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生産現場の活気と水産業の課題を肌で感じる―「三重県水産地交流会」を行ないました

生活クラブの水産政策にとって欠くことのできない拠点産地のひとつである三重県。「かつお本節」「伊勢のり」など古くからおなじみの消費材の産地です。2月1日~3日、連合消費委員(*)事務局メンバーが現地を訪れ、水産産地交流会を行ないました。
【訪問スケジュール】
2月1日:(有)山彦鰹節
2月2日:(株)ヤマキ勢力菊次郎商店→鳥羽磯部漁協 答志地区海苔協同加工場→みえぎょれん販売(株)
2月3日:三重県漁連中央冷凍工場

希少な昔ながらの製法でのかつお節づくりに感動

(有)山彦鰹節は、1936年より鰹節の製造業に従事し、1945年に創業した老舗。「波切節」と呼ばれる、江戸時代から変わらない製法による節づくりをしています。地元でもかつてはカツオの加工工場が80軒ほどあったそうですが、今では山彦鰹節1軒のみだとのこと。生活クラブとの提携は1970年代から始まり、もう40年近くになります。

工場では節づくりの様子を視察しました。節づくりは、全工程で1ヶ月半から2ヶ月におよぶ手間のかかるもの。「焙乾」と呼ばれる乾燥は、そのすべてを薪を焚いて行なっており、この製法は日本でもすでに希少だそうです。薪は1日に2トンもの量を使うとのことで、工場にも近隣の山から切り出した薪をきれいに並べ乾燥している場所がありました。カビ付けをする「ムロ」は、室温30℃、湿度80%以上。ここでカビ付けしたものを天日干し、さらにカビ付け後天日干し…と丁寧な作業を繰り返して3回カビ付けをして、やっと本節が完成します。近年では希少となった昔ながらの製法を受け継ぎ、手間と時間をかけて作られるかつお節。その様子に実際に触れて、「良いものを食卓へ」という生産者の思いを強く実感できました。一方で近年かつお節の利用は減少傾向。もっとかつお節の価値を伝え、利用増につながるような働きかけを身近でもしていかなければと感じさせました。

ピカピカに手入れされた機械が印象的だったしらす工場

伊勢湾産のしらすやちりめんを製造している(株)ヤマキ勢力菊次郎商店では、工場内を見学。当日は強風のため漁がなく実際の加工作業はしていませんでしたが、イワシの稚魚を浜で買い付けて運んで機械に入れてしらすを作ったり、天日で干してちりめんを作るなどの工程の説明を、勢力(せいりき)さん親子から聞きました。漁の最盛期は、朝から夜まで休む間もなく作業が続くとのこと。工場にある機械は15年経つのに手入れが行き届きピカピカ。作業後に毎回丁寧に掃除することで長持ちさせているそうです。高校を卒業して3年前から一緒に働くようになった息子さんが、お母さんの話をニコニコ聞いている姿も微笑ましかったです。

稼働2年の協同加工場は新たなモデルになり得る成功例

次に訪れた答志地区海苔共同加工場は「伊勢のり」「焼伊勢のり」のもととなる「乾のり」の製造元。答志地区の海苔漁業者10名のうち9名が参加し2年前に共同で作った加工場です。総工費5億円のうち半分は補助金を利用していますが、生産者もそれぞれ個人で出資をしたそうです。この加工場ができるまでは、個人で養殖、摘み取り、製造加工までやっていたので不眠不休の厳しい作業になることが多かったとのこと。でも共同加工場ができてからは、沖の仕事に注力できるようになり、体力的にも楽になるばかりか以前よりも良質の「乾のり」ができるようになったそうです。この加工場の成功を見て、別の地区でも加工場を作る話が出ていると聞きました。全国的に見ても生産者の平均年齢が低いことは、今後の国内の水産業のモデルになるヒントがあると思われます。

海苔の入札・買い付けにまつわる苦労話も

みえぎょれん販売(株)の本社は、東日本大震災を機に、2013年に海から離れた高台に新設された建物。生活クラブの担当である前田さんから、買い付け・加工・販売についての話を聞きました。消費材となる海苔の確保のため、熟考に熟考を重ねて入札をするあたりの苦労話も貴重なものでした。海苔加工場では、海苔のチェック、焼きの工程、袋詰め作業、検品などを見学。特に焼き作業は、海苔の厚さにより焼く温度や時間を変えるなど、ここにも熟練の技があることが感じられました。

消費材のおいしさの理由が見えた冷凍工場

最終日に訪れた三重県漁連中央冷凍工場では、「あじフライ」のパック作業を視察したほか、学習会、製品のプレゼンなどがありました。冷凍品を扱うため工場内は10℃と低温。あじフライは、鮮魚からつくる「ワンフローズン」で、これがおいしさの理由でもあります。一方で、原料が生の魚なので調達が難しく、買い付けが回転すし業者との勝負になることもあるなどの話も聞きました。プレゼンではさまざまな新規品の提案があり、今後の検討となりました。

水産業の課題を普段の活動の中で考えるキッカケに

3日間の中で、現地のさまざまな生産者から直接話を聞き、生産の様子に触れることができました。生活クラブでの、三重県の「海苔」「かつお節」取組みの始まりは約40年前にまでさかのぼり、現在では「あじフライ」を始めとしてさまざまな水産加工品の取組みがあります。しかし、米の消費減と連動するように水産加工品の利用も減少傾向にあるという現実もあり、また、水産資源の減少や魚価の低迷、後継者不足等の全国の水産業が直面する課題は、三重県も例外ではないことがわかりました。
参加者からは、今回の生産現場との交流会の体験を、消費材の広報や学習の場の充実など普段の活動にいかしていきたいという意欲的な声が聞かれました。
(*) 連合消費委員会…各地の生活クラブ生協で消費材の利用呼びかけの活動を担う組合員リーダーで構成される生活クラブ連合会・消費委員会のメンバー。生活クラブ連合会の消費材政策の全般に渡って討議し活動方針を具体化する委員会です。
【2017年3月6日掲載】

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