2013年度 生活クラブのGMナタネ自生調査の結果がまとまる
生活クラブは「GM(遺伝子組み換え)ナタネ自生調査」に2005年から毎年取り組んでいます。2013年度の検査結果がまとまり、9月9日には参議院会館で開催された農水省と環境省の担当者を招いた学習会に参加しました。(2013年10月28日掲載)
2013年の調査結果
ナタネは食用油の原料として主にカナダから輸入されています。そのカナダで栽培されているナタネの9割以上がGMナタネです。輸入されたGMナタネは、荷揚げされる港の周辺や製油所に通じる幹線道路沿いにこぼれて自生しています。生活クラブでは毎年の自生調査と抜き取り作業、製油所や地元の自治体への申し入れなど、自生の広がりを防ぐための活動を行ってきました。
今年の自生調査では、19都道府県で昨年より50検体以上多い470検体に対し、検査紙を使った一次検査(タンパク質検査)を行ないました。また、そのうち26検体については、より精密なPCR検査(遺伝子検査)を行ないました。一次検査で陽性反応があった検体が43検体ありましたが、PCR検査で陽性が確認されたのは38検体でした。そのうち除草剤ラウンドアップに抵抗力を持つものが15検体、除草剤バスタに抵抗力を持つものが23検体でした。
今年はラウンドアップとバスタの両方に抵抗力のある検体は、見つかりませんでした。また昨年確認された「隠れGM」(PCR検査で組み換え遺伝子が確認されるにもかかわらず、それによってできるはずのたんぱく質が確認できないナタネ)は、今年は確認されませんでした。
院内集会で食い違う市民の懸念と国の対応
9月9日には参議院議員会館で「GMナタネ自生問題を考える院内学習会(主催:食と農から生物多様性を考える市民ネットワーク)」が開かれ、生活クラブの調査結果を報告しました。生活クラブ連合会理事の朝倉順子さんは、今年の結果を次のようにまとめました。「これまでGMナタネが見つかったことのなかった東京と神奈川の内陸部で、一次検査で陽性の検体がありました。検体を保存していた場合はPCR検査を行い、陰性を確認しました。検体を保存していなかった場合は、同じ場所で他の検体を採取して一次検査をしましたが、陰性でした。港周辺では、今年もGMナタネが見つかっています。これまでGMナタネが見つからなかった内陸部などでも、一次検査で陽性反応があった検体があり、継続して調査が必要です。」
単協の活動は、生活クラブ千葉の神谷洋子さんが報告しました。「千葉県では、輸入されたナタネの種子が千葉港から油脂会社に輸送される途中にトラックからこぼれ落ち、アスファルトの隙間のわずかな土や歩道の街路樹の植え込みで自生しています。さらにはGMナタネ同士や非GMナタネと交雑して繁殖している可能性があり、汚染の拡大が心配です。」
国は「GMナタネの自生は確認しているものの大規模に群生することはなく、生物多様性には影響がない」との姿勢をとっています。しかしこのまま自生を放置すれば、いつのまにか取り返しがつかないことになるかも知れません。GM作物の生物多様性への影響について定めた「カルタヘナ国内法」の改正が急務であり、生活クラブは市民団体とともに今後も国に対し働きかけていきます。