東京家政学院大学と共催でセミナーを実施
生活クラブ連合会は7月7日に新宿で、東京家政学院大学との共催による現代生活学セミナー『家族の健康は毎日の食卓から』を開催し、組合員や生産者など約200人が参加しました。(2014年7月31日掲載)
東京家政学院大学の総合的な支援で実現
生活クラブはこれまで食の安全性を考えた食品の開発・共同購入に取り組んできましたが、それらの食品を「どのように食べるか」という視点も重要と考え、健康な食べ方(食生活)を提案するビオサポ活動をすすめています。ビオサポとは生活クラブの造語で、生命力あふれた健康な食生活をサポートするという意味を込めています。
活動の初年度にあたり日頃からビオサポ活動に助言を得ている東京家政学院大学に学習会の講師をお願いしたところ、健康栄養学科が社会貢献のために行なっている「現代生活学セミナー」として開催するはこびとなり大学の総合的な支援を得ることができました。
セミナーでは東京家政学院大学の天野正子学長が、「健康栄養学科は、多くの人が不安と関心を持っている健康の問題を、食を通して解決することをめざしています。その研究の成果を社会に発信することが『現代生活学セミナー』であり、食べることから生活のあり方を長年追求してきた生活クラブと共催できることをうれしく思います」と挨拶。続けて朝山光太郎教授による「生活習慣病と食のかかわり」をテーマとした基調講演がありました。朝山教授は「栄養素のうち疾病に関する根拠が確立しているものは意外と少なく、低糖質食は現時点では各学会から推奨されていません。魚介類や野菜を十分にとるなどバランスのとれた食事をして、少しでも肥満を解消することが生活習慣病の改善につながります」と話されました。
確かな食べものと食べ方で健康を
また海野知紀准教授からは食品成分の基礎知識として、赤色の食品でもイチゴの色はポリフェノールで、人参はカロテノイドで成分が異なること。人参にふくまれるカロテノイドはβカロテンで、体内でビタミンAに変換されることを教わりました。
一方、大学生に調理実習をされている冨永芳枝教授は「管理栄養士などの専門家をめざす学生であってもカットされる前の野菜の形、種類を知らない人が多い。どんな野菜をお湯からゆでるのか、水からゆでるのか分からない、家庭で調理する姿を子どもに見せることが大切」とのアドバイスがありました。そして酒井治子准教授は「お野菜を食べてくれない」「手づかみで食べてしまう」など育児を担う母親にはたくさん悩みがあることに共感を示し、食育は「子どもに食を営む力の基礎を養うこと」と励まされました。
第2部では、かわさきと長野の2つの地域の生活クラブから各地ですすめられているビオサポ活動の紹介が行なわれました。そして、巷にあふれる健康情報にまどわされることなく、正しい知識と確かな食べもの、食べ方で健康を築いていこうとセミナーを終えました。
集会後、天野学長からメッセージが寄せられました。先生は社会学や現代生活学を専門とされ、かつては生活クラブの運動を学問的な立場から研究、まとめられた方です(『女性たちの生活ネットワーク』文眞堂、1988年。共著者)。先生のメッセージを紹介します。
各地から集まってくださった組合員の方々とわずかな時間でしたがお話をしながら、もう30年近く前に、それまで「当たり前」と思われていた生き方の「当たり前」に疑いを抱き、もう一つの新しい生き方を模索されていた頃の生活クラブの活気が、今も生き続けていることに感銘を受けました。元気の素をいただいた気持ちです。
本学として今回の連携セミナーを真摯にふりかえり、より充実した連携のありかたや現代生活学セミナーのあり方を模索していく予定です。
今後とも、どうぞ、よろしくご指導くださいますように。
ほんとうに、ありがとうございました。
学長 天野正子