事故被害者の救済を求める全国運動」に参加し、署名活動などに取り組んでいます。2016年10月には、全国の生活クラブから集まった70,703筆の署名を国会に届けました。「全国運動」全体では、署名の総数は19万筆を超えました。
詳しくはこちら≫

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また、福島第一原発の事故による放射能汚染から子ども達を守る活動の一環として、全国各地で組合員の子どもの甲状腺検査も実施しています。この検査活動と、福島県が県民に対して行っている甲状腺の結果を比較できるようにして役立てる意味もあります。一般的には事故から5年以降に放射線によるがんの発症率は高くなるということもあり、生活クラブでは2020年までこの検査活動を継続することを決めています。
2015年度の検査結果はこちら≫

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原発事故から5年以上が経ちますが、原発自体の状況はもちろん、それに伴ういろいろな問題がまだ現在進行形です。あの爆発が起こった頃に、子どもが雨に濡れてしまったとか外で遊ばせてしまっていたなど、その影響はわからないものの、ずっとそのことが気にかかっているお母さんも多いかもしれません。過去のこと・遠い場所のこと、と流してしまわずに、現在起こっていることとして常に考えていきたいですね。
【2016年12月26日】

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vol.7 2016.11 2016.11えっ、生活クラブの牛乳は 毎日分を検査してるってホント!?

放射能検査なるほどコラム Vol.7

えっ、生活クラブの牛乳は
毎日分を検査してるってホント!?

安心で新鮮でおいしい。生活クラブの代表的な消費材のひとつである「牛乳」は、生活クラブでもっとも放射能検査されている食品でもあります。生活クラブだからこそできる牛乳の放射能検査についてご紹介します。

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放射能検査は原乳の段階でしっかり実施

生活クラブの牛乳は、千葉・栃木・安曇野の3カ所の自前の牛乳工場で生産されています。福島第一原発事故の影響を勘案して、千葉工場と栃木工場の原乳は毎日分を検査、安曇野工場の原乳は月一回検査しています。工場近隣の提携酪農家から集荷した生乳を、独自の安全基準でチェックし加工処理しているパスチャライズド牛乳です。
牛乳の放射能検査は、製品に加工するまえの原乳の段階で行います。工場から原乳を検査室に直接送ってもらい、精度の高い検査ができるゲルマニウム半導体検出器を使って検査します。生活クラブの牛乳の自主基準値は、国の基準値「50Bq/kg」の10分の1の「5Bq/kg」と、とても厳しい基準です。
千葉工場と栃木工場の場合、原乳は毎日500mlボトルに採取され検査室に送られます。1週間分の7本を混合して週に一度検査にかけています。

牛乳からの放射能は事故直後を除きずっと「不検出」
生産者自身の検査の努力も

2011年3月の東京電力福島第一原発事故の直後は、栃木工場と千葉工場の製品と原乳から放射能の検出がありましたが、その後4月14日の検出を最後に、以後ずっと不検出が続いています。事故後2年間は外部への検査機関へ測定を依頼して、毎日検査を行っていましたが、ずっと不検出が継続されているので、その後、毎日採取したものを1週間分まとめて測る今の方式になっています。

牛乳は小さな子どもを含めた多くの人が日常的に口にする食品なので、高感度の検査を継続し、段階を経ながら、検出下限値を下げるようにしています。
詳しくはこちら≫
5年間の検査実績からも、牛乳の放射能が不検出の状態から急に大きな値になるということは、現状ではまずないといえます。

不検出が続けられている理由のひとつに、生産者団体自身が測定器を所有して、エサなどの放射能測定を続けていることがあります。エサとなる牧草などの放射能汚染を生産者自身が調べ、汚染された牛乳を出さないためのノウハウを確立してきた努力が背景にあるのです。

また、生活クラブの牛乳は、指定の生産者以外の原乳が入ることはなく、酪農家まできちんと把握できるので、放射能検査体制もしっかりしたものにできます。遺伝子組み換え対策のためもあり、乳牛が食べる飼料まですべて明らかになっているので、仮に放射能が検出された場合にも、牛やエサなどの特定が容易なのです。一方、一般の大手メーカーの牛乳はいろいろなところから原乳を調達している場合が多いので、このようにはいきません。

生活クラブだからこそ生み出せる
安心でおいしい牛乳を味わってください

牛乳は、生活クラブの中でももっとも多くの回数、検査をしており、毎日分それを続けている消費材なので、放射能検査全体のベースにもなります。万が一何か(新たな原発事故や原子爆弾使用、実験)があったとき、牛乳の検出結果に大きな変化があれば、すぐに異変に気づいて他の食品も含めて調べることができます。ここ5年以上ずっと不検出が続いているからこそ、わずかな兆候でも捉えることができる、定点観測の指標になる消費材と言えるのです。
提携生産者の原乳を使って自前の工場で生産する、生活クラブだからこそ可能な安心で安全な牛乳。ぜひみなさんに、安心しておいしく飲んでいただければと思います。

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【2016年11月21日】

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vol.6 2016.10 2016.10おいしい新米の季節! 検査の様子ってどんなふう?

放射能検査なるほどコラム Vol.6

おいしい新米の季節!
検査の様子ってどんなふう?

新米の季節になりました。生活クラブでは毎年、組合員にお届けするより早く、各地の新米の放射能検査を行います。生活クラブ連合会放射能検査室(埼玉県さいたま市)で実施されている新米の検査の様子をお知らせします。

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基準値の厳しい米の検査は
高精度の「ゲルマニウム半導体検出器」で実施

生活クラブで2016年春に新たに定めた放射能の自主基準値。その中でも米は、基準値が5Bq/kg、検出下限値が1Bq/kgと、飲料水や牛乳と並んで厳しい基準となっています。そのため、検査は高精度の測定が可能な「ゲルマニウム半導体検出器」によって行います。
米の放射能検査は、普段も週に2~3検体ずつを順番に行っています。その場合は、組合員と同様の物流ルートで受け取った消費材を検体としますが、この新米の時期には取り組みのある米のすべてについて早期の検査が必要なので、収穫した米を生産者からすぐに直接送ってもらい、検査をします。そのため、精米する前の玄米を銘柄ごとに検査することが多く、今年は16種の玄米を検査しました。greenline生活クラブでは、山形県遊佐、栃木県黒磯、長野県上伊那、宮城県加美よつば、千葉県旭、岩手一関、北海道江部乙のお米を取り扱っています。
そのほか、地域ごとに栽培しているお米を地域限定で共同購入をしています。
≫生活クラブのお米についてはこちらgreenline

生産者から直接送られた新米を
供給前に次々検査します

この日も検査室には、たくさんの銘柄の米が生産者から届いていました。今回の取材時に検査を行ったのは、JA庄内みどり(遊佐)のササニシキオリジンです。まず、米を検体容器に入れますが、このときに均等に入れることが正確な測定のコツということで、隙間がなるべくなくなるようにきれいにならします。これは2ℓ入る容器で、2ℓ分の検体があれば(特に重量の軽い検体でない限り)、検出下限値1Bq/kgで約1時間で測定ができます。容器いっぱいに米が入ったら、重さをはかったのち、測定器の中に入れ、ふたを閉めて測定を開始します。測定結果はパソコン画面で確認できるようになっています。
新米であっても、検査のやり方自体は普段の米のときと変わりませんが、生産者から取り寄せた大切な新米ですし、毎日みなさんが食べるものだから漏れなどのないよう現場で点検をしっかりして検査をしています。

【検査の様子】
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【検査結果】20161101kensa

しっかりと検査をした
生産者自慢の新米を楽しんでください

高精度の検査ができるこのゲルマニウム半導体検出器は、2016年春に生活クラブに導入され、6月から本格稼働を始めました。それまで外部機関に委託していた高精度の検査が内部でできるようになったことで、新米の検査も早急に行うことができ、他の消費材でも再検査などの小回りがきくようになったとのことです。
この検出器の特徴として、機械に使用しているゲルマニウムの結晶を冷やしておくために、マイナス196℃の液体窒素を使用しているという点があります。この液体窒素は1日1kgぐらい減っていくので、2週間に1度ほど補充が必要。ちょうど取材と補充のタイミングが重なり、タンクから液体窒素を測定器の下の部分へ入れる作業も見ることができました。この超低温の液体窒素を使っているため、測定器のセンサー部分が結露しやすく、それを防ぐために検査室の除湿は欠かせません。室温も、夏も冬も年間を通して24℃程度に保たれているそうです。

【タンクから液体窒素を補充する様子】
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消費材を組合員に安心して食べてもらえるように、生活クラブではこのような放射能検査を手間をかけ丁寧に行い、結果もすべて開示しています。今週のカタログから、すべて新米でお届けします。各地の生産者が手をかけ心をこめて生産したこの時期ならではの新米も、ぜひ心ゆくまでお楽しみください。
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【2016年10月24日】

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vol.5 2016.9 2016.9教えてハカセ!② 被曝についての素朴な疑問

放射能検査なるほどコラム Vol.5

教えてハカセ!②
被曝についての素朴な疑問

「教えてハカセ!」シリーズ、今回は放射能の被曝について取り上げます。外部被曝と内部被曝のことなど、いろいろな側面からハカセに聞いてみました。

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放射線は遺伝子の結合を分断しうる
莫大なエネルギーを持っている

---放射線の被曝が怖いのは、どういう理由からなんですか?
放射線の持つエネルギーは、すさまじいものだからです。放射線は、およそ100万ボルトの電圧ぐらいのエネルギーを持っています。それに対して、化学物質の原子と原子を結びつける力はたかだか10ボルト。つまり、放射線が1個エネルギーを放出すると、10万個ぐらいの化学結合を分断することが可能なわけです。化学結合の固まりである遺伝子などは、放射線を受けることによって配列がずたずたになってしまう。それぐらい、放射線というのは莫大なエネルギーを持っているんです。

外部被曝と内部被曝の両方に
それぞれ注意が必要

---外部被曝はどのようなもので、どうすれば防げますか?
外部被曝とは、文字通り放射線を外から浴びること。屋外では放射線はどんどん分散して広がるので、放射性物質から離れれば離れるほど薄くなります。だから、放射性物質から距離を取るというのは、外部被曝から身を守るために有効な方法です。放射線をさえぎることも、もちろん有効です。ただ、放射線の中でもアルファ線は紙、ベータ線はアルミ板などでも簡単にさえぎることができるのですが、ガンマ線をさえぎるには鉛の板や数十センチの厚みのある水がないといけません。何メートルも厚みのある水なら、中性子線も止めることができます。原発の使用済み燃料の貯蔵プールはそれを利用していて、数メートルの深さの水に使用済み燃料を沈めているので、プールサイドを人が歩いても大丈夫なのです。
一方で、原発事故の作業現場で使われているレインコートのような簡易な「防護服」は、実は放射線をさえぎるためにはまったく役立っていないんですね。放射性物質のほこりが服につかないようにはできますが、放射線をさえぎってはいないのです。

【放射線の透過力】
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■出典:「放射線の基礎知識」(文部科学省)
 (http://www.mext.go.jp/b_menu/shuppan/sonota/attach/1314159.htm


---内部被曝はどのようなもので、何に注意すればいいですか?
内部被曝は、放射性物質を身体の内部に取り込んで被曝すること。水や食品中や空気中の放射性物質を「食事」や「呼吸」で取り込むことで起こります。食べ物に注意するのと同時に、放射性物質を含むほこりなどを吸い込まないようにすることも大事です。
東京電力福島第一原発事故から5年以上が経ちますが、実は福島県内のほこりに含まれている放射能は案外減っていないという事実があります。住宅地や市街地は除染されても、細かいほこりのようなものは、除染されていない土地や山林などから舞ってきてしまうからです。吸ったほこりがのどを通過して肺まで入ってしまうと、体外に出ることはまずないので注意が必要です。汚染のひどい場所には立ち入らないことが一番です。

放射能は体内に入るととても怖いもの

---アルファ線やベータ線は透過力が弱いのに、内部被曝では要注意と言われるのはどうしてですか?
アルファ線やベータ線は、ガンマ線などより透過力は弱く、外部からの場合は、建物や洋服でさえぎられることがほとんどです。しかし、だからこそ内部被曝では注意が必要。なぜかというと、放射線は、止まったときにそこでエネルギーを放出する性質を持つからです。つまりアルファ線やベータ線が食物などと共に体内に入った場合は、直接胃壁や血管などに当たって、止まった瞬間にそこで小さな爆発を起こすようなイメージです。逆に透過力の強いガンマ線は、体内で発せられても通過してしまう量のほうが多い*のです。だから内部被曝については、よりアルファ線やベータ線への注意が必要なのです。
*条件によって、体を通過するときに何%かは体内で止まって体に影響を与えると考えられる

【外部被曝と内部被曝のイメージ】
20160923hibakunozu食物についての国の放射能基準値は、内部被曝だけを想定して設定されています。しかし、実際には外部被曝の影響もあることを考慮しなくてはいけません。だからこそ生活クラブでは、「食べ物からの内部被曝のリスクはできるかぎり少なくすべきである」と考え、国の基準より低い、放射能の自主基準を設定しているのです。

【生活クラブの自主基準】
20160923scjisyukijyun
 
*飲料水には、国の基準と同じ「緑茶」だけでなく、「麦茶」や「抹茶」などの茶類を含みます。
*「生椎茸」を除く「きのこ類」を含みます。
*検出下限値を目標としている理由は、測定する消費材の比重などにより、検査結果にバラつきが生じるためです。

【2016年9月26日】

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vol.4 2016.8 2016.8教えてハカセ!① 人と「放射能」の関係って?

放射能検査なるほどコラム Vol.4

教えてハカセ!①
人と「放射能」の関係って?

今回からコラム内で不定期にお届けするシリーズ、「教えてハカセ!」がスタートします。最新のニュースやトピック以外の、放射能についての基本的な事柄を、生活クラブのハカセ(博士(工学)/専門分野は環境科学と安全工学)に教わります。知りたいことや素朴な疑問、どんどんぶつけますよ!
まずは、人にとっての「放射能」ってどんな存在だろう?というあたりから。

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150億年かけて放射能が減った世界だから
人間は生きられる

---放射能って天然にあるものですよね?いつからあるんですか?
宇宙ができた150億年前からあります。宇宙ができたときは、宇宙は放射能だらけでした。放射能には半減期(放射線を出す能力が半分になるまでの時間)があり、半減期の短い放射能からどんどんなくなっていって、150億年経って天然の放射能がここまで少なくなった世界だからこそ、今、生き物が住めていると言えます。
逆に言うと、宇宙誕生以来150億年かけても消えずに今まで残ってきた天然の放射能は、人間の生きる短い時間の中でなくなることはほぼありません。天然のウランや天然のカリウムといった放射能は、私たちの住む地球からはなくなることはないのです。

人工的な核分裂で
強い放射能が多量に作られるように

---天然の放射能と人工的な放射能は、どのように違うのでしょうか?
ウランなどの天然にある放射能は、仕方のないものとしてそれから逃れながら生きる工夫をすればよいわけです。しかし悪いことに、人間は人工的に放射能を作り出してしまいました。元々自然にあるウランの放射能などは大した量ではないのですが、そのウランを核分裂させると、非常に放射能の強い核分裂物質ができます。そのひとつがセシウム134やセシウム137やストロンチウムですが、これらは元々のウランに比べるとすさまじく放射能が強いのです。核分裂を起こさなければ天然にある元々の放射能を増やすことにはならないのですが、人間がわざわざウランに中性子を当てて核分裂を起こした結果として、多量の核廃棄物ができて、処理に困っているような状況が生まれてしまっています。まして、爆発が起こってしまった東京電力福島第一原発のような状況では、管理できない状態となり、多くの人を苦しめることになってしまうのです。

---核分裂というのはどのような仕組みで起こるんですか?
原子を構成する「原子核」は陽子と中性子でできています。陽子と中性子の組み合わせによって、安定した原子核・不安定な原子核がありますが、不安定な原子核は、分裂して別の原子核になろうとします。これが核分裂の基本的な仕組みです。
人工的に核分裂を起こす場合で言うと、例えばウラン235というのは92個の陽子と143個の中性子でできているのですが、これに中性子を当てて、236個のつぶつぶをぐにゅっと2つ(もしくは2つ以上)に分けるわけです。そのときにその2つが何個ずつのどんな原子核にそれぞれなるかは、分かれてみないとわかりません。こうして核分裂の中では、ありとあらゆる種類の原子核が生まれます。

核分裂のしくみ
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1.核燃料になるウラン235は、92個の陽子(黒)と143個の中性子(白)でできています。
2.陽子は中性子で結びついて1つの原子核になっています。
3.ウラン235の原子核に、外から中性子がひとつ入り込むとウラン236になります。しかし、これは不安定ですぐに割れてしまいます。
4.ウラン236は核分裂して、たくさんのエネルギーと数個の中性子を放出します。この中性子がさらに別のウラン235に入り込んで、核分裂が連鎖します。

人の手で増やした放射能が人の生活をおびやかす

---放射能で特に問題となる核種は?
核分裂で生まれる原子核の中には、すさまじい放射線を出しながらミリ秒、マイクロ秒といった短い半減期であっというまに崩壊して消えてしまうものもあれば、少しずつ放射線を出しながらゆっくり何億年もかけて崩壊していくものもあります。そうしたさまざまな種類の原子核の中で、半減期が数年から数十年で、そこそこ放射能が強いものが人間にとって影響力が大きい厄介な存在となります。セシウム134(半減期2年)、セシウム137(半減期30年)、ストロンチウム90(半減期29年)などがそれにあたります。クリプトン85(半減期10年)といった放射性物質も生成されますが、これはガス状で他の物質と化学結合しない性質を持つため、どんどん空気中に上って薄まってしまい、あまり問題にされません。

---人間と核のエネルギーの関係をどう考える?
天然に存在するウランを使って核分裂を起こし、大きなエネルギーを得ることを人類が始めたのは、第二次世界大戦中のことです。まず作ったのは原爆、そのあとに原子力発電ですが、核分裂反応を使うという意味ではどちらも同じです。どちらもすさまじく放射能を増やす装置なので、原料であるウランの元々の放射能よりも原爆が爆発した後の放射能のほうが多いし、燃料のウランの放射能よりも原子炉の使用済み核燃料の放射能のほうが多いのです。
放射能は全部危険なものであって、安全な放射能というものはありません。一部で体によいなどとされるラジウム温泉も、微量の放射線を浴びるものであり、安全とは言えません。放射能は体の遺伝子に対して損害しか与えないのです。
地球には太陽からたくさんエネルギーが降りそそぎ、自然のエネルギー源も複数あります。その利用を不十分にしたまま、危険な放射能を次々生み出し利用するようなことは、人は決してやるべきではありません。生活クラブでは、そのような考えから、再生可能な自然エネルギーを基本とした電気の共同購入を始めています。

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【2016年8月29日】

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vol.3 2016.7 2016.7すくすくカタログ掲載食品「不検出」その舞台裏、教えます!

放射能検査なるほどコラム Vol.3

すくすくカタログ掲載食品「不検出」
その舞台裏、教えます!

生活クラブでは2016年4月から、放射能の自主基準値をそれまでの半分以下へと大幅に引き下げました。中でも注目されるのは、毎日の子育てを応援する「すくすくカタログ」に掲載の食品は、すべて「不検出」を基準としたことです。今回のコラムでは、このトピックについて詳しくご紹介します。

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基準値「不検出」までの準備期間

「すくすくカタログ」の創刊は、今から約1年あまり前の2015年4月。実は、自主基準改訂前のこの時期からすでに、「すくすくカタログ」に掲載する乳児用食品(粉ミルクやベビーフード)については、検出下限値の目標を1Bq(ベクレル)/kgと、厳しい基準に設定して測っていました。そして2015~2016年の1年かけて、確実に「不検出」という結果を重ねていたのです。こうした準備期間を経て、2016年4月に、すくすくカタログ掲載食品については検出下限目標値1Bq/kgの計測で「不検出」という自主基準を打ち出すことになりました。

「低い検出下限値」+「不検出」だから意味がある

この「不検出」という基準は、計測時の検出下限値の目標を低くすることとセットでないと意味がありません。検出下限値というのは測定の限界の値のことを指すので、例えば「5.5Bq/kgの検出下限値で不検出」となった場合は、5.5Bq/kg以下の放射性物質が含まれている可能性は残ることになります。「すくすくカタログ」では、その検出下限値の目標を1Bq/kgと非常に低く設定しているので、「不検出」にも大きな意味があるのです。(生活クラブでは「飲料水」「牛乳(原乳)」「米」についても、検出下限値の目標を1Bq/kgとしています。)

子どもに食べさせるものは安心・安全であってほしい

「不検出」という厳しい自主基準を設定することになった背景には、「やはり子どもに食べさせるものは限りなく安心・安全であってほしい」という親の願いと、その願いに応えたいと考える生活クラブの姿勢があります。
国が定めた放射性セシウムの基準値を見ると、乳児用食品の区分では50Bq/kgとなっています(一般食品は100Bq/kg)。この値も国として食品の安全と安心を考えた設定ですが、生活クラブでは、さらにできる限りの安心を追求したいと考え「不検出」を基準値としました。お母さんたちが子どもの食べもののことで不安になったり、あとから自分を責めたりすることがないように、というのが私たちの願いです。

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たまごボーロは検査の難敵!?

「すくすくカタログ」に食品が掲載されるまでの流れですが、だいたい3カ月ぐらい前までに掲載予定品目が決まります。半年以内に検査が行われていない消費材については検査を行ない、すべてきちんと「不検出」の結果が得られたことを確認したうえでカタログに掲載となります。
すくすくカタログ掲載食品の検査は、基本的に新しく導入したゲルマニウム半導体検出器で行っています。検出下限目標値1Bq/kgの検査には2ℓの検体が必要なので、例えば容量がとても少ないベビーフードなどは、1回の検査のために20個ほど用意しなければなりません。また検査に意外と苦労するのが子ども向けのお菓子。特にたまごボーロは、固くて崩れにくく空気がなかなか抜けないので、検体を入れる容器にぎゅっといっぱいに詰めるのがとても手間がかかったという裏話があります。

小中学生がいるご家庭でも目を通すと役立ちます!

「すくすくカタログ」は乳幼児のいる家庭向けのカタログと思っている方もいるかもしれませんが、掲載されているのはベビーフードや粉ミルクだけではありません。カタログを見ると、肉類や加工食品など小中学生の食事に登場するような消費材もたくさん紹介されています。これらはすべて検出下限目標値1Bq/kgの厳しい検査で「不検出」となった食品ということ。ですので、乳児や幼児のいる家庭でなくても、届いたすくすくカタログにさっと目を通して「ああ、こんな食品が『不検出』なんだ」と確認し、役立ててもらえるといいですね。

~たとえば8月の「すくすくカタログ」では、こんな消費材が登場します。~
  • ・8月1回 餃子の皮2袋、ごま油500g、ミックスチーズ、低脂肪牛乳1000ml
  • ・8月2回 国産十割こうじみそ・袋、マヨネーズ、ナン、豚肉切り落とし300g
  • ・8月4回 鶏肉ムネ250g、焼き肉のたれ、食酢
  • ・8月5回 まぐろ油漬缶4缶組、手延べそうめん、小粒カップ納豆(カジノヤ)

これらは、ぜんぶ検出下限目標値1Bq/kgで「不検出」です。

【2016年7月25日】

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vol.2 2016.6 2016.6「ゲルマニウム半導体検出器」って どんな機械?どう使ってるの?

放射能検査なるほどコラム Vol.2

「ゲルマニウム半導体検出器」って どんな機械?どう使ってるの?

今月の「放射能検査なるほどコラム」では、2016年度から生活クラブに導入された新しい放射能測定器「ゲルマニウム半導体検出器」について、いろいろな角度からご紹介していきます。

精度の高い検査が可能な「ゲルマニウム半導体検出器」

生活クラブでは6台目の放射能測定器となる「ゲルマニウム半導体検出器」。既存の5台の測定器(NaIシンチレーションカウンター、CsIシンチレーションカウンター)とはしくみの異なる、非常に精度の高い放射能検査ができる機械です。このゲルマニウム半導体検出器は、ゲルマニウム半導体に放射線が当たると流れる電気を測るしくみで、放射線のエネルギーを正確に測定できるのが大きな特徴。自然界に元々存在しているウランなどの放射性物質から出る自然放射線と、原発などによる人工放射線を完全に識別して測定できる機械です。

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検出下限目標値の厳しい食品をゲルマニウム半導体検出器で検査

このゲルマニウム半導体検出器は、生活クラブ連合会の検査室(大宮)に配備され、6月から検査を開始しています。ではこの機械では、どのような食品の検査を行っているのでしょうか。
生活クラブでは2016年4月から、放射能の自主基準値を大幅に引き下げ、同時に検査の精度をあらわす検出下限値の目標を公開しました(コラムVOL.1参照≫)。この中で、検出下限値の目標を1Bq/kgともっとも厳しく設定している「すくすくカタログ掲載食品(乳児用食品含)」「飲料水」「牛乳(原乳)」「米」は、基本的にすべてこのゲルマニウム半導体検出器で検査を行います。また、検出下限値の目標が次に厳しい2.5Bq/kgの食品の多くも、ゲルマニウム半導体検出器で検査しています。

2016年4月からの生活クラブ放射能新自主基準と検出下限目標値

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1)飲料水には、国の基準と同じ「緑茶」だけでなく、「麦茶」や「抹茶」などの茶類を含みます。
2)旧基準の「乳製品②」を「乳製品①」に結合し、新基準の「乳製品」とします。
3)新基準の「青果物」には、「生椎茸」を除く「きのこ類」を含みます。
4)検出下限値を目標としている理由は、測定する消費材の比重等により、検査結果にバラつきが生じるためです。

厳しい検出下限値での検査でもより短い時間で測定が可能

ゲルマニウム半導体検出器による検査に必要な時間はどれぐらいかというと、検出下限値1Bq/kgで測る検体の場合は、2ℓの容器を使い約1時間かかります。検出下限値2.5Bq/kgの場合なら、2ℓの容器で約20分となります。1ℓの容器でも約1.5時間で測れるようになりました。
ゲルマニウム半導体検出器導入前は、検出下限値2.5Bq/kgで測る場合、2inch NaIシンチレーション検出器を使って1ℓの容器で約20時間かけていました。ゲルマニウム半導体検出器なら一ℓの容器で1.5時間で検査可能です。厳しい検出下限値の設定でも約1~1.5時間で1検体の検査が済むゲルマニウム半導体検出器は、極めて性能が高いことがわかるかと思います。
現状では、この機械で日中に検査する検体の数は1日6検体ほど※。月曜から金曜までの5日間で30検体前後というのが標準の検査数です。
※夜間は別の機器で検査した検体の確認検査を8時間ほどかけて行っています。

放射能が減ってきた今だからこそ大きな意味がある

このように精度の高い検査を行うことができるゲルマニウム半導体検出器。「なぜ、今このタイミングでの導入なのか?」には理由があります。
まずひとつには、2016年4月から、生活クラブの放射能自主基準を引き下げ、検出下限値の目標も公開したこと。これまでも高精度の検査は外部に委託して行っていましたが、生活クラブの内部にゲルマニウム半導体検出器を配備することで、厳しい基準での検査をより多くの回数や頻度、行う体制が整いました。また、東京電力福島第一原発事故から5年が経過し、セシウム134の半減期が2回過ぎて、放射能セシウムは事故直後の半分以下に減ってきているので、少ない放射線量を正確に測れる感度のよい機械が必要になってきたという理由もあります。事故直後は高い濃度のものを多品目検査しなければいけなかったので、精度の高い機械一台よりも、より安価な機械を多くの台数入れて測ることのほうが急務でした。現在は1Bq/kgや2.5Bq/kgといった厳しい検出下限値の目標で測ることが多くなってきたので、ゲルマニウム半導体検出器を導入することに大きな意味があるのです。

ゲルマニウム半導体検出器での検査も!「不検出」のリストを公開

生活クラブではこれまでも放射能検査の結果をすべて公開してきましたが、それに加え新たにこの6月からは、放射能検査で不検出だった消費材のリストをWEB上に毎月アップする取り組みを始めました。「ひと月の検査の中でどれだけの消費材が『不検出』だったか」を一覧できるリストです。特に表の最初のほうには、1Bq/kgという厳しい検出下限値の目標で測定した結果「不検出」だった消費材が並んでいます。これらはゲルマニウム半導体検出器によって測定された検査結果です。厳しい検出下限値での検査でも多くの消費材が不検出である安心感を、このリストから感じていただければと思います。
不検出リストは放射能検査結果アーカイブからご覧ください。

【2016年6月27日】

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vol.1 2016.5 2016.5自主基準値の大幅引き下げで測定の現場では何が変わった?

放射能検査なるほどコラム Vol.1

自主基準値の大幅引き下げで
測定の現場では何が変わった?

今月から「放射能検査なるほどコラム」と題して、生活クラブの放射能検査のしくみや放射能対策について、わかりやすくお伝えするコラムを月1回のペースでお届けします。今回は、2016年4月から放射能自主基準値の引き下げによって測定の現場ではどのような変化があったか、また新基準に至る背景についてお伝えします。

自主基準値の大幅引き下げで検査時間は長くかかるように

生活クラブでは、2016年4月から、放射能の自主基準値をそれまでの半分以下へと大幅に引き下げました。詳しくはこちら(活動情報へリンク)≫ 自主基準値を引き下げたことによる変化としては、何よりもまず、検査時間が長くかかるようになりました。ひとつの機械では検体を入れる容器の量は決まっているので、感度を高めるには時間をのばしていくしかありません。例えば、戸田DC(デリバリーセンター)での青果の例でいうと、昨年度までは2時間程度の検査だったものが、自主基準値引き下げ後は4時間程度かかるようになっています。ひとつの機械で、昼間に2検体、夜に1検体の一日計3検体という、非常に丁寧で手間のかかる検査を行っているのです。

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不検出が当たり前となってきたからこそ大事な「検出下限値」の目標

この春からは生活クラブとしての「検出下限値」の目標を新たに公開しました。 これまでも検査の中での検出下限値の目標はあったのですが、それをきちんと定めて公開することにしたのには、背景があります。 厚生労働省では「一般食品(乳幼児食品・飲料水・牛乳をのぞく)の検出下限値は基準値の1/4とする」ことが示されています。検出下限値とは測定において検出できる最小値で、いわば放射能検査の精度を表すもの。いくら、自主基準値が低くても、実際の検査の精度を表す検出下限値が低くなければ、検査結果に信頼性があるとは言えません。 そこで、生活クラブでは、一般食品だけでなく乳幼児食品・飲料水・牛乳についても、新しい自主基準値の1/4以下となるよう検出下限値の目標をあらかじめ設定・公開することにしました。 東京電力福島第一原発事故後に積み重ねられてきた生活クラブの膨大な検査実績の中で、最近の検査では放射能はほぼ不検出になってきています。すると今後は、「検出されたかどうか」以上に、「不検出の場合にそれがどれぐらいの感度(精度)で不検出なのか」が大事なのではないか、という考えからです。 このことにより、さらに正確に検査結果を組合員が知ることができるようになりました。

2016年4月からの生活クラブ放射能新自主基準と検出下限目標値

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(1)飲料水には、国の基準と同じ「緑茶」だけでなく、「麦茶」や「抹茶」などの茶類を含みます。
(2)旧基準の「乳製品②」を「乳製品①」に結合し、新基準の「乳製品」とします。
(3)新基準の「青果物」には、「生椎茸」を除く「きのこ類」を含みます。
(4)検出下限値を目標としている理由は、測定する消費材の比重等により、検査結果にバラつ きが生じるためです。

「検出下限値」にもご注目を!

実は、検出下限値というのは、その検体を測ってみないとわからないという面があります。検査容器への検体の詰めこみやすさなどによっても感度が変わってくるからです。生活クラブで公開している放射能検査結果では、必ずその検査ごとの検出下限値も併せて公開しています。安心のよりどころとなるこの検出下限値にも、ぜひご注目ください。
放射能検査結果データベースはこちら

【2016年5月23日】

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毎月の放射能検査結果を報告する「放射能検査ニュース」「不検出結果一覧」をアーカイブ。
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