地域発・夢の素描

提携生産者が「生協庄内親生会」設立

2018年4月号

生活クラブ生協と提携する山形県庄内地方の生産者が、今年1月に「生活協同組合庄内親生会」を設立した。呼びかけ人となった同生協設立発起人会代表で平田牧場社長の新田嘉七さんに経緯を聞いた。

初代理事長に選任されたに新田嘉七さん

自分たちも「消費材」を

今年1月、「生活協同組合庄内親生会」(山形県酒田市)が誕生した。同生協は昨年12月に設立総会を開催し、1月に山形県の認可を得た。2月20日に生活クラブ生協連合会(東京都新宿区)に加入し、共同購入事業を利用する準会員として4月から活動を開始する。これにより同連合会の会員生協は33となった。

生協庄内親生会の組合員は1月末現在で約600人。酒田市や鶴岡市、遊佐町などの庄内地域で、コメや野菜、畜産物に漬物類、餅といった生活クラブの「消費材」を生産する提携生産者と従業員が加入している。また、認可後の第1回理事会で、平田牧場社長の新田嘉七さんが理事長、羽黒・のうきょう食品加工の斎藤三郎さんが専務理事に選任された。

「今回のように、生協の提携生産者が提携先の共同購入に参加するのを目的に、主体となって生協づぐりに取り組んだ例は過去にはなく、日本初の試みだと聞いています」と新田さん。

生活クラブと山形県庄内地方の生産者との提携は44年前からはじまり、毎年夏に開催される庄内交流会や産地見学会などを通して、生産者と互いの「顔」の見える関係を築いてきた。そうした歴史を積み重ねてきた庄内の生産者が生協を設立した理由を次のように説明する。

「私たち庄内の生産者は生活クラブの消費材を利用したくてもできませんでした。庄内には生活クラブがなかったからです。内陸部の米沢市には生活クラブやまがたがありますが、重いコスト負担を強いるわけにはいきませんでした。ならば自分たちで庄内に生協をつくるしかない、消費材を手に入れるにはそれしかないと考えました」

「FEC自給圏」目指して

庄内での生協設立に向けた動きが本格化したのは2015年。この年に発足した「庄内協議会設立準備会」で、新田さんは「庄内にも生活クラブをつくろう」と提案し、これを受けて生協庄内親生会設立発起人会が設置された。
同準備会には生活クラブと提携する庄内地方の生産者組織「山形親生会」のメンバーが参加する。今後の地域づぐりのためのプランを検討し、具体化するのが設立目的で、17年には「庄内協議会」が発足した。

同協議会の活動の根底には、生活クラブの提唱する食料(Food)、エネルギー(Energy)、福祉助け合い(Care)の地域内自給の実現を目指す「FEC自給ネットワーク構想」への共感がある。

すでに庄内の提携生産者は、畜産物のえさになる飼料用米を2,000ヘクタールの水田で栽培し、20万俵(1俵60キロ換算・1万2,000トン)を域内自給。平田牧場の豚舎から出た排せつ物を堆肥にして田畑に戻し、廃食油を農業用トラクターの燃料にも使うという循環型農業にも取り組んできた。

「来年には遊佐町の太陽光発電施設も稼働します。さらに生活クラブ共済連と地元の東北公益文科大学や酒田市とも連携し、地域福祉のための足場づくりにも着手しました。そうした地域づくりを進めながら、生活クラブの共同購入運動にも参加し、FEC自給ネットワークの実現を目指していきます」

配達先は4拠点のみ

平牧工房での会議風景

生協庄内親生会では、毎月1,000円の積み立て増資と「よやくらぶ」の利用、さらに1人が1カ月最低1万円の消費材を購入するという3点を組合員の共通認識とする方向で検討を重ねている。

よやくらぶは組合員がOCR用紙やインターネット注文(eくらぶ)を使い、対象品目の定期的に消費材が届くという生活クラブの予約登録制度だ。

同制度の対象品はコメ、牛乳、鶏卵10個パック、精肉、肉加工品、調味料類などで、これらを「牛乳と鶏卵と○○」「加工肉と調味料と○○」というように複数組み合わせた申し込みパターンを庄内親生会では独自に作成。学習会や試食会を通し、広く組合員に利用を呼びかけていく。

また、消費材の利用申し込みにはOCR用紙とインターネット注文を併用。組合員が注文した消費材は、埼玉県飯能市の生活クラブ連合会総合デリバリーセンターから月山農場関根工場(鶴岡市)、酒田市内にある平田牧場ミートセンターと平牧工房本社、JA庄内みどり西荒瀬支店の4拠点に翌週納品される。そこから先は個別配送などは行わず、最寄りの拠点(グループ)まで個々の組合員が自分で取りに行くという。

「それぞれの拠点で臨機応変に対応し、自分たちでできることは自分たちでやっていくしかないと思っています。その他のことは実際に共同購入がはじまる4月以降、動きながら考えます。いまは生活クラブの週刊食べるカタログに掲載された品目が、目下免許のない酒類を除き、ほとんど利用できるようになったのが、何よりうれしいです」と新田さんは笑顔で話す。

撮影/魚本勝之  文/本紙・山田 衛

 

『生活と自治』2018年4月号の記事を転載しました。

【2018年4月15日掲載】