食品の放射能 規制値定期的見直しを(生協流通新聞)
2012年02月20日:生協流通新聞
厚労省の基準値案に要望
生活クラブ・パルシステムなど4団体で構成する「食品と放射能問題 検討共同テーブル」は、厚生労働省がまとめた「食品中の放射能物質に係る基準値案」(4月施行)に対し、規制値や食品群の分類などについての定期的な見直し、検査結果の標準化と、きめ細かな情報公開などを求める要望を提出した。規制値の設定については、(1)内部被ばくと外部被ばくの総量を考慮すべき(2)経過措置は設けるべきではない(3)日本人の食文化に合わせた細かい食品群の分類が必要─など5項目を要望。規制値を担保する検査のあり方として、消費者にとって検査結果が非常に分かりにくいことから、機種や検査方法ごとにスタンダードマニュアルを明確にし、検査結果の標準化を図ることを求めている。
生活クラブなどの「共同テーブル」
食品における放射性物質の暫定基準見直しを国にまかせず、公的基準の考え方と物差しづくりを進めるため、生活クラブ・パルシステム・大地を守る会・カタログハウスの4団体で結成した「食品と放射能問題検討共同テーブル」。
2月1日には、厚生労働省がまとめた「食品中の放射性物質に係る基準値案」(4月施行)に対し、さらに低い放射能規制値や検査の標準化、きめ細やかな情報公開などを求める5項目の要望(パブリックコメント)を提出した。
規制値の設定については、(1)内部被ばくと外部被ばくとの総量を考慮すべきである、(2)日本人の食文化に合わせた細かい食品群の分類が必要、(3)規制値や食品群の分類は継続して見直していく必要がある、(4)経過措置は設けるべきではない、(5)セシウム以外の核種の調査を拡大すべきである─の5項目を考慮すべき点として提起。
今回発表された新基準値案は、あくまでも2012年度版の規制値とすべきで、より詳密なモニタリング体制を強化するとともに、規制値の定期的な見直し(規制値の引き下げ、食品群の分類見直し)などを継続して行うことを要望。最低でも2年ごと、できれば毎年の更新が望ましいが、たとえ結果的に変更がない場合でも、新しい知見や科学データをもとに見直し・検討を重ねていくことを強く求めている。
規制値を担保するための検査のあり方として、国や行政のほか、民間でも独自検査を行い、それぞれが結果を公表していることから、消費者に取って検査結果が非常に分かりづらく、比較しづらい状況となっていることを指摘。機種や検査方法ごとにスタンダードマニュアルを明確にし、検査結果の標準化を図ることを求めている。
今回の新基準案で年齢区分を別に設けたのは「乳児」のみだが、半年ぐらいからは離乳食が始まり、1歳を超えるとほぼ親と同じ食材を食するようになることから、「小児期間」について十分な配慮が欠けていることを指摘。親が子に与える食品を選択・コントロールできるよう、検査結果などのきめ細かい情報提供が不可欠であると主張。
また、福島県の子どもたちを中心に長期的な検査を継続し、リフレッシュ旅行や一時退避など必要に応じた対策を講じながら、将来のリスクを過小評価して禍根を生まないためにも詳密な疫学的調査の継続を要望している。
今後の放射能対策として、食の安全のためには厳しい規制値の設定が必要だが、農業や漁業などを再生させていく政策がセットでなければならないとし、資源を集中して最大限の除染の努力をすることが前提だが、基準を超えてしまう地域については、保護策・支援策を講じ、生産基盤を維持・再生していくことの必要性を強調した。