目指せ!エコライフの達人
生活クラブはびん再使用のシステム「グリーンシステム」をつくり、リデュース(発生抑制)、リユース(再使用)の2R運動を推進しています。この運動の一環として11月2日、「第6回エコライフのつどい」を東京都内で開催、震災後のエネルギー問題などをテーマにした講演と、びんリユースについてのパネルディスカッションが行われ、組合員ら約70人が参加しました。(2011年11月22日掲載)
資源は有限、脱石油社会の実践を!
講演に先立ち、2011年に「3R活動推進連絡会」から改称したサスティナブル活動推進連絡会(以下、連絡会)の座長を務める生活クラブ埼玉理事長の清水泉さんが、「戻せないなら壊さないでください」という1992年にブラジル・リオデジャネイロで開かれた環境サミットで少女が発した言葉を引用し、「この言葉を胸に環境保全を進めていきましょう」と参加者に呼び掛けました。
基調講演は、東京大学名誉教授で「もったいない学会(※注)」の会長を務める石井吉徳さんが「石油ピークと3.11後の持続可能な社会(生産・消費・くらし)を考える」をテーマに行いました。
石井さんは「地球は有限、資源は質がすべて」、「石油ピークは食料ピーク、そして文明ピーク」と前置きし、「私たちは石油のおかげで豊かな生活を送れたが、それにかげりが見えている。今、その先を考えなければならない」と問題提起しました。そのうえで、「3.11後日本はどのような道をたどるべきか」については「脱石油、脱原発、脱車社会。自然と共存する地産地消で心豊かな低エネルギー社会を」と提唱しました。
(※注)もったいない学会:正式には「石油ピークを啓蒙し脱浪費社会をめざすもったいない学会」という2006年に発足したNPO法人。エネルギーと文明の関係を正しく理解し、石油ピーク後の社会を皆で考え拡げていくのを目的としている。
組合員・生産者間で問題意識の共有を!
後半は、生活クラブ3単協の組合員理事と2生産者が「Rびんをどう残していくか」をテーマにグリーンシステムについて意見を発表しました。
生活クラブ神奈川副理事長の鈴木伸予さんは、1993年のグリーンシステム実験導入以前からの資源回収運動への取組みを紹介し「こうした先輩組合員の思いをぶつけた長い活動の中からグリーンシステムが生まれ、私たちはそれを引き継いでいる」との認識を示しました。また、生活クラブやまがたの清水由美さんは「新規加入者へグリーンシステムの説明が重要」。容器変更(1L→900ml)の影響で醤油びんの回収率が下がった生活クラブ北海道の山﨑栄子さんは「回収率向上を図るために醤油に『このびんは回収します』と書いたしおりを付けて配達する」件を発表しました。
タイヘイ(株)の伊橋弘二さんは、いまだに新びんを使わざるを得ない実態に触れ、「回収率を上げるためにどうしたらいいかみなさんも考えてほしい」と訴えました。また、コーミ(株)の牧戸正博さんは、Rびん利用のトマトケチャップにガラス片が混入した事故が発生した経験があるため、「びんは割れるものと意識して丁寧に扱ってほしい」と注意を促しました。
今後については、「グリーンシステムは日々のくらしの実践。それを強めていきたい」(鈴木さん)、「グリーンシステムの考えを広めていく責任は生産者にもある」(牧戸さん)、「生産者と組合員とで互いに問題意識を共有していきたい」(伊橋さん)などの意見が示されました。
連絡会副座長で生活クラブ岩手の理事長でもある熊谷由紀子さんは、東日本大震災の被災地支援の体験を踏まえ、閉会の挨拶をこう締めくくりました。「小さな自分の活動がやがて大きな所につながることを多くの組合員に伝えてほしい」